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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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「行動する保守」事件 第1回
 平成22年5月7日に東村山警察署元副署長千葉英司が「行動する保守」Aとその弟子を提訴したことはすでにお知らせしたとおりだが、5月25日、「行動する保守」Aらのもとに訴状が送達されたようである。

 平成20年7月29日、「行動する保守」Aは八王子駅前において、朝木明代の万引きを苦にした自殺事件について「東村山署は明代を殺害した犯人を特定していたにもかかわらず、自殺として処理した」とする「内部告発」を得たとして、「創価学会の関与が疑われるこの事件の真相を究明しなければならない」と主張した。以後、「行動する保守」Aの主張を信頼した「主権回復を目指す会」代表の西村修平や右翼M、浦安の行政書士などを糾合して「他殺」を主張する街宣活動を繰り広げてきた。もちろん背後で、明代の万引き事件でアリバイ工作に深く関与した東村山市議の矢野穂積、朝木直子が情報提供を行っていた。

 八王子での街宣後、私は「行動する保守」Aに対して「事実を精査してください」と直接お願いしたが、「行動する保守」Aはこれまでの裁判資料を精査したのかしなかったのか、その主張が変わることはなかった。「行動する保守」Aは私に対して「内部告発者」に「直接会った」とも述べているから、「内部告発」は「事実」で、その内容は「行動する保守」Aにとってよほど信用できるものだったのだろう。

 しかしこれまで、「行動する保守」Aはなぜか「内部告発」の内容について明らかにしないままである。その間、「行動する保守」Aの主張を信じて一行が行ってきた街宣活動などをめぐって西村、右翼M、行政書士が名誉毀損や肖像権侵害で提訴され、慰謝料の支払い命令が出るなど、「行動する保守」Aを信頼する仲間たちは次々に苦境に立たされている。

8項目にわたる請求

 さて、今回千葉が提訴したのは、「行動する保守」Aがこれまでブログに掲載してきた記事に関してである。弟子についてはブログの管理人として管理責任を問うている。

 具体的な請求項目は以下の8点である。



 被告らは連帯して140万円を支払え。

 平成21年11月13日付ブログに掲載したプラカードの写真にある「創価学会の4悪人」及び「千葉英二副署長」との文言を削除せよ。

 平成22年5月4日付ブログに掲載したプラカードの写真にある「創価学会の4悪人」及び「千葉英二副署長」との文言を削除せよ。

 平成21年7月13日付ブログに記載した「大嘘つきの千葉英司元副署長」「大嘘つきの千葉英司元副署長に抗議」「千葉の虚偽発言」との文言及び原告の写真を削除せよ。

 平成20年9月6日付ブログ(「朝木事件ウォッチャー・ブログの正体3」)に掲載した原告の写真を削除せよ。

 平成20年9月6日付ブログ(「朝木事件ウォッチャー・ブログの正体4」)に掲載した原告の写真を削除せよ。

 平成21年11月10日付ブログに掲載した原告の写真を削除せよ。

 平成21年11月20日付ブログに記載した「にも拘らず捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。」「この男こそが13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったと分かった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。」との文言をそれぞれ削除せよ。



 2、3、4は「侮辱」、4、5、6、7は肖像権侵害、は名誉毀損に基づく請求である。

 このうちについて、千葉は訴状で、〈被告らは本件ブログにおいて……訴外槇泰智が発行する政治団体「政経調査会」の機関紙「政経通信(平成21年9月1日付第38号)」を転載している。〉とし、その転載部分を示した上で、

〈(これらの記事は)「原告が、亡朝木は創価学会に殺害されたことを知りながらあえて自殺と断定して、これを隠蔽し、その隠蔽工作として亡朝木が万引きをしたという虚偽の事実を捏造した」また「原告は創価学会の犯罪組織関係者である」との事実を摘示し、……原告の社会的評価を低下させるものである。〉

 と主張している。したがってこの裁判は「行動する保守」Aにとって、「他殺を自殺として処理した」とする千葉を直接追及する絶好のチャンスと捉えることもできよう。「内部告発」の内容を公表する機は熟したといってもいいのではあるまいか。

「朝木明代殺害事件の真相を究明する」と宣言して一行をこの問題に引きずり込んだ者として、また一行の指導者としても、「行動する保守」Aは「内部告発」の内容を明らかにすべき責務がある。

 なお、第1回口頭弁論は6月30日午後1時30分と指定された。

(第1回口頭弁論後に続く)

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「行動する保守」事件 第2回
 ブログに記載した記事などをめぐり、元警視庁東村山警察署副署長千葉英司が「行動する保守」Aを提訴している裁判の第3回口頭弁論が平成22年11月10日、東京地裁立川支部で開かれる。

 9月8日開かれた第2回口頭弁論までに「行動する保守」Aは千葉の主張に対して争う意思表示を行い、問題とされた記事について真実性・相当性を主張し、〈その事実については、次回期日(平成22年11月10日)までに詳細に主張する。〉と述べていた。第2回口頭弁論で「行動する保守」Aは真実性・相当性の主張について「証拠が揃うのは9月末になる」としたため、裁判長は「では10月20日までに準備書面を提出してください」と期限を切り、「行動する保守」Aもこれを了承した。

 裁判長が弁論期日の1カ月前に期限を設定した理由は、千葉に反論の十分な時間を与え、次回期日までに準備書面を提出できるようにするためである。それによって訴訟を少しでも迅速化しようとしているのだと推測できた。そのこと自体については当初から「早期決着を目指す」としていた「行動する保守」Aにも異論はあるまいと思われた。

 その後「行動する保守」Aは彼に批判的な記事を書いている人物に証言を依頼したり、ブログでは「朝木明代殺害事件への私見と関わり」と題する記事を6回にわたり連載するなど、10月15日まで(その内容は別にして)真実性・相当性の立証にきわめて意欲的な姿勢をみせていた。

「行動する保守」Aは「明代の転落死が殺人事件であるにもかかわらず、自殺として処理した」とする「警察の内部告発者」と直接会ったという。さらに10月2日に行われた「朝木明代議員追悼の集い」の挨拶で、「『自殺ではなく他殺だった』とするFBI情報もつかんでいた」と述べたといわれる。

 さすがは「行動する保守」一行から敬意を集めるだけのことはあるというほかない。いったいどんな衝撃的内容の準備書面が提出されるのかと、支援者の期待もさぞ大きかったことと推測された。ところが自ら受け入れた提出期限である10月20日になっても、「行動する保守」Aから準備書面は提出されなかった。

 期限は過ぎたが、口頭弁論までにはまだ30日あるし、千葉としては1週間前に提出してくれれば弁論期日までに反論を準備できるだろうと考えていた。ところが期限から10日たっても20日たっても「行動する保守」Aからは何の音沙汰もなく、前日である11月9日12時現在に至ってもいまだ準備書面は送られてこないという。どうしたのだろうか。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第3回
出廷しなかった代理人

 これまで西村修平、右翼M、行政書士と「行動する保守」一行の裁判を見てきたが、口頭弁論に際して彼らがどんな主張をしてくるかではなく、たんに準備書面を提出するのかどうかだけにこれほど関心が集まったことはなかろう。

「行動する保守」Aが提出を命じられているのは、「行動する保守」Aが原告の千葉について「千葉は、朝木明代は創価学会に殺害されたことを知りながらあえて自殺と断定して、これを隠蔽し、その隠蔽工作として明代が万引きをしたという虚偽の事実を捏造した」などとする記載に関する真実性・相当性の主張・立証である。

「警察は犯人を特定していた」とする「内部告発」があったとして「真相究明活動」に乗り出した者として「行動する保守」Aは、(裁判所に通用するかどうかはともかく)すぐにでも説得力ある書面を提出できたはずである。ところが「行動する保守」Aは前回口頭弁論で裁判長に締切を延ばしてもらった10月20日という期限を守らなかったばかりか、口頭弁論期日の前日になっても書面を提出していなかった。

 口頭弁論の開始時刻は午後1時30分である。午前中、千葉のもとに「行動する保守」Aの準備書面は来なかった。「行動する保守」Aは直接裁判所に持参するつもりなのだろうか。

「行動する保守」Aが準備書面を提出しないということになれば、これは何かの異状を意味しよう。「行動する保守」Aは当初から代理人に委任している。仮に問題の表現が千葉の社会的評価を低下させるものと裁判所が判断しているとすれば、「行動する保守」Aが準備書面を提出せず、真実性・相当性を主張・立証しなければ敗訴は免れない。最終的には書面を提出するにせよ、わざわざ延期してもらった弁論期日に何も提出しないのでは心証もいいはずがない。弁護士なら今回の準備書面の重要性を十分に理解しているはずである。

 午後1時25分、傍聴人の入廷が許されて法廷に入ると、被告席には「行動する保守」Aとその弟子はいたものの、弁護士の姿はなかった。千葉が「行動する保守」Aの準備書面を受け取った様子もない。1時30分になり裁判官が入廷して、被告側代理人不在のまま口頭弁論が始まった。

 傍聴人は公安関係者らしき人物1名、それに「行動する保守」関連裁判ではこれまでみかけたことのない3人のグループなど私を含めて9名である。3人のグループは具体的な背景があって「行動する保守」師弟の裁判を見に来たようにもみえる。対照的に、一見して師弟の支援者とわかる者は1人もいない。

ムキになった「行動する保守」A

「行動する保守」師弟の代理人はどうしたのか。裁判長は師弟に向かってまずこう口を開いた。

「代理人は体調を崩されたということですが、被告は聞いていますか?」

 裁判長の質問に弟子が答えた。

「今日聞きました」

 代理人は裁判所にも依頼人にも無断で欠席したわけではないらしい。裁判長は弟子の回答に「体が悪いということなら仕方がないですけどね」と一言だけ感想を述べたあと、師弟に向かってこういった。

「前回お願いしておいた準備書面ですが、次回期日には提出してもらえるよう代理人にお伝えくださいね」

 やはり準備書面は提出されていなかった。閉廷後、千葉が書記官に確認すると、代理人が急病で出廷できなくなったと連絡があったのは当日の昼ごろ、開廷前1時間という時間帯だったという。連絡してきたのは代理人本人ではなく、代理人の事務所の職員だった。本人は病気だから電話もできなかったということのようである。

 ただ、もともと準備書面の締切は10月20日だったのだし、提出しようと思えばファックスで送っておけばよい。口頭弁論期日当日になって急に体調を崩したとしても、そのことと準備書面が提出されなかったことは関係がないのではないかと私には思える。しかし裁判長は、準備書面が提出されなかったことについて一言も追及するような発言はしなかった。

 その後裁判長は、原告の千葉に向かい、千葉が提出していた一部取り下げの件について説明を加え、訂正を求めた。千葉が請求していた写真の削除については、すでに「行動する保守」Aはすべて削除したと主張している。「したがって、本件の争点は記事の部分だけということになりますね」と裁判官は述べた。

 あとは次回期日を決めて終了と思っていたところ、裁判長は再び師弟の方を向いてこう聞いた。

「被告は前回の口頭弁論以降、代理人から事情を聞かれてますか?」

 裁判長はやんわりとだが、いきなり準備書面が提出されない理由に踏み込んだのである。この質問に対して口を開いたのは弟子ではなく、「行動する保守」Aだった。

「かなり前から、前回口頭弁論の前から聞かれていて、証拠もすべて渡していますよ」(趣旨)

 反論するような強い口調で、「自分がやるべきことはやっている。準備書面が提出されていないのはすべて弁護士のせいだ」といっているように私には聞こえた。「行動する保守」Aとしても、今回提出するはずだった準備書面が提出できなかったことについて気になっていないことはなく、裁判長から追及されていると感じたのかもしれない。

 ただ自己弁護をしようとするあまり、「行動する保守」Aは重鎮としては少しムキになってしまったようである。代理人を委任した以上、代理人と依頼人は一体であり、代理人のせいにしたところで依頼人と代理人の信頼関係を疑われるだけで、「行動する保守」Aには何の得にもならない。

 その上、「行動する保守」Aはつい本当のことをしゃべってしまい、代理人の顔まで潰してしまった。代理人は前回9月8日に開かれた口頭弁論で「証拠が揃うのが9月末になる」と述べていた。ところがこの日「行動する保守」Aは、「前回弁論の前にすでに証拠もすべて渡している」と答えたのだった。すると代理人は証拠に関して嘘をついて弁論期日を先延ばしさせたということになるのではあるまいか。裁判の争点とは直接関係がないとはいえ、「行動する保守」Aは余計なことをしゃべってしまったような気がしてならない。

 裁判官は「行動する保守」Aの回答を聞くと、「では、次回期日を決めたいと思います」といって「12月22日」「1月12日」「1月19日」の3つの候補を挙げ、代理人の都合を確認した上で、次回期日を決めることとしたが、裁判長は代理人の体調に言及することもなく最後にこう付け加えた。

「裁判所としては12月22日を希望しますけどね」

 少なくとも裁判長が、進行を早めたいと考えていることだけは確かなようだった。

珍しくない出来事

 余談だが、こと朝木明代の万引きを苦にした自殺をめぐる裁判において、裁判当日に当事者が急病になったり、提出すべき書面を提出しなかった例は珍しいことではない。

 政治ビラ「東村山市民新聞」の記事で創価学会から提訴されていた東村山市議の矢野穂積は、尋問当日になって「めまいがした」として尋問を欠席した。このとき裁判長は新たに期日を指定したあと、代理人に対して「今度はめまいにならないでくださいね」といったという。矢野の「めまい」に疑いを持っていたかのようである。

 矢野はすでに戦意を喪失していたのかどうか、次回期日には矢野本人だけでなく代理人も出廷しなかった。このため裁判長は即日結審し、200万円の支払いと謝罪広告の掲載を命じている。

 なお矢野の「めまい」について、私はのちに東京地裁内で直接矢野に聞いたことがある。矢野は「今もまだ悪いんだよ」と答えた。つまり矢野の「めまい」は、少なくとも出廷に耐えられないほどのものではなかったことがうかがえた。

 矢野が明代の自殺を「他殺」と印象づけるために無実の少年を暴行犯に仕立て上げた有名な「少年冤罪事件」では、一審の東京地裁八王子支部は〈仮にも公職にある者がこの曖昧な記憶に基づき、しかも司法警察職員による捜査がなされながら刑事訴追の手続きが執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異であると言わねばならない。〉などと矢野を厳しく批判し、矢野の請求を棄却した。矢野は控訴したが、代理人は控訴審の第1回口頭弁論期日までに控訴理由書を提出しておらず、代理人は口頭弁論には出廷したもののその場で結審し、矢野の請求は棄却された。代理人は良心の呵責に耐えられなかったのかもしれない。控訴審弁論の終了後、矢野はただちにこの代理人を解任している。

「行動する保守」Aによれば、代理人の手元にはすべての証拠がそろっているそうである。当然、その中には「内部告発」から「FBI」の資料も含まれるのだろう。十分な主張・立証ができよう。次回は急病にならないでもらいたいものである。

(第4回口頭弁論以降につづく)

追記 第3回口頭弁論の翌日(11月11日)午前9時19分、東京地裁立川支部から千葉に連絡があり、次回期日が平成23年1月19日午後1時30分に決まったとのことである。
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「行動する保守」事件 第4回
 昨年末以来、「行動する保守」一行の一角を担っていた浦安の行政書士周辺で著しい足並みの乱れが生じ、様々な反目や離合も起きているらしい。軽いめまいを覚えるが、個々に程度の差はあるとしても、直近の動きはしょせん「行動する保守」内部のコップの中の嵐で、いずれも常識外の出来事のように思える。

 足並みの乱れということでは、最初に表沙汰になったのは「行動する保守」の重鎮、西村修平の「主権回復を目指す会」である。その後千葉が提訴した裁判で平成22年12月10日、離脱した相被告の元側近が西村との同席を忌避し、分離裁判を求めたことで、彼らの関係がたんなる離脱や退会ではすまないものとなっていることを内外に印象づけた。

 内情を知る者の造反は組織にとってやっかいである。そのせいか、東京地裁立川支部に集まった西村のほか右翼Mや「行動する保守」Aの弟子らは原告の千葉よりもむしろ袂を分かった元側近に対して苛立っているようにみえた。行政書士の周辺で発生したとされる一般には難解な事件をめぐっては衝動的かつ煽情的な彼らの生態の一端が暴露され、関係者は著しく信用を失墜させているようである。事情は異なるとはいえ、側近から反旗を翻された西村としても内心穏やかではないということなのかもしれなかった。

「行動する保守」Aの立場

(あくまで内輪の支援者から)指導者として敬意を集める「行動する保守」Aも、そんな「行動する保守」の状況をことのほか憂慮していたようである。「行動する保守」Aは平成22年末、「行動する保守」内部で起きた離反劇について「各団体の内部における問題なので、深く言及することは致しませんが」と前置きした上で「(当事者は)深く反省すべきであると私は感じました」と年長者らしく間接的な表現で苦言を呈し、またそれが自らの関係する団体にも波及したことについて「その責任を痛感した次第です」と述べている。

 ただ、「行動する保守」Aは最後に「責任を感じている」と受け取れる発言をしているものの、「行動する保守」内部で相次いだ反目や離反がいったいいかなる問題によって起きたのか、「行動する保守」Aがなぜ「責任を感じ」なければならないのかについてはさっぱりわからない。さらに「行動する保守」Aが、「そのような事情もまた……活動に足が遠のく原因になった」と告白していることについてはもっとわからない。「行動する保守」内部で起きた混乱が「(自分とは直接関係のない)各団体の内部における問題」にすぎないのなら、なぜ「行動する保守」Aが「活動に足が遠のく」ことになるのだろうか。

「行動する保守」Aは指導者として、こんな曖昧な一文で支援者らに対して十分な説明をしたと考えているのだろうか。あるいは「行動する保守」の内部にいれば、この説明で得心がいくということなのか。理由は定かではないものの、私には「行動する保守」Aが具体的な原因に言及することを意図的に避けているようにみえる。

 いずれにしても、それまでの信頼関係の崩壊は、西村と元側近の関係がそうであるようにいろいろな要素が積み重なった結果であるのが通常である。「行動する保守」においてその大きな原因のひとつをなしているのが、「行動する保守」Aが「内部告発者の証言を得た」として東村山デマ事件に「行動する保守」一行を引きずり込んだことにあると私は考えている。

 現に西村と元側近は千葉から提訴されて彼らが反目し合っている事実がいっそう顕著になった。それだけでなく、今後「行動する保守」の混乱に拍車をかけるような内部事情が暴露される可能性もないとはいえない。そのような事態にならなかったとしても、千葉から提訴されたこと自体、そもそも彼らを東村山デマに引きずり込んだ「行動する保守」Aの責任は免れまい。「行動する保守」Aが同じ記事で「逮捕された事件の裁判結果はまだ残されており、民事訴訟も数多く抱えています。このような問題に関する裁判支援闘争などには引き続き参加していきたいと考えています。」と述べているのは指導者としての責任感の表れとみるべきではあるまいか。

 ただし「行動する保守」Aは西村や右翼M、行政書士らが提訴された裁判の傍聴に行き、あるいは街宣に参加しただけでは「裁判支援闘争」に参加したとはみなされまい。「行動する保守」Aは一行を東村山デマに引きずり込んだ最大の責任者である。したがって「行動する保守」Aの「裁判支援」とは、彼が「直接会って聞いた」とする「現役警察官による内部告発」の事実を立証すること以外にはあり得ない。

「行動する保守」Aは「調査を継続」

「行動する保守」Aが「内部告発」なるものを公表したのは平成20年7月29日である。それから2年半になろうとするが、「行動する保守」Aはいまだその内容を公式に説明すらしていない。「行動する保守」Aがそれさえ立証すれば「朝木明代謀殺事件の真相」が明らかになり、一行が提訴されている裁判も有利になる可能性もあろう。

「行動する保守」Aは「内部告発」の内容をいつ詳細に説明し、立証するのか。この点について右翼Mは、行政書士とともに創価学会から提訴された裁判(東村山街宣事件)の控訴理由書(平成22年12月21日付)で、「内部告発」立証の進捗状況について次のように述べている。



 平成20年9月1日に東村山駅前において、民間団体が主宰する(ママ)「東村山市議朝木明代さんの謀殺事件の真相を究明する集会」が行われ、被告Mは参加している。

 主宰者(ママ)の訴外「行動する保守」A(筆者注=書面では実名)は演説の中で、「創価学会の関与は疑いの余地が無い。警察関係者からの内部告発があった」、と断言している。

 当時の事件に関った警察関係者が創価学会の関与を知っているものであるから、この警察関係者が真実を証言すれば、創価学会が殺害事件に関与したことは明白となる。

 しかしながら現在はまだ、当の警察関係者が公に証言を行うことを躊躇しているものと思われる。警察関係者からの綿密且つ、正確な情報収集と証拠が提出できれば、事件の真相が解明されることは間違いない。

 今現在、関係者を通じて警察関係者との交渉で調査・聞き取りを継続している。



 最後の一文は主語が欠落しているが、「調査・聞き取りを継続している」のはもちろん「行動する保守」Aで、右翼Mは「行動する保守」Aから直接こう聞いているということと理解できよう。

「関係者を通じて」というのは再伝聞で証拠とするには難しかろうが、「行動する保守」Aは最終的にこの「警察関係者」による実名の告発(陳述書あるいは人証)を提出するつもりなのだろう。「行動する保守」Aはすでに3年前、この「警察関係者」に「直接会った」というのだから、「関係者を通じ」るのではなく、また会えばいいのではあるまいか。

 一方、「行動する保守」A自身とその弟子が千葉から提訴された裁判の口頭弁論は1月19日に迫っている。「行動する保守」Aは平成22年9月8日付準備書面(第2回口頭弁論)で〈事実については次回期日までに詳細に主張する。〉と述べたものの、同年11月10日に開かれた第3回口頭弁論では準備書面を提出しなかった。第2回口頭弁論から4カ月、前回口頭弁論から数えても丸2カ月がたっている。

 したがって今度こそ「行動する保守」Aは「朝木明代謀殺事件が陰謀によって自殺として処理された事実」について「詳細に主張する」ものと思われるが、第4回口頭弁論まで1週間と迫った平成23年1月13日現在、「行動する保守」Aから準備書面はいまだ届いていないという。「調査・聞き取り」を継続しているのだろうか。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第5回
 平成7年9月1日に発生した東村山市議朝木明代の転落死事件をめぐるブログの記事によって名誉を毀損されたなどとして、元警視庁東村山警察署副署長の千葉英司が「行動する保守」Aとその弟子を提訴していた裁判の第4回口頭弁論が平成23年1月19日、東京地裁立川支部で開かれた。

 千葉が問題としているのは、①平成21年11月13日付および②平成22年5月4日付ブログに掲載したプラカードの写真にある〈創価学会の四悪人〉〈千葉英二副署長〉との文言や別のブログ記事に千葉の写真が4回にわたって無断掲載されたこと(請求③~⑥)、さらに⑦平成21年11月20日付ブログに掲載した〈にも拘らず捜査の指揮をとった東村山署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。〉〈この男こそが13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったと分かった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。〉などとする記事である。

 記事は要するに、朝木明代の転落死は「他殺」だったにもかかわらず、千葉は〈自殺事件にすり替えた。また(関与が疑われている)創価学会シンジケートと繋がっている〉と主張するものと理解できる。これに対して千葉は写真や文言の削除を求めるとともに記事によって名誉を毀損された(⑦)として総額140万円の支払いを求めている。

延びに延びた「事実立証」

 第3回口頭弁論終了時の段階で注目されていたのは、「行動する保守」Aが本人に「直接会って聞いた」とする「現役警察官による内部告発」の事実について主張・立証するのかという点だった。「行動する保守」Aのいう「内部告発」とは、「朝木明代の転落死は殺人事件だったにもかかわらず、自殺として処理された」というものである。事実なら東京地検および警視庁が発表した「万引きを苦にした自殺」という結論が覆る可能性もある。

「行動する保守」Aは平成20年7月29日、この「内部告発」を聞いたことによって朝木明代転落死事件の「真相究明活動」に乗り出したとし、以後、「行動する保守」一行を巻き込んでいった。その結果、これまでに西村修平は計30万円、右翼Mと浦安の行政書士は連帯して110万円の支払いを命じられるなど窮地に陥っている。

 しかし「行動する保守」Aが「内部告発」の内容を明らかにするとともにその内容を立証することができれば、自分の裁判だけでなく敗訴している盟友たちを泥沼から救い出すこともできよう。もちろんそれは朝木明代の「万引き犯」の汚名をそそぐことでもある。

「行動する保守」Aも平成22年9月8日(第2回口頭弁論)に提出した準備書面で、「朝木明代は謀殺されたにもかかわらず、千葉によって自殺として処理された」とする事実が「真実であると信じるについて相当理由があった」ことについて「次回期日までに詳細に主張する」と述べた。それこそ「行動する保守」一行をデマの泥沼に引き込んだ者が果たすべき当然の責任というべきだろう。

 この日の弁論で裁判長から「いつまでに準備書面は用意できるか」と聞かれた「行動する保守」Aは「資料が揃うのに9月いっぱいはかかる。それから書面に取りかかるので相応の時間をいただきたい」としたため、裁判長は第3回口頭弁論を11月10日とし、書面の提出期限を10月20日と言い渡した。

 この重鎮はその後10月1日には、東京・赤坂のビルから転落死した右翼と知り合いで、その転落死と朝木明代の自殺事件の間になにか、真相究明につながる共通点があるかのような主張を自信たっぷりに披瀝するとともに、次のように述べていた。

〈私はこの人物と当時仕事上で付き合いがあり、この人物の依頼で単行本を出すなどかなり親密な付き合いがありました。在日朝鮮人で右翼団体の会長という立場でしたが、この人物との関わりがなければ、私がこの朝木さんの事件で警察官と接触する機会を与えられることなどは絶対なかったことだけは確実です。〉

 ここでいう「警察官と接触する機会」とは「現職警察官による内部告発」のことを意味するのではないかと思われた。「行動する保守」Aはそれ以上は言及しないが、「内部告発者に会った」ことをあらためて自認する文言と受け取れよう。「資料が揃う」という10月には「朝木明代謀殺事件と隠蔽の事実」がいよいよ明らかにされると期待された。

 ところが裁判官から指定された10月20日を過ぎても「行動する保守」Aから準備書面はいっこうに提出されず、そのまま11月10日の第3回口頭弁論期日を迎えたが、当日になってアクシデントが発生した。代理人が「急病」になってしまい、出廷できないという。結局この日出廷したのは「行動する保守」Aとその弟子のみで、準備書面も提出しなかった。

「急病」はあり得たとしても、前回弁論から2カ月にもなるというのに準備書面も提出できないとは普通では考えにくい。ファックスで送ればいいのである。いずれにしても、準備書面も提出しない代理人の対応はどうみても不自然だった。翌日、第4回口頭弁論期日が平成23年1月19日と決まったが、「行動する保守」Aのいう「朝木明代謀殺事件と隠蔽の事実」の公表は、結果として当初の締切(10月20日)から3カ月も引き延ばされたことになる。

前日に提出された準備書面

「行動する保守」Aが準備書面2を提出したのは口頭弁論の前日(1月18日)夕方である。しかし結論からいえば、その準備書面では「内部告発」にはいっさい触れられておらず、それどころか「朝木明代謀殺事件と隠蔽の事実」についての具体的な主張・立証は何も書かれていなかった。その代わりに「行動する保守」Aが述べたのは「東村山の闇」裁判との関係だった。「行動する保守」Aは次のように述べていた。



 この控訴審(「東村山の闇」裁判)は、平成20年12月15日に弁論終結し、平成21年3月25日に判決が言い渡されたが、被告ら(「行動する保守」Aら)を含め創価学会・公明党に批判的な人々はどのような判決がなされるか、注目していたところで、この判決の内容は直ちにそれらの人々に知られるところとなった。

 上記1記載で明らかであるように、肖像権侵害と訴えられている、請求の趣旨、5及び6の、平成20年9月6日付ブログは、この判決がなさるより前のものであるが、これ以外は全て、判決がなされた後のものである。そして本件ブログで被告ら(「行動する保守」Aら)が述べたものの内容は、上記の訴訟で被告ら(矢野と朝木)が表現したものと変わるところはない。

 上記高裁判決は、抗弁を含めて、違法性ないし責任が阻却され、名誉毀損とならない、としたのであるが、これは、本件の被告らにも同様に該当する。さらに、この高裁判決により、被告らは、より積極的に、違法性ないし責任はないと認識するにいたったのであり、そのように解したとして、何ら非難されるべき点はない。



 要するに「行動する保守」Aは、本件ブログで表現した内容と「東村山の闇」の内容は同様のもので、しかも本件ブログは1件を除いてすべてこの判決後のものだから、違法性はないと主張していた。表現の日時、態様、具体的表現内容などが異なれば判断も異なるのが通常である。したがって、抗弁は具体的表現に則してしなければならない。

 ところがこの代理人は、ブログの表現を一括りに「東村山の闇」の表現と「変わるところはない」として、具体的表現についての主張・立証をいっさいしないまま違法性はないと主張していた。この内容なら答弁書の段階で主張できよう。この弁護士は、千葉が法律の素人だからといってナメているのだろうか。

 いずれにしても、千葉としては準備書面2の内容を訴状に対する具体的反論と認めるわけにはいかなかった。はたして裁判長はこんな大雑把な主張を具体的主張と認めるのかどうか。これが第4回口頭弁論に際しての千葉の当面の関心事だった。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第6回
「行動する保守」Aの釈明

 平成23年1月19日午前、「行動する保守」Aのブログに次のような「お知らせ」が掲示された。

〈本日私が訴えられた裁判が東京地裁立川支部で午後から行なわれますが、弁護士と打ち合わせの結果、弁護士だけが裁判に出席することになっており私は今回は出席致しませんのでお知らせします。〉

 これが掲示された時点ではまだ「行動する保守」Aと弁護士との間でどんな「打ち合わせ」が行なわれたのかは定かでない。しかし急用なら弁護士との間で「打ち合わせ」する余地はないから、「行動する保守」Aは急用以外の理由で弁護士との「打ち合わせ」を行なったということになる。

「打ち合わせ」をした理由としてとりあえず考えられるのは、延ばしに延ばしたにもかかわらず、具体的中身のない準備書面の問題だろうと私は考えていた。「行動する保守」Aはこのまま真実性・相当性の主張をしないまま、すなわち「内部告発」を明らかにする責任から逃げるつもりだろうか。さすがの支援者たちも「行動する保守」Aの本心を察知し始めたのか、法廷には支援者とおぼしき人影は皆無だった。

「行動する保守」Aは、この日提出した準備書面2に真実性・相当性(とりわけ「内部告発」の事実)についての主張がいっさいなかったことに批判が集中したため、その言い訳をしておく必要があると考えたようである。口頭弁論翌日の1月20日になって「出廷しなかった理由」を自ら次のように釈明した。



 私の評論・論評は裁判所の下したこのような結果(過去に千葉が争った多くの別件裁判の結果)を踏まえ、この事件の真相究明を行なっているだけであって、それ以外の何ものでもありません。

 既に裁判で何度も争われその結果は出ています。私の評論活動はその裁判所が下した範疇の中にあるもので、それを超えるものではないという主張です。

 ……私としては裁判官がどちらの判決(千葉が勝訴した判決か敗訴した判決か)に軍配を上げるのかを待つだけです。

 これこそ早期の決着を求めたものであり、私としてはこれで結審すると思っていました。逆にまた次回期日が入ったことのほうが私には意外でした。



 私はこれほど(敵味方を含めて)人間をナメ、誠実さや責任などすべてに対して投げやりな言葉を知らない。事実を正面から見ようともせず、その態度のどこが悪いと開き直ったようにもみえる。

 あるいは論点のすり替えというのだろうか。もっともらしく聞こえるが、これまでの判決はそれぞれの具体的記載内容についてそれぞれ判断したもので、なんらかの「範疇」などという曖昧なものを示しているわけではない。ところが「行動する保守」Aは千葉が問題としている記載について「裁判所が下した(判決の)範疇の中にあるもので、それを超えるものではない」とし、だから「内部告発」の内容など真実性・相当性の主張・立証は必要ではないと主張していると理解できた。

 逆にいえば「行動する保守」Aは、準備書面2で「内部告発」の真実性・相当性に触れなかったことを正当化させるために、「範疇」などというわけのわからない屁理屈を持ち出したということである。「行動する保守」の重鎮として敬意を集め、あるいは「内部告発」の「事実」を唯一明らかにできる人物として期待されてきた者の言葉とも思えなかった。これでは真実性・相当性の立証すなわち「朝木明代謀殺事件」の「真相究明活動」から逃げたと評価されてもやむを得まい。まれにみる卑怯者である。

診断書の日付に疑問 

 さて1月19日に開かれた第4回口頭弁論は、「行動する保守」Aの代理人に対する裁判長の注意から始まった。裁判長は準備書面の提出が口頭弁論前日だったことについて「提出期日については連絡していたわけですし、書面の提出が口頭弁論前日では困ります。これまでの経過もありますから代理人は配慮してほしいですね」(趣旨)と苦言を呈した。今回の準備書面の提出について「行動する保守」Aに対し裁判長は期限を指定していたようである。

 第2回口頭弁論から第3回口頭弁論までに2カ月の時間を与えたにもかかわらず、代理人が「急病」を理由に書面を提出しなかった経過からすれば、裁判長が提出期限を設定したとしても無理はあるまい。それがいつだったのかは明らかではないが、通常、民事裁判では準備書面の提出は1週間前には提出を求められる。したがって、裁判長の設定した提出期限は1月15日以前だったとみるのが自然である。「行動する保守」Aによれば、「行動する保守」Aは1月15日に弁護士との「打ち合わせを終えていた」というが、すでにその時点で締切を過ぎていたということになろうか。

 これで弁論に入るかと思っていると、裁判長から被告代理人に対して千葉や傍聴人が予期していなかった確認が行なわれた。細部の事情まではわからないものの、裁判長は代理人に対して「診断書の日付はどういうことですか」と訊いている。前回「急病」で出廷せず、準備書面も提出しなかった代理人に対して裁判長が診断書の提出を求めていたのだろう。裁判長が「急病」の真偽を疑ったのかどうかは定かでないものの、代理人が提出した診断書の日付は裁判長を納得させるものではなかったようである。

 そのせいかどうか、裁判長は代理人に対してあらためて体調を尋ねた。すると代理人は「正月にゆっくり休んだので大丈夫です」(趣旨)と答えた。裁判長は代理人にまた「急病」になられても困るから、一応回復具合を確認したのだろう。代理人の返答は「もう急病にはなりません」という趣旨であると私は理解した。

 国民の人権を守るべき弁護士がたびたび「急病」によって裁判を遅滞させるようなことは避けなければならないし、遅滞に際して仮病が疑われるなど論外である。弁護士としての信用にもかかわろう。裁判長はこの短いやり取りにおいて「言質を取った」と言い換えてもいいかもしれない。

屈辱的な1日

 被告代理人に対する裁判長の対応は病み上がりの者に対するものとしてはやや厳しいようにもみえたが、裁判長の姿勢は準備書面の内容とも関係していたのではないかという気もする。前述のとおり、「行動する保守」Aは準備書面2においてなんら真実性・相当性の主張・立証をしていない。それどころか、この内容なら答弁書の段階で提出することも難しくはないように思えた。

「行動する保守」Aは真実性の立証(「内部告発」の立証)から逃げただけとみえるこの準備書面について、ブログではそれがあたかもまともな反論であるかのような言い訳を並べている。しかし裁判長の見方は異なっていたようである。裁判長は準備書面2に対して次のように述べた。

「別件事件の判決(「東村山の闇」事件)があったことはわかりましたが、本件では別件とは異なる具体的な反論が必要だと思います。次回までに本件記事に則して個別に記載の理由、目的などについて具体的に主張して下さい」

 記事の記載の主体、媒体、記載日時、表現内容、記載の態様、目的などが異なれば、それはもうまったく別の表現であって、他に似た事例があったとしても単純に同一のものとして扱うことはできない。「ブログの表現は『東村山の闇』の表現と同様である」などという準備書面2におけるきわめていい加減な主張は当然、無視されたということだった。

 法律の専門家である「行動する保守」Aの代理人がそのことを知らなかったとは考えられない。「行動する保守」Aは準備書面2によって十分な反論をしたと思い込んでいたらしいが、代理人は裁判長の見解を十分に予測できたのだろう。代理人はこの点に関しても口答え一つせず、裁判長の指示を素直に受け入れた。

 代理人の反応をみるかぎり、準備書面2に関する「行動する保守」Aと代理人の認識はかなりずれていたように思われた。少なくとも代理人は、準備書面2の内容では裁判所には通用しないことを自覚していたのだろう。だから代理人は裁判長に対して、書面の内容が「行動する保守」Aと協議の上のもので、これが結審を想定したものであるとはいえなかった。これで結審などとは、弁護士としては恥ずかしかろう。

 裁判長は次回期日を3月2日午後1時20分と指定し、被告代理人に対して準備書面の提出期限を2月18日午前必着とした。準備書面の提出期限について「午前必着」とまで言い渡した例も珍しかろう。この代理人と「行動する保守」Aに対する裁判官の不信感がうかがえよう。「行動する保守」Aの代理人にとって診断書の日付の齟齬に始まり、準備書面提出の遅れ、準備書面の内容すべてにおいてこの日はきわめて屈辱的な法廷だったのではないかと推察する。

 余談だが、閉廷後、千葉は横を通り過ぎようとする「行動する保守」Aの代理人に聞いた。

「Aさん、急病ですか?」(私には「仮病ですか」と聞こえたが、千葉はそれを否定した)

 すると代理人はこう応えた。

「お父さんが亡くなってから福島にいることが多いんですよ。今回は雪で来れなかったんです」

「行動する保守」Aが出廷しなかった理由について代理人は、雪のせいにするのが無難と判断したようである。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第7回
 東村山市議、朝木明代が書類送検された万引き事件を「捏造」した上、「他殺」の証拠を隠蔽して「自殺」として処理したと名指しして誹謗されたとして、当時の捜査責任者で東村山警察署副署長だった千葉英司が「行動する保守」Aとその弟子を提訴していた裁判の第5回口頭弁論が平成23年3月2日、東京地裁立川支部で開かれた。
 
 第5回口頭弁論を迎えるにあたり注目されていたのは、西村修平や右翼Mら「行動する保守」一行を東村山デマの泥沼に引きずり込んだ責任者として、「行動する保守」Aが「明代は殺された」「千葉は『他殺』の証拠を隠蔽した」などとする主張の具体的根拠(すなわち「内部告発」)を明らかにする(主張する)のか――という点だった。前回口頭弁論(平成23年1月19日)で「行動する保守」Aは、裁判長から「遅くとも2月18日午前中までに具体的な反論を記載した準備書面を提出するように」と命じられたが、「行動する保守」Aはこの命令を無視していた。

都合のよくない判決

 東京地裁が命じた準備書面の提出期限2日前の2月16日、「行動する保守」Aにとっては常識的にみてあまり好材料とはいいにくい判決が言い渡されていた。「行動する保守」Aが丸々引用して本件の請求原因の1つともなった右翼Mによる記事を千葉が提訴していた裁判で、東京地裁が右翼Mの主張をことごとく退け、右翼Mに対して10万円の支払いを命じたのである。

「行動する保守」Aが判決内容を詳細に検討したかどうか、またこの判決と裁判所が命じた提出期限が反故にされたことと関係があるのかどうかはわからない。しかし、判決内容とそれが自分の裁判にどう関係してくるかについて何か感じるところがあったとしても不思議はなかった。

 東京地裁が右翼Mに対して10万円の支払いを命じた判決の内容を確認しておこう。

 千葉が提訴していたのは、右翼Mが発行した「政経通信」第38号(平成21年9月1日付)にトップ記事として掲載した〈創価学会の犯罪を許さない 徹底した総力戦で粉砕するぞ!〉と題する記事である。同記事において右翼Mは〈(創価学会=)殺人さえも厭わない犯罪者集団〉〈高額賠償請求の乱発は司法を駆使した恐喝行為だ〉などとするリードのもと〈(朝木市議の転落死事件は)創価学会が口封じに殺害した可能性が高く、現場の状況証拠から見て、これは確定的である。〉などと記載した上で、千葉について次のように記載した。

〈にも拘わらず捜査の指揮をとった東村山警察署の千葉英司副署長(当時)は強引に自殺として処理。〉

〈自殺に見せかけるためにはその動機が必要となる。そのために同年6月19日に朝木市議が駅近くの洋品店でブラウスを万引きしたという事件をでっち上げた。後日取調べを受けた朝木市議は書類送検されたことを苦に自殺したというストーリーまでお膳立てしていた。〉

〈この男こそが13年前、自殺事件にすり替えた張本人・千葉英司だったとわかった。警察を退職した今でも創価学会シンジケートで繋がり、店主を装って用心棒を演じていたとは。〉

 一般読者が記事の流れに沿って上記記載を素直に読めば、「朝木明代市議は創価学会によって口封じのために殺された。ところが万引き事件をでっち上げた上に(この部分の主語は欠落しているが、読者が「創価学会が捏造した」と理解してもなんら不思議はない)、千葉はこれを強引に自殺と捏造した。千葉は現在も創価学会の犯罪組織に所属している」と理解するのではないか。千葉はこれらの表現によって名誉を毀損されたとして提訴したのである。

これまで相手にされなかった「根拠」

 これに対して右翼Mは、①「記事は創価学会による犯罪行為を糾弾するのが目的であり、千葉の糾弾を目的とするものではないから、原告の社会的評価を低下させるものではない」②「被告は原告が創価学会と何らかの関係性があったとは指摘せずに『創価学会シンジケートと繋がり』と軽く触れたにすぎない」などと主張して名誉毀損の成立を否定。

 さらに、記事が仮に千葉の名誉を毀損するとしても、③千葉が朝木市議に対する殺人事件を自殺として処理したこと④千葉が、朝木市議の万引き事件がえん罪であるのに、万引き事件をでっち上げたこと⑤千葉が創価学会シンジケートで繋がり、洋品店の店主を装って用心棒を演じたことはいずれも真実であり、違法性を欠くと主張し、「万引き冤罪」と「他殺」、さらに「東村山署が殺人を隠蔽したこと」「千葉と創価学会の関連性」が真実であることの根拠として以下の事実を挙げた。



(右翼Mが示した真実性の根拠)

1 本件万引き事件が冤罪であること


a 本件洋品店における朝木市議に対する目撃証言と当日の服装が異なる。

b 万引きしたとされる店頭につるされたTシャツにはビニールのカバーが掛けられており、……ビニールカバーには朝木市議の指紋が付着しているはずである。しかし、東村山署はこのビニールカバーから指紋の採取を行っていない。

c 朝木市議が万引きで書類送検された直後、原告は、報道関係に対し、「明代が万引きを隠そうとして同僚議員の矢野穂積とアリバイ工作をしようとした疑いが濃い」と発表したにもかかわらず、裁判で証人尋問されると「アリバイ工作をしたなどといってはいない」と供述した。

2 本件転落死事件が殺人事件であること

a ビル1階に入居するモスバーガー店長の「飛び降りたんですか」という問いに、朝木市議は「いいえ、飛び降りていない」と答えている。

b 朝木市議の両上腕内側に何者かに強い力で掴まれたような皮膚変色がある。

c 朝木市議は平成7年9月2日に高知県で開催される「創価学会問題シンポジウム」に講師として出席する予定で、殺害された当日は自宅で講演の原稿を作成していた。

d 殺害される直前の午後9時19分、朝木市議から事務所にいた矢野穂積に対し「ちょっと気分が悪いので休んでいきます」と電話が入った。録音されていたこの声を日本音響研究所で鑑定したところ、平静を装っているが究極の極限状態の声であると鑑定された。

e 朝木市議が転落した午後10時、「ギャー」という悲鳴とドスンという音を複数の人が聞いている。

f 同年9月2日に警察犬を入れて現場一帯を創作したが、朝木市議の靴も鍵の束も発見されなかった。しかし、その夕方には2階裏の階段踊り場で、鍵の束が発見された。警察犬や関係者が去った後に何者かが置いていったと考えられる。

g 朝木市議の靴が見つかっていないから、自殺なら自宅から裸足で歩いていったことになる。諏訪町の自宅から転落した現場まで裸足で歩けば目立つはずであるにもかかわらず、一切目撃情報がない。

3 本件転落死事件が殺人事件であることを東村山警察署が隠蔽したこと

a 東村山警察署は朝木市議の遺族に対し遺体の面会を拒み続け、遺族らが対面できたのは、事件の一報が東村山警察署に入ってから6時間半も経過していた。

b 朝木市議の遺体の司法解剖も捜査も行われていない段階で、東村山警察署の鶴見刑事課長が遺族に向かって「自殺だよ、自殺」と繰り返し叫んだ。

c 東村山警察署では朝木市議の遺体を柩に入れて、火葬する準備に入っていた。遺族らは司法解剖を要求したが、当初、難色を示し、東村山警察署は行政解剖を主張した。

d 所在不明の朝木市議に関し、矢野穂積が午後10時33分に東村山警察署に行方不明である旨の電話を入れ、119番へも通報した。東村山警察署の須田豊美係長は、午後11時前には現場に落下して倒れているのが朝木市議であると知っていたが、矢野穂積に連絡したのは翌9月2日午前3時だった。

4 原告と創価学会の関連性

 本件訴訟は、創価学会による被害者に対する言論を抑圧する目的で乱発されている提訴の一環である。原告は、創価学会信者が被告を相手方として提起した著作権裁判の口頭弁論を、創価学会信者とともに傍聴していた。

 平成22年9月1日の午後3時半ころ、原告は、殺害現場であったマンションの5階から6階にある踊り場にいたことが目撃され、その際に、2名の創価学会信者が同行していたし、同ビル内には創価学会の御用ライターといわれる宇留嶋瑞郎もうろついていた。



 以上が、「真実性」に関する右翼Mの主張である。「4」を除き、いずれも矢野穂積が一連の裁判で主張したが、「万引き捏造」と「他殺」の根拠にはならないとしてことごとく排斥されたネタにほかならない(「4」にしても、これがどうして「万引き捏造」と「他殺」の根拠になるのか、常識的には理解できるものではあるまい)。右翼Mはそのことを自覚していたのか、矢野の主張をただなぞっただけで、いっこうに立証しようとはしなかった。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第8回
名誉毀損性を認定

 名誉毀損性はないとする右翼Mの主張(本連載第7回)に対して東京地裁はまず、記事の名誉毀損性について次のように述べた。



(名誉毀損性)
 
 本件記事は、これと一体をなす表題その余の部分において、朝木市議に関する本件窃盗被疑事件及び本件転落死事件が創価学会の謀略によるものだという事実を摘示し、創価学会が殺人さえも厭わない犯罪者集団であるとの主張をした上で、本件記事により、創価学会シンジケートなる犯罪組織と繋がった原告が、東村山警察署副署長としての在職中、本件窃盗被疑事件の捏造に関与し、さらに創価学会による殺人事件であった本件転落死事件について真実を曲げて本件窃盗被疑事件を苦にした自殺として処理し、警察官退職後も創価学会との関係から、本件窃盗被疑事件で虚偽の被害届を提出した本件洋品店の用心棒を演じていたとの事実を摘示するものである。

 ……上記事実は、原告が現職中に一部の者の利益のために万引き事件を捏造し、また殺人事件を意図的に自殺として処理した人物であったとの評価につながるものであるから、上記事実の摘示は、原告の社会的評価を低下させるものと認められる。



 上記のとおり、東京地裁は包括的に記事の名誉毀損性を認定した上で、さらに右翼Mの主張に沿って逐一右翼Mの主張を排斥している。



(①「記事は創価学会による犯罪行為を糾弾するのが目的であり、千葉の糾弾を目的とするものではないから、原告の社会的評価を低下させるものではない」とする主張に対して)

 本件記事は、原告を名指しし、原告自身の行為に着目してこれを批判する内容であるから、原告自身の社会的評価を低下させるものであり、また、被告自身が創価学会の批判をするとともに同団体と原告との関係を指摘しておきながら、原告が創価学会との関係を否定したから被告は原告を批判していないことになるという主張は、被告の独自の見解であり、失当である。

(②「被告は原告が創価学会と何らかの関係性があったとは指摘せずに『創価学会シンジケートと繋がり』と軽く触れたにすぎない」などとする主張に対して)

 創価学会「シンジケート」の用語について、それが仮に被告の主張するとおり、カルテルや商業組織という意味で用いられていたとしても、朝木事件を謀略したとする創価学会に関わる組織と原告との繋がりを示していることに変わりはないばかりか、……当該用語は、創価学会の犯罪組織との意味として理解するのが一般人の通常の解釈であると認められる。

 また、被告は、本件記事で「創価学会シンジケートと繋がり」と軽く触れたにすぎないと主張するが、創価学会が犯罪集団であるという前提の下に、原告が、創価学会に批判的だった朝木市議に関する本件窃盗被疑事件を及び本件転落死事件の真実を歪曲したという本件記事の記載を見れば、……原告は創価学会シンジケートなる組織との何らかの関係から、その意を受けて、当該行為を行ったと理解するのが一般の読者の読み方であり、……原告の社会的信用及び評価を低下させることは明らかである。



 右翼Mは「朝木市議は創価学会によって殺害された」「東村山警察署副署長が自殺にすり替えた」「万引きはでっち上げ」などの記載はこの14年間に多数流布されているから名誉毀損にはならないとも主張したが、東京地裁は〈被告が本件記事で記載する朝木事件に関する原告及び創価学会の関わりが社会一般に周知されその評価が確定しているほどのものであったとは認められない〉として右翼Mの主張を斥けている。

 また名誉毀損性の認定に関して右翼Mは、「『政経通信』は不特定多数の者に配布されていないから名誉毀損は成立しない」とも主張していた。しかしこの点についても東京地裁は、〈政経通信は、「政経調査会」あてに直接申し込む方法のほか、……「模索舎」で入手でき、……特定の者にだけ政経通信を配布したとの事実はなく、政経通信の配布による本件記事の伝播可能性は極めて明らかである〉と認定し、右翼Mの主張を否定している。

2行で否定された「真実性」

 その上で東京地裁は、真実性・相当性(違法性阻却事由)を検討している。まず右翼Mが主張した16項目(「右翼Mが示した真実性の根拠」=本連載第7回)にわたる「根拠」について東京地裁は次のように述べた。



(真実性について)

(被告が主張する16項目の)事実を認めるに足りる証拠はなく、本件記事が摘示し又は前提とした事実の重要な部分が真実であるとは認められない。



 右翼Mは「真実性の根拠」としてかなりの行数を費やしたが、東京地裁が真実性の否定に費やした行数はわずか2行である。なんらの証拠も提出されないのでは検討以前の問題で、右翼Mの「真実性の主張」が最初から相手にされなかったとみえるのもやむを得まい。

「十分な裏付け調査」を否定

 では「相当性」についての東京地裁の判断はどうだろうか。右翼Mは〈「朝木市議殺害は創価学会による犯行である」、「東村山署副署長が自殺にすりかえた」、「万引きはでっち上げだ」等の言論が14年間にわたり種々雑多な出版物及び言論活動で紹介されており、また別訴の平成14年3月28日判決(筆者注=『潮』事件判決)においても、朝木市議が万引きをしたという事実及び矢野穂積議員とアリバイ工作をしたという事実もない旨が認定されている〉などとして記事の相当性を主張していた。

 これらの点について東京地裁は次のように述べた。



(相当性について)

 被告は、いかなる出版物及び言論活動のいかなる記述等をもって、上記事実を真実と信じるに至ったのかを具体的に主張立証しない。……

 同判決(筆者注=『潮』事件)は、朝木市議が窃盗犯人である可能性は相当程度に達するものの、なお犯人と断定するに足りない旨、また朝木市議のアリバイの主張には根拠はないが、それが虚偽であったとまでは認めるに足りないから、このアリバイの主張が意図的に虚偽の事実を主張したものとまで認めることはできない旨判示したにとどまる。



 また右翼Mが「相当性」の根拠として「矢野らが本件転落死につき他殺の可能性を示す証拠があると信じるについて相当な理由がなかったとはいえない」「矢野らが万引き事件について朝木市議が犯人でないことをうかがわせる証拠があると信じるについて相当な理由がないとはいえない」旨判示した「東村山の闇」判決を提出していた点について東京地裁は次のように述べた。


 仮に被告が本件記事を掲載するに当たり上記東京高等裁判所平成21年3月25日判決を1つの参考にしていたとしても、他に被告が本件窃盗被疑事件や本件転落死事件について十分な裏付け調査をしたことを認めるに足りる証拠がない本件においては、本件窃盗被疑事件がえん罪であることや本件転落死事件が殺人であることを被告が信じるについて相当な理由があったと認めることはできない。

 ましてや、本件において、原告が、本件転落死事件が殺人であることを知りながら、あえてこれを強引に自殺として処理したこと、本件転落死事件を朝木市議の自殺に見せかけるため、原告が朝木市議の本件窃盗被疑事件を捏造したこと、原告が創価学会シンジケートで繋がり、本件洋品店での小競り合いの際、本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎず、本件記事を記載した当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。



 東京地裁はこう述べて、記事の相当性も否定したのである。関連裁判において明代の「他殺」と「万引き冤罪」が認定された判決はただの1件も存在せず、矢野と朝木の責任が阻却された判決(「東村山の闇」判決)があるといってもその具体的表現内容は本件「政経通信」とは異なり、したがってその判決があるからといって本件記事の相当性が認められることにはならない。

 右翼Mが相当性を主張するなら記事掲載までにいかなる独自調査を行ったのか具体的に示さなければならないが、右翼Mにはそれができなかった。それでも後日、右翼Mは私に対して「矢野の宣伝を鵜呑みにしたのではなく、独自に判断したのだ」と語った。それはそれでよいが、問題はその「独自の判断」にどの程度の客観性が担保されていたかだろう。もちろん判例では「週刊誌が書いていたから」という理由は相当性の根拠として通用しない。

(つづく)

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「行動する保守」事件 第9回
相次いだ予期せぬトラブル

 右翼Mが千葉から提訴された裁判は右翼Mの完敗である。すると右翼Mの記事を丸々転載した「行動する保守」Aが右翼Mと同じ主張・立証をした場合には敗訴を免れないということになろう。ただ、右翼Mが敗訴したからといってただちに「行動する保守」Aも敗訴すると考えるのはやや早計だろう。なぜなら「行動する保守」Aは、「現職警察官による内部告発」という、事実なら東京地検の結論をも覆す切り札を持っているというのだから。

 しかし「他殺」の決め手となる可能性もある「内部告発」者に直接会っていながら、その後丸3年にもなろうというのに「行動する保守」Aはいまだその具体的状況さえ明らかにしない。「行動する保守」Aが千葉に提訴された平成22年5月の段階で支援者たちはおそらく、われわれの重鎮がいよいよ「内部告発」の真相を明らかにしてくれると淡い期待を抱いたのではあるまいか。
 裁判所も「行動する保守」Aに対してすみやかに具体的な反論を提出するよう求めた。これに対して「行動する保守」Aは当初、「9月中には(「他殺」の)証拠が揃うので、10月中には書面を提出する」などと回答した。ところがその後の3、4カ月というもの、重鎮の周辺には尊父の死去や相続などの煩わしい手続き、さらには代理人の急病など予期せぬアクシデントが相次ぎ、結局、平成22年中には準備書面そのものを提出しなかった。

 前回1月19日に行われた第4回口頭弁論では一応準備書面を提出したものの、千葉が「万引き事件を捏造」し、「殺人事件を隠蔽して自殺として処理した」と主張する事実に関する具体的主張はなく、記載事実に名誉毀損性は成立しないと主張していただけだった。このため裁判長は代理人に対してわざわざ体調を確認する気遣いまでみせながら、「2月18日午前中までに(内容のある)準備書面を提出されたい」としてさらに1カ月の猶予を与えたのである。

 第4回口頭弁論終了後、「行動する保守」Aは「(これで)結審すると考えていた」などと真実性の主張をいっさいしない応訴態度を正当化する見解を述べていた。あるいは「行動する保守」Aは、あわよくば「内部告発」どころか真実性の主張すらせずに逃げようとしていたのだろうか。

 しかし裁判官は、被告は真実性・相当性の抗弁が必要と判断していたものとみられた。右翼Mの表現が千葉の社会的評価を低下させるものと認定されたのと同様に「行動する保守」Aの裁判でも表現には名誉毀損性があると判断しているということではあるまいか。

 そのころ「行動する保守」Aはブログで〈(新連載)東村山朝木市議殺害事件〉なる連載を行っていたが、2月18日正午を過ぎても「行動する保守」Aから準備書面は提出されなかった。連載の内容は準備書面の役には立たない代物だったらしい。

 それまで「行動する保守」Aが「内部告発」の詳細はおろか真実性・相当性の主張をしてこなかった不可解な経過もあって、締め切りを過ぎた時点ですでに準備書面の中身よりも準備書面を提出するのかどうかが大きな関心となった。「内部告発を聞いた」として「行動する保守」一行を東村山デマに引きずり込んだ者として、ここまで信用を失くすのはまずいのではあるまいか。

右翼Mよりも老練な主張

 裁判官が設定した締め切りから1週間が過ぎても準備書面は届かず、「行動する保守」Aは今回も真実性・相当性の主張をしないかもしれないとの憶測も流れ始めた2月28日、千葉のもとにようやく準備書面3が届いた。第5回口頭弁論の2日前のことである。はたして「行動する保守」Aは「内部告発」を含めた「千葉が万引き事件を捏造」「殺人事件を隠蔽して自殺として処理した」とする事実の真実性・相当性についてどう主張していたのだろうか。「行動する保守」Aはまず次のように主張していた。



 本件で、原告の名誉を毀損したとされるブログの記事は、(右翼Mの)記事を、被告瀬戸が、同人が運営する「せと弘幸Blog『日本はどこへ』(ママ)」に転載したものである。

 被告瀬戸が転載した記事は、……全体としては、創価学会の行為を糾弾するのを目的としたものである。朝木市議の死亡事件の内容を説明する中で、……捜査の責任者として当時の副署長であった原告の氏名が登場したに過ぎない。

 ……それは、東村山署という組織が行った捜査の責任者としての捜査方法、内容を批判したにすぎず、そのことから直ちに原告個人の名誉が毀損されたことにはならない。



 転載した記事は創価学会を糾弾することを目的とするもので、また千葉に対する個人攻撃をしておらず名誉毀損は成立しないと「行動する保守」Aは主張しているが、ここまでの主張内容は右翼Mが千葉との裁判で主張した内容に酷似していた。

 主張のニュアンスが右翼Mとやや異なると思えたのはそれから先である。「千葉に対する名誉毀損は成立しない」と主張した上で「行動する保守」Aは、仮に記事が千葉の社会的信用を低下させるものだったとしても、〈本件記事を転載するについて、そこに記載されている事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があった〉と主張し、〈被告らが本件記事を転載するまでに知り得た主要な事実〉として14項目にわたる「事実」を具体的に示したが、その14項目もまた右翼Mが主張していた項目とすべて一致していた(本連載第7回参照=(右翼Mが示した真実性の根拠)のうち、「4 原告と創価学会の関連性」の項を除いた部分)。

 ただ、「行動する保守」Aが列挙した「事実」は右翼Mと同じであるものの、その主張内容は右翼Mとは異なっていた。不明確な部分はあるものの、右翼Mはこの14項目を掲げて真実性を主張しようとしたように思える。しかし「行動する保守」Aは真実性をいっさい主張せず、「これら14項目は週刊誌で報道されたものだから、それを事実と信じたことには相当の理由がある」と相当性の根拠として列挙していたのである。

 いうまでもなく「真実性」を主張すれば、直接的にそれが真実であることを立証しなければならないが、「相当性」なら「真実であること」それ自体ではなく「真実であると信じたことに相当の理由があった」と裁判官に認めてもらえばいいのである。右翼Mの裁判と判決が異なるかどうかは別にして、ともすれば猪突猛進する右翼Mと違ってさすがに重鎮は老獪というべきか、あるいはプロの弁護士に委任しただけのことはあったというべきだろうか。

(つづく)

※なお、千葉が西村修平と元側近を提訴していた裁判の元側近に対する第3回口頭弁論は3月17日に予定されていたが延期となった。期日は決まっていない。
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「行動する保守」事件 第10回
 第5回口頭弁論が開かれた3月2日、「行動する保守」Aは東京にいたにもかかわらずブログ上で早々に「出廷しない」と告知していた。そのためか、法廷に支援者らしき姿は1人もなかった。

 前回の口頭弁論で裁判長は、原告被告双方に対して「次回口頭弁論終了後に1時間ほど時間を取っておいてください」と通告していた。なんらかの非公開での話し合いを持ちたいという意向のようだった。非公開での話し合いとは通常、和解勧告とそれに基づく協議とみるのが自然である。

 裁判官は当初から「行動する保守」Aに対して真実性・相当性の主張・立証を行うよう促してきた。ところが「行動する保守」Aは前回口頭弁論までの段階で真実性・相当性の主張をしなかった。裁判官には今後もこのまま推移する可能性があるとみえたのだろう。しかも「行動する保守」Aの主張を待つ間にすでに3カ月を浪費していた。

 裁判所としては「行動する保守」Aが真実性・相当性の主張をする必要があると考えているものの、かといって正当な理由なく裁判を遅延させることは一方的に原告の利益を損なうことであり、これ以上「行動する保守」Aの都合によって裁判を遅延させることには抵抗があった。「行動する保守」Aに真実性・相当性を主張する意思がないのなら、それが確認できた時点で話し合いによる解決を勧告しようと考えていたのではないかとみられていた。

なくなった和解協議

 しかし2月28日、「行動する保守」Aが一応相当性の主張を行ったことで状況は変わった。それが認容されるかどうかは別にして、「行動する保守」Aが相当性の抗弁を主張する意思表示をしたことで、裁判所としては判決という形の決着をつけるだけの条件が一応整ったと判断したようである。

 この日、裁判官は双方に対して提出書面の確認をしたあと、「行動する保守」Aの代理人に対して、一応相当性の主張を行った今回の書面以上の主張があるかどうかを聞いた。すると代理人は一応これで主張は尽くしたとする趣旨の回答を行った。その上で裁判官は代理人に対して、相当性についての具体的な「根拠」を提出するよう求めた。

「行動する保守」の主張する相当性の根拠とは週刊誌の記事だけで、代理人はその趣旨を並べただけだった。裁判官の要請に対して代理人は「週刊誌記事の原本がありますので、次回までに提出する」と答えた。この弁護士は相当性の根拠が週刊誌の記事であるというが、少なくとも私は週刊誌の記事が相当性の根拠になるという判例を知らない。この弁護士がコピーではなく「原本を提出する」と強調することに何の意味があるのだろうか。

 弁護士ともあろう者が、週刊誌記事が相当性の根拠になり得ると認識しているとも思えない。「行動する保守」Aが代理人に示した抗弁の根拠なるものが週刊誌しかなかったということだろうか。「東村山署は殺人事件を隠蔽して自殺として処理した」とする「内部告発」があるとして一躍朝木明代転落死事件の「真相究明活動」に乗り出した「行動する保守」Aが真実性の立証をいっさい行わず、ひたすら週刊誌報道に依拠して相当性のみを主張するとは不可解である。

 右翼Mは「行動する保守」Aが一行を東村山デマに引き込んだきっかけである「内部告発」について「調査中」であると述べていた。週刊誌報道に基づく「相当性」しか主張しないということは、「内部告発」の件はまだ「調査中」なのか。それとも右翼Mも、「行動する保守」Aから適当にごまかされていたということだろうか。

 いずれにしてもこうして裁判所は、現段階では和解を勧告する状況にはないとして話し合いに関する提案は行わない方針を示し、「行動する保守」Aに対して相当性の証拠および記事掲載に至る事情などを記載した陳述書を提出するよう命じ、和解についてはその可能性があるようなら検討しておくよう求めるに止めた。「行動する保守」Aに和解の可能性を探る寛容さがあるようなら、「行動する保守」一行をデマの泥沼に引きずり込んだことに対してとっくになんらかの責任を取っているだろう。この指導者は、いい年齢であるわりにはまともな話し合いを期待できるような人物ではないと考えた方がいいように思える。

千葉が提出した求釈明

 さて「行動する保守」Aは「準備書面3」において、相当性の根拠として列挙した事実は、

〈「週刊現代」平成7年9月23日号、同年9月30日号、同年11月25日号、「週刊ポスト」同年9月22日号、同年10月13日号、「週刊実話」同年10月12日号等に記載された朝木市議関係の記事から知ったものである。〉

 としている。ただ上記の相当性に関する事実のうち、具体的にどの項目がどの週刊誌に掲載されたものなのかについて「行動する保守」Aは詳細には述べていない。

 もちろん項目別に具体的に示したところで相当性の根拠と認められる保証はないし、むしろこの重鎮が「相当性の根拠」として挙げた週刊誌記事の内容は、「行動する保守」Aがブログに記載するはるか以前に裁判(「聖教」裁判等)でことごとく否定されているという客観的事実がある。たとえば「行動する保守」Aが千葉の捜査活動等を非難している点について東京高裁は次のように判示している(「聖教」事件判決)。



 千葉副署長は、東村山署の広報担当官として、本件窃盗被疑事件については検察官送致をなした段階で、また本件死亡事件については初動捜査を終え、警察内部で討議を了した段階で、公式取材を申し込んだ報道機関を相手に、予め署長の許可を得て用意した広報案文に基づいて、本件各事件の捜査進行状況につき客観的事実経過を広報したものであって、本件各事件につき実施された捜査の内容、広報時点で把握できていた状況証拠等の客観的状況からみても、広報をすべき時期の選定を含め、千葉副所長(ママ)のした本件窃盗広報及び本件死亡広報には、その職務を執行するについての注意義務に違反したと認めるべき事由は存せず、したがって、千葉副所長(ママ)が本件窃盗広報及び本件死亡広報をしたことをもって違法ということはできない。



 したがって「行動する保守」Aが相当性を主張するなら、週刊誌記事を否定した判決を覆すだけの「材料」がなければならなかった。それが「内部告発」なのだという主張ならまだ理解できよう。ところが「行動する保守」Aは「内部告発」にはなんらの言及もしなかったのである。

 そこで千葉は3月2日付準備書面で次のような求釈明を行った。



 被告瀬戸が、朝木事件の真相解明活動を開始した動機は、現職警察官による朝木市議殺害犯人を特定したとの内部告発情報を入手し、朝木事件は謀殺であると100%確信したと断言したことである。

 そして、……被告瀬戸の本件裁判での立証のあり方に強い関心が寄せられている。

 よって、被告瀬戸は、朝木事件の真相解明のため、そして、内部告発情報の顛末を注視する人々のためにも、本裁判で内部告発情報の詳細を公表すべきである。



「行動する保守」Aは(それが事実なら)「内部告発」の詳細について自ら率先して述べるべきだった。しかし仮に、千葉に促されてもなお具体的に触れないということになれば、「内部告発」なるものこそ大嘘だったということになるのではあるまいか。

 裁判長は第6回口頭弁論期日を4月20日と指定し、終結の可能性があることを示唆した。これに対して「行動する保守」Aの代理人は3月31日までに陳述書と週刊誌記事の「原本」を提出すると述べた。

(「第6回口頭弁論後」につづく)

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