ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

多摩湖寿会事件 第17回
議長の進行を非難

 一般質問で停滞が繰り返されている理由について朝木は、「肥沼さんの議事進行が悪いからこういうことになるんですよ」と主張し、それが議長の責任であると主張した。しかしその主張は正当だろうか。

 朝木は所管に対して刑事訴訟法第239条第2項に対する認識を聞く前に、その前提である多摩湖寿会における不適切な会計問題について、市はそれを「犯罪」と認識するのかどうかの判断をいっさい聞かなかった。「犯罪」と認識する前提がなければ刑事訴訟法第239条第2項を検討する余地はないし、当然、それが「義務規定」か「訓示規定」かを判断する必要性もない。

 朝木は前提について聞かないまま、一方的に「横領があった」と断定し、市に対して刑事訴訟法第239条第2項の解釈について答弁するよう迫っていた。この質問は質問通告書にも記載されていない。したがってこれは、ルール上も論理上も正当な根拠を欠いた質問というほかなかった。しかし市に「山川は横領をした」とする事実を認めさせ、さらに市に告発せざるを得ない状態に追い込むには、このような強引な質問を重ねるしかなかったのだろう。

理に適った答弁

 長い休憩を経て、健康福祉部長がようやく議長に向かって手を挙げ、答弁に立った。

健康福祉部長  さきほどの答弁の繰り返しになりますが、補助金の交付申請等において、虚偽申告があったとまでは確認することはできませんでした。犯罪があったと断言することが困難と考えていることから、法的な措置を講じることは考えていないというところでございます。

 刑事訴訟法第239条第2項の前提部分について説明し、今回の会計問題が同法の検討を要するものではないと判断したものと理解できる。きわめてまっとうな答弁である。

 それでも朝木はなお、市に告発の必要性を認めさせることをあきらめなかった。朝木はさらにこう聞いた。

朝木  (筆者注=犯罪があったと)断言できないということは、疑いは持っているということですか?

 朝木はわずかでも告発を迫るための言質が欲しかったのだろう。

「断言できない」というのは客観的な事実に基づく公的な判断である。これに対して「疑いを持っているかどうか」は主観的な認識にすぎず、「告発しない」という公的な判断において主観的認識はまったく意味も持たない。したがって、本会議という公的な場で市の公式の判断を述べるにあたり、「疑いを持っているかどうか」などという主観的な判断に言及する余地はない。「犯罪があったとまでは断定できない」という答弁は、それ以上の意味を持たないのである。だから健康福祉部長は、上記の朝木の追及に対して次のように答弁した。

健康福祉部長  さきほどご答弁したとおりです。

 所管としては、これ以外の答弁はない。しかし、いなされたと感じたのか、朝木は着席したまま議長に次のように抗議した。

朝木  それじゃダメです。ちゃんといって。肥沼さん、「さきほどの答弁」というのはどの答弁かわからない。部長、どの答弁かわからない。「さきほど」っていうのは。同じ質問してませんから、私。

「さきほどの答弁」というのは、「犯罪があったとまでは断定できない」という答弁にほかならない。朝木がそのことに気がつかないはずはなかろう。しかし、「犯罪があったとまでは断定できない」と明確に答弁された朝木としては、そこで引き下がるわけにはいかない。悪くても「疑いはある」という答弁を引き出したかったということだろう。所管がそう答弁すれば、「疑いがあると認識しているにもかかわらず、その究明をなぜ市はしようとしないのか」と追及することができる――そう考えたとしても不思議はない。

答弁に立った市長

 いずれにしても、「疑いは持っているということですか」という朝木の質問は、前提を否定することで刑事訴訟法第239条第2項を検討する必要性を否定した市の判断を、再び同法の解釈問題という現実的には必要のない議論に後戻りさせかねないものだった。そこで健康福祉部長に代わって答弁に立ったのは渡部市長だった。

 一般質問では、質問者の要求や質問の内容に応じて適切と判断した担当者が答弁に立つのが通常だが、ここに至り、市長は「告発はしない」との結論を出した責任者として自ら答弁する必要があると判断したのだろう。

市長
  この間、私どもとしても調査をしですね、顧問弁護士とも相談させていただいて、これが、われわれが刑事告発する義務がある犯罪に当たるのかどうかは慎重に検討をさせていただきましたが、犯罪と断定するには至らない、そういう結論に至ったということでございます。

 この答弁に対して朝木は、「(筆者注=市の顧問弁護士は)どういうふうな根拠によってそういうふうなご意見をおしゃっられたのか伺います」と食い下がったが、市長は「刑事訴訟法第239条の第2項に該当する犯罪であるかどうかということを確認をしたということでございます」と手短に答えた。これに対して朝木は、着席したまま、不快感も露にこう批判した。

朝木  239条の2項を持ち出しときながら、さっき答えられないっていったじゃないですか。その整合性はどうするんですか。

 市長は「刑事訴訟法第239条の第2項に該当する犯罪があったとは断定できない」といっているのだから、市長の答弁がそれまでの所管の答弁と整合性がないということはない。議長は着席したまま発言を続ける朝木に対して質問するよう促した。すると朝木は、開き直ったようにこう主張した。

朝木  そうすると、虚偽の、架空の経費計上によって、お金が抜かれている、公金を抜かれている、この状態については市としては見逃すということですね。で、これは市としての考え方なんですね。

 それまで朝木は、山川の不適切な会計行為について、「これは横領だから告発すべきと思うがどうか」と市の姿勢を問うというスタンスだった。しかしこの質問になると、すでに「市は犯罪行為を見逃すという方針だ」と決め付けていることがわかる。市長の答弁を境に、朝木の質問は「多摩湖寿会の会計問題」から「犯罪行為に見て見ぬフリをする東村山市(=市長)」という新たなステージに移行したようだった。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第16回
傍聴席から響いた拍手

 刑事訴訟法239条2項の規定について「答弁を差し控えさせていただきます」と答弁した所管に対して、朝木はその答弁に対してではなく、今回の会計問題に関して東村山市が「犯罪とは認定しなかったこと」についてその法的根拠を聞くとする質問を行った。

 しかしこの質問は、答弁に対する再質問ではなかったため、議長がただちに制止した。すると朝木は、この議長の対応について非難を始めたのだった。珍しいやりとりなので紹介しておこう。

議長 (ルールを無視した朝木の質問に対して)それって違うでしょう?

朝木  犯罪に当たらないっていうから。

議長  そんな質問ないじゃないですか(筆者注=おそらく「質問通告書にはない」という趣旨と思われる)。

朝木  犯罪に当たらないっていわなかった?

議長  だからといって、そういう質問って当たらないじゃないですか。やるんなら、7番やりなさいよ(筆者注=「質問通告書」に記載された7番の質問=〈4年間に渡り、毎年監査を行っていたにも関わらず、不適正な会計が見逃されていたことにより被害が拡大した多摩湖寿会の横領事件について、責任はどこにあるのか、誰がとるのか伺う〉というもの)。

 質問通告書で朝木は、今回の会計問題について自ら一方的に「横領」と断定した上で質問を組み立てており、その前に市が犯罪と判断するかどうかを確認する項目が存在しなかった。朝木としては、市側が「横領」と認めることはないと考えていたのだろう。だから、市側の判断を聞かずに「横領」と決め付け、それを前提とする質問とする戦略を取ったのではないかと推測できた。

しかし所管が「答弁を差し控えさせていただきます」と答弁したことで、、その作戦が裏目に出た、あるいは作戦に無理があったことが明らかになったということのようだった。議長の「その質問は当たらない」という発言は、朝木の作戦ミスを指摘するものでもあったのである。

朝木もそう感じ、よほどプライドを傷つけられたと感じたのだろうか。朝木はいきなり議長個人に対して次のような言葉を投げつけた。

朝木  肥沼さんね、こんな議長運営で、冗談じゃないですよ。あんたにね、あんたに指図なんかされたくないよ。

 議長に向かって「あんたに指図なんかされたくない」とは侮蔑的であり、議会を冒涜する言葉でもあろう。ところがこの朝木の発言に対し、多摩湖寿会の役員から拍手が起きた。議長はこの傍聴規則に違反する行為について「私に対する拍手と思っている」と寛容な態度を見せたが、もちろんこれは議長の勘違いである。

我を忘れた朝木

 常識で判断すれば、議長に対して質疑とは無関係の無礼の発言をすることは議員として本当は恥ずかしいことである。ところが朝木は、寿会会長らから拍手を受けてしまったために、自分を見失ったらしい。朝木は自分が市民の負託を受けた市議会議員としてどれほど恥ずかしい振る舞いをしているかに気がつかなかったようだった。

むしろ朝木は、傍聴席の拍手に勢いづいたかのように、朝木はなおも議長にこんな無礼な発言をしたのだった。

朝木  肥沼さん、肥沼さん、239条って何かわかってますか? 公務員の告発義務の話をしてるの。

朝木がこれまで刑事訴訟法第239条第2項について所管に対して執拗に聞いていること、それに対して所管が「訓示規定か義務規定か、見解が分かれているので答弁は差し控えさせていただきます」と答弁したことを議長は確認している。議長は議長の判断として「答弁を差し控える」とした所管の答弁を答弁として認めた。その上で、議長に対して「239条って何かわかってますか? 公務員の告発義務の話をしてるの」とは、どういう物言いだろうか。

 さらに朝木は、議長に対して次のように主張した。

朝木  ……239条をお答えできないっていった。何も答えないから、じゃあ角度を変えて、訴えない根拠はどういう法的根拠で犯罪の事実がないっていうふうに解釈をしてるのか聞いてんの。

 これに対する議長の発言は的を射ていた。議長は朝木に対して次のように述べた。

議長  さっきいってたことと違うじゃんか。

 議長がいう「さっきいってたこと」とは、「刑事訴訟法第239条第2項の解釈がどういうふうに分かれているか」という質問のことと思う。

所管はこれに対しても「学説は様々で、長い説明になるので控えさせていただきます」と答えた。それに対する朝木の今の質問は再質問でもなく、質問通告書に記載された質問(上記の7番の質問)でもない――議長の発言はそう趣旨と思われた。言葉遣いはともかく、ルール上も論理上も、議長が間違ったことをいっているとは思えなかった。

しかし朝木は、議長の再三の注意にもかかわらず、なおも刑事訴訟法第239条第2項の解釈にこだわり、早口でこう反論した。

朝木  ……義務規定か訓示規定か、ちゃんと答えてくれればね、義務規定なんだから、それに基づいて訴えなさいよっていうし、訓示規定だったら、訓示規定のうち、どういう根拠に基づいて告発をしないというふうな態度をとるのか、それを聞こうと思ったけど、答えないから。答弁拒否じゃないですか。答弁拒否を許しといてね、あれこれいわないでくださいよ。

 この朝木の発言によれば、所管が「訓示規定」だと答えれば、その根拠を聞くつもりだったという。仮にそうなった場合、所管が示した「根拠」に朝木が納得するとは思えず、質問時間の許すかぎり、延々と追及が続いた可能性は否定できない。

いずれにしても、朝木は最終的に市に対して「告発せよ」と迫ることが目的だったということだったのではないかと推測できた。私の推測が正しければ、所管がこの日に行った「答弁は差し控えさせていただきます」という答弁は最善の答弁だった。

 朝木の「答弁拒否じゃないですか」という発言に対して議長はそれを否定したが、朝木が納得することはなかった。議会は再び長い停滞に入った。この間に朝木が今度は議長だけでなく他の議員に対しても非難を始めた。「特別委員会を作ってもいいくらいのことなんですよ、これは。公明党が反対するからできないじゃない、大反対でしょ、あんたたち」と。

平成28年11月30日午後2時ごろに始まった朝木の質問は、通常なら1時間程度で終わるところが、すでに1時間30分近くが過ぎたが、まだ終わる気配がなかった。その半分近くの時間は「休憩」が占めていた。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第15回
「みんなで隠蔽」と妄言

朝木は所管の「答弁を控える」という答弁を「答弁として認めない」として譲らず、「質問するように」と諭す議長に対して、今度はそれが嫌がらせだと主張した。ルールに沿った議事運営をしようとする議長の発言を「嫌がらせ」とはとんだいいがかりというべきではなかっただろうか。

それでもなお議長は辛抱強く「もう1度いっていただくしかないの。今の答弁に対して再質問するんですか」と聞いた。すると朝木は「みんなで隠蔽しようとして、すごいね」とまで主張したものだった。議会と市幹部が結託して「山川の横領」を握りつぶそうとしているという趣旨であると理解できた。

これはいったいどういう根拠による発言なのか。この発言に対してはすぐに議場内がざわつき、議員の間から「(議長は)そんなこといっていないよ」と朝木に対して批判の声が上がった。「みんなで隠蔽しようとして」とは、どう考えても稚拙かつ悪質な暴言というほかない。議会と市幹部が何を、どう隠蔽しようとしたというのか、朝木に質す必要があろう。

朝木がここまで暴走するに至ったのはなぜなのか。朝木にとって、所管が刑事訴訟法239条第2項について「答弁を控える」と答弁したこと、さらにそれを議長が答弁として認めたことがよほど気に入らなかったのだろうと推測するほかない。少なくとも所管の答弁は、朝木の思惑とは異なるものだったということではあるまいか。

それでも朝木の不規則発言は終わらず、「どういうふうに解釈が分かれているのか具体的に示してください」と、所管に対して重ねて答弁を求めた。このため議長が所管に「そういうのわかんないですよね」と対応を探ったが、これがまた朝木の苛立ちを逆撫でしたようだった。朝木は着席のままさらに険しい口調で次のように発言し、矢野穂積が議員席から朝木を支援した。

朝木 「法律はわからない」ですまないでしょ、公務員なんだから。肥沼さん、239条知ってていってるんですか?

矢野  知らなきゃダメなんだよ。

朝木  公務員の法律ですよ、これ。寝言いわないでよ。公務員の法律なんです。知らないで公務員やってるわけがないでしょ。冗談じゃないですよ。

 長い沈黙のあと、健康福祉部長が再び答弁に立ったが、「義務規定」か「訓示規定」か見解が分かれているということで、「この場では答弁を差し控えさせていただきます」と、同じ答弁を繰り返した。これに対して朝木は、他の自治体では答弁しているなどと述べたあとで、吐き捨てるようにこういった。

朝木  じゃあ次いきます、もう。ほんとにレベルが低い。

 市議会議員と市の幹部が顔を揃えた中で、健康福祉部長に対して「レベルが低い」とは言い過ぎなのではなかろうか。答弁のレベルを求めるなら、質問のレベルも求められる。必要性の明確でない質問を繰り返してもまともな答弁が得られないのはむしろ当然ではあるまいか。

ハイテンションな質問

 所管の答弁を批判する前に、朝木の質問のレベルがどんなものだったのか。それを自ら明らかにしたのが「じゃあ次いきます」といって始めた質問だった。朝木はさらにハイテンションで、次のように聞いた。

朝木  ……4年間にわたって、実際、今、犯罪ではないとおっしゃったけれども、じゃあ4年間にわたって実際には支出のない架空の経費を計上して会計個人が簿外のお金を4年にわたり所持している、いまだに持っている。こういう状態であることが、法的に横領にも詐欺にも当たらないというふうな当市の見解は、どのような法的根拠によるものか伺います。

 実は、朝木の一般質問通告書には、朝木自身が「山川は多摩湖寿会の金を横領した」と断定した上で、それを前提として市の対応、とりわけ刑事訴訟法第239条第2項をふまえ、どんな措置を考えているか――などの質問が記載されているが、上記のような質問の内容は通告されていない。それ以前に、朝木が市に聞こうとした「措置」の前提として、東村山市は「横領」の事実を認定するかどうかの質問さえ通告していない。

 所管は朝木から前提を抜きに「どんな措置を考えているか」と聞かれたので、前提として「犯罪とは認定していない」と答弁した。しかし、朝木の質問通告書には、「今回の不適切な会計処理が犯罪に当たると考えているかどうか、またその法的根拠」を質すような内容は記載されていない。

 議会での質問は事前に提出した通告の内容に従って行うのがルールである。したがって、上記の朝木の質問に対して所管から「答えられない」と答弁されても仕方がない。

 通告書に基づく質問に対する答弁については再質問が許されている。では、上記の質問が再質問といえるのかどうか。その前の所管の答弁は「刑事訴訟法第239条第2項が訓示規定か義務規定かについては答弁を控えさせていただきます」というものである。すると、「(山川の会計処理が)法的に横領にも詐欺にも当たらないというふうな当市の見解は、どのような法的根拠によるものか」という質問がとうてい再質問にも当たらないのは、どうみても明らかだった。

 つまり朝木の上記の質問はルール上成立しない質問であるということになる。テンションは高いが、質問として認められないような質問がどんなレベルにあるといえばいいのだろうか。少なくとも、所管の十分にうなずける答弁をつかまえて「低レベル」などと非難できるレベルにあるといえるのかどうか、私にはかなり疑問があると思えてならない。

なお、この発言の中で、「実際には支出のない架空の経費を計上して会計個人が簿外のお金を4年にわたり所持している、いまだに持っている」という部分は、事実上、「山川はごまかした経費を着服し、今も私的に隠匿している」と主張するものであり、朝木はこの発言について責任を負わねばならないだろう。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第14回
十分にうなずける答弁

 公務員の告発について規定した刑事訴訟法239条の2項が「訓示規定」か「義務規定」かという法律的な解釈を聞かれた所管は、専門外なので再び議長に「休憩」を求め、またもや議会は長い休憩に入った。しかしそもそも、同法が「訓示規定」だろうが「義務規定」だろうが、今回の山川による不適切な会計処理について東村山市がなんらかの犯罪行為と認識していなければ、朝木の質問はまったく意味のないものということになる。

 朝木は山川の会計処理について自分の認識として「横領」や「詐欺」であると主張しているが、健康福祉部長はこれまでの答弁で「犯罪があったと断言することは困難と考えております」と述べている。「犯罪行為があった」というのはあくまで朝木の認識、主張にすぎない。

 朝木が提出した「一般質問通告書」には、〈虚偽の収支報告書を提出し、補助金(公金)を着服した元市議に対し、今後どのような措置を考えているか。刑事訴訟法239条第2項もふまえ、市の見解を伺う。〉と記載されている。しかし、刑事訴訟法239条の2項は公務員が犯罪の存在を認定して初めて現実的な検討課題となるものであって、犯罪の存在を認定していないところに刑事訴訟法239条の2項を考慮する余地はない。

 したがって、刑事訴訟法239条の2項の法律解釈を市に答弁させようとするのは順序が逆だし、東村山市の認識が変わらないかぎり、質問時間の浪費にすぎない。「刑事訴訟法239条第2項をふまえ」と通告書に記載されているといわれても、ふまえる理由がないのだから、市にしてみれば、同法が「訓示規定」か「義務規定」かについて確認する必要もなかったのだろう。この日の朝木の一般質問ではたびたび進行が滞り、寿会関係者以外の傍聴者にとっては耐えがたい不毛な時間だけが流れた。

議会が止まってから10分以上たって、市側はようやく答弁の準備ができたようで、健康福祉部長が答弁に立った。

健康福祉部長  239条の2が義務規定か訓示規定かどうかにつきましては、見解が分かれているところでございますので、答弁は控えさせていただきます。以上です。

 法律家の間でも見解が分かれているものを、東村山市がわずか10分程度で結論を出せるはずがない。東村山市は特に刑事訴訟法239条第2項に基づいて告発を検討する必要があると判断しているわけでもなく、「義務」か「訓示」かについて「答弁を控える」と答弁したとしても、それは十分にうなずける答弁だった。むしろ、今回の会計問題について東村山市が「犯罪」と認識しているかどうかを質し、「犯罪」と認識しているとの答弁があって初めて刑事訴訟法239条第2項が「義務規定」か「訓示規定」かを聞くのがものの順序というものではなかろうか。

不可解な質問

 この質問に入る前に朝木はすでにこう質問していた。

朝木  ……不正計上については当然、お金がなくなっているわけですから、その部分は間違いなく横領なんですよね。で、市に、この点について刑事訴訟法の239条の第2項……については市としてはどういう……ふうに考えようと思ってますか?〉

 朝木が自ら一方的に「間違いなく横領」と断定した上で、刑事訴訟法239条第2項に基づく対応をするかどうか聞いている。これに対して、所管は次のように答弁している。

健康福祉部長  ……二重に計上された経費や補助対象外経費とすべき経費の混在など、会計処理において多摩湖寿会において補助金の返還命令に至るような不適切な状態があったことは確認をしております。しかしながら、……当市が実施した旧役員等々のヒアリングでは、補助金の交付申請時において虚偽申告があったとまで断定、確認することはできませんでした。このことから、犯罪があったと断言することは困難と考えております。したがいまして、現状においては刑事訴訟法に基づく法的措置を講じることは考えておりません。以上です。

 市の答弁内容は、朝木が前提(犯罪があったかどうか)を飛び越えて刑事訴訟法239条第2項に対する考えを聞いたのに対し、きちんと前提条件を述べた上で結論を答弁した(「犯罪があったとは認定しないので、刑事訴訟法に基づく措置はしない」)もので、論理の順序としてもきわめてまっとうなものである。その前提があったから、所管は刑事訴訟法239条第2項を検討する必要はないと判断していたということと理解できる。

ところが朝木は、市が前提を明確に説明しているにもかかわらず、あえてそれを無視し、刑事訴訟法239条第2項に対する考えを先に聞こうとしているのだった。これは不可解なことではなかっただろうか。

議長の遠慮

 その理由は定かでないが、朝木にとっては、「犯罪の有無に対する認識」よりも先に刑事訴訟法239条第2項に対する対応を質したことに違和感はなかったらしい。「答弁を差し控える」と答弁された朝木は、その答弁がよほど気に入らなかったのだろう。朝木は着席したまま、今度は答弁した健康福祉部長に対してでなく、議長に直接、答弁に対する不満を述べ立てた。

 東村山市議会規則では、議会における質問は、挙手をし、議長に指名されてから、起立して行うことになっている。だからこの朝木の発言は、ただの私語ということになる。しかし、着席したまま発言を続ける朝木に対して、議長は「質問してくださいよ」とはいったものの、「休憩」の通告もしなかった。このため、今度は議長と朝木の間で「答弁に対する不満」をめぐるやりとりが行われるという珍しい状況となった。

 議長は何度も繰り返し「答弁を控える」という答弁を、「答弁として認める」とし、朝木に対してその答弁に対して質問するよう説得を試みた。しかし朝木は、「法律があるのだから、地方自治体である東村山市がそれに対する解釈をしないということはあり得ない」などと主張し、「『答弁を控える』という答弁は認められない」として譲ろうとはしなかった。朝木としてはどうしても「義務規定」であるという答弁を引き出したかったものとみえた。

 ところで、議長はなぜ「休憩」にしないまま、朝木との無為のやり取りを続けるのだろうかとふと気になった。そういえば議長は前に、不規則発言を続ける朝木に対して「休憩中じゃないんだよ」と釘を刺したことがあった。

 議員にはそれぞれ質問の持ち時間が決まっている。休憩中なら質問時間の時計は止まっているが、「休憩中」でないということは、朝木の質問時間はその間も刻々と減り続けているということだった。だから議長は釘を刺したのだろう。「私語ばかり続けていると持ち時間が減るだけだよ」と。

 さらに「質問するんであれば、ちゃんと手を挙げて」と促す議長に対して、〈時間がないのわかってて、いやがらせしないでくださいよ〉反発したように、このままでは時間がなくなっているだけであることを朝木がわかっていないわけではなかった。それならなぜ、朝木はここまで「答弁を差し控える」という所管の答弁にこだわるのか。朝木にはここまで不規則発言を続けるどんな理由があったのだろうか。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第13回
市は虚偽申告を否定

 返還額を確認した朝木は、不正計上は山川が横領したものであるとして市に対して告発すべきではないかと迫った。これに対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  二重に計上された経費や補助対象外経費とすべき経費の混在など、会計処理において多摩湖寿会において補助金の返還命令に至るような不適切な状態があったことは確認をしております。しかしながら、……当市が実施した旧役員等々のヒアリングでは、補助金の交付申請時において虚偽申告があったとまで断定、確認することはできませんでした。このことから、犯罪があったと断言することは困難と考えております。したがいまして、現状においては刑事訴訟法に基づく法的措置を講じることは考えておりません。

 市の判断は、返還金が生じた部分について、山川に着服の意図があったと断定するには至らなかったということだった。これに対して朝木は「これ横領じゃないといってますけど、だったら横領の要件をいってください」と引かなかった。いきなり横領の刑法上の要件を聞かれた所管は答弁に詰まった。

 横領の要件を所管に答えさせてどうしようというのか。朝木が知っているのなら、最初から要件を提示すれば、わざわざ時間を割いて聞く必要はなかろう。自ら「横領」の定義を示し、今回の不適切な会計処理が横領に該当すると主張すればいいのではあるまいか。所管が答弁に窮したため、ここでまた、議会は長い休憩に入った。

 するとその間にまた、傍聴席から寿会会長の声が響いた。

「告訴できないんだ。元市会議員だから、仲間だから」

 これもまた「山川は横領した」とする事実を前提とするものにほかならない。その上で、東村山市は元市議会議員を特別扱いしていると主張している。寿会会長は、東村山市は「横領」に目をつぶろうとしているとでもいいたいようだった。

 長い中断のあと、所管がようやく「横領」の刑法上の定義を答えると、朝木はさらに質問を続けた。

朝木  ……(山川の不適切な会計処理は)私は横領とそれから詐欺にも当たると思ってるんですね。たとえばレシートと領収書の二重計上、これは支出がないのにあったと見せかけて、入浴料もそうですけれども、あったと見せかけてお金を盗ってるわけですから、これは詐欺にも当たる。これは弁護士も同じ見解です。そういう意味では詐欺の、詐欺もなかったとおっしゃるんであれば、今度は詐欺の成立要件はどのように認識してらっしゃるのか伺います。

 朝木のいう「レシートと領収書の二重計上」とは、同じ商品を買ってレシートと領収書の両方をもらい、別々の支出があったことにして二重に計上し、その半分を懐に入れたという意味なのだろうが、架空請求であるとする「入浴料」とともに、それが「横領」、「詐欺」とまで断定するからには、その確かな証拠を示さなければならないだろう。

 朝木は立ち上がって上記のように質問し、着席したあとも健康福祉部長を非難した。

「犯罪がなかったというんだったら、きちっと勉強してからいってくださいよ。常識ですよ、そのくらい。公金横領を告訴したことあるじゃないですか。特定の人間は特別扱いなんですか」

 着席したままの発言はいわゆる不規則発言にすぎない。しかし、議長があえてそれを放置したものだから、「詐欺の定義」をめぐり市側が答弁を始めるまでに、市職員の席を挟んで、傍聴席と朝木の間で通常はあり得ないやりとりが行われた。

我が物顔の傍聴者

 まず口を開いたのは寿会会長だった。それをきっかけに以下のようなめったに見られない議場風景が繰り広げられたのである。

寿会会長  「人を騙して財物を奪う」。

会員  ああそういうことか、早いねー。(筆者注=「市と違って、会長は」という趣旨と思われる)

朝木  詐欺の要素の方が強いかもしれないですね。

寿会会長  市もわからない。市にもすぐにわからない。

 本来、市と協力関係にあるはずの多摩湖寿会会長が、このような不遜な態度で市の担当者をからかう理由は何なのだろうか。しばらくして、健康福祉部長はこう答弁した。

健康福祉部長  失礼いたしました。詐欺につきましては、「人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。また前項により財産上不法な利益を得又は他人にこれを得させた者も同項と同様とする」。個別の要件に関しては、さきほどの横領と同様でございます。以上です。

 この答弁に対して、今度は寿会会長らが即座に賛意を示した。

会員  そのとおりじゃない。

寿会会長  そのとおりですよ。

 相当のふてぶてしさである。我が物顔といえばいいのだろうか。しかし議長は傍聴規則で禁止された彼らの度重なる振る舞いを放置したままである。あえて、こんな傍聴者がいたということを議事録に残そうという考えだったのかもしれない。

 いうまでもなく、寿会会長らがいった「そのとおりですよ」とは、「山川が行ったのは部長が説明したとおりの行為で、詐欺だ」という意味であると理解できた。すると朝木は、傍聴席の声をなぞるように「今の(説明)とまったくそのものじゃないですか」と健康福祉部長に同意を求め、続けてこう発言した。

朝木  ということで、239条の第2項について確認しておきますけれども、これは訓示規定と考えているのか義務規定と考えているのか、そこをはっきりしてください。

「公務員の告発義務」について定めた規定が、「場合によっては告発すべき」というものなのか「どんな場合でも告発しなければならない」というものなのかと迫ったのである。「義務規定」ということになれば、東村山市は山川を告発しなければならないと認めることになる。朝木はその点に対する東村山市の考えを質したのである。答弁しだいでは、「告発」の方向に追い込もうという思惑であることは明らかだった。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第12回
「詐欺行為」と断定

「百条委員会でも作ってよ」という朝木の筋違いの主張を聞いたあと、市側も落ち着いたのか、入浴料に関する朝木に主張に対して、所管はこう答弁した。

健康福祉部長  入浴料そのものは単なる親睦会等の会員同士の親睦を目的とした行事に関わる支出で、補助対象外経費として最初から扱っておりますので、ヒアリングの中では聴取しておりません。以上です。

 市としては、補助金の対象ではないから市が関知する部分ではなく、寿会内部の問題ということである。だから、市は関知しないものについて調査する必要はないし、答弁する立場にもないということだった。

 それでも朝木はさらに語気を強めて、次のように追及した。

朝木  補助対象経費として計上されてたでしょう。それが嘘だったわけですよ。詐欺行為っていうんですよ、こういうの。あたかも支出されたと見せかけて、1万円を計上して、市に報告書を上げた。……それなのにずいぶんのんきな話だなというふうにいってるんですよ。

 朝木からすれば、入浴料の問題について所管が一任意団体内の問題として片づけようとしているとみえたのだろうか。語気だけでなく、山川が入浴料として1万円を計上していたことについて今度は「詐欺行為」とまで断定したのである。

 朝木の口から「詐欺」という言葉を聞くと、平成27年に朝木らが発行する『東村山市民新聞』で山川に対して「詐欺事件に関与した」と記載して50万円の支払いを命じられたことを思い出すが、今回の場合は「詐欺に関与」ではなく、山川が「詐欺」行為を行ったと断定していた。朝木としては、『東村山市民新聞』の記事で山川に敗訴し、プライドをへし折られた思いが心中深くにくすぶっていたのではあるまいか。

「詐欺に関与」の記事では確かな根拠を示すことができなかった。しかしこの「入浴料」に関しては、施設からもらったという「入浴止め」と書かれた確かな「証拠」がある。今度は間違いないという自信が、「詐欺行為っていうんですよ、こういうの」という強気の発言につながったのかもしれない。

しかし朝木はこの質問にあたり、「寿会の現役員が調査に行ったら」と前置きしているとおり、自分では調査を行っていないことが明らかだった。「詐欺に関与」の記事の根拠が伝聞だったように、今回の「入浴料」についても、「入浴止め」のコピーをもらった施設側の説明は伝聞にすぎない。

一般に議員の議会質問の自由は尊重されなければならないとはいえ、朝木の上記の発言は一般市民を犯罪者と断定するものにほかならない。仮に「入浴の事実はない」とする朝木の主張が十分な根拠に基づくものではなく、事実に反するものだった場合、そのような発言まで議会での発言として尊重されるべきだろうか。

「山川の懐に行っている」と断定した傍聴者

 さて、朝木は「入浴料」について「詐欺行為」と断定したあと、補助金の返還額がどうなったかを聞いた。健康福祉部が再調査を行った結果、修正された返還額は以下のとおりだった。



(健康福祉部が再調査の結果、確定させた返還額)

平成24年度 16万8566円
平成25年度 4万766円
平成26年度 12万1954円
平成27年度 12万1643円

返還額合計  49万768円



 健康福祉部長が上記の返還額を答弁すると、すかさず傍聴席から声が上がった。

「彼女から返してもらえばいいのよ。みんな山川さんの懐に行ってるから、全部返してもらえばいい」

 さきほど「横領の証拠を全市に配れ」といった傍聴者と同じ声だった。周囲に固まって座っていた3、4名の傍聴者が「そうですね」と同意の声を上げた。「山川さん」と名指ししたこと、固まって座っている傍聴者の中でもリーダー的存在であるようにみえることなどから察するに、最初に声を上げたこの人物は寿会の現会長であると推測できた。

 この人物は、「横領の証拠を全市に配れ」といい、東村山市が算定した返還額のすべてが「山川の懐に行っている」すなわち、「山川が横領した」と主張していたことになる。よく通る声だから、傍聴席はもちろん傍聴者の前に座っている東村山市職員全員の耳に届いたことは間違いなかった。しかし、そういうことならなぜこの寿会会長は、健康福祉部が実績報告等の再提出を求めても応じなかったのか。

また、朝木の説明によれば、平成28年7月の時点で山川は不適切な会計処理があったとして寿会に対して42万4500円を返金している(横領を認めたわけではない)。寿会会長は、その42万5000円とは無関係に、市が確定させた返還額49万768円のすべてを「山川が払えばいい」といっているのだろうか。

明らかになった最終目的

 返還額を確認した朝木は、さらに次のように聞いた。

朝木  そうすると、不適正計上の中には、いわゆる不正計上ね、さっきいったように実際には支出されていないのに、たとえば領収書を偽造したりとか、実際に支出していないものを支出したとみせかけて計上したもの、それからお酒とかね、実際にはお祝い金とか補助対象経費ではないものを乗せてしまった、その2種類あると思うんです。
 で、不正計上については当然、お金がなくなっているわけですから、その部分は間違いなく横領なんですよね。で、市に、この点について刑事訴訟法の239条の第2項、……これについてはどういうふうに考えようと思ってますか?

 朝木がここでいう「領収書を偽造したりとか、実際に支出していないものを支出したとみせかけて計上したもの」のうち、「領収書の偽造」については初めて出てきた事実だった。根拠は明らかではないものの、朝木は「山川は『領収書の偽造』までしていた」と主張していた。「偽造された領収書」があるというのならそれもこの場で公開すればよかったと思うが、この日の質問で公開したのは「入浴止め」と記載された入浴施設のコピーだけだった。

 その上で、朝木が持ち出したのが刑事訴訟法239条の第2項(筆者注=「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」とする規定)だった。要するに、「東村山市は山川の横領を告発すべきだ」とする主張にほかならない。市に告発させることが朝木の最終目的だったということのようだった。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第11回
「証拠」を掲げて追及

 多摩湖寿会の会計問題で山川に対するヒアリングを終えた東村山市健康福祉部は、経費の二重計上や補助対象外経費を補助対象経費として計上していた部分があったことは認定したが、山川が寿会の経費を私的に流用したり、実績報告で虚偽の申告をしようとする意思があったとは確認できなかったと答弁した。これに対して朝木は、「(山川は)厚顔無恥というふうにいうしかない」と前置きし、健康福祉部長の答弁に対し、具体的な実例を挙げて次のように反論した。

朝木  ……平成25年度の入浴料、これも日帰り研修の経費ですけれども、20人が入浴したというふうな、ご自身(筆者注=山川)で報告書も書いてる。それからもちろん領収書はないんですが、1万円計上してるんですよね。ところがこれ、寿会の現役員の方が調査に行ったら、悪いことはできないもんで、この日、この施設はお風呂、宿泊施設ともに改修中で、いっさい入浴については、この日は行っていなかったということがはっきりしてるんですよ。

 朝木がここでいっているのは、「山川が日帰り研修での入浴料として計上している1万円は、施設は入浴ができない状態だったにもかかわらず入浴したものとして計上された架空計上だ」ということである。山川はその1万円を着服したのだと。

 ここで朝木は質問席に立ったまま、クリアファイルに入れた1枚の紙を胸の位置に掲げて、市長を含む市の職員に向けて次のように質問を続けた。 

朝木  で、おそらく、市の方にもこの資料(筆者注=クリアファイルに入れた資料)が行ってるんじゃないですか? ちゃんと書面でね。こういうの、こういうの、日誌のコピー。7月1日、多摩湖寿会のカラオケ室だけは入ってます。だけど入浴については差し止めって書いてある、こういうものも行ってるんじゃないですか? これ、うっかりじゃないじゃないですか。忙しいから入浴料をわざわざ入れちゃったというんですか? そんなバカな話を真に受けるというよりも、そういうふうな言い訳が通用するというふうに、ウチの市はそれが通用するということになるんですか?

 朝木が掲げている「日誌のコピー」とは、どうも施設に残っていた日誌をコピーしてもらってきたものと思われた。現地に調査に行った「寿会の現役員の方」、つまり寿会会長がもらってきたものを、朝木がコピーしてもらったのだろう。そこには大きな文字で「入浴止め」と書いてあった。領収書がなく、施設の資料に「入浴止め」と書いてあれば、その時点において「入浴はできなかった」と考えることは不自然ではない。

朝木はもちろん自信があったから、クリアファイルに入れて掲げたのだろう。朝木としては動かぬ証拠を市に突きつけたというわけだった。朝木がこの「証拠」を示して市を追及している光景は市役所内のロビーおよびインターネットで今現在も広く配信されており、誰でも閲覧することができる。

割り込んできた傍聴者

事前に提出されていた朝木の質問通告書には、この「入浴」の問題については記載されていた。しかし、目の前に資料を示された市としては驚いたことだろう。しかも「ウチの市はそれが通用する」のかと聞かれている。「証拠」を突きつけられれば、これから事実関係を精査するとは簡単には答弁できない。市が答弁に苦慮していると、議長が「休憩」を告げた。

 すると朝木は、発言席に座ったまま次のように主張した。

朝木  何十件もあるんだから、不正計上が。1件だけじゃないんですよ。全部行ってるはずですよ、横領の証拠が。なぜ目をつぶるんですか?

 明らかな「証拠」を突きつけ、状況としては市を黙らせたわけだから、朝木としても勢いづいていたのだろう。答弁する市側は慎重な対応をしようとまだ静まり返っている。するとそこへ突然、傍聴席から年配女性のよく通る声が委員会室に響いた。

「全市に配ったらいいじゃない」

 朝木のいう「横領の証拠」を「全市に配れ」と、この人物は主張しているものと理解する以外になかった。「全市に配れ」とは「全東村山市民に対して配れ」という意味である。

「横領の証拠」があるというなら告訴・告発すべきだと思うが、この人物はそれよりも先に「横領の証拠を東村山市民に対してばらまけ」といっている。つまり、この人物もまた朝木と同様に、捜査機関の判断を待つことなく、「山川は横領をした」と断定したということになろう。

 その上で、この人物はその事実を「全市に配れ」といっている。問題を提起あるいは告発し、行政なり捜査機関の判断を待つのならまだ公益性があるといえるかもしれない。しかし、自己の一方的な主張に基づき、その主張を市内に「ばらまく」という行為は、私憤を晴らそうとするものといわれても仕方がないのではあるまいか。 

ところが市会議員の朝木は、発言権のない傍聴者の、それもとうてい議場には似つかわしくない「『横領の証拠』を全市にばらまけ」という発言にむしろ応えるように、あるいは援護射撃を受けたかのように、より強い口調で断定的にこう主張した。

朝木  横領なんだよ、これ。百条委員会でも作ってよ。

 百条委員会とは地方自治体の首長や議員の疑惑を調査するために設置するものだから、「山川が横領した」と主張する朝木が百条委員会の設置を求めるのは相当にズレた主張である。入浴施設が「入浴止め」だったという「証拠」を所管に突きつけたことで、朝木はよほど冷静さを失っていたのだろうか。

 しかしいかに気持ちが高ぶっていたとしても、「入浴止め」と書かれた記録があったこと、「領収書がない」というだけで、「入浴しなかったにもかかわらず入浴料1万円を計上した」と断定し、さらにそれを「横領なんだよ」と断定してよかったのだろうか。

(つづく)
TOP
元市議名誉毀損事件 上告審
東京高裁が朝木らの上告を却下

 元東村山市議、山川昌子の名誉を毀損したとして東京高裁が50万円の支払いを命じた判決を不服として東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が上告状を提出していた裁判で、東京高裁は平成29年3月13日、矢野らの上告を却下する決定を行った。

「却下」とは内容的な審議に入ることなく訴えを退けることである。弁護士だけでなく「法律にくわしい」矢野がついていながら、矢野と朝木は審議もされないような上告状(上告理由書)を提出していたということになろうか。それとも、弁護士が矢野らに無断でそんな上告理由書を提出していたのだろうか。

 この裁判は、矢野と朝木が発行する彼らの政治広報紙『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日発行)で「山川は詐欺事件に関与した」とする記事を掲載、これによって名誉を毀損されたとして山川昌子が朝木と矢野を提訴していたものである。一審の東京地裁立川支部は矢野らに対して15万円の支払いを命じたが、朝木らはこれを不服として控訴、この控訴を受けて山川もまた、一審判決は不十分であるとして朝木らに対して50万円の支払いを求めて附帯控訴した。

 朝木らは新たな陳述書等の証拠を提出したが、東京高裁は1回の口頭弁論で結審。平成28年12月7日、東京高裁は山川の附帯控訴における主張を全面的に認容し、矢野と朝木に対して50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

敗訴を認めなかった朝木

 判決主文には「50万円の支払い命令については仮執行ができる」との条項が付いていたため、山川は朝木に対して50万円の支払いを求めた。すると、朝木は支払いには応じる意思を示したものの、一方で「上告の手続きをしているので、判決は確定していない」として、「仮執行には応じるが敗訴を受け入れるわけではない」と、依然として自らの正当性を主張する姿勢を崩さなかった。

 当然、上告した結果、控訴審判決が覆れば、山川は受領した50万円を朝木に返還しなければならない。50万円を支払ったからといって、敗訴を認めたということではないのである。

 山川と朝木がそんな仮執行に関するやりとりをした数日後、山川に対する上記回答で「判決は確定していない」と述べたとおり、朝木らは東京高裁に対して平成28年12月20日付けで「上告状兼上告受理申立書」を提出。さらに平成29年1月31日には上告理由書を提出していた。

「不適法」な上告理由

 では、東京高裁はどんな理由で朝木らの上告を却下したのだろうか。東京高裁は決定の「理由」で次のように述べている。



(東京高裁が朝木らの上告を却下した「理由」)

 本件記録によれば、本件上告状及び民訴規則194条所定の期間内に提出された平成29年1月31日付けの上告理由書には、民訴法312条1項及び2項に規定する事由の記載がないから、本件上告は不適法でその不備を補正することができないことが明らかである。よって、同報316条1項1号、67条1項、61条を適用して主文のとおり決定する。



 決定理由の中で「記載がない」とされている「民訴法312条1項及び2項に規定する事由」とは、1つには原判決に憲法解釈の誤りがあるとか、原判決が憲法の規定に違反している場合、2つ目としては、裁判自体に違法な手続き等があった場合(条文には細かな事例が挙げられている)、判決に理由が書いておらず、また書いてあっても矛盾があるときなどだが、一般に上告審で判断されるのは憲法上の判断である。現実に、本件裁判において上記第2項に違反するような事実があったとは考えられなかった。

 したがって、朝木らが提出した上告理由書には憲法上の主張がなされていなかったのではないかと推測できた(却下となったためか、朝木らが提出した上告理由書は山川には送達されていない)。決定がいう「不備」とは、原判決には憲法上の問題があるとする主張がないことを意味するのだろう。

 ところで、上告は最高裁判所に対して行うのではなく、その判決を下した裁判所に対して行うものである。原裁判所は、提出された上告書類の内容が要件を満たしていると判断すれば上告は受理され、その主張の可否は最高裁の判断に委ねられることになる。しかし上告書類が上告の要件を満たしていないと判断される場合には、原裁判所はこれを上告として取り上げることはできない。

 民訴法316条は、「上告が手続きに違反していて、その不備を補正できないことが明らかな場合には、判決を下した裁判所は決定で上告を却下しなければならない」と定めている。この規定に基づき、東京高裁は朝木らの上告受理申立を却下したのである。

 ただ、東京高裁が朝木らの上告受理申立を却下したことで山川の勝訴が確定したわけではない。この決定から1週間以内なら不服申立(即時抗告)をすることができるのである。即時抗告がなされれば、裁判所は新たにその主張についての裁判(判断)をしなければならず、決定がなされるまでの間、東京高裁が行った「却下」の決定は保留となる。

 東京高裁の決定理由を読めば、この決定を覆すことは難しいとみるのが常識的な判断だろう。しかし朝木と矢野に限っては、私には「即時抗告をする可能性はない」と言い切る自信はない。

(了)
TOP
多摩湖寿会事件 第10回
締め切り期日に回答

 9月議会での朝木の質問をきっかけに東村山市健康福祉部が再調査を行い、その結果として「寿会会長に対して再度補助金実績報告等を提出していただき、返還額の確定作業をするつもりだった」とする趣旨の答弁を健康福祉部長が行ったのに対し、朝木はさらに次のように反論した。

朝木  今の話、違うんですよね。多摩湖寿会からは全部の資料が行ってるんじゃないですか? それは形式的には収支報告の形ではないけれども、不正金の一覧も行ってるはずですよ。どうしてそれなのに処理ができないんですか。

 この質問はどうも、寿会会長はすでに「不正金の一覧」を提出しているから、それは「補助金実績報告等の再提出」と同じだから、市はそれに基づき処理すべきで、そもそも市が寿会会長に「補助金実績報告等の再提出」を指示する方がおかしいと主張しているようにも聞こえる。寿会会長が任意で提出した「不正金の一覧」と「補助金実績報告等の再提出」を同列に論じられても、行政としては困惑するのではあるまいか。そもそも、健康福祉部が寿会会長に対して「補助金実績報告等の再提出」を求めたことを、朝木がわざわざ本会議の一般質問で取り上げて批判すること自体、意味のあることとも思えなかった。

 補助金実績報告書等の再提出を求められた寿会会長は、朝木が主張した理由で提出を拒んだのだろうか。仮にそうだとすれば、寿会会長は自分たちの判断には間違いがなく、市に確認をしてもらう必要はないと主張しているに等しかろう。この寿会会長の姿勢をどう理解すればいいのだろうか。

 市が寿会会長に対して「補助金実績報告等の再提出」を指示したのは平成28年10月31日で、その提出締め切りが同年11月7日だった。朝木が主張するように、すでに「不正金の一覧を提出している」というのが提出をしない理由だとすれば、再提出を指示された時点でそのように回答できたはずである。しかし寿会会長は、その際には回答をせず、提出の締め切り当日になってやっと「再提出しない」と回答した。締め切り当日に「提出しない」と回答したのはやはり不自然な対応のようにみえる。

 そう考えると、上記の朝木の質問は、寿会会長が「補助金実績報告等の再提出」をしないと回答したのには、「不正金の一覧」を提出したこととは別の理由があったという推測が成り立つのではあるまいか。現会長が寿会会長として補助金実績報告の再提出をすれば、市はそれに基づいて返還額を確定するといっているわけだから、その返還額の請求は補助金実績報告の再提出を行った主体に対してなされることが想定される。

 寿会会長から補助金実績報告が再提出されなかったからといって、市が返還を求める相手が、補助金を交付した相手すなわち多摩湖寿会であることに変わりはない。しかし、寿会現会長側とすれば、自分の名前で補助金実績報告を再提出すれば、自ら寿会会長に返還請求する正当理由を行政側に与えてしまう――そんなことでも考えたのではあるまいか。寿会会長が補助金実績報告書の再提出をここまで頑なに拒んだ理由は、それぐらいしか思い当たらなかった。まさか寿会会長が、どこをどう修正すればいいのかわからないということではあるまい。

再調査をふまえた市の結論

 さて、朝木は「(寿会会長から)不正金の一覧も行ってるはずですよ。どうしてそれなのに処理ができないんですか」と聞いたきり、この件についてはそれ以上の追及をせず、10月に多摩湖寿会から会計帳簿類(のコピー)が送付されて以降、所管はどんな調査を行ったのか、またその結果がどうだったのかについて聞いた。まさに12月議会における一般質問の最大のテーマだろう。

 この質問に対して健康福祉部長は、「今回の補助金執行に関わる再調査はまず、二重に計上されている経費の有無の確認、次に補助対象外経費の混在の有無の確認といった手順で進めたこと」、「二重に計上されている経費を推定し、額を特定したこと」、「補助対象外経費については、領収書の内容や金閣を精査し、対象外とすべき経費を算出したこと」などを説明した上で、山川に対するヒアリングの状況について次のように説明した。

健康福祉部長  ……第2回目(筆者注=のヒアリング)には二重に計上されている項目の額を中心に聴取をいたしました。ヒアリングの過程で、旧会計担当者(筆者注=山川)は、……補助対象経費に二重に計上されている項目があることを認めております。また、経費については私的に用いたことはなく、会の活動において必要な経費であったとも述べております。

 朝木はすかさず「それで市の見解はどうなんですか」と質した。これに対して健康福祉部長は、「寿会の会計全体の部分については特に指摘せず、補助金の執行に関して不適切(本来の補助対象項目でないもの)、上回って補助を受けているものについて返還を求める方針」であると述べた。多摩湖寿会は市からの補助金と会員の会費で運営されているので、市はあくまで補助金の部分について不適切と判断できる部分について返還を求めるということだった。これが再調査の結果をふまえた市の結論ということと理解できた。

 するとこれに対して朝木はさらに、険しい口調で次のように追及した。

朝木  私が聞いているのは、……架空の、実際には支出されてない領収書がいっぱい貼ってあるでしょ。それから領収書とレシートを両方もらって、あたかも別の経費みたいにして計上してるでしょ。それから領収書じゃなくてメモだけ、会長にいくらいくら渡しましたっていう、会長が受け取ってないものも入っている、そういう実際には支出していない領収書を貼って会計帳簿を作れば、当然、お金が浮くじゃないですか。そのお金はどうしたというふうに聞いてるんですか。当たり前の話でしょ、聞かなかったんですか。

 朝木は山川が二重計上や補助対象外経費を補助対象経費として計上していたこと以外に、「実際には支出もされていない架空の経費を計上していた」と主張しているのだった。健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  ……私的流用はなかったというふうに……ヒアリングをしております。で、実際に年度末に領収書の提出がないサークルがあり、他のサークルの領収書を添付したり、実績報告書の提出期限に間に合わせようとしたと、その後適切な領収書への差し替えや実績報告書の訂正などの対応ができなかったために、結果として二重に計上された経費として残ってしまったというようなことを、ヒアリングの中で経過説明を受けております。実績報告で虚偽の申告をしようとしたといった意思はその際に確認はできていないということです。

 所管としては、朝木が主張しているような、「山川が多摩湖寿会の金を横領した」とは認定していないということと理解できた。しかし朝木はさらにボルテージを高めながら、具体例を挙げて追及を続けた。

(つづく)
TOP
多摩湖寿会事件 第9回
原本ではなくコピーを提出

 平成28年12月議会の一般質問で朝木が次に聞いたのは、同年9月議会で健康福祉部長が多摩湖寿会の会計問題を「再調査する」と答弁したことに対し、どのような調査をしたのかという点だった。健康福祉部長の答弁によれば、その後の「再調査」の経過は以下のとおりである。



(「再調査」の経過=健康福祉部長による)

平成28年9月30日……市老連より多摩湖寿会に対し、文書で、平成24年度から平成27年度の会計帳簿類の提出を依頼。
10月7日……多摩湖寿会が会計帳簿類を提出。ただし、これらは原本ではなくすべてコピーだった。
10月31日……市老連と社協が、現役員(寿会会長ら)および旧役員(山川および寿会前会長)に対するヒアリングを実施。市は寿会会長に対して、過去の会計に不適切な項目があると認識するのであれば、実績の修正報告をするように指示。提出の締め切りを同年11月7日とした。
11月7日……寿会会長より市老連に対し、「補助金実績報告等の再提出は行わない」との連絡。
11月8日……市老連、社協が、会計状況の確認作業の過程で二重に計上されている経費と推測された項目について旧会計(山川)から再度ヒアリングを実施。
11月10日……寿会会長が市老連に対し、修正報告を行わない理由を示した書面と、会員の証言等の資料を提出。



 上記の経過の中で寿会会長が行った対応の中で、通常では考えにくいと思われる対応が2つあった。1つは、市老連が会計帳簿類の提出を依頼したのに対して寿会会長が提出したのが原本ではなくコピーだったこと。もう1点は、寿会会長が「過去の会計に不適切な項目がある」と指摘したため、市が実績の修正報告をするよう指示したのに対して、寿会会長が「修正報告はしない」と回答したことである。

 この「再調査」は9月議会における朝木の質問がきっかけで行われることにとなったものである。朝木は寿会会長から入手した会計帳簿類の資料と寿会会長からのものと思われる情報に基づいて質問したことが明らかだった。朝木の一般質問での主張は、すべてではないにしてもおおむね寿会会長の考えと一致しているものと推測できた。この「再調査」にしても、朝木と同様に、寿会会長も望んでいたのではあるまいか。

「再調査」にあたり、市が寿会会長に対して会計帳簿の提出を依頼したのは当然である。会計帳簿を再調査しなければ「再調査」とはならない。「再調査」の結果、市がいかなる結論を出すにせよ、会計帳簿はその根拠となる最も重要な書類である。その重要な書類を、寿会会長が提出したのが原本ではなく、なぜコピーだったのか、その点がまず不可解だった。

 寿会会長が提出した会計帳簿がコピーだからといってただちに真正性に疑義が生じるといっているのではない。しかし、市が原本の提出を求めたにもかかわらず、寿会会長はなぜコピーしか提出しなかったのだろうか。

修正報告の提出を拒否

 もう1つの、市が実績の修正報告をするよう指示したが、寿会会長が「修正報告はしない」と回答したことについては、朝木が次のような質問をして、市が寿会会長に対して修正報告をするよう指示したことを批判している。

朝木  ……(筆者注=寿会会長に修正報告を)再提出を求める理由として、「ヒアリングにおいて二重計上等の不適切な会計処理がなされていることが聴取できたため」とあるんですよ。……調査の結果、その提出した側(筆者注=寿会会長)に再提出を求めるんであれば、こことここと、この部分が不適正、二重計上であるので、……修正の再提出をしてくださいというのが通常のやり方ではないですか。……これでは再提出をしろといっても、どの部分が不適切であったのかが何も示されていないので、これでは出しようがないという(筆者注=寿会会長の)話だったんですよ。

「市はすでに調査した結果として再提出を求めているのだから、修正箇所を指摘すべきだが、それを指摘しないので提出できない」というのが寿会会長の主張だという。それが事実だとすれば、そのように市側に伝えればいいと思うが、健康福祉部長の経過説明の中には、寿会会長から「補助金実績報告等の再提出は行わない」との連絡があったとあるのみで、寿会会長からなんらかの相談があったとの報告はない。少なくとも、寿会会長が市に対して補助金実績報告等の再提出をしない理由について、健康福祉部長が答弁した内容と、寿会会長の話として朝木が主張した内容には齟齬があるように思える。

 その事実関係はともかく、朝木の上記質問に対して健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  ……現役員さんから過去の会計処理についてご相談をいただき、一定、現役員さんのサイドで会計処理について不適切な部分があるということで項目を挙げてのご指摘をいただいております。それにつきまして、すべての書類を提出いただいた中で、事務局として確認作業をしていただき、実際に補助対象として不適切と思われるものが発見をされるという中で、再度ご提出をいただく中で返還額の確定をさせていただければというのが事務局の考え方でございます。ただし、……裏付けの足りない部分等に関して完全に整合が取りきれない部分があったので、逆に再度提出していただくことで、そのへんの確定作業ができればというふうに考えていたわけですが、……結果として、(筆者注=お出しいただいた会計帳簿類のコピーに基づき)今回の最終的な判断をさせていただいたところです。

 所管としては、寿会から再度修正報告を出してもらって、返還額の確定をしようとしていたということで、所管の対応がそれほどおかしいとは思えない。所管は寿会会長が「補助金実績報告等の再提出は行わない」という回答をしてきたため、所管の側で返還額の「最終的な判断をした」ということのようだった。この対応もまた、特段不自然なものであるとは思えない。

 健康福祉部長の答弁からは、寿会会長が「補助金実績報告等の再提出は行わない」と回答したのに対して所管が具体的にどのような対応、あるいは提案をしたのかはわからない。しかし、寿会会長の側で市側の方針に歩み寄る意思があれば、あえて再提出を拒むほどの理由が市側にあったとは思えなかった。むしろ、寿会会長が市側の指示に従って補助金実績報告等を再提出すれば、ことはよりスムーズに運んだのではないかという気がしてならなかった。

(つづく)
TOP