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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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佐藤市議当選無効申立事件最高裁判決
 平成19年4月22日執行された東村山市議選をめぐり、東村山市議、矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が、同市議選で当選した佐藤真和市議の当選が無効であるとして東京都選挙管理委員会を提訴していた裁判で最高裁は、平成20年12月8日、矢野と朝木の請求を棄却した東京高裁判決を支持し、矢野らの上告を受理しない決定を言い渡した。これにより佐藤の当選の適法性を認めた東京高裁判決が確定した。

 裁判で矢野と朝木は、「佐藤は住民票上、平成15年1月17日に日野市から東村山市に転入していることになっているが、東村山での生活実体はなく、本件選挙における被選挙権を有しない」(要旨)などと主張。矢野と朝木は本件選挙約半年前の平成18年9月ころから同年12月ころにかけて、「佐藤の生活の本拠は日野にある」とのきわめて独断的な判断に基づき、調査と称して知り合いの者を日野市の佐藤の妻子が住むマンションに張り込ませ、また朝木自身がレンタカーを借りまた同マンション近くの駐車場を借りるなどして執拗な追跡を続け、マンションのドア付近やベランダに干した洗濯物を撮影し、その写真を証拠として提出するなどした。この結果、佐藤のみならず佐藤の妻子の平穏な生活まで脅かした。

 矢野と朝木の主張に対し東京高裁(石川善則裁判長)は判決で、

〈佐藤の生活の本拠たる住所は平成15年1月17日ころ以降一貫して東村山市内にあると認めることができるから、同年19日の佐藤の選挙人名簿への登録が違法である旨の原告らの主張は、その前提を欠いているというべきである。〉

〈佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同質に生活の本拠を有していたものというべきである。〉

〈佐藤が○○(日野市内の妻子が住むマンション)を生活の本拠としていたと認めることはできないというべきである。〉

 などと述べて矢野らの請求を棄却していた。

議席譲渡事件のケースとはまったく別物

「住所の実体」をめぐる当選無効訴訟としては、平成7年4月に執行された東村山市議選で、当選した朝木直子が落選した矢野穂積を繰り上げ当選させることを目的として千葉県松戸市に住民票を移動した、有名な議席譲渡事件が思い出されよう。矢野と朝木のケースでは、民主主義を愚弄する行為であるとして東村山市民(「草の根」グループの議席の私物化を許さない会)が松戸における朝木の生活実体を調べ始めるや、朝木はわずか1カ月の間に最初の移転先を含めて3カ所を転々とした。最初の移転先には別の家族がすでに居住しており、2回目の移転先は千葉県浦安市の差し押さえ物件で、いずれも朝木が生活するにはあまり適切な住所とは思えなかった。

 今回の佐藤に対する執拗な「調査活動」について朝木は、知り合いに対して、

「私が昔やられたことをやり返しているのよ」

 といったと聞く。市民の当然の批判や生活実体のない住民登録(公正証書原本不実記載)についてなんらの反省もないどころか、「やり返す」などとはとうてい公人の言葉とも思えない。まして佐藤は平成7年当時は東村山市民ではなく、議席譲渡事件の追及にはなんらの関わりも持っていない。

 にもかかわらずなぜ「やり返す」ということになるのか理解に苦しむが、はっきりしているのは、佐藤の転入は矢野・朝木の議席譲渡事件の持つ身勝手さとその計画性、悪質性、反社会性とはまったく無縁の話だということである。その証拠には、今回の判決と異なり議席譲渡事件では、東京都選管は矢野の繰り上げ当選を認めたものの、平成9年8月25日、最高裁は矢野の繰り上げ当選を無効とする逆転判決を言い渡し、矢野の東村山市議の地位は剥奪されている。

 さて、矢野と朝木は佐藤の当選に異議を申し立てる一方で、市議選前から政治宣伝ビラやインターネット、矢野と朝木が実質的に運営する多摩レイクサイドFMなど彼らの自己宣伝メディアを総動員し、佐藤に対して「越境通勤市議」「公選法違反」「詐欺登録罪」などとする宣伝を続けてきた。佐藤は平成20年6月4日、これらの宣伝によって名誉を毀損されたとして矢野と朝木を提訴している。裁判はまだ始まったばかりだが、佐藤の当選の適法性を認定した今回の最高裁判決が、被告である矢野・朝木にとって少なくともプラスに働くことはないとみるべきではあるまいか。

(宇留嶋瑞郎)

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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佐藤ブログ事件第2回口頭弁論
 東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)がブログのコメント欄に投稿されたコメントによって名誉を毀損されたとして同市議の佐藤真和を提訴していた裁判の第2回口頭弁論が平成22年1月25日午後1時10分、東京地裁立川支部で開かれた。

 この日、原告の矢野と朝木はめずらしく開廷20分も前に裁判所に姿を見せたという。なお、矢野・朝木と親密な関係にある「行動する保守」一行の姿は傍聴席には1人もみかけなかった。

 冒頭、裁判官は、本件を通常の不法行為(原告らが問題とする表現が原告らの名誉を毀損するものであるか否か)として考えるのか、プロバイダ責任法と関係する部分があるものと考えるのか、原告・被告双方に対して意見を求めた。

 これに対して原告側は、本件はプロバイダ責任法とは関係ないものと考える旨回答。一方、被告側もプロバイダ責任法は直接は関係がないと考えるとしたが、部分的に援用する可能性について含みを持たせた。

 一連のやり取りを聞いた範囲では、裁判官としては、ブログの投稿コメントを被告自身の記事と同次元のものと扱うことには若干躊躇する部分があると考えているようにも感じられた。この日の弁論はこれで終了し、裁判官は2月末までに本件記事(投稿コメント)の性質および弁論の方向性について双方の主張を提出するよう求めた。

 またこの日、原告らが従来の請求原因のほかに「サイコパス」の文言を含むコメントの削除請求を追加したことが明らかになった。被告側は次回までに、新たな請求原因に対する対応および答弁も行うとした。

 余談だが、本件の裁判官の顔には見覚えがあった。東村山市議の薄井政美がビラやインターネットで「セクハラ市議」などと書かれたことによって名誉を毀損されたとして本件の原告である矢野と朝木を提訴していた事件の裁判官である。

 裁判官は本件の次回口頭弁論を弁論準備手続にするとし、期日は3月8日午後2時と指定したが、その日が薄井裁判の判決言い渡し期日(午後1時10分)であることを思い出したようである。裁判官は原告の矢野と朝木の方を見ながらこういった。

「3月8日はその前に判決もありますねえ。1時10分の判決が気に食わないからといわれても困りますから、弁論準備は切り離してお願いします」

(宇留嶋瑞郎)

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佐藤ブログ事件 第7回
 東村山市議、佐藤真和のブログに投稿されたコメントをめぐり、東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)が佐藤を提訴していた裁判は平成24年11月9日、最高裁が矢野と朝木の上告を棄却する決定を行った。これによって、矢野らの請求を棄却した東京高裁判決(平成23年12月21日)が確定した。

 矢野と朝木が問題としたのは次の3件のコメントである。



コメント1(平成19年6月29日付)

 ……(矢野と朝木らは)トラウマの原因と全く関係ない他人を攻撃(=八つ当たり)する事で、心の虚無を埋めようとする方々とお見受けしました。心理学では「共依存」? 「境界性人格障害」「攻撃性人格障害」「パワーゲーム」など幾つかの名を付けて分析・対処方法を研究しているはずです。

コメント2(平成19年7月6日付)

 私も、○○さんの見解は正しいと思います。草の根の人たちは病気なんです。他人を攻撃することで、自己のアイデンティティを保っているんですから。まあ、昔から住んでいる市民なら、みんな知ってることですが。

コメント3(平成19年6月29日付=投稿されたコメントに明らかな差別用語と判断できる文言が含まれていたため、佐藤の責任で修正したのちに再掲載したもの)

 矢野・朝木両市議が発行する東村山新聞(筆者注=「東村山市民新聞」の誤り)は、一読しただけで○○と判ります。この2人が市議として存在することが東村山の大問題ではないでしょうか。○○さんが挙げておられる心理学上の分類に「サイコパス」も追加させてください。



 コメント2、3はいずれもコメント1に対する感想であり、触発された意見である。矢野と朝木はこれらの投稿および、佐藤自身が第三者のコメントを修正して再投稿したことによって著しく名誉が毀損されたとして、佐藤に対し計300万円の支払いなどを求めて提訴していた。

佐藤は「特定電気通信役務提供者」であると認定

 この裁判では、コメント内容の評価以前の問題として、矢野は佐藤がプロバイダ責任制限法が定める「特定電気通信役務提供者」ではないから同法は適用されない――すなわち佐藤は名誉毀損にあたる投稿を放置して不特定多数の読者の閲覧に供した点において、いずれのコメントについても佐藤に不法行為責任があると主張していた。

 インターネット上の掲示板におけるコメントについては、そのすべての責任を無条件に設置者やプロバイダに負わせるべきではないという趣旨でプロバイダ責任制限法が制定されている。同法の適用を受けるのは特定電気通信役務提供者と認められる者である。本件において佐藤は、佐藤が同法にいう特定電気通信役務提供者に該当すると主張していた。

 まず東京地裁立川支部は、佐藤のブログ掲示板についてプロバイダ責任制限法が適用されるものであるかどうかについて検討し、次のように述べた。

〈プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者とは、特定電気通信設備を設置又は所有している者である必要はなく、特定電気通信設備を他人の通信の用に使用させていれば足りると解される。〉

 東京地裁は、佐藤が特定電気通信役務提供者であり、ブログ掲示板がプロバイダ責任制限法の適用を受けるものと認定したということである。

 また矢野は佐藤が修正した「コメント3」について「佐藤が修正したものを投稿したのだから、佐藤による発信である」(趣旨)と主張していた。この点について東京地裁はこう述べた。

〈本件……修正投稿は、……差別的用語の部分を削除するためにそのような形態を採ったものであり、プロバイダ責任制限法3条1項の適用上、被告ブログ掲示板の管理者である被告が発信者となる場合には当たらないというべきである。〉

 ここまでの段階で東京地裁は、佐藤のブログ掲示板がプロバイダ責任制限法の適用を受けるものであること、また上記3つのコメントはいずれも佐藤以外の読者による投稿であると認定したのである。

3つのコメントに対する評価・認定

 その上で東京地裁は、それぞれのコメントの内容について以下のように認定している。



(コメント1に対する評価・認定)

 パーソナリティ障害は、精神病ではないとはいえ、精神医学で取り扱われ、治療の対象となっているものであるから、その指摘が名誉毀損となるか否かの観点からは、やはり病気の一種であり、その指摘は事実の表明と認めるべきである。

(コメント2に対する評価・認定)

 上記「病気」の付加は、原告らが病気の一種であるパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明したものと認めるべきである。

(コメント3に対する評価・認定)

 ……サイコパスが人格障害とほぼ同義と解されていることからすると、(コメント1)と同様に、原告らがパーソナリティ障害等を有するとの事実を表明するものと認められる。



 問題とされた3つのコメントについて東京地裁立川支部はこのように認定した。雑誌などの名誉毀損裁判では、上記のような記載によって提訴された場合、ただちにその真実性・相当性が問題となる。

 しかし東京地裁は、プロバイダ責任制限法における特定電気通信役務提供者の場合には、〈名誉毀損における真実性及び相当性についても、当該特定電気通信役務提供者が真実性及び相当性が存在しないことを知っていた(筆者注=同法3条1項1号)か、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があること(筆者注=同2号)〉の立証が必要であると述べた。この判示によれば、投稿者本人が損害賠償責任を負った場合でも、特定電気通信役務提供者の責任が問われないこともあり得ることになる。

 したがって東京地裁立川支部は、3つのコメントの評価・認定に続き、佐藤がコメントの内容について真実性・相当性が存在しないことを知っていたかどうかを検討した。佐藤は3つのコメントの内容には真実性・相当性があると主張して多くの証拠を提出していた。

 この佐藤の主張に対して東京地裁立川支部はどう判断したのか。東京地裁立川支部はこれらの証拠を検討した結果、佐藤が3つのコメントを掲示板に表示した行為について〈被告ブログ掲示板の管理者である被告につき、同法3条1項1号又は2号に該当する事由があったと認めることはできない。〉とした上で、重ねてこう述べたのである。

〈かえって、後記イ~オに説示するとおり、原告らにはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行為があったものである〉

 一審の東京地裁は、むしろ佐藤にはコメントを削除しない相当の理由があったと認定したのである。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第8回
万引き被害者の提訴を揶揄

 佐藤が3つのコメント内容には真実性・相当性があるとして提出した証拠と記載内容は以下のとおりである。改めて紹介しておこう。

①「東村山市民新聞」第84号(1997年5月発行)

〈飛んで火に入る虫?〉〈「真犯人の指紋のついたTシャツのビニールカバーを保管もしないで、なぜ物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いしたの」と指摘した本紙を女洋品店主が提訴。本人尋問ができ、逆に手間省け。〉

(筆者注)

 洋品店主(朝木明代の万引き被害者)が矢野穂積と朝木直子を提訴したのは平成9年4月1日である。なお矢野は「東村山市民新聞」では被告を「本紙」と記載しているが、万引き被害者が「本紙」を提訴した事実はない。提訴されたのは矢野と朝木である。彼らはその事実をぼかそうとしたものと思われる。

 平成7年6月19日、店主は朝木明代に万引きされたとして東村山警察署に被害届を提出、東村山署は目撃者の証言を得た上で同年6月30日、明代に任意出頭を求め、第1回目の取り調べを行った。普通なら、警察に被害届が出されたことを知った時点で観念するところである。ところが明代は警察に対して犯行を否認する一方、矢野穂積と共謀して被害者に対する威迫や嫌がらせを繰り返した。

 最初の取り調べ当日の夜には早くも洋品店を訪れ、矢野が「証拠もないのに訴えると罪になる」などと言い残した。矢野は裁判でその発言の存在そのものを否定したが、東京高裁は〈(矢野の主張は)事実に反するものと言わざるを得ない〉と矢野が店主を脅そうとした事実を認定している。その後も明代が洋品店に現れたり、執拗かつ威圧的な電話をかけるなどの嫌がらせを繰り返した。

 矢野と朝木は上記の実力による威迫行為に加えて、「東村山市民新聞」による情報操作を企てた。それが被害者が提訴した記事だった。提訴対象となった記事は以下のとおりである。



(平成7年7月19日付 第67号)

(タイトル)

〈だれの「陰謀」?〉

(本文)
〈東村山駅そばの店主が、こともあろうに「朝木議員が万引きした」などと警察に届出を出した。朝木議員には完璧なアリバイがある。警察はどう事後処理する考え?〉

※筆者注=被害者の店を明確に特定できる写真も掲載している。

(平成7年8月5日付 東村山市民新聞速報版)

〈朝木議員がこともあろうに「1900円のTシャツ」を万引きしたなどとデッチ上げた〉

〈「デッチ上げ」に暗躍しているのは創価公明集団だ〉

(平成7年8月15日付 東村山市民新聞速報版)

〈店主は聖教新聞をとっていた!!〉

(平成7年9月27日付 第68号)

(タイトル)

〈人権侵害のぬれぎぬ〉

(本文)
〈万引きの濡れ衣を着せた〉

〈「万引き」だと騒いでいる側は、以前から顔見知りの人物を証人にして証言させている〉

〈「万引き」のデッチ上げに暗躍した〉

(平成7年10月18日付 第69号)

(タイトル)

〈どちらが自作自演?〉

(本文)
〈朝木明代が「1900円のTシャツを万引きした」などととんでもない被害届を駅前交番に出した洋品店の女店主〉

〈まさか、決定的な証拠品のビニールカバーを店主や警察が処分したり、これが消えてたりしないでしょうネ。これは立派な「証拠隠滅」ですよ。〉

〈問題の女店主は……現場で朝木であることを全く確認していないのに、「犯人は朝木だ」と言いふらしているのです。〉

〈以前からの知り合いの人達の証言だけで明代を犯人扱いした女店主〉

(平成7年11月15日付 第70号)

(本文)

〈まさか決定的な証拠を保管もしないで無関係の朝木議員を犯人扱いし、警察へ駆け込んだというのなら取り返しのつかない人権侵害をしたことになる〉

(平成8年6月19日付 第71号)

(本文)

〈万引きねつ造から1年〉

〈「被害届」を出した女店主は決め手もないのに「朝木議員に間違いない」などとよくぞ言ったものです〉



 上記の表現を総合すれば、「洋品店主は創価公明と結託し、朝木明代を陥れるために証拠をねつ造して万引き事件をデッチ上げた」と主張するもので、「著しく名誉を毀損するもの」であるとして店主は提訴した。被害者にとって、明代に万引きされた上に、脅した相手である矢野からさらに「万引き事件を捏造した」と宣伝されるという状況がどれほどの精神的ストレスだったか、心中を察するに余りある。

 提訴することで再び証言台に立たされる可能性もある。しかし店主はあえて提訴に踏み切った。相当の覚悟を決めたということである。これに対して矢野は「東村山市民新聞」で〈飛んで火に入る虫?〉〈本人尋問ができ、逆に手間省け〉と被害者を揶揄し、挑発したのだった。

真実性も相当性も主張しなかった矢野

「東村山市民新聞」第84号では〈(店主は)物的証拠もなしに朝木議員をTシャツ万引きの犯人扱いした〉とも記載している。するとこの記事を読んだ読者は当然、矢野が裁判で「洋品店主は創価公明と結託し、朝木明代を陥れるために証拠をねつ造して万引き事件をデッチ上げた」とする事実の真実性・相当性を主張・立証するものと考えただろう。

 しかし事実はそうではなかった。矢野は裁判で、真実性の立証対象は「原告が本件万引き事件をねつ造した事実」ではなく「本件各記事に記載され摘示された具体的事実の主要部分や論評の基礎となる前提事実の主要部分である」などと常人にはきわめて難解な主張を行い、裁判所のたび重なる求釈明にもかかわらず〈被告らとしては、「原告が本件万引き事件をねつ造した事実」が真実であること及び被告らが右事実を真実と信じるについて相当な理由があったことについては主張立証しない。〉と述べ、現実に立証しなかった。

 裁判における主張から振り返れば、〈飛んで火に入る虫?〉〈本人尋問ができ、逆に手間省け。〉などとする「東村山市民新聞」における矢野の主張はただのハッタリか万引き被害者に対する揶揄、挑発だったと評価されても仕方ないのではあるまいか。いずれにしても、朝木明代が万引きを苦に自殺を遂げたあともなお「万引き捏造」を主張し、謝罪するどころか万引き被害者をあざ笑うこの記事を、佐藤が投稿を削除しなかった理由の1つとして主張したこと、また東京地裁立川支部が佐藤の主張には理由があると認めたこともうなずけよう。

 なお万引き被害者が矢野と朝木を提訴した裁判で東京地裁は平成12年11月29日、「東村山市民新聞」の一連の記事について〈原告が、創価学会や公明党と共謀の上、本件万引き事件をねつ造して故明代を罪に陥れようとしていると主張し、右事実を摘示したものと解釈するのが相当である。〉などと認定して矢野の難解きわまる主張を排斥、矢野と朝木に対して100万円の支払いを命じる判決を言い渡し、確定している。

「鉄砲玉」にさせられた「行動する保守」一行

 余談だが、この判決から8年後の平成20年9月1日、矢野の主張を鵜呑みにした「行動する保守」と称する珍しい集団が万引き被害者の店に大挙して押しかけたことは記憶に新しい。彼らは被害者の店の前で「万引きのでっち上げを許さないぞー」「洋品店○○(店の実名)の万引きでっち上げを許さないぞー」「ブティック○○(店の実名)の万引きでっち上げを許さないぞー」「朝木明代さんの謀殺を許さないぞー」「万引きでっち上げの店○○(店の実名)を許さないぞー」「創価学会の万引きでっち上げを許さないぞー」「万引きでっち上げの店を許さないぞー」などとシュプレヒコールを繰り返した。

「行動する保守」らはこのとき、矢野がかつて同じ内容の宣伝をめぐって提訴され、真実性・相当性の主張・立証を放棄していた事実、100万円の損害賠償を支払った事実を知る由もなかったのだろう。だから矢野はもう、万引き被害者に対して「万引きを捏造した」とはいえないのである。しかし矢野の能弁に乗せられた「行動する保守」らは、矢野の身代わりとなって被害者に罵声を浴びせた。いわゆる鉄砲玉にさせられたと言い換えてもよかろう。「行動する保守」らが仮に提訴されていればどうなったかは、あらためていうまでもあるまい。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第9回
「極めて特異」と認定

 佐藤が裁判で「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントには真実性・相当性があると主張して提出した書証は明代の万引き関連以外にもあった。順を追って確認しておこう。



②「東村山市民新聞」第118号(2001年2月発行)

「……95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯を折るなどの重傷を負った事件で……創価より裁判官はこの事実をわざと無視。」



 この記事は〈信用落とす裁判官〉というタイトルで掲載されたもので、ここで矢野がいう「重傷を負った事件」とはいわゆる「少年冤罪事件」である。平成7年7月16日、矢野が深夜に暴行されたと主張する事件が起きた。その日、犯人は逃走した(と矢野は主張する)が、2カ月後の平成7年9月21日、矢野は東村山駅近くの居酒屋で偶然居合わせた1人の少年を「お前が暴行犯だ」といきなり断定し、東村山署に突き出した。

 しかし少年にはまったく身に覚えがなく、それどころか矢野とはそれまで会ったこともなかったのだった。東村山署は少年をすぐに解放し、なんらの処分も科さなかった。まったくの無実、冤罪だったということである。

 ここまでの経緯だけでも通常はあり得ない話だが、これで終わらないのが矢野の常人の想像をはるかに超えた特異性だった。3年後の平成10年10月、矢野は今度はこの少年に対して損害賠償を求めて民事訴訟を提起したのである。

 これに対して東京地裁八王子支部は平成12年4月26日、

〈仮にも公職にある者がこの曖昧な記憶に基づき、しかも司法警察職員による捜査がなされながら刑事訴追の手続が執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異であると言わねばならない。〉

 などと述べ、矢野の請求を棄却した。上記②「東村山市民新聞」第118号で記載されている「創価よりの裁判官」とはこの一審の裁判官のことである。

悪質な尋問

 では、矢野がいう〈この事実をわざと無視〉の「この事実」とは何なのか。本件の判決文では省略されている「東村山市民新聞」第118号の以下の部分である。

〈事件の目撃者の方に法廷での証言をお願いしましたが、「顔見知りなので逆恨みされる可能性があり出廷できない」と怖がって地裁八王子支部に何度も訴えでたため、問題の犯人は被告であることが事実上はっきりしましたが、創価よりの裁判官はこの事実をわざと無視。〉

 少年が暴行はおろか警察に突き出されるまで矢野とは1度も会ったこともないと主張していること、捜査を行った東村山署が少年は無関係と断定していることからすれば、「問題の犯人は被告であることが事実上はっきりした」などとはいえるはずがない。ところが矢野は裁判でも「目撃者」を持ち出し、弁護士を通じて少年を追及していた。この尋常とも思えない追及の様子を紹介しよう。



矢野代理人  彼女が、前回も今回も呼ばれて来なかったんですけれども、出廷を拒否してる理由をご存じですか。

少年  知りません。

代理人  矢野さんが、今日出てくれと連絡したんですけれども、あなたに逆恨みされるから出たくないと。

少年  そういうふうに言ったんですか。

代理人  矢野さんが、○○さんのお母さんに、どうしても難しいんですかと聞いたんですよ。何かお話によりますと、「裁判所にも、『逆恨みされる可能性がある』ということで、むずかしい、というお話をされたみたいですが」と、「ええ」と、「やっぱりそういうふうなことが原因になりますか?」と、「やっぱりねぇ」と、そう答えているんです。

少年  お母さんがですか。

代理人  あなたが犯人だからということじゃないですか。

少年  ……意味が分からないです。

代理人  顔見知りのあなたに、出て来て真実をしゃべったら逆恨みされるということは、あなたが犯人だということを言ってるんじゃないですか。

少年  僕に言っても、わかりません。



 ここには矢野が「目撃者」と称する人物(の母親)の自主的な発言はなく、たんに矢野が聞いた内容(これすら確証はない)に相槌を打っているだけで、その本心はまったくわからない。それどころか、「逆恨みされる」といったのが仮に事実だったとしても、裁判所で矢野に不利な証言をした場合には矢野から「逆恨みされる」と考えていた可能性さえないとはいえない。

 矢野は「目撃者」の母親に電話した際の会話記録を証拠として提出しているが、その会話の中にも「目撃者」が実際に事件を目撃したという証言は何一つ出てこないのだった。したがって、この尋問は現実に存在したかどうかも確認できない事実に基づき、少年を犯人に仕立て上げようとする悪質な誘導というほかなかった。

賢明な判断

 一審の裁判官は判決でも矢野のいう「目撃者」についてはいっさい触れないまま、矢野の主張を「極めて特異」と認定し、請求を棄却した。これに対して矢野は、裁判官が「創価より」だから「目撃者」を「わざと無視した」と主張しているわけである。

 しかしどうみても、「目撃者」と称する人物の母親との会話から「やはり少年を目撃していた」=「少年が犯人である」という結論を導くのは無理があるといわざるを得まい。だから裁判官は「目撃者」の話を無視したのである。きわめて賢明な判断というべきだろう。

 裁判官が「創価より」だから証拠を「無視した」と主張する方こそ根拠のない決めつけで、とうてい法廷で通用するような主張ではない。矢野が見ず知らずの少年を確たる証拠もなしに犯人と名指ししたことと合わせ、この「東村山市民新聞」の記載を東京地裁が「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性の根拠の1つとして認定したことの妥当性が改めて確認できよう。
 
 仮に「目撃者」が「犯人(=少年)から逆恨みされる」ことを恐れて証言を拒否したということ、またそのことによって〈問題の犯人は被告であることが事実上はっきりした〉というのなら、矢野は東村山署なり東京地検なりにアクションを起こすべきである。しかしそのような事実があったとは聞かないし、矢野もそのような主張はしていない。これらの事実が示すのは、暴行事件が実際に存在したとしても少年は無関係であり、矢野のいう「目撃者」が「犯人=少年」を目撃した事実も存在しないということである。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第10回
主張を放棄した代理人

 余談だが、裁判官を「創価より」で公平性を欠くと断定したこの記事には、さらに「パーソナリティ障害」とのコメントの相当性をうかがわせる続きがある。一審で矢野の代理人を務めていた弁護士に関する記述である。



(弁護士に関する記載)

 控訴したところ、今度は私の弁護士が控訴理由書を出さないという前代未聞の背信行為が発生。このため、私は弁護士をすぐ解任し、……



 この控訴審第1回口頭弁論を傍聴していた私は、「控訴人は控訴理由書を提出していませんね。これでは控訴の理由がわかりませんよ」という裁判長の発言を聞いて、一瞬、何が起きたのかわからなかった。代理人がついていて、控訴審第1回口頭弁論に控訴理由書が提出されないということは、通常は考えられない。

 弁護士はその場で立ち上がって何か釈明し、右隣に座った矢野が強い調子で指示しているようにみえた。しかし結局、裁判長は弁護士の言い訳を認めず、その場で結審を言い渡したのである。もちろん控訴棄却以外の可能性は考えられなかった。その直後、矢野、朝木と代理人はなにやら気まずい様子で、足早に法廷から去っていった。その光景は今も記憶に鮮明に残っている。

 弁護士はなぜ控訴理由書を提出しなかったのだろうか。依頼人の味方でなければならない弁護士として、あってはならない行為である。

 矢野が提出した書証によれば、この弁護士か弁護士事務所の者が、矢野が主張する「目撃者」宅を訪問し、その場で証言を断られている。弁護士には「目撃証言」なるものが少年を犯人と特定できるものなのかそうでないものか、その時点で薄々わかったのではあるまいか。

 だから弁護士は少年に対する尋問で、事件そのものに対する証言内容ではなく「証言すれば逆恨みされる可能性がある」といったという事実かどうかもわからない話を根拠に追及するしかなかったのである。矢野流の論点のすり替えである。

 その上、一審で〈刑事訴追の手続が執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異〉とまで断定され、弁護士にはこれ以上、無実の少年を暴行犯に仕立て上げるための新たな主張ができなかったということだろう。あるいは、無実の少年を暴行犯に仕立てることに嫌気が差したようにも見えた。

なぜか登場した「アングラ記者」

 それにしても控訴理由書を提出しないとは、やはり弁護士としてあってはならないことで、依頼人である矢野が背信行為と怒るのも無理からぬところがある。しかし続く記述は矢野独特のものだった。記事は以下のように続いている。

〈私が解任した弁護士の事務所には、宇留嶋という創価系のアングラ雑誌の自称記者(2面参照)が最近出入りしていました。〉

 弁護士が控訴理由書を提出しなかったのは、あたかも私と関係があったことが理由であるかのような記述である。自分の代理人が責任を果たさなかったからといって、それが何かの謀議に基づくものであるかのように話を作出してしまうところは、まさに「パーソナリティ障害等」とのコメントの相当性をうかがわせるものといえるのではあるまいか。

 当時、弁護士の事務所が勤務先の近くにあり、別件で書類を直接持参したことがあった。そのことを弁護士は矢野に伝えていたのだろう。もちろん私と弁護士は敵同士で、弁護士の事務所に行ったのはその1度きりで、以後行ったことはない。

「出入りしている」といえば訪問する側とされる側の間にはなんらかの関係があったと解されるのが普通である。つまり矢野はこう記述することで、弁護士は敵である宇留嶋と関係を結んで矢野を裏切り、依頼人の利益と正義に反して控訴理由書を提出しなかったのだと印象づけようとしているものと理解できよう。事実なら弁護士懲戒にも匹敵する行為である。しかし矢野がこの行為について弁護士会に対して懲戒請求したという話は聞かない。

証言を拒否した矢野と朝木

 ところでこの弁護士は当時、〈東村山女性市議「転落死」で一気に噴き出た「創価学会」疑惑〉と題する記事で創価学会から提訴された『週刊新潮』の代理人を務めていた。矢野が弁護士を解任したのは、『週刊新潮』裁判がちょうど証拠調べ(証人尋問)を迎えようとする時期だった。

 解任の影響かどうか、『週刊新潮』の裁判で変化が起きた。人証直前の口頭弁論の際、この弁護士から裁判長に対して「証言を依頼していた矢野さんが出廷できなくなった」との申し出があったのである。「出廷できなくなった」とは、矢野は証人として出廷することをいったんは了承していたということと理解できた。以下、法廷ではこんなやりとりがあった。

裁判官  そうですか。では、朝木直子さんはいかがですか?

弁護士  朝木さんもダメなようです。

裁判官  どうしたんですかねえ。

弁護士  私にもよくわからないんです。

 弁護士はこうとぼけたが、矢野から解任されたことと無関係なはずはなかろう。新潮社の代理人でもあった弁護士は、少年との裁判で控訴理由書を提出しなくても、そのことは『週刊新潮』裁判での証言には影響しないと楽観していたのかもしれない。しかし現実はこうなった。矢野にとって「朝木明代の汚名を晴らすこと」(証言台に立つこと)は、自分の裁判のなりゆきによって左右される程度のものだったのだといわれてもやむを得まい。

『週刊新潮』側はやむなく『怪死』(教育史料出版会)を出版したジャーナリストの乙骨正生を証人の代役に立てたが、客観的な証拠に基づかない話ばかりで、とうてい説得力のある証言とはいえなかった。むしろ創価学会側弁護士の追及によって、「創価学会疑惑」にはなんらの根拠もなかったことが浮き彫りにされたのである。『週刊新潮』は200万円の支払いを命じられ、控訴もしなかった。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第11回
佐藤には違法がないことが確定

「矢野と朝木にはパーソナリティ障害等であることを疑わせる根拠がある」として佐藤が朝木明代の万引き事件と少年冤罪事件関連以外に提出した証拠は、佐藤自身と薄井政美に対する「東村山市民新聞」の誹謗中傷記事と多摩レイクサイドFMの放送の一部である。特に悪質であるとして佐藤が提出した記事や放送は以下のとおりだった。



③「東村山市民新聞」第148号(2006年9月発行)

「……佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。……25日、市民オンブズマンが日野市の自宅前で次娘と一緒に買い物を終え、レジ袋を両手に提げた佐藤『市議』を直撃、本人に確認したところ『週に半分は東村山に行っている』と事実を認めた。」

④「東村山市民新聞」第152号(2006年10月発行)

「他市の行政に口出しするまえに、公選法の違反の責任とって辞職を」「『出稼ぎ』市議の無責任ぶり」

⑤「東村山市民新聞」第153号(2006年12月発行)

「地方議員は選挙区内で生活していなければ詐欺登録罪で失職なのです。」「公選法違反容疑の佐藤市議、進退極まる!」

⑥「東村山市民新聞」第154号(2007年1月発行)

「……佐藤市議、自分の公選法違反容疑……が深まっている中、市長そして与党・公明との関係という新たな疑惑が噴出した格好だ。」

⑦「東村山市民新聞」第155号(2007年2月発行)

「佐藤まさたか『市議』に、一般市民から痛烈な批判」「『佐藤さん、ウソをついてはいけません』」

⑧「東村山市民新聞」第165号(2010年6月発行)

「市議の任期開始後も、ネット上に超セクハラ満載の動画に実名で登場」「『薄井(市議)はエロキャスター』裁判所も断定!」「現市長支持の『セクハラ市議』をかばった現市長、またも汚点」

⑨多摩レイクサイドFM(2006年12月6日放送)

「佐藤真和市議が、えー、公選法違反となることを知りながらですねね、えー、あえて、えー、日野市に住んでいるにもかかわらず、生活しているにもかかわらず、家族4人の生活があったにもかかわらず、えー、日野市じゃなくて、えー、東村山市からですね、の市議会議員に立候補したという、まさに公選法違反そのものにあたると思いますが、……早く辞職することを、潔い態度をとることをおすすめしたいと思います。」



 ⑧を除く上記記事はいずれも「佐藤の生活実体は東村山市にはなく、佐藤は虚偽の登録をして立候補したから公選法違反であり、当選は無効である」と主張するものである。平成19年になって矢野と朝木直子は佐藤の当選が無効であると主張して、矢野の異議申立を棄却した東京都選管を相手取り、東京高裁に提訴した。

 これに対して東京高裁は平成20年12月8日、判決で次のように述べた。

〈佐藤の生活の本拠たる住所は平成15年1月17日ころ以降一貫して東村山市内にあると認めることができるから、同年19日の佐藤の選挙人名簿への登録が違法である旨の原告らの主張は、その前提を欠いているというべきである。〉

〈佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同質に生活の本拠を有していたものというべきである。〉

〈佐藤が○○(日野市内の妻子が住むマンション)を生活の本拠としていたと認めることはできないというべきである。〉

 東京高裁はこう述べて、佐藤の住民登録に違法はなく、当選は適法であると認定したのである。その後佐藤がこれらの記事をめぐって矢野と朝木を提訴した裁判でも、損害賠償請求は棄却されたものの、事実認定において、佐藤の生活の本拠が東村山にあったことを認定している。つまり矢野が半年以上にわたって行ってきた佐藤に対するネガティブキャンペーンには客観的根拠がないことが、2度にわたり裁判所から認定されたということである。

 また⑧の薄井に関する悪質な記事は、平成19年の東村山市議選直後に始まった誹謗中傷に対して薄井が提訴し、一審判決が言い渡されたあとのものである。最初の記事から3年が経過し、敗訴判決後もなお薄井を誹謗していることがわかる。一審で彼らは200万円の支払いを命じられたが、その事実についてはいっさい触れられていない(控訴審では矢野と朝木に対して100万円の支払いが命じられた)。

 この記事は「矢野と朝木は病気なのです」などとする本件コメントのそもそもの原因となった薄井に対する一連の誹謗中傷の延長線上にある。佐藤に対する記事と同様に、その執拗さとともに1度主張したことはいっさい撤回も非を認めることもせず、自らの不利な事実についてはストレートには公表しない彼らの特異性がよく表れていよう。これらの記事についても東京地裁は、「矢野と朝木にはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった」とする根拠の1つと認めたのである。

根底に議席譲渡事件の屈辱

 ところで矢野と朝木が執拗に佐藤の住所を問題としたことには別の背景もあるようだった。平成7年4月に執行された東村山市議選の直後、東村山では選挙制度そのものの根幹を揺るがす前代未聞の大事件が起きた。4位当選した朝木直子が次点で落選した矢野穂積を繰り上げ当選させるために自らの住民票を千葉県松戸市に移動させて被選挙権を喪失させ、当選を無効にしようとしたのである。

 当選を目指して立候補したはずの当選者が当選を拒否するという常識では考えられない事態(選挙を愚弄する事態でもある)に選管も振り回されたあげく、矢野の繰り上げを認めざるを得ず、矢野はいったんは繰り上げ当選者となって1年以上東村山市議の地位にあった。しかし、市民(「草の根」の議席の私物化を許さない会=以下、「許さない会」)の異議申し立てによって最終的に最高裁が矢野の繰り上げを無効と認定、矢野は議員資格を失い、ようやく事件は終結をみた。

 最高裁が矢野の繰り上げを無効とした理由がまさに朝木の移動先の居住実体だった。朝木は平成7年4月下旬から5月にかけて、わずか1カ月の間に3度の転居を繰り返していた。最高裁は少なくとも1回目と2回目の転居先には居住実体はなかったと断定し、その間はまだ朝木の住所は東村山にあり、当選は失われていなかったと認定、矢野の繰り上げは違法と結論付けたのである。朝木の居住実体を追跡したのは「許さない会」だった。

 調べられることを警戒した朝木は、住所の実体を取り繕うために短期間の間に住民票移動を繰り返さざるを得なかったようにみえる。しかも住民票移動を繰り返したことが最終的に繰り上げ当選無効の根拠とされたのである。「許さない会」が異議申し立てさえしなければ矢野の企みはみごとに成就したはずだった。法の盲点を突いたつもりの矢野にとって、彼らを追及し、松戸の新住所を調査した「許さない会」に対する怨念がひととおりのものでなかったことは推測に難くない。

 佐藤の生活実体を追及していた当時、朝木は彼らを追及していた市民の1人である人物から佐藤の件を聞かれてこう答えたという。

「私がやられたことをやり返しているのよ」

 議席譲渡事件の当時、佐藤は東村山市民ではなく、追及した「許さない会」のメンバーでもない。しかし東村山に住んで以降、佐藤は少なくとも矢野・朝木問題に関して「許さない会」のメンバーとは理解し合う関係にあった。それで十分仕返しの対象たり得たのだろうか。

 朝木のこの発言が佐藤を追及したすべての理由ではなかったとしても、この発言から、自分たちが引き起こした議席譲渡事件によって市政を混乱に陥れたこと、市民の信頼を裏切ったこと、民主主義を危機に陥れたことなどに対する反省の気持ちを汲み取ることはできない。それどころか、自分たちに非があったとしても、まず自分たちを追い詰めた者に対して仕返ししようとするのが矢野と朝木の姿勢なのだった。あるいはそれが彼らの生き方なのだというべきだろうか。この朝木の発言もまた「パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動」の1つに数えられるのではあるまいか。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第12回
「東村山市民新聞」など以外に佐藤が「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントには真実性・相当性があると主張して提出したのは矢野と朝木が関わった過去の裁判所の判断だった。①「許さない会」事件②超党派事件③少年冤罪事件の3件である。③少年冤罪事件については本連載の第10回で触れたので、①②の裁判の内容と認定内容をあらためて確認しておこう。

1 「許さない会」事件

 平成7年4月に執行された東村山市議選で、当選した朝木直子が次点で落選した矢野穂積を繰り上げ当選させることを目的として議員任期開始前に住民票を千葉県松戸市に移動した。これによって朝木の被選挙権がなくなったことで当選も失ったとみなされ、矢野の繰り上げ当選が認められることとなった。この議席譲渡が違法であるとして東京都選管の決定に異議申立を行ったのが「『草の根』の議席の私物化を許さない会」(以下=「許さない会」)だった。

 議席譲渡から2年後の平成9年8月25日、最高裁は矢野の繰り上げ当選を無効とする判決を言い渡し、矢野は議席を失った。この間、「許さない会」は多くのビラ(「手を結ぶ市民のニュース」=以下=「市民のニュース」)を発行して議席譲渡がいかに民意を愚弄するものであり、選挙制度の根幹を揺るがすものであるかを訴えてきた。議員資格を失った矢野は「許さない会」が発行したビラの文言をめぐり「許さない会」メンバーと、〈他の被告ら(「許さない会」のメンバー)と通牒して虚偽の事実を〉提供したなどとして万引き被害者を提訴したのである。

 矢野が問題にした記事の中には本件の「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とのコメントに通じる文言があった。最高裁判決を市民に伝えた平成9年9月1日付ビラで安藤智文が記載した文言と同年12月1日付ビラに掲載された匿名市民の文言である。



(平成9年9月1日付「手を結ぶ市民のニュース」の文言=記事3)

 矢野氏は物事を自分本位に解釈して、訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行します。また自分の憶測を理屈づけ、朝木直子さんという媒体を巧みに利用し、多くの市民を味方に惹きつけようとしています。精神分析のリポートによりますと、パラノイヤ(偏執病・妄想病)の中でも好訴妄想者がこうした傾向を示す場合が多いと云います。

(平成9年12月1日付「手を結ぶ市民のニュース」の文言=記事4)

 1人の異常とも思える人間とこれにマインドコントロールされた人達とが、一見正常とも見える反社会的行為を繰り返しているのが「草の根」の真の姿だと思います。自分達に都合の良いウソの情報を流し世間をごまかして来ました。

 批判する人は告訴やペンの暴力で攻撃され続けています。行政や市議に対しても然りです。



 上記記事3、4について東京地裁は、いずれも議席譲渡事件に関するものおよび最高裁判決あるいはこれまでの「許さない会」の活動等を報じる「市民のニュース」の「市民の声」欄に掲載された文章であり、その〈前提となる事実は、本件議席譲り渡し事件における原告矢野及び同直子らの行動であるというべきである。〉と認定した上で、その真実性・相当性について検討している。

 その際に裁判所が注目したのは、議席譲渡に際して矢野と朝木が市民に公表した「理念としての当選者交代について」と題する文書の内容と最高裁判決に対する矢野の見解である。「理念としての当選者交代について」において彼らは議席譲渡を正当化し、最高裁判決については「東村山市民新聞」で〈最高裁は判決で、選管が朝木直子編集長の住所移転(当選失格)を判断する権限がないのに勝手に、繰上当選の手続きをとったのは誤りで、市議会に繰上当選の手続きをはじめからやり直しをすべきというもの。〉と主張していた。

 最高裁判決によっても矢野がなお、繰り上げ当選が是認されることを前提とした論理を組み立てている点にはやはりかなりの違和感を覚える。最高裁判決は、

〈本件繰上補充は、当選人である朝木が被選挙権を失っていなかったにもかかわらず、これを失ったものと誤認してされた点において違法であり、矢野の当選には無効事由があるというべきである。〉

 と述べている。すなわち最高裁が矢野の繰り上げ当選を無効とした理由の根幹は、「朝木の被選挙権は失われていなかった」ところにあるのであって、矢野の繰り上げ当選手続きを行った機関がどこだったかにあるのではない。矢野が得意とする論点のすり替えにほかならない。

 これらの矢野と朝木の主張に対して東京地裁は次のように述べた。

〈(「理念としての当選者交代について」)で示された考え方は、公選法上は想定されていない考え方であるといえる。また、……議席譲り渡し事件に関する本件最高裁判決について原告矢野は、東村山市民新聞において……(上記の主張)との記事を掲載しているが、本件最高裁判決は、……東村山市議会において、原告矢野の繰上当選の手続をやり直さなければならないなどと判断したものではない〉

 その上で東京地裁は、「許さない会」のビラに掲載された、

〈原告矢野は物事を自分本位に解釈する〉
〈自分の憶測を理屈づける〉
〈1人の異常と思える人間〉

 との論評について〈その前提となる事実は相応の根拠があるということができる〉と認定した。

 さらに、〈原告矢野は訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行する〉との論評については、

〈原告矢野が、市議会議場の傍聴席から、創価学会等を批判する発言をした際、公明党所属の市議会議員がこれをとがめたところ、原告矢野は、「裁判するぞ。」「新聞に書くぞ」「公明党とも全面戦争、仁義なき闘いをするぞ。」と発言したこと、……当時市議会議員であった者に対し、8年間にわたって「裁判するぞ。」「新聞に書くぞ。」と発言していたことが認められる。……論評の前提となる事実は相応の根拠があると認められる。〉

 と認定している。その上で残された「パラノイア」との論評についても次のように結論づけた。

〈パラノイアに関する論評は、上記各論評を前提にしたものであることからすると、表現自体はやや穏当さを欠くものであるが、当該論評の前提たる事実もまた相応の根拠があると認められる。〉

 東京地裁はこう認定し、矢野と朝木の請求を棄却したのである。もちろん万引き被害者についても〈共牒していたと認めることはできない。〉などとして矢野らの請求を斥けた。矢野と朝木は一審判決を不服として控訴したが、控訴審第1回口頭弁論当日になって控訴を取り下げ、一審判決が確定している。

 佐藤の裁判で東京地裁は、この判例もまた「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性の根拠として認めたのである。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第13回
2 超党派事件

 平成4年から平成6年にかけて、東村山市議会自民党、公明党、社会党(当時)、生活者ネット、共産党の「草の根市民クラブ」を除くすべての会派が、会派の利害を超えて「超党派でつくる新聞」というビラを発行した。たとえばその第3号には次のような記載があった。



(「超党派でつくる新聞」第3号の記載)

〈東村山市民新聞代表者(筆者注=矢野穂積)は裁判ごっこマニア?〉

〈これらは朝木議員(筆者注=明代)、又は社会教育団体として登録されている「東村山市民新聞」の代表者らが訴えたもので、現在係争中の事件を除いて、すべて、棄却、取下げ、和解(1件)となっています。このように、朝木議員、または「東村山市民新聞」の代表者は、いたずらに裁判を起こし、実際、何か自分達を批判する者は「裁判するぞ」と脅かしたりしているようです。〉

〈新聞販売店の店主は平成3年8月に、「貴社発行紙には他人を中傷誹謗する記事が掲載されることがあり、新聞に折り込むには不適当なものがある」と同矢野代表に書面をもって回答しています。〉

〈脅しに裁判を利用する矢野氏〉



「超党派でつくる新聞」とは、東村山市議会および東村山市議会議員に関して誹謗中傷を含む一方的宣伝を繰り返していた「東村山市民新聞」に対抗して、市民に正しい情報を提供しようとする趣旨で発行されたものである(平成4年に第1号)。異なる政治グループが3年以上にわたり思想信条を超えて共同でビラを発行するなど、そうあることではあるまい。

 それほど朝木明代と矢野(当時は傍聴席から不規則発言を繰り返していた)の特異性は尋常ではなかったということと理解していいのではあるまいか。矢野と明代(訴訟は遺族が承継人となった)は上記を含む「超党派でつくる新聞」の記載によって名誉を毀損されたとして提訴したのである。

 しかし東京地裁は上記論評の真実性・相当性を認めて矢野の請求を棄却、東京高裁も次のように述べて矢野の請求を斥けている。

〈(「超党派でつくる新聞」には)……矢野が、「裁判ごっこマニア?」であるとか、いたずらに裁判を起こし、また、自分たちを批判するものを「裁判するぞ」と脅かしたりしているとの記載がある。

 たしかに控訴人矢野は、……自分と意見が対立する者に対して、裁判を起こすなどと言っていたことが認められるのであって、上記の記事がその主要部分において、事実の基礎を欠くものということはできない。〉

〈もっとも、「ごっこ」とか「マニア」とはいかにも侮蔑的な要素を含む表現であって、……かなり行きすぎの面を含むものである。しかし、……その市民新聞においては、かねてから市議会議員らの個人攻撃とみられるような記事が掲載されていたことなど……を考慮すれば、……直ちに政治的な表現の自由の行使として許容される範囲を逸脱しているとは認め難い。〉

 東京高裁は「超党派でつくる新聞」の表現には必ずしも適切とはいえない側面があるものの、「東村山市民新聞」の表現に対する反論としては許されると判断したということだろう。佐藤は上記判決を証拠として提出し、東京地裁は本件コメントの真実性・相当性の根拠として認めたのである。

「蒸し返し訴訟」

 ところでこの裁判の被告には25名の東村山市議以外にもう1人、かつて「東村山市民新聞」の新聞折込を請け負っていた新聞販売店主(以下=「K」)が含まれていた。「新聞販売店に関する記述はいずれもKと矢野との間でしか知り得ない事実であるから、Kが情報提供したことは明らか」というのだった。その上で矢野は、「『超党派でつくる新聞』は亡明代および矢野を攻撃するために作成したいわゆる『ビラ』の類で、取材に基づく事実報道を行うものではないから、店主と作成者が共謀して作成したものである」などと主張していた(判決文)。
 
 Kと市議が共謀したとする根拠がどこまであったかは定かではないが、Kに対する矢野のこだわりもまた尋常ならざるものがあった。Kはかつて矢野の「東村山市民新聞」の新聞折込を請け負っていたが、ある出来事をきっかけに折込を断ったことから紛争が生じたのだった(矢野は当時、新聞折込によって「東村山市民新聞」を市内に配布していた)。

 折込を断ったことに対して矢野が撤回を求めるとKは、矢野のビラには「他人を中傷誹謗する記事が掲載されることがあり、新聞に折り込むには不適当なものがある」と回答。Kがビラの折込を拒否したことに対して矢野は平成4年、Kが折込を拒否したことが違法であるなどとして提訴したが平成6年7月14日、最高裁で矢野の敗訴が確定している(=第1次訴訟)。

 その後の平成6年8月ころ矢野は、今度は平成3年に折込を依頼した「東村山市民新聞」(平成3年7月24日付)の返還を求めて再びKを提訴したものの平成6年10月26日、第2回口頭弁論において訴えを取り下げている(=第2次訴訟)。なお矢野はこの裁判に併合して「東村山市民新聞」の印刷を依頼していた印刷会社に対して折込代金の返還を請求しており、この裁判は弁論が分離された上で、同期日に印刷会社が代金を返還する内容の和解が成立している(遅延損害金を含めて9858円)。

 Kに対する第2次訴訟の終結から1カ月もたたないうちに、矢野は「東村山市民新聞」(平成6年11月16日付)に〈本紙折込代金返還で実質勝訴〉と題する記事を掲載した。ところが本文では〈被告○○(筆者注=K)が、同紙の記事が他人を中傷誹謗したなどと根拠のない言いがかりをつけて折込みを拒否、折込み代金も返還しないので裁判を提起したところ、被告側(印刷会社)が代金を返還して和解が成立した〉(趣旨)と記載されていたのである。

 つまり矢野は、「東村山市民新聞」において性質の異なる2つの裁判を1つの裁判だったかのように記載し、Kに勝訴したことにしているのだった。そもそも新聞折込に関する限り印刷会社の立場は矢野の代理なのであって、K側ではないのである。とうてい尋常な記事とはいえまい。

 上記の「東村山市民新聞」の記事についてKの代理人は超党派事件における準備書面で次のように述べている。

〈原告らは、このような記事を「取材に基づく事実報道」というのであろうか。

 一方でこのような記事を平然と掲載しながら、「超党派でつくる新聞第3号」……程度の記述を理由に、被告○○(店主)に対し本件訴訟(筆者注=Kに対する3度目の提訴)に及んだ原告らの行動は、誠に理解することが困難である。〉

 その後、東村山市内の新聞販売店は市民からの抗議が相次いだこともあって「東村山市民新聞」の折込をしなくなった。これに対して矢野は市内の新聞販売店を提訴したが、この裁判でもKを提訴したのである。4度目の提訴だった。これに対してKは答弁書で次のように主張している。

〈本訴は確定判決の存在する事件(筆者注=折込拒否に関する判決)についての2度目の蒸し返し訴訟である。その度に応訴させられる被告の迷惑は極めて大きいものである。〉

 平成16年、東京地裁八王子支部は「販売店の側には折込契約を締結するしないの自由があり、『東村山市民新聞』の折込契約を締結すべき法的義務を認めることはできない」などと述べ、矢野と朝木の請求を棄却した。きわめてまっとうな判断である。

 この裁判を最後にKに対する矢野の提訴は終息したが、Kに対する提訴内容からも「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性を認めた本件判決の正しさが十分に納得できるのではあるまいか。

(了)
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