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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第1回
 外務省が主催した意見交換会(平成19年8月31日)での発言によって名誉を傷つけられたとして、同意見交換会に出席していた女性が「主権回復を目指す会」代表の西村修平に対して220万円の支払いを求めて提訴していた裁判の第2回口頭弁論が平成21年5月14日、東京地裁で開かれた。     (宇留嶋瑞郎)

原告の主張と異なる裁判報告

 この裁判について同日、西村は「主権回復を目指す会」のホームページにおいて次のように説明している。

〈主権回復を目指す会の西村修平代表は平成19年8月、外務省主催の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の政府とりまとめの意見交換会で私生児(婚外子)は人種差別に該当しない旨を述べた。この席上、西村修平代表は婚外子を私生児と呼んだ。さらに 私生児が嫡子と区別(差別)されるのは当然だと意見を申し立てた。

 これが名誉毀損に当たるとして○○(実名)西村修平代表を相手に220万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした。〉

 内容は別にして、意見交換会における西村の発言が上記のとおりのものだったとすれば特に誰かを特定して個人の名誉を傷つけるものではないような気がする。

 では、原告は訴状でどんな主張をしているのか。原告は事実関係について次のように主張している。

〈原告は、自らが当事者として婚外子差別問題に取り組んでいることを述べた上、日本国内において婚外子差別が温存され、日本政府は国連から差別解消を求める勧告を出されていることを述べたが、その際、被告は原告の発言を妨害しつつ、婚外子について「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」と発言した。(発言1)

 また、原告に向けて「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」と今日では差別語として認識されている「私生児」という言葉を投げつけた。〉(発言2)

〈原告が法務省官房秘書官……に対して……、その差別語がこの意見交換会の席上で発せられたことに対する見解を問うていると、被告は原告に近寄り「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」などという言葉を投げつけたうえ、さらに「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」などと言い放った。〉(発言3)

 その上で原告は、上記発言1については事実摘示部分は原告の名誉を毀損し、発言2については〈原告に向けて私生児という言葉を連呼する行為であり、やはり原告の名誉感情を著しく侵害する侮辱行為〉、発言3については〈原告を意図的に傷つけるためにした行為〉であるとそれぞれ主張している。

 西村が第2回口頭弁論後にホームページで説明したたんなる婚外子に関する意見を述べたにすぎないとする内容と原告の主張との間には明らかな食い違いがあることがわかろう。意見交換会における自己の発言に対する西村の「一般論である」とする認識はともかく、裁判の報告をするのなら、「原告個人に対して向けられた発言」であるとする原告の主張は主張としてなぜそのまま正確に伝えようとしないのだろう。原告の主張は主張としてありのままに明らかにし、その上で反論すればいいだけではないのかという気がしてならない。

 原告の主張に対し西村は答弁書で、発言1(「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」)については、

〈原告の発言に対して反対の意見表明をしたもので発言を妨害したものではない。〉

 と主張し、発言2(「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」)、発言3(「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」)については西村の発言ではないと主張している(発言3のうち「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」については答弁がない)。

 すると西村は、原告の主張が西村の原告個人に向けられた発言によって名誉を傷つけられたとするものであることを必ずしも理解していないわけではないようである。それがなぜホームページでは、たんに婚外子についての一般論を述べたことに対して提訴されたことになっているのか、私にはよく理解できない。

理解不能の言語

 第1回、第2回口頭弁論が開かれた当日、西村は彼を支援する右翼らとともに東京地裁前で街宣活動を行っているが、右翼らは次のように主張している。



右翼  これはですね、まさに訴訟権の濫用であります。われわれが政府主催の意見交換会でですね、これを述べてですね、なぜそれがですね、そういう民事事件に問題にされなければならないのか。

右翼の弟子  日本政府主催の意見交換会において、人種差別問題および私生児の問題について「どうぞ忌憚のない意見をお聞かせください」「どうぞ忌憚のない意見をお願いします」、そのようにいわれて忌憚のない意見を述べたというのに、それで訴えられたらたまったものではない。



 何も知らない者が彼らの主張を聞けば、なるほどこれは提訴自体が不当と考えるだろう。右翼はこう締めくくった。



右翼  しかもおかしなことにですね、この人権侵害を一緒に訴えられたMさんにはですね、裁判は提起されておりません。このことを考えると、この裏にはやはり創価学会、公明党をですね、厳しく追及してきたわれわれ行動する保守運動、そしてそのリーダーでもある西村さんをですね、なんとしても黙らせたい、そういう思惑でですね、今回の裁判が提起されたと、そういうふうに考えざるを得ません。



 西村とともに意見交換会に出席して西村と同趣旨の意見を述べたMに対しては「おかしなことに」提訴していない、と右翼はいうのだが、これはたんにMが原告個人に向けた発言をしなかったからということにすぎないのではないか。右翼のそれ以下の主張については飛躍が激しく論評不能というほかないが、この街宣に集まった30名前後の右翼の支援者たちの間からは「そうだ、そうだ」という同意の声はあがっても特に異論もなかったことを考えると、支援者たちにとって右翼の言語は理解できるものであるらしかった。

 ちなみに、この提訴について右翼は「訴訟権の濫用であります」と主張している。しかし、西村が答弁書で「訴権の濫用」を理由に却下を求めている事実はない。


(第2回へつづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第2回
 ところで、西村による婚外子差別発言および個人に対する名誉毀損発言がなされたとされる「外務省主催の『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』の政府とりまとめの意見交換会」とはどのような趣旨で行われたものだったのか。

意見交換会の趣旨

「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(以下、「条約」)は1961年12月21日、第20会期国連総会において全会一致で採択され、1961年1月4日に発効した。日本においては1995年11月21日に衆議院、12月1日に参議院のそれぞれ本会議おいて全会一致で批准され、12月15日に146番目の締約国となり、翌1996年1月14日に発効している。

 なお条約のいう「人種」とは、人を骨格・皮膚の色・毛髪の形など身体形質の特徴によって分類することのみならず、民族や部族的出身や、世系と表現されるカーストやカースト類似の特定集団あるいは特定の身分(過去にそうであったことを含む)とされる集団の出身、特定言語や文化圏あるいは異なる歴史的背景等の出身、公的市民登録(日本においては戸籍等)によって異なる存在であることを明示されているなどの幅広い概念である。

 したがって、条約が撤廃を目指そうとする「人種差別」とは、特定の集団や特定の集団の一員であることで一般とは異なるカテゴリーに分類されることに基づくあらゆる区別、制限または優先を意味する。つまり条約のいう「人種差別」とは「黒人」「白人」「朝鮮人」「日本人」といった一般に認識されている「人種」のみを指すのではなく、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権および基本的自由を認識し、享有しまたは行使することを妨げ、または害する目的または効果を有するものすべてを指しているのである。(西村はこの件に関連して「日本に人種差別はない」と主張しているが、西村が条約のいう『人種』の意味を理解していたかどうかは保証のかぎりではない)。

 条約は第9条において、「この条約の諸規定の実現のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置に関する報告を、委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出することを約束する。」としている。すなわち日本政府は、政府報告書を作成することで、条約の国内実施のために必要な「立法上、司法上、行政上その他の措置」等を洗い出し、国内の「立法上、司法上、行政上その他の措置」を条約に合致させる責務を負っている(「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と定めた憲法第98条2項に基づく)。
 
 平成19年8月31日に外務省本省内で行われた「『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会(第2回目)」(正式名称)は、まさに条約の国内実施のために政府が人権NGOとの間で建設的対話を行う場として設定されたものである。意見交換会を主催した外務省も、意見の募集要項に「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見であること。」と明記している。

参加NGOは国連への協働が前提

 ちなみに国連はNGOについて、1968年5月23日の国連経済社会理事会決議1296において、「国連の活動を支援するとともに、自らのねらいと目標、ならびに、その能力と活動の性質および範囲に従い、国連の原則と活動に関する知識を向上させることを約束する」存在として規定し、NGOに国連憲章、世界人権宣言等の理念が共有されていて、国連の目指すところと協働することを想定している。また、NGOには国連憲章第71条による国連との協議資格が理事会決議の規定に従って付与されることとなっている。

 したがって意見交換会を主催した外務省も、会に出席する市民・NGO側は人種差別撤廃条約がどういうものであるのかを理解しており、その国内実施のための建設的意見を用意してくるものと想定し、あるいは期待もしていただろう。つまり参加NGOには「あらゆる形態の人種差別の撤廃」を目指すという共通の前提があるものと認識されていたと考えてよかろう。

 言い換えれば、この意見交換会では、発言は自由ではあるものの、その内容においては自ずと一定の枠組があったということになる。たんにいいたいことをいえばよい、というような場では決してなかったのである。

 意見交換会とはそもそもそのような性格のものだった。そこに西村や右翼らも参加していたわけである。


(第3回へつづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第3回
                           ★第1回から読みたい人はこちら



最後の発言者

 では、「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見」を求める外務省主催の意見交換会で、西村はどんな意見を述べたのか。意見交換会は自由人権協会やNGO関係者の発言に始まり、最後に挙手をしたのが西村だった。西村の発言をみよう。



西村  15番の西村と申します。今回の日本政府の対応状況を見ましたところ、非常におおむねよくできていると思います。まずもってこの人種差別撤廃っていうこと自体にですね、われわれの日本のような単一民族国家としてふさわしくない。細かい表現は非常に日本政府が批准しているっていう状況からして受けざるを得ないっていう、そういう立場を理解した上で非常によくできている。この不当な勧告に対してはそれなりにサティスファクションがあると思います。



 本連載第2回で説明したとおり、「人種差別撤廃条約」がいう「人種」とはたんに肌の色や骨格など身体的特徴の違いをいうのではない。「日本は単一民族国家だから人種差別撤廃ということ自体ふさわしくない」という西村の発言は、そもそもここでいう「人種」の意味をはき違えたもののように思える。

「日本は単一民族国家」という主張についても、08年6月6日、衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、政府は「アイヌ民族は先住民族である」との認識を示している。したがって、あくまで西村が「日本は単一民族国家」と主張することはアイヌ民族に対する礼儀を失することになるまいか。

 これまで「人種差別の撤廃」に携わってきた人権NGO関係者にとって西村の発言は、冒頭部分からしてかなりの違和感があったことは間違いなかろう。続く西村の発言はさらに意見交換会の趣旨からはずれ、街宣さながらの内容となる。

予想だにしなかった「チマチョゴリ事件」



西村  6ページなんですけれども、その中の6ページの韓国朝鮮人、主に児童・学生を対象とした暴力行為にかかるというところですね。まあ、あの閣議決定により策定された「人権教育・啓発に関する基本計画」とうんぬん外国人に関する人権問題を掲げ、その中には在日韓国、朝鮮人等をめぐる問題を位置づけている。これが非常に不可解でしてね。日本社会でこの在日朝鮮人、韓国人にですね、そんな不当な差別が今の日本で行われているかどうかってことです。

 この暴力っていうのはつまり、一番具体的な例でいえば、例のチマチョゴリの引き裂き事件、切り裂き事件なんですよね。ご存じのようにチマチョゴリというのは、ちょうどこの分厚いハンカチのようですね。これだけをきれいにカッターナイフで切るってことはまず不可能なんですよ。しかも満員電車の中でカッターナイフで切るといったら、肉体へずぶりと突き刺すくらいでなきゃ、これ傷つかないものです。ということは、一連のチマチョゴリがあれだけきれいに裂かれたっていうのは完全なでっち上げなんですよ、これが。

 このことが毎日新聞の○○(実名)っていう女性記者がいます。これは今たしか、新聞労連の委員長なんですね。その方に、私は直接毎日新聞に乗り込んで、現実にこれができるかどうかを問いただしたことがありましたけど、この○○記者は逃げましたね。

 これは、だいたいこのような事件があった場合、在日朝鮮人協会が刑事告発するはずが、それはしない。ただマスコミを呼んで「暴力を受けた」と、実態のない、そういう実態のないものに基づいてですね、この在日韓国、朝鮮人をめぐる問題としていますが、余計なことだと思いますので、これは削除していただきたい。

 あと一つはですね、さきほどここの旧植民地の方がですね、娘さんの就職が大変差別を受けたっていいますけど、あなたはまあ日本人じゃない、日本国籍を取得していないわけですからね、これね、っていうことは当然これは区別されるんですよ。区別はこれ、けっして差別じゃない。日本人だったら1人で保証人でもいいかもしんないけども、日本人でなかったらそれ以外の保証人、これ全然区別で、(差別でも)なんでもない。



「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見」を求める意見交換会において、まさかチマチョゴリ切り裂き事件の話が出てくると予測した人権NGO関係者は少なかろう。当然ながら、主催する外務省もようやく口を挟んだ。しかし、ここから意見交換会には不穏な空気が流れ始める。



外務省課長  今回、条約の報告書に関する意見交換っていうことで。

右翼  だから今、発言に対する……。

課長  個別のケースについてはやめていただけないでしょうか。

西村  な、な、何ですか。

課長  個別のケースを議論しているっていうことはございませんので、報告書の観点からご発言いただければと思います。

西村  だって、この方は報告書に関係のないことを発言していた。だったら、なんであんた、その発言を注意しなかった。だから、当然私も発言する権利がありますよ。私もね、会社関係で在日朝鮮人雇っていますけどね。能力で雇いますけれど、在日朝鮮人で差別なんて、そんなことしないですよ。

 たまたまあなたの娘さんは能力かなんかでその会社に適合しなかったから、そりゃ就職を断られたかもしんないし、あんたが旧植民地出身でこられたもんだから、そんな差別……。

原告  ちょっと誹謗中傷でしょう。

課長  個別のケースについての発言は……。



 西村が「会社関係で」在日朝鮮人を雇っているとは意外だが、それはともかく、原告が即座に「ちょっと誹謗中傷でしょう」と西村の発言を遮ったのは、西村が一方的に在日外国人の娘に能力がなかったと決めつけたからだろう。すると原告のこの一言を機に、西村の発言はますますあらぬ方向へ向かったのである。冷静さを失った、といえばいいのだろうか。

(つづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第4回
関係者の苦労を軽視した発言

 外務省主催の「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見」を求める意見交換会において、出席者の女性が名誉を毀損されたとして「主権回復を目指す会」の西村修平を提訴していた裁判は平成21年9月7日、第4回口頭弁論を終えた。この間、被告の西村は東京地裁前の街宣で「婚外子問題について意見を述べただけでなぜ訴えられなければならないのか」と主張し、提訴の不当性を訴えている。

 西村が原告に対する名誉毀損発言をしていなければ名誉毀損は成立しないことは明らかである。したがって、裁判ではまず西村の発言に原告個人に向けたものがあったのかなかったのかが重要な争点となろう。では、原告の女性は西村が原告に対してどんな発言をしたと主張しているのか。原告が証拠として提出した当日の反訳をみよう。



西村  あんた、だから、そのさっきの婚外子の問題でもね、なんで婚外子の問題が人種差別の問題なんだよ。これ個人の不倫の関係で生まれたアレだ、不貞の子どもでしょう。

原告  何をいってんですか。誹謗中傷でしょう。本当に誹謗中傷でしょう。

西村  誹謗中傷って、誹謗にならない。

原告  誹謗中傷だよ。

課長  そろそろ時間ですので、発言を控えてください。

会場(女)  見解の相違だ。

原告  あなた、婚外子に対する人権啓発をしないから、こういう場でとんでもない差別発言が出ているじゃないか。どう責任取るんだ、法務省。

課長  すみません。発言、発言、発言を控えていただけますでしょうか。

原告  はい、差別されて当然だっていってるよ。謝罪させてくださいよ。

課長  静粛にお願いします。

原告  静粛じゃないですよ。差別発言でしょ、あれは。

会場(女)  婚外子差別は人種差別じゃありません。

原告  ばかな。

右翼  人をばかっていっちゃだめだよ。

原告  ばかとはいっていない。

M  正式に謝罪を求めます。

西村  謝罪しない。世界の常識だ。不倫の子どもは差別される。

原告  はははは、みてごらん。

  すみません、個人を対象に発言されたということでみなさんご認識されておられますよね。あくまでこれは意見交換会の場ですので、個人に対する、やはり今のは、私は差別です。謝罪を求めます、はい。

西村  謝罪しない。

  謝罪してください。

右翼  必要ない。

  謝罪させてください。

原告  させてください。世界で差別されて当たり前だといってるんですよ。

課長  静粛、静粛にお願いします。

原告  国は社会的差別を、婚外子に対する社会的差別を認めてるんですか。

西村  終わったあとに、も1回話しような。



「なんで婚外子の問題が人種差別の問題なんだよ。これ個人の不倫の関係で生まれたアレだ、不貞の子どもでしょう」という西村の発言が「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」における「人種差別」という文言の意味を理解していないものであり、婚外子に対する無理解に基づくものであることは明らかだろう。

 それだけでなく、婚外子差別問題に長年取り組んできた人たちあるいは否応なく婚外子という境遇に置かれた人たちにとって、西村の発言はたんなる無知や無神経ですまされるものではなかったろう。意見交換会における「人種差別」の意味さえ知らないまま出席したこと自体失礼であり、まして婚外子を「不貞の子」と決め付けるなど、婚外子という運命を背負って生きてきた人たち、差別の撤廃を目指して戦ってきた人たちの人生を無視するものであり、踏みにじるものである。

 この意見交換会は「あらゆる形態の人種差別の撤廃」を目指すという共通の前提で進められるはずのもので、どんな意見でも許されるという性質のものではないし、差別発言が出ることなどあってはならない。西村の発言に対して謝罪を求める声が上がったのは当然と理解できよう。

(つづく)

※「創価問題新聞事件」最高裁判決第13回(最終回)に一文を追加しました。

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第5回
街宣では発言を否定せず

 意見交換会はその後、西村の発言をめぐり謝罪を求める声と西村らが激しく対立して収拾困難となり、そのまま流会となる。原告の主張する西村の誹謗中傷があったのはその直前である。反訳をみよう。



原告  不倫の子どもは差別されて当然だって発言は許されるんですか、実際上。はっきりさせてくださいよ。
法務省課長  いずれにしても最後にまとめて発言しますので。

右翼  法務省は発言する必要ないぞ。

原告  ほーら、そんなこといってる。

西村  真実だからな。

課長  発言を控えてください。

原告  真実だっていってるよ。差別されて当然だっていってるわよ。真実だっていってます。どうなんです?

西村  街の中歩けんのか。

原告  どうなんです? あなた今、街の中歩けんのかっていってますよ。

西村  私生児が、私生児が。

原告  ほら、私生児なんていうのは差別語でしょ。どうするんですか。どうするんだ、法務省。

西村  何回でもいってやる。私生児だ。

原告  ほら、どうするんです?

西村  何回でもいってやる、私生児。



 意見交換会はその後ほどなくして流会となるが、「私生児が、私生児が」という発言が西村によるものだとすれば、西村の発言はたんに婚外子問題に対する意見を述べただけのようには思えない。原告は一連の発言について西村から面と向かっていわれたと主張し、当日の録音テープも証拠として提出している。

 なお第1回口頭弁論が開かれた平成21年4月15日、「行動する保守」一行とともに東京地裁前で行った街宣で西村は原告に対してこう主張している。

〈日本にはねえ、社会的に私生児だなんて差別されるようなそんな社会はないですよ。差別、私生児だ、めかけの子だ、仮にそんなことね、耳に入ってきたってさらりと聞き流せばいいじゃないですか。〉

 この裁判の最も重要な争点の1つは、西村が原告に対して「私生児」という言葉を投げつけなかったのかどうかである。街宣では誰が「私生児」と発言したのかについて明示されていないものの、暗にそれが自分の発言であることを認めているようにも聞こえる。いずれにしても、答弁書において「そのような発言はしていない」と主張している西村が、街宣においてなぜ発言そのものを明確に否定しなかったのか不可解である。

 ところで、「私生子(=私生児)」とは明治民法において、家制度という秩序の中で家の跡継ぎ候補として「公に認められた子」を意味する「公生子」にとともに、それに対して「公に認められない子」を意味する言葉として造られた造語である。当時は妻の産んだ子を「嫡子」(=公生子)と称し、配偶者のいない女性が産んだ子を「私生子」と称した。「私生子」には家督相続権はないが、「私生子」を父が認知すると「庶子」と称されるようになり、「嫡子」とともに「公生子」となり、家督相続権を与えられた。ただ、父から認知されて「庶子」となっても、母との親族関係は「私生子」にとどまるという複雑さがあった。これは父の家の都合でいつでも子を母から引き離せるようにするためだったといわれている。

 もともと「公生子」と「私生子(=私生児)」は対をなす言葉として存在していたが、「公生子」はしだいに忘れ去られ、「私生子(=私生児)」という言葉のみが今も命脈を保っている。これは「私生子(=私生児)」という言葉が長い間差別語として使われてきたことが1つの理由だろう。

 しかし、子が自分の出生前の父母の行動について責任を負わされる理由はなく、「私生子(=私生児)」という言葉は「子にとって不名誉である」という理由で昭和17年に民法から削除されている。したがって現在の日本において、他人に向けてこの文言が投げつけられた場合には、その人物を侮辱し誹謗したことになると理解できよう。

 まして、「何度でもいってやる」としてこの文言が繰り返し使用された場合には誹謗目的性は明らかで、この裁判においてその名誉毀損性を否定することは困難なのではあるまいか。なお西村はこの裁判で、問題とされている文言の名誉毀損性の有無に関してはなんらの主張もしていない。「いっていない」と主張する以上、名誉毀損性に関する主張は必要がないということなのだろう。

「発言」を名乗り出た人物

 西村は第1回口頭弁論以降、一貫して「私生児が、私生児が」「何度でもいってやる。私生児だ」「何回でもいってやる、私生児」という発言はしていないと主張している。では、その発言をしたのは誰だったというのか。平成21年4月15日の第1回口頭弁論から半年後の9月7日開かれた第4回口頭弁論において、その答が明らかになった。意見交換会に西村とともに出席していた右翼Mが、それは自分の発言だと名乗り出たのである。

 事実とすれば、さすがは右翼だけのことはあると評価できよう。事実でなければ当然、この右翼は西村ともども別の評価にさらされることになる。

 Mによれば、原告から提出された録音テープを聞いた結果、それが自分の発言であると確認したのだという。この点についても原告は、西村の声は容易に判別できるもので、発言が西村のものであることに間違いないと主張している。右翼Mの声については西村同様、インターネット上に街宣風景が公開されているので確認することができる。声質の違いは明らかで、西村との比較検討はさほど難しいことではないだろう。

 裁判は、次回11月4日午後3時から東京地裁において、原告、被告本人および右翼Mを証人として証拠調べ(尋問)が行われることになっている。

(「尋問後」につづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第6回
 平成21年11月4日午後3時から、被告である西村修平と原告に対する本人尋問ならびに西村側証人である右翼に対する尋問が東京地裁で行われた。傍聴席は7、8割程度が埋まったがそのほとんどが西村の支援者と思われた。

 この裁判で西村は、意見交換会では婚外子の問題における一般論を述べただけで、原告個人に対する誹謗中傷発言はしていないと一貫して主張している。また、原告が提出した意見交換会の議事録にある原告に対する発言は西村の同志である年配右翼の発言であるとして、この年配右翼自身が西村の主張を認める陳述書を提出している。したがって、この裁判の最大の争点は西村による原告個人に対する誹謗中傷が本当になかったのかどうかであり、原告側の西村に対する尋問もその点が大きなポイントになると私はみていた。

 当然、西村による原告に対する誹謗中傷発言がなかったとすれば原告の請求はその前提を失うこととなり、請求は棄却されるだろう。逆に、原告に対する誹謗中傷そのものの存在を否定する西村の主張が排斥されれば、不特定多数の前で他人を「私生児」呼ばわりすることが名誉毀損に当たるかどうかについての判断がなされ、名誉毀損に当たると判断された場合には原告の請求が認容される可能性が高まろう。

鮮明になった矛盾点

 この日の尋問に際して、原告側は新たな証拠を提出した。平成20年4月16日、「行動する保守」と称する右翼が、外務省での意見交換会後に原告が西村の発言をめぐり法務省に人権侵害の訴えを行い、西村が法務省から呼び出された経緯を聞くインタビューを企画した。このインタビューにはのちに西村側証人として出廷することになる別の右翼も出席して発言している。原告側が提出したのはこのインタビューの反訳である。インタビューには2つの注目点があった。

 反訳によればまず、西村は意見交換会における自分自身の発言について、次のように述べている。



西村  それはやっぱりあの、村田さんを告発したという○○(実名=原告)という方がですね。自分はあの結婚しないと。それで、婚外子(私生児)がいて、その要するに私生児ですね。彼女は私生児とは言いません。最初、婚外子、婚外子というから、……よくわからなかったですけど、話聞いてて、自分は要するに結婚しないで独身のまま子どもを産んだから、その子どもがたとえば幼稚園に入って、小学校に行くにあたっていろんな差別受けている、これが人種差別だ。とおっしゃっていたんで、私はそれは…えーと私生児ってのは当然、結婚しないで産んだ子供だから、私生児は社会的に当然差別されるし区別されますと。

 ましてやあなたが産んだ子どものあなたが、あなたの相手がもし結婚してる人であったらこりゃ完全に不倫であってね、あなたがその子供の民法上のなんかいろいろな相続とかなんかを要求したらそりゃ大変な、相手の家庭に対して亀裂をもたらすことなんだと。だから当然ね、そういう不倫の末に生まれた子供は社会的に差別されて、社会をそのー、円滑に運営する上では、では、そりゃ人間の知恵なんだ。あなたが差別されたくないって言うなら、ちゃんとしっかりした結婚して子供を生みなさいと、こう言ったわけでして。



 この裁判で西村は、意見交換会における発言内容は婚外子問題に関する一般論にすぎず、原告に対する具体的な発言(「私生児」など)はしていないと主張している。しかし、この日原告が提出したインタビューの反訳をみると、西村自身が原告に対して具体的な発言をしていることを認めているように聞こえる。

 これは少なくとも、裁判における婚外子問題に関する一般論を述べただけという答弁書の主張とは矛盾するし、さらに「公聴会(意見交換会)での私の意見は一般論であって、○○(=原告)の存在そのものを知らないなかで、○○本人を「婚外子」と決めつける意図などもとよりなく、そのようなことも出来ません」とする陳述書の記載ともだいぶニュアンスが違うように思える。この点について原告代理人が西村にただすと、西村はインタビューの内容については「よく覚えていない」と答えるにとどまった。

 なお、最近になって、原告に対して「『私生児が』などの発言をしたのは自分だ」などとする陳述書を提出した年配の右翼は、「行動する保守」のインタビューの中で法務省に呼び出された話はしても「私生児」発言についてはなぜか一言も触れていない。これもまた不思議なことではあるまいか。

自らのスケールを示した西村

 もう1点は、意見交換会終了後に西村が近づいてきて「おまえは何人不倫の子を産んだのか」という言葉を投げつけたと原告が主張している点について、西村がインタビューで原告の主張とむしろ符合する発言をしていることである。「行動する右翼」から意見交換会に出席した感想を求められた西村は次のように述べている。



西村  そうですね、まあ、めったにまあそういう極左系の人たちとかね、そういう在日朝鮮人のかなりエキセントリックな人たちの話聞く機会なかったんで、そこでまあ普段思っている思いのたけを彼らに浴びせつけましたよね。その会議(筆者注=意見交換会)終わった後も、個別に捕まえて、ずいぶん締め上げたので、僕としては非常に痛快極まりなかったんですけども。ただそれが、個人的なですね、ああ気持ちよかった、言ったというレベルに置いてしまったんでは、これは社会運動として発展できないのであって。



 原告代理人が注目したのは「その会議終わった後も、個別に捕まえて、ずいぶん締め上げた」とする箇所である。「ずいぶん締め上げた」とは原告に対して「おまえは何人不倫の子を産んだのか」という言葉を投げつけた場面のことをいっているのではないか、とも受け取れよう。そうだとすれば、インタビューにおける西村の発言の流れは、原告に対する「私生児」発言、さらに意見交換会終了後に西村が原告に対し「おまえは何人不倫の子を産んだのか」という言葉を投げつけたとする原告が主張する事実経過と大きな齟齬はない。

 原告代理人は西村に対し、「ずいぶん締め上げた」とは原告に対して「おまえは何人不倫の子を産んだのか」といったことを指しているのではないかと追及した。すると西村は「ずいぶん締め上げたというのは原告のことではない」とはいわず、誰もが予想しなかった供述をした。この点も思い出さないままの方がよかったと思うが、西村はインタビューでの発言は「意見交換会で発言したことを自慢したかっただけで、締め上げたというのは嘘」(趣旨)と供述したのである。

「主権回復を目指す会」代表の西村修平という男は、「締め上げた」などという嘘をついて自慢するほどつまらない、小さい男なのか。インタビューは動画でインターネット上(スティッカム)で公開されているが、嘘をついてまで自慢したかったという「行動する保守」のリーダーの1人を支援者はどう見るのか。

 このとき、傍聴席は静まりかえっていたという。残念なことに、この西村の供述が事実であろうと姑息な言い逃れであろうと、西村という右翼のスケールのほどを示すものであることに変わりはないのである。

 それはともかく、裁判官はこの日の西村の供述とインタビューでの発言のどちらが嘘であると判断するだろうか。西村の供述が、「おまえは何人不倫の子を産んだのか」という原告に対する発言を否定するためのその場しのぎの嘘であるとみる余地は十分にあるような気がする。

(つづく)
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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第7回
埋められた外堀

「行動する保守」によるインタビューでは、西村は外務省主催の意見交換会に出席したいきさつと目的についても自発的に述べている。意見交換会における具体的発言とともに、発言の背景、西村の心理状態がうかがえて興味深い。



西村  こういう政府主催の公聴会とか、会議にはですね、ほとんど右の方とかか保守勢力は参加する機会がなかったんですよ、というよりほとんど反応を示さなかった。そういうことで、まあ保守派のまあ女性(家族の絆を守る会岡本明子のこと)たちの方から、この公聴会に参加するということを話しまして、非常に参加する人員が少なくかつ男性の人も少ないから、ぜひともみなさんご参加をという形で、これはどうしてもね、行って、連中を牽制してやらないとね、私も非常に興味津々、当日行って、そういう思いでまあ行ったわけです。えーっと、まあ、聞きしにまさる会議の内容ですね、もう左翼にとっちゃ言いたい放題、しゃべりたい放題の席になってました。とうとう私もね、聞くに堪えかねてですね、まあいろいろ野次とかなんかを飛ばしておりまして、とうとう私の番に来ました。



 西村は、もともと意見交換会の存在を知らされたのも参加を要請されたのも「家族の絆を守る会」の岡本明子会長からだったと述べ、インタビューに同席していた年配右翼も岡本会長から要請があったことを認めている。注目すべきは、続く「連中を牽制してやらないとね。……そういう思いでまあ行ったわけです」という発言、さらに「私もね、……まあいろいろ野次とかなんかをとばしておりまして」という発言である。西村はこの意見交換会に出席する「左翼」を牽制するために参加し、実際に「牽制」のために「いろいろ野次を飛ばしていた」と認めていることになる。(その「牽制」なるものが原告に対する「私生児」という誹謗中傷だったとすれば、政治団体代表の発言としてはあまりにも軽率で幼稚としかいいようがなかろう)

 原告に対する差別発言があった事実を明らかにするために、原告代理人が意見交換会への参加のいきさつと目的という背景事情から迫ったのも鮮やかである。この点について原告代理人が西村に確認すると、西村は「岡本会長から要請はない。意見交換会が開かれることは外務省のホームページで知った」と供述し、「家族の絆を守る会」から要請された事実を否定した。すると、意見交換会参加までのいきさつについて述べていたインタビューの内容も嘘だったということなのか。

 西村の「主権回復を目指す会」の掲示板では、岡村会長はなぜ西村の裁判を傍聴もせず、支援もしないのかと、岡村会長を非難する趣旨の書き込みがある。西村にとってはなにか、意見交換会参加までのいきさつについて事実を明らかにしたくない事情があったのかもしれない。

 西村は原告が主張する問題の発言を否定したまではよかったが、仲間内のインタビュー内容まで否定したことでむしろ裁判における主張の信用性を自ら低下させてしまったのではあるまいか。いずれにしても西村は、このやりとりによって外堀も埋められたような気がしてならない。

裁判官も困惑

 この日の尋問では裁判官を困惑させる場面もみられた。原告代理人が意見交換会における西村の発言の事実確認をしたときのことである。

 西村は第1回口頭弁論期日(平成21年4月13日)に提出した答弁書に「……被告は以下のとおり抗議した。以下各人の発言を順次述べると」として自身を含む発言内容の反訳を記載している。ところが原告代理人が西村自身が自分の発言と認めて記載した西村の発言について逐一確認していくと、西村は自分自身の書面に自ら記載した発言であるにもかかわらず、

「あんたさっきの婚外子の問題でもね、何で婚外子の問題が人種差別の問題なんだよ。これ個人の不倫の関係で生まれたアレだ不貞の子供でしょう」

(原告が上記発言に対して謝罪を求めたのに対し)
「謝罪しない。世界の常識だ。不倫の子供は差別される」

 などの発言について「自分は発言していない」と主張したのである。裁判中に自らの主張を撤回することはあっても、自認していた事実関係について自ら否認するなどということはめったにあることではない。このとき陪席裁判官は裁判長に答弁書を示し、裁判長は西村が否定するたびに答弁書との相違について問いただした。裁判官もまた、西村の供述に疑問を持ったということである。

 なお西村は、これまで原告が提出したテープを確認するよう裁判長から求められていたが、「テープの声は確認していない」と答えている。一度は認めた自分の発言を否定する西村の供述に裁判官が困惑したとしても無理はあるまい。

原告代理人のダメ押し

 さて、西村側代理人は西村と年配右翼に対する尋問で、「婚外子は法的に不利益があってもやむを得ないと考えるか」とする質問を行い、これに対して両名は「仕方がない」と供述した。これは「行動する保守」による西村インタビューの内容と矛盾しない。

 そこで原告代理人は西村に対して最後に「ある人に対して『私生児』と発言することは適当だと考えるか」と聞いた。すると西村はこう答えた。「それは不適当です」。これはきわめてまっとうな考えであると評価すべきだろう。ただこれは、意見交換会において西村が原告に対して「私生児が」という言葉を投げつけていたとすれば、それは少なくとも不適切であることを西村は自認したということになる。

 あとは東京地裁が、西村が否認する原告に対する発言があったかどうかについてどう判断するか、あったと判断した場合にはそれが名誉毀損に当たるかどうかについてどう判断するかである。東京地裁はこの日の尋問をもって弁論を終結し、判決言い渡し期日を平成21年12月24日午後1時30分と指定した。

(「判決後」につづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判判決(速報)
 外務省主催の意見交換会における発言によって名誉を毀損されたとして出席者の女性が主権回復を目指す会代表の西村修平を提訴していた裁判で、東京地裁は平成21年12月24日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

 裁判で原告は、西村から「私生児が、私生児が」「おまえは何人不倫の子を産んだのか」などと誹謗中傷されたことにより名誉を毀損されたと主張。これに対して西村は「私生児が、私生児が」などと発言しておらず、たんに婚外子問題に関する一般論を述べただけで原告の名誉を毀損していないと主張していた。

 法廷には西村を支援する「行動する保守」Aとその弟子ら20名近くが集まり、判決言い渡しの際には拍手も起きた。西村は棄却判決がよほど嬉しかったのだろう。わざわざ私に近寄ると、ねぎらいの言葉をかけるとともに握手を求めてきたほどだった。

 私がはしゃぐ西村を相手にせず退廷しようとすると、今度は「行動する保守」Aがドスを利かせた声でこういった。

「ちゃんと報告しろよ」

「行動する保守」一行のリーダーともなると、さすがに言葉の重み、威圧感が違うというべきである。

 なお、傍聴人の中に浦安の行政書士の姿は見かけなかった。

(宇留嶋瑞郎)
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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第8回
 外務省主催の意見交換会における発言によって名誉を毀損されたとして出席者の女性が主権回復を目指す回代表の西村修平を提訴していた裁判で、東京地裁は平成21年12月24日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。

 裁判で原告は、西村から「私生児が、私生児が」「おまえは何人不倫の子を産んだのか」などと誹謗中傷されたことにより名誉を毀損されたと主張。これに対して西村は「私生児が、私生児が」などと発言しておらず、たんに婚外子問題に関する一般論を述べただけで原告の名誉を毀損していないと主張していた。

 訴状によれば、原告の主張は以下のとおりである。

〈平成19年8月31日、外務省が開催した「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する」意見交換会において、西村は原告に対して、

(本件発言1)
「あんた、さっきの婚外子の問題でもね、何で婚外子の問題が人種差別の問題なんだよ。これ個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう」

 と発言した。これに対して原告が誹謗中傷であるとして謝罪を求めたところ、西村は原告に対してこう発言した。

(本件発言2)
「謝罪しない。世界の常識だ。不倫の子どもは差別される」

 原告がさらに謝罪を求めたところ、西村は原告に対して、

(本件発言3)
「何回でもいってやる。私生児が! 私生児が!」

 と発言し、さらに意見交換会終了後、西村は原告に近寄り、

(本件発言4)
「おまえは何人不倫の子を産んだのか」

 と誹謗中傷を繰り返した。〉

 これに対して西村は、本件発言1、2については一般論として婚外子に関する見解を述べたにすぎず、本件発言3、4については「そのような発言はしていない」と主張していた。

西村の発言とは認定しなかった東京地裁

 原告が問題とした4件の発言のうち、明らかに原告に向けられたものと判断できるのは本件発言3と4である。このうち本件発言3については、平成21年4月15日の第1回口頭弁論から半年後の9月7日開かれた第4回口頭弁論において、西村とともに意見交換会に出席していた仲間の右翼Mが、それは自分の発言だと名乗り出た(真実かどうかにかかわらず、右翼Mのこの供述は「自白」にあたり、正当な理由がなければ自ら取り消せない)。本件発言4についても西村は、「そのような発言はしていない」と主張。一方原告は、意見交換会当日の録音テープを証拠として提出し、本件発言3は西村の発言に間違いないと主張していた。

 本件発言3、4によって西村が原告の名誉を毀損したかどうかは、内容の検討以前に、まずこの発言が西村によってなされたものであるという認定が不可欠である。これらの発言が西村のものでないということになれば、本件発言3、4による西村に対する請求は成立しない。

 この点について東京地裁は、

〈本件においては、本件意見交換会における発言を録音したカセットテープが証拠として提出されており、本件発言3については同テープに録音されているところ、その音声から同発言者が被告であると特定することはできない(むしろ、被告の声とは異なる印象を受ける)。……本件意見交換会に出席していた村田も、本件発言3について、これは被告の発言ではなく、自分の発言であると述べている〉

 と述べ、本件発言3が西村の発言であるとは認めるに足りないとした。また本件発言4についても、「録音テープのような客観的証拠がない」として、西村が発言したとする事実を認めるに足りないと結論づけた。

 では、西村が自分の発言であることを認めている本件発言1、2についてはどうか。東京地裁は、

〈婚外子一般に対する被告の個人的な見解を述べたものにとどまるものというべきであるから、これら発言を原告個人に対する侮辱と評価することはできない。〉

 などとし、原告の主張を斥けた。

 東京地裁の主要な認定・判断は以上である。原告が名誉を毀損されたと主張する本件発言1~4のいずれについても、東京地裁は発言内容の検討をいっさい行わなかった。

誤解を与える判決報告

 東京地裁判決を受けて西村は平成21年12月24日付ブログで、以下のようなタイトルの記事を掲載している。

〈原告棄却! 「差別発言」を東京地裁が全面否定
〈『語る』運動から『行動する』運動へ〉が極左と反日朝鮮人の言論弾圧を粉砕!
「私生児(婚外子)発言は差別でもなく名誉毀損にもあたらない〉

 東京地裁が、あたかも他人に対して「私生児」呼ばわりしても差別ではなく、名誉毀損にもあたらないとの判断をしたかのような誤解を与えかねないタイトルである。

 しかしこれまで紹介したとおり、東京地裁が原告の請求を棄却したのは「それが原告に対して述べられたものではなく一般論として個人的見解を述べたもの」(本件発言1、2)、「被告の発言とは認められない」(本件発言3、4)と認定したからにすぎず、他人を「私生児」呼ばわりすることは差別ではなく、名誉毀損でもないと認定したわけではない。仮にも政治団体の代表を名乗る者なら、どこまでが裁判所の判断で、どの部分が西村の見解なのか明確に判別できないような表現はすべきではあるまい。

(了)

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