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著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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宝島裁判判決
 別冊宝島の記事によって名誉を傷つけられたとして警視庁東村山警察署元副署長千葉英司氏がジャーナリストの乙骨正生氏らを提訴していた裁判で、東京高裁は平成19年10月18日、千葉氏の控訴を棄却する判決を言い渡した。

 問題となったのは、平成18年8月1日に宝島社が発行した「別冊宝島 日本『怪死』事件史」の中の乙骨氏が執筆した「東村山女性市議『自殺』事件 鑑定書は何を語るのか 自殺と最終判断された人気市議“転落死”事件の闇」と題する記事。

 故朝木明代の転落事件については平成7年12月22日、警視庁東村山署が「犯罪性はない」として捜査を終結、平成9年4月には東京地検が「自殺の疑いが濃い」とする結論を発表しており、また多くの民事裁判において「他殺」を主張していた故朝木の同僚市議、矢野穂積氏、故朝木氏の長女、朝木直子氏らの訴えはすべて排斥されている。すなわち、故朝木氏の転落死事件は「自殺」というのが刑事・民事ともに共通する結論となっている。

 ところが同記事は、まずリードで、

〈世紀末の宗教の狂気を象徴するオウム真理教事件が明らかとなったのは1995年のことだった。その95年、オウム真理教事件とは次元を全く異にするとはいえ、日本における宗教と政治の関係、あるいは宗教と警察や検察との不可解な関係を浮き彫りにしたもう一つの怪死事件があった。〉

 として、おりしも95年当時日本社会を震撼させたオウム真理教による坂本弁護士一家殺害事件と松本サリン事件を東村山市議・朝木明代の転落死事件とオーバーラップさせ、朝木市議の死があたかも宗教がらみの殺人事件であるかのように、また「宗教と政治の関係、あるいは宗教と警察や検察との不可解な関係を浮き彫りにした」と断定して、あたかも特定宗教団体と捜査機関との間に「不可解な」関係があるかのように読者を導いた上で、事件を捜査した東村山署や東京地検が特定宗教団体の意向を汲んで「他殺」の証拠を隠匿して自殺扱いしたかのように記載していた。

 千葉氏は記事中に「特定宗教団体の政治的影響下にあって公平な捜査機関としての能力を失った」東村山署の捜査責任者として登場しており、千葉氏は裁判で、記事は「千葉がそのような東村山署の一員であるのみならず、本件事件の捜査指揮官として、あるいは広報担当の副署長として事実の隠蔽に積極的に加担した」かのような印象を与え、社会的評価を著しく低下させられたと主張していた。

 一方、被告である宝島社及び乙骨氏は、「記事は東京地検と警視庁の捜査に対する疑問を呈したものにすぎず、原告に対する名誉毀損表現はない」と主張、真実性・相当性についてはいっさい主張しなかった。

 これに対して一審の東京地裁は、提訴からわずか約半年後の平成19年6月8日、「本件記事は、朝木市議の転落死に関する東村山署の捜査について、一定の証拠に基づき疑問を呈したものに過ぎず、人心攻撃に及ぶなど、論評としての域を逸脱したものではない」「原告に対する名誉毀損には該当しない」などとして千葉氏の請求を棄却していた。

 東京高裁もまた千葉氏の請求に対する判断(千葉氏に対する名誉毀損があったか否か)としては一審の判断を追認するものとなった。しかし、東京高裁は記事の本質とその意図について次のように指摘した。

〈本件記事は、全体の構成及び文脈から判断すると、本件転落死事件について控訴人が東村山署の副署長としての立場で公表した「事件性が薄い」との捜査上の見解を紹介した上で、その見解について遺族や関係者から重大な疑問が投げ掛けられ、疑惑が強まっていたにもかかわらず、東村山署や東京地検が「不可解な」対応に終始し、結局、「自殺の疑いが強く、他殺の確証は得られなかった。」として捜査を終結させたとして、その捜査姿勢を批判した記事であると解されるが、他方で、本件記事が、本件雑誌の「日本『怪死』事件史」特集(「真相を闇に葬ったのは誰だ!」とのサブタイトル)において、その闇に葬られた事件の一つを紹介するものとして執筆されていること、本件記事の冒頭に「東村山女性市議「自殺」事件(1995年)」、「『鑑定書』は何を語るのか 自殺と最終判断された人気市議“転落死”事件の闇」との大見出しが付されていること、本文の中でも、「公明党タブーと市議の関係」、「宗教法人法改正問題」及び「密会ビデオ」といった中見出しの下、本件転落死事件と政治との関係を暗示するかのような段落を独立に設けていること、その結びの文章において「世紀末における宗教と政治、そして宗教と警察や検察の不可解な関係を炙り出した朝木市議の転落死事件。その背景は実に複雑怪奇である。」と記述していることを総合すると、本件記事は、その全体的な印象としては、一般読者に対し、宗教と警察や検察との間に不可解な関係が存在し、そのために、本件転落死事件において特定の宗教団体に配慮した不正捜査が行われたのではないかとの疑念を抱かせかねない内容の記事であると言わざるを得ない。〉

 乙骨氏の記事について東京高裁が「本件転落死事件において特定の宗教団体に配慮した不正捜査が行われたのではないかとの疑念を抱かせかねない内容の記事である」と指摘したことの意味は小さくない。

千葉英司氏の話
多くの民事裁判ですでに結論が出ているにもかかわらず、客観的判断の及ばない法廷外で、いまだに疑惑記事を繰り返す乙骨氏の姿勢には強い怒りを覚える。彼には、疑惑報道の陰でいったい何人の市民が傷ついたか想像もできないのだろう。その意味で、証拠を意図的にねじ曲げて事実に反する疑惑を蒸し返そうとする乙骨氏の手法に対して裁判所が厳しい姿勢を示したことは評価できるものと考えている。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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インターネット「東村山市民新聞」裁判判決
矢野穂積・朝木直子両市議に30万円の支払いを命令

 警視庁東村山警察署元副署長、千葉英司氏がインターネットホームページの記事により名誉を毀損されたとして東村山市議、矢野穂積氏と朝木直子氏(いずれも「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判で平成20年3月26日、東京地裁八王子支部(木下秀樹裁判長)は千葉氏の主張を認め、矢野・朝木両市議に対し連帯して30万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 問題となったのは、矢野市議が発行人、朝木市議が編集人を務めるインターネット「東村山市民新聞」が平成19年5月12日、〈事件でも不審な動き!公明・木村芳彦前市議が死亡〉と題して掲示した①〈「万引き冤罪事件」でも不審な動きをした人物!(「週刊ポスト」95年8月4日号から)〉と②〈矢野議員を襲った人物の親も創価信者で、自分も信者に登録されていた!〉とする2本の記事。

 千葉氏は裁判で、記事①について、

「本件記事は、創価学会員で、公明党所属の亡木村芳彦市議が万引き冤罪事件に関与し、原告がその木村市議と深い関係にあったと記述することにより、一般読者に対し、原告(千葉氏)が万引き冤罪事件に関与したのではないかとの疑念を抱かせるものである。そして、万引き事件の送致を1日早くした旨記述して、原告が創価学会に肩入れして不正な捜査をしたと示唆している」

 などと主張し、記事②については、

「創価学会員が犯人であるという被告矢野に対する暴行事件について、『捜査の責任者である千葉英司副署長の下で、この事件を一切捜査しなかった。』と記述し、この記事を読んで、その旨理解した一般読者に対し、『創価学会員が犯人であることが明らかな被告矢野に対する暴行事件について、原告が創価学会に肩入れして捜査をしなかった。』と印象づけている」

 などと主張。一方、矢野市議と朝木市議は、

「本件記事は、組織体としての当時の東村山署の捜査及び広報のあり方について朝木市議の遺族及び同僚議員の立場から疑問があるとの批判を記述したものに過ぎず、公正な論評である」

 などと主張していた。

記事の真実性・相当性をことごとく否定

 これに対して東京地裁八王子支部は判決で、記事①②について、

〈(本件記事は)「公明党の議員が冤罪である朝木市議の万引き事件を送検するようにと東村山署に圧力をかける際、副署長である原告がその手引きをし、その後、被告矢野が創価学会員に襲われた事件で、同被告が犯人を警察に突き出したにもかかわらず、同事件の捜査の責任者の原告の下に、創価学会に肩入れして一切捜査しようとしなかった。」という事実を主張するものと理解することができ、事実を摘示したものと認められる。〉

〈(引用された)週刊ポスト記事についても、被告らは、単にこれが存在していることを紹介するにとどまらず、原告と深い関係にある木村市議が朝木市議の万引き冤罪事件でも不審な動きをしたという自己の主張を裏付け、具体化する手段として、同記事が真実であるかのように指摘して引用しているのであるから、その内容も含めて、被告らが本件記事により事実を摘示したとみられるのである。〉

 として千葉氏に対する名誉毀損を認定。その上で、本件記事で摘示された重要な部分について検討している。

①「被告矢野が創価学会の信者に襲われ、その犯人を東村山署に突き出したが、東村山署は捜査責任者の原告の下で事件を一切捜査しなかった」とする矢野市議らに主張については、

〈(矢野市議が)犯人であるという○○が当時創価学会の信者であったとは認め難く、その他にこれを認めるに足りる証拠はない。〉

〈東村山署では、何回か○○の取調べをしたこと、当時○○が働いていた○○の社長からも……事情聴取したことが認められる。〉

〈被告らの主張する事実を根拠づけるような証拠は見当たらない。〉

②「朝木市議の万引き事件は冤罪事件である」との矢野市議らの主張については、

〈朝木市議の万引き事件が冤罪であることを認めるに足りる証拠はない。〉

③「朝木市議が送検された日に、原告と深い関係にあった公明党の市議が原告に招き入れられて東村山署の署長室に入った」との矢野市議らの主張については、

〈木村市議が原告と深い関係にあったことや原告が署長室に木村市議を招き入れたことを認めるに足りる証拠は見当たらない。〉

 東京地裁はこう述べて、いずれも本件記事の真実性・相当性を否定した。

記事の公益性も否定

 また記事の公益性についても、

〈被告矢野に対する暴行事件については、事件の捜査をしなかったのは「当時の東村山署」であるとしている。しかし、その責任者として、同署の署長ではなく、副署長の原告を名指ししており、朝木市議の万引き事件における記述と相まって、同事件においても、被告矢野に対する暴行事件においても、原告が創価学会に肩入れした不正な捜査をしたと指摘するものであり、全体を通して読めば、単なる東村山署の捜査方法に対する批判、論評を超え、原告個人の関与を論難する内容であると認められる。〉

〈平成7年5月から平成13年2月にかけて、被告矢野ないし被告朝木が編集長として発行された紙版の東村山市民新聞において、原告を誹謗する記事が掲載されて、原告個人に対する非難が繰り返されていたことをも勘案すると、本件記事の掲載が専ら公益を図る目的であったといい難いものである。〉

 として、記事は千葉氏個人を誹謗する目的で掲示されたものと認定、矢野・朝木両市議の主張を退けた。真実性・相当性のみならず、社会的にも話題になった公人に関わる事件の記事について公益性までが否定されることは異例である。

千葉英司氏の話
本件記事は、故人の訃報にかこつけ、故人が反論できないことにつけ込んで13年前のデマを蒸し返した悪質なもので、人の死をも自己宣伝に利用する矢野・朝木の特異性を示している。この判決によって、矢野・朝木によるデマの被害者の1人である故木村芳彦氏の無念さを少しは晴らせたのではないかと思う。

(宇留嶋瑞郎)

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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佐藤市議当選無効申立事件最高裁判決
 平成19年4月22日執行された東村山市議選をめぐり、東村山市議、矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が、同市議選で当選した佐藤真和市議の当選が無効であるとして東京都選挙管理委員会を提訴していた裁判で最高裁は、平成20年12月8日、矢野と朝木の請求を棄却した東京高裁判決を支持し、矢野らの上告を受理しない決定を言い渡した。これにより佐藤の当選の適法性を認めた東京高裁判決が確定した。

 裁判で矢野と朝木は、「佐藤は住民票上、平成15年1月17日に日野市から東村山市に転入していることになっているが、東村山での生活実体はなく、本件選挙における被選挙権を有しない」(要旨)などと主張。矢野と朝木は本件選挙約半年前の平成18年9月ころから同年12月ころにかけて、「佐藤の生活の本拠は日野にある」とのきわめて独断的な判断に基づき、調査と称して知り合いの者を日野市の佐藤の妻子が住むマンションに張り込ませ、また朝木自身がレンタカーを借りまた同マンション近くの駐車場を借りるなどして執拗な追跡を続け、マンションのドア付近やベランダに干した洗濯物を撮影し、その写真を証拠として提出するなどした。この結果、佐藤のみならず佐藤の妻子の平穏な生活まで脅かした。

 矢野と朝木の主張に対し東京高裁(石川善則裁判長)は判決で、

〈佐藤の生活の本拠たる住所は平成15年1月17日ころ以降一貫して東村山市内にあると認めることができるから、同年19日の佐藤の選挙人名簿への登録が違法である旨の原告らの主張は、その前提を欠いているというべきである。〉

〈佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同質に生活の本拠を有していたものというべきである。〉

〈佐藤が○○(日野市内の妻子が住むマンション)を生活の本拠としていたと認めることはできないというべきである。〉

 などと述べて矢野らの請求を棄却していた。

議席譲渡事件のケースとはまったく別物

「住所の実体」をめぐる当選無効訴訟としては、平成7年4月に執行された東村山市議選で、当選した朝木直子が落選した矢野穂積を繰り上げ当選させることを目的として千葉県松戸市に住民票を移動した、有名な議席譲渡事件が思い出されよう。矢野と朝木のケースでは、民主主義を愚弄する行為であるとして東村山市民(「草の根」グループの議席の私物化を許さない会)が松戸における朝木の生活実体を調べ始めるや、朝木はわずか1カ月の間に最初の移転先を含めて3カ所を転々とした。最初の移転先には別の家族がすでに居住しており、2回目の移転先は千葉県浦安市の差し押さえ物件で、いずれも朝木が生活するにはあまり適切な住所とは思えなかった。

 今回の佐藤に対する執拗な「調査活動」について朝木は、知り合いに対して、

「私が昔やられたことをやり返しているのよ」

 といったと聞く。市民の当然の批判や生活実体のない住民登録(公正証書原本不実記載)についてなんらの反省もないどころか、「やり返す」などとはとうてい公人の言葉とも思えない。まして佐藤は平成7年当時は東村山市民ではなく、議席譲渡事件の追及にはなんらの関わりも持っていない。

 にもかかわらずなぜ「やり返す」ということになるのか理解に苦しむが、はっきりしているのは、佐藤の転入は矢野・朝木の議席譲渡事件の持つ身勝手さとその計画性、悪質性、反社会性とはまったく無縁の話だということである。その証拠には、今回の判決と異なり議席譲渡事件では、東京都選管は矢野の繰り上げ当選を認めたものの、平成9年8月25日、最高裁は矢野の繰り上げ当選を無効とする逆転判決を言い渡し、矢野の東村山市議の地位は剥奪されている。

 さて、矢野と朝木は佐藤の当選に異議を申し立てる一方で、市議選前から政治宣伝ビラやインターネット、矢野と朝木が実質的に運営する多摩レイクサイドFMなど彼らの自己宣伝メディアを総動員し、佐藤に対して「越境通勤市議」「公選法違反」「詐欺登録罪」などとする宣伝を続けてきた。佐藤は平成20年6月4日、これらの宣伝によって名誉を毀損されたとして矢野と朝木を提訴している。裁判はまだ始まったばかりだが、佐藤の当選の適法性を認定した今回の最高裁判決が、被告である矢野・朝木にとって少なくともプラスに働くことはないとみるべきではあるまいか。

(宇留嶋瑞郎)

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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第2次落書き裁判第5回口頭弁論
 警視庁東村山警察署千葉英司元副署長がブログの記事によって名誉を毀損されたなどとして千葉県の行政書士を提訴していた裁判は平成21年11月9日、東京地裁立川支部で第5回口頭弁論が開かれた。傍聴席には行政書士を支援する「行動する保守」Aら支援者7名のほか、「行動する保守」らの動向に興味を持っているらしい6名の男女が最後に入廷した。

 千葉は訴状で、

〈(記事は)「原告も創価学会員である」かのような、また「万引き捏造事件をでっち上げた洋品店や謀殺を自殺として処理した検事らと利害をともにしている」かのように印象付け、原告があたかも「万引き捏造」に関与したかのような印象を与え〉

〈被告は万引き被害現場の洋品店前による原告の写真を原告に無断で掲載し、原告の顔部分に「ウソ 万引」、右胸部分に「チバー」との文字を書き込んだ。〉

〈(これらの記載および書き込みは)「原告が、創価学会員がデッチあげた万引き捏造事件に関与した」との虚偽の事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下(させた)〉

 と主張し、また千葉の写真を掲載したことなどが原告の肖像権を侵害したと主張している。

 この裁判はこの日で5回目の口頭弁論を迎えたが、記事について被告の行政書士は「本件ブログの記述が、事実を摘示したものか又は意見、論評の表明であるのか判然としないから、真実性・相当性の主張、立証をすることができない」などとして求釈明を繰り返した。真実性・相当性に関して行政書士は9月28日行われた第3回口頭弁論で朝木明代関連裁判の判決書を証拠として提出したものの、もちろん裁判で千葉が「万引事件を捏造した」などと認定した判決は存在しない。

 また写真について行政書士は「第三者が撮影し、公開されていたもの」で「千葉は先に公開した写真について異議を申し立てていないから黙示的に公表を承諾している」などとし、したがって被告には責任がないなどと主張している。

「12月は多忙を極める」と行政書士

 さて11月9日開かれた第5回口頭弁論で、裁判長は「本件では記事に現れたものが争点になる」と双方に述べた上、行政書士に対し次回口頭弁論までに本件記事掲載に至る事情等についての陳述書を提出するよう求めた。行政書士が前回提出した証拠申出(証人として万引き被害者および千葉に対する尋問)および千葉が申し立てた行政書士に対する尋問の申請についてはいっさい触れなかった。尋問は必要ないと判断したものとみられる。その上で裁判長は「次回結審するかもしれません」と述べ、行政書士に対して「陳述書は弁論期日の1週間前には提出してくださいね」と念を押した。

 あとは次回期日を決めて終了となるところだが、期日が簡単に決まらなかった。裁判長が12月はどうかと検討を始めると、行政書士が手帳をめくりながら「12月は多忙を極めていているので、来年にしてほしい」と訴えたのである。

 裁判所は係属部によって開廷曜日が決まっており、この裁判の開廷日は月曜日と決まっている。行政書士によると、なんでも「自治体の行政協力をやっておりまして、12月は毎週月曜日が行政協力の日になっておりますので、無理です」という。開廷曜日と行政協力の日がぴったり重なっている、これは12月はちょっと無理かなと思っていると、裁判長が口を開いた。

裁判長  それは終日無理ということですか。午前とか午後とか……。

行政書士  はい、ちょっと無理です。

裁判長  でも、あなたが訴えられた裁判なんですから……。

行政書士  ……。

 こんなやりとりがあったが、裁判長の年内結審の方針は固かったらしい。裁判長は書記官と相談した上、開廷曜日を金曜日に変更したのである。裁判長が12月18日10時45分と指定すると、行政書士は了承した。したがって、12月10日前後には陳述書が提出されるものとみられる。

市職員の説明と食い違い

 余談だが、私はあることで千葉県行政書士会に問い合わせをしたついでに、行政協力なるものの実情について聞いてみた。すると、行政書士会による法律相談などの行政協力なるものが実際に存在することがわかった。事務局長によれば、行政協力は各地の行政書士会単位で行っているという。千葉市なら千葉市に事務所を開設している行政書士が行政協力にあたるという。疑ったわけではないが、行政書士のいうとおりである。

 そこでこの行政書士が事務所を開いている浦安市に、行政協力がいつ行われているのか、また12月は月曜日に行われているのか聞いてみた。すると担当者は、「特に12月ということではありません」と私の聞いた話とは異なる説明を始めた。浦安市では、法律相談は年間を通じて水曜日と金曜日に行っているというのである。担当者に紹介された同市のホームページを確認すると、その説明に誤りはなかった。さらに「行政相談」という日もあるが、それは火曜日と木曜日で、月曜日には何の相談も予定されていないこともわかった。

 浦安市をみるかぎり、行政書士が法廷でいった「12月は月曜日がすべて埋まっている」という話とは食い違うようである。ただ、右翼の行政書士はどこの市での行政協力とはいっていないから、実在するどこか別の自治体の話ということなのだろう。最終的に12月中に期日が指定されていることでもあり、行政書士が相談を担当している自治体がどこかまでは詮索の必要はあるまい。

 はたして行政書士は12月18日の口頭弁論を前にいかなる陳述書を提出するのか。とりわけ、千葉の写真に「ウソ 万引」などと書き込んだ理由を知りたいものである。その内容だけでなく、行政書士が懇意にしている東村山市議の矢野穂積の文体と酷似しているかどうかもきわめて興味深い。

(宇留嶋瑞郎)

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第2次落書き裁判第6回口頭弁論
 千葉英司元東村山警察署副署長がブログの記事および写真を無断掲載されたことなどによって名誉を毀損され、肖像権を侵害されたとして千葉県浦安市の行政書士黒田大輔を提訴していた裁判は平成21年12月18日、和解が成立した。和解調書に記載された和解条項は以下のとおりである。



和解条項

1 被告は、原告に対し、被告が開設するインターネットブログ「日本を護る市民の会のブログ(仮)」の平成20年(2008年)9月5日付け記事中の原告の写真に不適切な記載をしたことについて、遺憾の意を表する。

2 被告は、前項のブログの原告の写真及び同写真の説明書(せつめいがき)6行分(「13年前の」から「おかしくない?」まで)を、平成21年12月25日限り、削除する。

3 原告と被告は、今後、お互いに誹謗中傷しないことを誓約する。

4 原告はその余の請求を放棄する。

5 原告と被告は、原告と被告との間には、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。

6 訴訟費用は各自の負担とする。



 なおこの和解は、書類上は12月18日に成立しているが、実際には黒田が和解条項に定めた削除を実行したのちに和解調書が作成されることになっていた。千葉に対して和解調書が送達されたのは12月23日で、消印は12月22日である。一方、記事および写真の削除に同意した黒田は12月23日午後になってもまだ削除義務を果たしていなかったが、夕方になって当該箇所の削除が実行されたことが確認されている。

 この経過をみると、裁判所が当該箇所の削除を確認しないうちに和解調書を作成することはあり得ないから、裁判所は22日に黒田に対して23日中に削除を実行するよう要請し、確約を取り付けた上で和解調書を作成し、千葉に送達したものとみられる。仮に黒田が18日に同意した削除を25日までに実行しなければ和解は不成立となり、判決となった可能性もないとはいえない。

 いずれにしても、黒田が当該箇所を期限よりも早く削除したことはさすがに法律家らしい賢明な判断である。和解協議当日に削除していればもっとよかったが、和解協議から6日間放置したのは法律家としてのプライドが関係していたのだろうと推測する。1日も早く削除することが彼自身の社会的信用を回復させることにもなる、ということにまでは考えが及ばなかったらしい。黒田を「若手のリーダー」として高く評価している「行動する保守」Aは先輩として何かアドバイスをしてやらなかったのだろうか。

和解成立直後にお礼参り

 さて、「チバー」「ウソ」などと落書きをした写真とともに黒田が削除した「説明書」とは以下の記述である。

〈13年前の「万引き捏造事件」の捜査指揮を取った当時の東村山署の千葉副署長が○○(洋品店)前へお出まし。彼ら(創価)にとって非常事態であることの表れだろう。瀬戸さんのブログから拝借した千葉さま♡ なんで、店の人間でもないのに西村さん達を排除したのか? 既に退職してるなら公権力の行使はできないぞ? おかしくない?〉

 和解協議では当初、削除対象は落書き付きの写真のみだったが、千葉が「万引き捏造事件は存在しない」などと主張して削除を要求。裁判所も千葉の主張を認容し、最終的に黒田も削除を受け入れた。

 削除の経過をみると、黒田が裁判官の勧告に納得したのかどうかは定かではない。むしろ12月18日午後、和解成立の直後に仲間を引き連れて洋品店に行ったところをみると、和解内容に不満を持っていたらしいことがうかがえる。千葉では相手が悪いから、指南役である矢野穂積のいう「弱いところ」を攻めようとしたようにもみえる。

 問題箇所がブログから消えてなくなったことは、実は彼自身のためでもある。そのことに気がつけという方が無理な注文なのだろうか。

(了)

(宇留嶋瑞郎)
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佐藤ブログ事件第2回口頭弁論
 東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)がブログのコメント欄に投稿されたコメントによって名誉を毀損されたとして同市議の佐藤真和を提訴していた裁判の第2回口頭弁論が平成22年1月25日午後1時10分、東京地裁立川支部で開かれた。

 この日、原告の矢野と朝木はめずらしく開廷20分も前に裁判所に姿を見せたという。なお、矢野・朝木と親密な関係にある「行動する保守」一行の姿は傍聴席には1人もみかけなかった。

 冒頭、裁判官は、本件を通常の不法行為(原告らが問題とする表現が原告らの名誉を毀損するものであるか否か)として考えるのか、プロバイダ責任法と関係する部分があるものと考えるのか、原告・被告双方に対して意見を求めた。

 これに対して原告側は、本件はプロバイダ責任法とは関係ないものと考える旨回答。一方、被告側もプロバイダ責任法は直接は関係がないと考えるとしたが、部分的に援用する可能性について含みを持たせた。

 一連のやり取りを聞いた範囲では、裁判官としては、ブログの投稿コメントを被告自身の記事と同次元のものと扱うことには若干躊躇する部分があると考えているようにも感じられた。この日の弁論はこれで終了し、裁判官は2月末までに本件記事(投稿コメント)の性質および弁論の方向性について双方の主張を提出するよう求めた。

 またこの日、原告らが従来の請求原因のほかに「サイコパス」の文言を含むコメントの削除請求を追加したことが明らかになった。被告側は次回までに、新たな請求原因に対する対応および答弁も行うとした。

 余談だが、本件の裁判官の顔には見覚えがあった。東村山市議の薄井政美がビラやインターネットで「セクハラ市議」などと書かれたことによって名誉を毀損されたとして本件の原告である矢野と朝木を提訴していた事件の裁判官である。

 裁判官は本件の次回口頭弁論を弁論準備手続にするとし、期日は3月8日午後2時と指定したが、その日が薄井裁判の判決言い渡し期日(午後1時10分)であることを思い出したようである。裁判官は原告の矢野と朝木の方を見ながらこういった。

「3月8日はその前に判決もありますねえ。1時10分の判決が気に食わないからといわれても困りますから、弁論準備は切り離してお願いします」

(宇留嶋瑞郎)

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「越境通勤市議」事件 第1回
当選の適法性を認めた判決

 東京・東村山市議会議員の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が平成18年9月以降、「越境通勤市議」「公選法違反」などとする宣伝を繰り返したことによって名誉を毀損されたとして同市議の佐藤真和が提訴していた裁判で、東京地裁立川支部は平成23年1月24日、矢野らの主張に真実性は認められないものの当時、彼らがそう信じたことについては相当の理由があったなどとして佐藤の請求を棄却する判決を言い渡した。

 要するに、佐藤を「越境通勤市議」「公選法違反」などと呼んで批判した矢野らの主張に真実性はなく違法だが、彼らがそう信じたことには理由があったと認められるから違法性は阻却される(=したがって損害賠償を命じることはできない)――ということである。「生活の本拠は一貫して東村山にあり、『越境通勤市議』『公選法違反』などといわれる理由はない」と主張してきた佐藤にとって、損害賠償請求は認容されなかったものの、「佐藤の立候補に違法性はない」と裁判所が認定、判断した点においてきわめて重要な意味があると評価できよう。

 この判決に対して矢野は平成23年1月31日、ウェブサイト『東村山市民新聞』において次のような記事を掲載した。



「越境通勤市議」訴訟で、佐藤まさたか市議(東村山)が敗訴!

 佐藤市議が、自分のことを「越境通勤市議」「公選法違反の疑いがある」と記述した東村山市民新聞等が名誉毀損に当たるとして、矢野、朝木両議員等を提訴していた裁判で、1月24日、東京地裁立川支部は、名誉毀損(不法行為)は成立しないとして、佐藤市議の請求を棄却、佐藤市議敗訴の判決を言い渡した。



 佐藤の請求が棄却されたことを伝えるのみで、たんに損害賠償の支払いを免れただけの判決の具体的内容についてはいっさい触れないところに矢野、朝木の落胆ぶりがうかがえた。今回の判決は「佐藤の立候補及び当選の適法性」を裁判所が認めたものにほかならず、4年以上にわたり「佐藤に市議の資格はない」と宣伝してきた矢野と朝木にしてみれば、相当性を認められたところで、結局は彼らの主張が否定された判決であることをよく理解しているのだろう。

 しかも今回の判決は、客観的事実に基づく論評をめぐる判断であり、矢野と朝木が佐藤を批判した時点での相当性を認めたものにすぎず、ある時点以降の相当性については成立しないことを間接的に説示するものである。したがって、彼らが今後あるいはある時点以降に類似宣伝を行った場合には相当性も否定される可能性がある。判決の実質的内容を明示しないことが彼らの精一杯の宣伝だったのだろう。

日野でもまかれたビラ

 佐藤は平成15年1月17日、職務上の必要などによって東京都日野市から東村山市に転入し、同年4月27日に執行された東村山市議選に立候補、当選して東村山市議となった。矢野と朝木が政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」やウェブ版「東村山市民新聞」、矢野が実質的に運営する多摩レイクサイドFMを駆使して、佐藤に対する「越境通勤市議」「公選法違反」「詐欺登録罪の疑惑」などのネガティブキャンペーンを開始したのは、佐藤が当選してから3年半、次期市議選まで約半年という時期である。

 当時、配下の石田敏雄が日野に張り込んで佐藤の家族の洗濯物を撮影するなどし、また朝木はわざわざレンタカーを借り、近くの駐車場と賃貸契約までして張り込み、あるいは東村山の佐藤の自宅を毎日のように見回っていた。ちょうどそのころ佐藤は日野に住む家族がケガをしたため東村山から頻繁に通わねばならない状況にあり、張り込み中の石田や朝木と出くわしたことがあった。

 その時期を境に矢野と朝木は「立候補の時点から現在まで、佐藤の生活の本拠は東村山にはない」とするキャンペーンを始めたのである。彼らは通常の「東村山市民新聞」だけでなくB6版のビラもまいた。



前代未聞の「越境通勤市議」!! 佐藤市議、日野市内で生活
公選法違反・詐欺登録罪の疑惑(B6版)

公選法違反・詐欺登録罪/前代未聞の「越境通勤市議」!
動かぬ証拠だ! 本人が、ゴミ出し 日野のファミリーマンションで(B6版)

前代未聞の「出稼ぎ」市議、今や、こそこそ逃げ隠れの往復
佐藤真和市議家族と日野で生活!(通常版)



 B6版のビラは東村山だけでなく佐藤の家族が住むマンション周辺でもまかれているのが確認されている。矢野と朝木が佐藤の生活の本拠について疑いを持ち、一般市民に関心を持ってもらおうと考えたとしても、日野市民には関係がない。

 矢野と朝木はどんな目的をもって日野でこのビラをまいたのか。このビラを読んだ日野市民が「佐藤という人物は日野に住んでいることを隠して東村山市議をやっているのか」と信じ込む可能性もあろう。その結果、日野で生活している佐藤の家族が周囲からどんな目で見られるか、矢野と朝木には十分想像できただろう。矢野と朝木の狙いは、日野において佐藤の評判を貶めるだけでなく家族に対する嫌がらせをも意図していたと疑われてもやむを得まい。

おそろしい本音

 平成19年4月に執行された東村山市議選で佐藤は2回目の当選を果たした。しかし矢野と朝木はその後、市選管や東京都選管に対して「佐藤は東村山市内に生活実態がなく当選は無効である」と異議を申し立て、それが棄却されるや、東京都選管の裁決取消を求めて東京高裁に提訴するなど、佐藤に対する「当選無効」キャンペーンを継続した。

 当時、矢野と朝木は薄井政美に対して「セクハラ市議」などとする激しい攻撃を行っていたから、2人の市議に対して同時進行で誹謗中傷活動を繰り広げていたわけである。市民の利益のために働くべき市議として、普通は真似のできることではない。

 さて、当選に対する異議申立から裁決取消訴訟に至る流れは、その経過だけを見れば、過去にまったく同じ例があったことに気づこう。平成7年の東村山市議選で当選した朝木直子が落選した矢野を繰り上げ当選させるために虚偽の住民票移動を行った議席譲渡事件である(これこそ本当の「前代未聞」)。

 矢野と朝木は東村山市民(「草の根グループ」の議席の私物化を許さない会)から追及され、最終的に議会を追われた。佐藤の支援者には「許さない会」のメンバーもいた。平成19年に行われた選挙の前、東村山市民から佐藤に対する追及について聞かれた朝木はこう答えたという(趣旨)。

「私たちがやられたことを、やり返しているのよ」

(つづく)

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「越境通勤市議」事件 第2回
裁決取消訴訟における判断

 矢野と朝木はビラによる「越境通勤市議」キャンペーンを展開する一方、平成19年11月11日、東京高裁に対して東京都選管の採決取消を求めて提訴している。提訴に至る経過を振り返っておこう。

 矢野と朝木はまず平成19年3月6日、「選挙人名簿に関する調査及び登録抹消請求書」(同年3月5日付)を東村山市選管に提出。市選管は3日にわたる実態調査および佐藤に対する事情聴取を実施した上で佐藤を選挙人名簿に登録することについて問題なしと結論付けた。

 市選管の結論によっても矢野と朝木は納得しなかった。その後、同年4月22日に執行された東村山市議選で佐藤が当選すると、矢野と朝木は同27日「当選の効力に関する異議の申出書」を提出。同年7月27日、東村山市選管がこれを棄却すると、矢野と朝木はさらに同年8月16日、東京都選管に対して上記棄却決定に対する審査を申し立てた。東京都選管が同年10月10日、これを棄却すると、矢野と朝木は東京都選管の裁決取消を求めて東京高裁に提訴した。

 裁判で矢野と朝木が主張した主な論点は、「佐藤が住民登録した場所は保育所が賃借していたアパートであり、住民登録は許されない」(論点1)、「佐藤には平成15年1月以降、東村山に生活実態はない」(論点2)――というものである。これに対して東京高裁は平成20年4月30日、次のように述べて彼らの請求を棄却した。



論点1

 本件保育所は、……東京都が要綱により独自の基準を定めて制度として設けている認証保育所に該当するものであり、保育終了後の園舎の活用方法について法令で制限されているということはできないし、……そのような制限の有無は平成15年1月17日の本件転入届の時点に佐藤が……住居と定めてそれ以降同室に居住していた行為自体を否定する根拠とはなり得ないものであるから、原告らの主張する事情をもって本件選挙の期日の3カ月以上前から本件選挙の期日まで佐藤の生活の本拠が同室になかったということはできないというべきである。

論点2 

 佐藤の証人尋問における供述や陳述書の記載に証拠を総合すれば、……平成15年1月17日ころ、本件保育所が園舎の一部建替えのため賃借していた2DKのアパート……を佐藤の住居と定めてその日常生活の場とし、……同年(平成19年)5月に自ら賃借人となり、……佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同室に生活の本拠を有していたというべきである。



 東京高裁は論点1について、認証保育所の使用について保育終了後の活用について東京都は法令で制限していないと正当に判断。論点2については、証拠および佐藤の供述と陳述書から総合判断し、佐藤が「平成15年1月17日ころ」そのアパートを「住居と定めてその日常生活の場」としたと認定している。

 佐藤はこの判決および事実認定を待って平成20年6月4日、矢野と朝木を提訴した。矢野と朝木は上告したものの平成20年12月5日、最高裁はこれを受理しない決定を行い、東京高裁判決が確定している。矢野は最高裁で朝木が譲渡した繰り上げ当選を無効とされたが、佐藤の当選は微動だにしなかったことになる。

きわめて重い事実認定

 佐藤が平成15年1月17日に東村山市に住所を定めた事実は最高裁で確定した。裁決取消申立訴訟で直接の対象となっていたのは平成19年の東村山市議選だが、この判決によれば平成15年における佐藤の当選にもなんら問題はなかったということになろう。

 では、平成15年1月時点での生活の本拠が直接の争点となった本件における裁判所の判断はどうだったのか。「平成15年1月17日」以降、佐藤の住所が東村山にあったことについて東京地裁は、

〈被告らは、平成15年1月17日の本件転入届の時点で、原告の生活の本拠は東村山市内になかったと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。〉

 とした上で、次のように認定している(事実問題における論点は基本的には裁決取消申立事件と同じなので、同様に整理する)。



論点1

(被告らが)違法に本件保育所が賃借していた……(アパート)に居住したと主張する点は、住所かどうかは客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決せられることであるから、当該場所を個人の住居として使用することが保育所の運営に関する行政法規に適合するかどうかということとは基本的には無関係であり、……この点の被告らの主張も理由がない。

論点2

(被告らの)原告の生活状況に関する主張の主な部分は、いずれも本件転入届から3年以上が経過した平成18年以降のことである上、妻子と別居中の原告が妻子のけがや子供らの関係で必要な際に日野市内の妻子のもとに戻っていることがあったという上記認定に沿うものであり、本件転入届当時、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことを積極的に根拠付けるものではない。



 東京地裁は最高裁判決に違背せず、平成15年1月17日以降、佐藤の住所は東村山にあったことを認定したのである。その上で、「越境通勤市議」「公選法違反」「詐欺登録罪」などの表現の真実性について次のように結論づけた。



(真実性)

 本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことは、被告矢野及び被告朝木が表明した意見ないし論評の前提となる事実の重要な部分であるところ、これを認めるに足りる証拠はないから、被告らの行為が違法性を欠くということはできない。



 東京地裁は、「越境通勤市議」という表現の前提である「佐藤の生活の本拠は東村山にはなかった」とする事実を真実と認めるはできないから、「矢野らの表現には違法性がある」と認定したということである。

 平成18年秋以降4年以上にわたる矢野と朝木の主張を真っ向から否定した点で、また裁決取消申立訴訟は直接的には平成19年時点での生活の本拠が争点となったが、今回の判決は転入時点での生活の本拠について「東村山にあった」と認定した点においてきわめて重大な認定と評価できよう。

(つづく)

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「越境通勤市議」事件 第3回
表現の違法性を認定

 東京地裁の「真実性」(生活の本拠の問題)までの事実認定は裁決取消訴訟における最高裁の判断と同じである。しかし、ある表現をめぐる名誉毀損にあっては、表現の自由も尊重されなければならない。本件裁判はあくまで表現に違法性があるかどうかをめぐるものだから、まず表現が原告の名誉を毀損するものであるかどうか、さらに表現に「真実性」及び「相当の理由」があったどうかも違法性判断の基準となる(「真実性」については本連載第2回で記載したとおり)。

 では、平成18年9月以降、矢野と朝木が佐藤に対して行ってきた「越境通勤市議」「公選法違反」などの記事や放送の文言に対する東京地裁の判断をみよう。



(名誉毀損性)

 これらの表現は、原告が、生活の本拠を東村山市内に有しないにもかかわらず、形式上、同市内に住民票を移転して、15年選挙の選挙権及び被選挙権を取得した上、同選挙に立候補して当選するとともに、選挙人として同選挙に投票し、さらには、これらの事実を追及されることを恐れて、逃げ回っているという事実をえん曲ないし間接的に摘示した上で、更に、このような事実が、公選法に規定する詐欺登録罪及び詐欺投票罪に該当するとの意見ないし論評を表明したものというべきであり、単に法的見解を表明したもので、事実を摘示したものではないとはいえない。

 そして、本件記事、本件サイト記事及び本件発言(筆者注=多摩レイクサイドFMにおける矢野の発言)は、その内容に照らしていずれも現職の東村山市議会議員である原告の社会的な評価を低下させるものであることは明らかであり、……被告矢野及び被告朝木は、本件記事、本件サイト記事により、原告の名誉を毀損したものであり、また、本件発言は、本件番組でのことであるから、被告法人の事業の執行についてなされたものである。



 東京地裁はこう述べて、矢野と朝木の個人的なビラとウェブサイトの記載だけでなく、総務省の認可を受けた公共性の高いFM放送における矢野の発言についても名誉毀損を認定している。

一定時期までの相当性を認定

 ただし、表現に名誉毀損性があっても、それが人身攻撃に及ばず、公共性・公益性があり、かつ真実性・相当性が認められれば違法性は阻却される。東京地裁が「真実性」を否定したことはすでに述べた。では、表現の「相当性」についてはどうか。東京地裁は次のように述べた。



(相当性1)

 本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったとは認められないことは上述したとおりであるが、本件転入届は、平成15年4月27日に執行された15年選挙の選挙権及び被選挙権を得るための要件である3カ月前から引き続き東村山市内に住居を有している要件を満たすには10日しか余裕がない平成15年1月17日にされたものである上に、転入先はそれまで原告が日野市内から通勤をしていた当時の原告の勤務先である本件保育園の園舎の一部であった○○(アパート名)であり、外形的に明らかなこれらの事実だけからすれば、……被告矢野及び被告朝木において、原告が、15年選挙の被選挙権を得るために東村山市内に居住の実態がないにもかかわらず本件転入届に及んだのではないかという疑念を抱くことには合理的な理由がある。



 そのような「外形的事情があった」と認定する一方、続けて東京地裁は佐藤の側の対応にも触れて次のように述べた。



(相当性2)

 他方、本件転入届当時、○○(アパート名)が原告の生活の本拠たる実体を具備していたことについて、積極的にこれを裏付ける客観的証拠はなく、原告も、……原告のプライバシーに属する問題であったこともあって、19年選挙に関する裁決取消訴訟において平成20年3月21日に行われた本人尋問及びこれに先だって提出された陳述書に至るまでその詳細を明らかにしてこなかったことからすれば、被告らが疑念を抱き続けたことには合理的な理由がある。



 東京地裁は、「外形的事情」(相当性1)に加え、佐藤が「陳述書に至るまで詳細を明らかにしてこなかったこと」を理由に表現の相当性を容認したのである(「相当性1、2」の整理は筆者)。

なくなった「合理的な理由」

 しかしこれは言い換えれば、佐藤が平成20年に陳述書を提出したあと、あるいは遅くとも本人尋問終了後(尋問の法廷には矢野も朝木も出廷していた)に同じ表現行為を行えば、相当性も認められないと述べたに等しかろう。

 佐藤が陳述書を提出する前まで矢野は、どんな調査をしたのか、佐藤が東村山で借りていたアパートは「ワンルーム」と主張していて、裁決取消訴訟においても佐藤に対する尋問の直近に提出した58ページにおよぶ準備書面で、「佐藤が東村山で賃借しているアパートはワンルームで狭いから、日野の家財道具は運び込めない。よって東村山のアパートは生活の本拠とはいえない」(趣旨)と主張するなど、準備書面全体が東村山のアパートが「ワンルーム」であることが前提になっていた。

 当時、佐藤が東村山で借りていたアパートは2DKである。矢野は佐藤の東村山のアパートが単なる「居場所」であるという思い込みからそれが「ワンルーム」だと決めつけたのだろうか。

 いずれにしてもその後、矢野と朝木から「ワンルーム」の主張は消え、本件裁判では佐藤が当初東村山で借りていたアパートが「ワンルーム」だったなどとはいっさい主張しなかった。佐藤が明らかにしたことによって間違いだったと気がついたということだろう。

 この「ワンルーム」をめぐる矢野と朝木の主張の変化は、時期的にも〈19年選挙に関する裁決取消訴訟において平成20年3月21日に行われた本人尋問及びこれに先だって提出された陳述書に至るまでその詳細を明らかにしてこなかったことからすれば、被告らが疑念を抱き続けたことには合理的な理由がある。〉とした東京地裁の判断と一致している。彼らは「合理的な理由」がないと判断したがゆえに「ワンルーム」の主張をあっさり捨てたのである。

 すると佐藤の本人尋問以後、とりわけ、

〈佐藤の証人尋問における供述や陳述書の記載に証拠を総合すれば、……平成15年1月17日ころ、本件保育所が園舎の一部建替えのため賃借していた2DKのアパート……を佐藤の住居と定めてその日常生活の場とし、……同年(平成19年)5月に自ら賃借人となり、……佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同室に生活の本拠を有していたというべきである。〉

 と認定した平成20年4月30日の東京高裁判決、あるいはどんなに譲歩してもこの東京高裁判決を追認した平成12月5日の最高裁判決後に佐藤を「越境通勤市議」などと呼ぶことについても「ワンルーム」と同様に「合理的な理由」はないということになるのではあるまいか。

 しかも裁決取消事件で東京高裁が佐藤の「平成15年1月時点での生活の本拠」の認定にあたり、その根拠として〈佐藤の証人尋問における供述や陳述書の記載に証拠を総合すれば〉としてまず〈佐藤の証人尋問における供述や陳述書の記載〉を挙げていることは、東京高裁が佐藤の供述を最重要視していたことをうかがわせる。この認定が最高裁で確定したという事実はきわめて重いというべきだろう。
 
 本件における相当性の判断にあたり、東京地裁が〈19年選挙に関する裁決取消訴訟において平成20年3月21日に行われた本人尋問及びこれに先だって提出された陳述書に至るまでその詳細を明らかにしてこなかったことからすれば〉と述べたのも、裁決取消訴訟における事実認定の経過を十分に意識したものと思う。したがって上記説示の趣旨からすれば、本件各表現の相当性が認められるのは陳述書の提出から本人尋問までと理解するのが自然なのではあるまいか。

おそろしい発想

 本件各表現の中には、「本人尋問」以後のものが含まれており、控訴審ではその部分については判決が覆る可能性もあるという判断もあった。しかし佐藤は、「平成15年1月当時、佐藤の生活の本拠は東村山にあった」とする事実認定を評価して控訴せず、平成23年2月9日、判決は確定した。

 朝木によれば、平成18年秋に開始した佐藤に対するネガティブキャンペーンは「やられたことをやり返している」つまり「仕返し」だったとのことである。「仕返し」という発想は、議席譲渡事件について彼らが何の反省もしていないことの表れである。わざわざレンタカーを借り、さらには駐車場まで契約して張り込んだ執念深さはなかなか真似のできないことと思うが、それも復讐の念を反映した一面もあったと考えれば納得もできよう。

 最高裁で繰り上げ当選が無効とされ、矢野が議会を追われたことの屈辱は十分に想像できる。しかしあれほど市政を混乱させたにもかかわらず、反省どころか逆に復讐の炎を燃やし続けていたところに矢野と朝木の本当のおそろしさがある。

(了)

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第1回
 東村山市議の薄井政美がビラの記載や放送などによって名誉を毀損されたとして同市議の矢野穂積と朝木直子(「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判で平成23年3月16日、東京高裁は矢野と朝木らに対して100万円の損害賠償とFM放送による謝罪放送を命じる判決を言い渡した。

 ところが矢野と朝木は判決から1週間後の3月23日、ウェブ版「東村山市民新聞」において〈「エロライター」裁判で、薄井市議(保守系現市長の与党)が、東京高裁でまた敗訴!〉と題する記事を掲載した。本文では次のように記載している。



(ウェブ版「東村山市民新聞」)

 東京高裁は3月16日、この裁判の根幹である「まるでエロライター」等の記事は名誉毀損にはあたらないとして薄井市議の請求を棄却した。

 高裁判決は、薄井市議の薬事法違反等の疑いについては認めなかったものの、薄井市議は、市会議員だから、任期後も、出演した「アダルト動画」が公開されている以上、「エロライター」「性風俗マニア」等と批評されても仕方がないとし、市民新聞の記事は名誉毀損でないと判決した。



 この裁判で薄井の請求が認められなかった点があるのは事実である。しかし、その理由が矢野と朝木のいうようなものだったかといえば、疑問があるように思える。また記事では矢野と朝木が100万円の支払いと謝罪放送を命じられたことには一言も触れられていないのは不可解である。

薄井が全面敗訴のような錯覚

 その後東村山市内に配布された彼らの政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」170号(平成23年3月20日付)になると「薄井敗訴」の印象がより露骨なものとなる。



(「東村山市民新聞」170号)

(見出し)

「越境通勤市議」裁判敗訴の佐藤市議とともに、渡部現市長の与党、こんな人物が市議でいいのか?

薄井市議「エロライター」裁判で、また敗訴

(本文)
 前回の市議選で当選した薄井市議が、市議の任期開始後も、インターネット上で、……アダルト動画に出演し超セクハラ言動を繰り返したことを本紙が「市議としての適格性がない」と厳しく批判した記事を名誉毀損だとして薄井市議が提訴していた裁判で、東京高裁は……薄井市議の請求を棄却した。

 ……高裁判決は……「エロライター」「性風俗マニア」等と批評されても仕方がないと断定。

 薄井市議を追及した本紙の記事は……名誉毀損は成立しないと判決、薄井市議は連続敗訴となった。



 100万円の支払い命令も、謝罪放送命令が出されたことも、一言半句も存在しない。それどころか、事情を知らない市民がこの記事だけを読むと、あたかも裁判の争点が「エロライター」との記載だけで、その裁判で薄井が全面的に敗訴したと受け取るだろう。

 しかしこの記事は、矢野と朝木がその特異性をいかんなく発揮した、余人にはとうてい真似のできない悪質なものというほかない。では、矢野と朝木が〈薄井市議が、東京高裁でまた敗訴!〉と騒ぐ裁判はそもそもどのようなもので、東京高裁の判決内容とはどんなものだったのか。 

「職業差別」との批判が集中

 ちょうど4年前、平成19年4月に行われた東村山市議選の直後、東村山市議会周辺はにわかに騒然となった。東村山市議の矢野穂積と朝木直子が同選挙に初めて立候補して当選した薄井政美に対し、前職などを理由に「超セクハラ市議」などと誹謗するとともに「市議としてふさわしくない」とする大宣伝を始めたのである。

 薄井は立候補にあたりそれまでの勤務先を退職するとともに、その会社がアダルト関係の出版社であることを明らかにしている。私は前職についてそこまで詳細に述べる必要はないと思ったものだが、それが薄井の人柄、人の好さなのだろう。これが原因で嫌がらせを受けたり、揚げ足を取られる恐れがあるとも感じた。ただ、まさか当選確定の翌日に誹謗中傷が始まるとまでは予測できなかった。

 矢野と朝木が東村山市民に対する誹謗中傷を行うのはこれが初めてではない。しかしこれまで彼らの非難の対象となった公人や市民が表立った反撃には出たことはあまりなく、騒ぎも一方的かつ一過性のものであるか市内の一部にしか影響を及ぼさなかった(だからといって、矢野と朝木の誹謗中傷が不問に付されるべきというわけではない)。

 ところが今回の薄井に対する攻撃はたんなる誹謗中傷だけに終わらなかったこともあって、反響もこれまでにないものとなった。同年5月25日、朝木直子は東村山市長に対して「薄井からセクハラを受けた」などとして東村山市男女共同参画苦情等申出書を提出、また朝木が紹介議員となって薄井の辞職勧告を求める2件の請願が相次いで提出されるに至り、市内外の市民の間から矢野と朝木に対して「職業差別だ」とする批判の声が広がったのである。薄井に対する辞職勧告を求める請願の審査を行った政策総務委員会は、市内外から詰めかけた多くの傍聴人で埋まった。

 矢野と朝木にとって反響が東村山市議会の枠を超えたものとなったのは誤算だったのではあるまいか。しかし矢野と朝木が薄井攻撃の手を緩めることはなかった。それどころかむしろ、一方では彼らを批判する市民やジャーナリストなどに対しても手当たりしだいに批判の矛先を向けながら、「セクハラ市議」だけでなく「職業安定法違反」「薬事法違反」などと誹謗をエスカレートさせていった。矢野と朝木は彼らの政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」、ウェブ版「東村山市民新聞」、矢野と朝木が実質的に運営するミニFM放送局、「多摩レイクサイドFM」という彼らが恣にできる媒体を駆使して薄井に対する誹謗中傷を延々と繰り広げたのである。

 さて矢野と朝木の大宣伝の一方で、公的請求に対する審議は着々と進んでいた。朝木が紹介議員となって提出された薄井に対する辞職勧告を求める2件の請願は平成19年7月9日、不採択となり、朝木から提出された「セクハラ」との申出を審査していた東村山市は同年12月27日、当然ながら「セクハラの事実はない」と結論付けた。矢野と朝木らによる薄井に対する公的請求はいずれもこうして不発に終わったのだった。

(つづく)

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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