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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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千葉英司元東村山警察署副署長が西村修平を提訴(その1)
 平成20年9月1日、右翼らが東村山駅前で行った「朝木明代さん殺害事件を13年目の命日に市民に訴える!」と題する街宣の内容をめぐり、千葉英司元東村山警察署副署長が「主権回復を目指す会」代表の西村修平を9月26日、東京地裁八王子支部に提訴していたことがわかった。
 
 この街宣では何名かの支援者がプラカードを掲げていたが、その中に「創価学会の四悪人」として、

東村山署  須田豊美?
  〃 ?  千葉英二副署長
地検八王子 吉村弘
         信田昌男

 と記載したものがあった。西村は演説でこのプラカードを指さしながら、

「東村山署須田豊美刑事係長、千葉英司副署長、この2人が朝木さんが謀殺された事件を自殺として覆い隠した張本人」

「(創価学会検事と)同じ穴の狢」

「この4人が殺人を自殺に仕立て上げた」

 などと演説した。千葉は西村のこれらの発言によって名誉を傷つけられたとして100万円の損害賠償を求めて提訴したもの。

 西村のこの発言内容は、故朝木明代の転落死が「殺害事件」であるにもかかわらず、「創価学会員である」千葉らが事実を隠蔽して「自殺」として処理したとする趣旨で、その内容が千葉の名誉を毀損するものであることは明らかだろう。すると当然、裁判では西村の発言内容の真実性・相当性が争点となろうが、西村がどのような主張・立証を行うのか注目される。

 第1回口頭弁論は東京地裁八王子支部で11月13日午後1時30分を予定している。

願ってもない真相究明の舞台

 さて、西村が街宣での主張内容の真実性(相当性)を主張するには、前提として故朝木明代の転落死が「万引きを苦にした自殺」ではなく「他殺」であることを立証する必要がある。そこで思い出されるのは、西村の同志である右翼が突然言い始めた「現職警察官による内部告発」である。私はその発言を聞いて、いまだに「(創価学会による)他殺説」を信じ込んだのみならず、人前で堂々と訴える人物が現れたこと自体に「度肝を抜かれた」。彼は平成20年7月29日、八王子駅前の街宣でこう訴えた。



 私がなぜこの問題を今回取り上げるか。その最大の理由はですね、これは現職の警察官が私に内部告発をしたからであります。これは今日、初めて明らかにします。現職の警察官は、「自分たちは犯人を特定した」と。「3名であった」と。「しかし、検察側からの圧力があって捜査を断念せざるを得なかった」と、そういうふうにはっきりと述べました。

「だから、瀬戸さんたちはこの運動を時効前に国民運動として盛り上げてくれるならば、われわれはその全貌を明らかにする用意がある」と、こういうふうにはっきりと断言したのであります。

この件について今日、初めて明らかにさせていただきます。



 翌7月30日付ブログではこう書いている。 



 私がなぜこの事件を取り上げてこのような訴えに立ち上がったのか。それは内部告発です。現職の警察官から、この事件をこのままにしておくことはできない。これは自殺などではなく殺人事件であり、3人の犯人と思われる人物の特定もなされていました。



 街宣では「3名の犯人を特定した」と明言しているが、翌日のブログでは「3人の犯人と思われる人物」となった。「思われる」があるとないとでは大違いで、ブログでは犯人の特定に関してやや後退がみられるような気もしないではないが、このへんのあいまいさはともかく、この「内部告発」なるものが彼らのいう「他殺という事件の真相」に深く関わっていることだけは確かなのだろう。

 その「内部告発」なるものは現在のところ、内部告発者が何人で(複数であるらしいことは右翼の発言からうかがえる)、事件当時警視庁のどのような立場にいた者であるのかを含め、内部告発の信憑性を証明する事実はいっさい公表されていない。この右翼の説明を総合すれば、内部告発者および告発内容を保護するためであるらしい。

 しかし今回、西村修平が立証を求められるのは法廷という公正さが担保された場所である。内部告発者(ら)自身も捜査を中断させられたことに義憤を感じているようであり、「われわれはその全貌を明らかにする用意がある」ともいっているのだから、この期に及んで証言に尻込みすることもあるまい。少なくとも確たる証拠なしに「その言葉を信用した」というだけでは、支援者はともかく裁判官を納得させることは難しかろう。「真相究明」のため、同志西村を助けるためにも、法廷の場で「真実」を明らかにしてもらいたいものである。

 なお、これまで矢野穂積と朝木直子は「朝木明代は殺された」と主張して多くの裁判を起こしてきたが、被告となった事件も含めてことごとくその主張は排斥されている。したがって、矢野らが提出した証拠等(司法解剖鑑定書の記載等)によって「他殺」を立証することはきわめて困難と思われる。                                       
                                                         (宇留嶋瑞郎)



(その2へつづく)



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千葉英司元東村山警察署副署長が西村修平を提訴(その2)
 余談だが、明代の自殺後13年にわたって他殺デマを発信し続けてきた矢野は、右翼のいう「内部告発」についてどう考えているのだろうか。平成20年7月29日、八王子街宣が行われた当日の午前11時30分ごろ、東京地裁八王子支部で矢野に直接聞いた。

――今日の集会には行くんですか?

 しかし矢野は、その日に集会が行われる予定であることについては知っているらしい表情で私を見たものの、なぜか私の質問にはいっさい答えなかった。明代の転落死の「真相究明」を求める集会に、13年間にわたって「真相究明活動」を続けてきた遺族の朝木直子と同僚の矢野穂積が顔を出さないというのでは、どうみても間の抜けた話である。彼らは右翼の集会には顔を出さないのだろうか。

 午後1時前、八王子駅前には右翼ら10名ほどの者たちが横断幕やプラカードを持って集まってきた。しかし、矢野と朝木の姿はどこにもなかった。そこで主催者である右翼に「矢野は来ないのか」と聞いた。すると彼はこう答えた。

「彼とは方針が違う。われわれは独自にやっている」

「方針が違う」ということは、矢野には参加を申し入れたが断られたということを意味しよう。連絡してそれなりの話をしなければ「方針が違う」かどうかはわからない。それにしても、重要な「内部告発」が明らかにされるというのに、矢野はなぜ断ったのだろう。どういう「方針の違い」かはわからないが、「真相究明」につながる「新事実」があるのなら矢野も「方針」にこだわっている場合ではあるまい。あるいは、遺族の朝木にも矢野に対してもこの重要な「内部告発」の事実は知らされなかったのだろうか。

そっけない矢野の対応

 それにこの「内部告発」者は、告発の相手としてなぜ13年間にわたって「真相究明活動」を続けてきた(と称している)当事者の矢野と朝木ではなく、それまでなんら「真相究明活動」などしてこなかった右翼を選んだのだろう。「内部告発者」が警視庁の人間なら、矢野が「他殺説」を主張してきたことを知らないはずはないし、朝木はほかでもない明代の長女である。また矢野は「殺害犯人」に関する有力情報には1000万円の懸賞金まで払うと宣伝しているのだから、矢野に「内部告発」する方が現実的なメリットもよほど大きかろう。にもかかわらず朝木と矢野に対しては「内部告発」はなかったのか。その点について8月7日、私は東京地裁八王子支部で矢野に直接聞いた。

――「内部告発」があったそうですが……

矢野  何焦ってんの。

――先生のところには(「内部告発」は)なかったの? 右翼のところにあって、先生のところにないというのはおかしいですよね。

矢野  (お前には)用がないんだよ。

 矢野はなぜか「内部告発」の件には触れたくないようだった。矢野は「内部告発」の内容を知らないか、あるいは聞かされてはいたが眉唾だとでも考えていたのだろう。なぜなら、明代の自殺の動機とみられる万引き事件でアリバイ工作に関与し、事件を隠蔽するために被害者へのお礼参りを繰り返したのは矢野自身である。アリバイ工作を企て、被害者を脅したという事実こそ、明代の万引きが事実であることを矢野が知っていたことを裏づけるものにほかならない。仮に明代の自殺を否定する「内部告発」があったとしても、それが事実を覆すようなものであるはずがないことを誰より知っているのは、アリバイ工作と被害者威迫の共犯、矢野穂積なのである。

 矢野は右翼のいう「内部告発」の信憑性が強調されればされるほど、化けの皮がはがされたときには矢野と朝木自身にとってもより大きなダメージとなる。矢野はそのことを予感していたのではあるまいか。とすれば、そのような「内部告発」があったとする右翼とは最初から関わりを持たない方が無難だと矢野が考えたとしても、それはむしろ矢野と朝木にとって自然であり、賢明な判断だったろう。関わりを持ってさえいなければ、「実情を知らない右翼が勝手にやったことで自分たちは無関係」といえるのである(だから矢野のホームページでは「内部告発」とはいわず「新たな情報」という曖昧な表現で逃げている。「そっくりさん」と同じでどんな荒唐無稽なガセネタでも「情報」は「情報」)。

 いずれにしても私はそのとき、矢野が右翼との関係を持つことについて少なくともあまり積極的とはいえないのではないかという印象を持った。その一方、右翼は右翼で、7月30日付ブログで〈私が告発を続ける地元の市民団体(=矢野と朝木以外にはない)と連絡を取らずとも、この問題を取り上げた理由については理解いただけるものと思います。〉と書いて「内部告発」そのものの重大性を力説していた。右翼は右翼なりに、矢野と朝木の協力が得られないことを少しは気にしていた様子がうかがえる。

 ところがその後の8月24日、矢野と朝木は何事もなかったかのように右翼主催のシンポジウムに参加している。判断の是非は別にして、右翼の側にも矢野の側にもそれまでの間になんらかの「方針変更」があったということになろう。しかし、明代の「冤罪」を信じ、またアリバイについても転落死の夜の状況についても最もよく知るはずの矢野が、「真相究明」の場であるにもかかわらず、朝木にだけしゃべらせたとはどういうことなのか。明代の「万引きを苦にした自殺」という汚名を晴らすためにも、矢野は口内炎を乗り越えて「事実」を語るべきだったのではないか。

「断れなかった」矢野

 私の矢野に対する印象を裏づける発言もあったと聞いた。9月1日、東村山駅前で行われた街宣活動の翌日のことである。街宣の現場で「(この人たち=右翼らと)あまり関わり合いにならない方がいいよ」と矢野から親切な言葉をかけられた市民が議会で矢野と出くわした。その人は矢野とおおむねこんな会話を交わしたという。

――昨日の集団はどういう人たちなのよ。

矢野  あれは極右だよ。

――あなた、なんで極右と付き合ってんの?

矢野  「真相究明」のためといわれれば仕方ない。

 つまり、本音は付き合いたくないが「断れない」という趣旨の発言であると理解できた。それにしても、ものには言い方というものがあろう。矢野の立場にあって、彼らをたんに「極右」で片づけるというのはいかがなものか。だがその人に対しては「明代の転落死の真相究明をしてくれている人たち」ともいえなかったのだろう。なぜならその人物は、矢野の正体を知り尽くしている人だったから。

 右翼らが街宣の途中で暴走し、白昼堂々、集団で万引き被害者の店を襲撃するという行動に出たことも、矢野にとって「自分の協力者」と呼ぶことを強くためらわせたのだろう。

「朝木明代さんの謀殺を許さないぞー!」

「万引きのでっちあげを許さないぞー!」

 どうみても正気の沙汰ではないが、矢野としては襲撃事件について右翼との関係から表立って否定できず、肯定すれば不法行為を容認することにもなりかねないからそれもできない(だからホームページでも触れない)。矢野の本心としては、このような「極右」と積極的に付き合っていると思われたくはない(実際に付き合いたくもない)というところだったのではあるまいか。


(その3へつづく)

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千葉英司元東村山警察署副署長が西村修平を提訴(その3)
                             ★その1から読みたい人はこちら



お邪魔虫

 7月29日の八王子街宣に始まり9月1日の東村山街宣と万引き被害者襲撃に至った右翼について矢野はどう思っているのか。想像や推測ばかりでは仕方がないので9月17日、決算特別委員会の傍聴席でたまたま矢野が近くに座っていたので単刀直入に聞いてみた。

――あの右翼にはいい迷惑でしたね。

矢野  お邪魔虫。

――先生、あの右翼には困っちゃったね。

矢野  お邪魔虫。

――いつまで付き合うんですか、あの右翼と。

矢野  黙って聞きなさい。

「黙って聞きなさい」といわれても委員会は休憩中で、何も聞くことはない。だから矢野に聞いたのだが、返ってきたのは「お邪魔虫」の一言だけだった。還暦を過ぎた市議会議員の言葉とも思えないが、それはともかく、この「お邪魔虫」という言葉はいったい誰に向けられたものと理解すればいいのだろうか。右翼なのか、それとも私なのか。私とも右翼とも取れるし、私も右翼も両方「お邪魔虫」なのだとも取れる。少なくとも「いい迷惑でしたね」といわれて一言も否定しなかったのは右翼に対して失礼というものではなかっただろうか。

「本人に聞け」と矢野

 矢野が右翼をどう思っているかはともかく、こと「内部告発」については矢野自身が自らのホームページで「(他殺を裏づける)新たな情報」と位置付け、街宣についても「真相究明行動」などと紹介している。これは西村らが行った万引き被害者に対する集団による誹謗中傷行為を事実上容認するものであり、「内部告発」についても「新たな情報」として一応敬意を表しているようにも見える。「新たな情報」という限りは、矢野も「内部告発」の内容を知っているということか。普通の感覚では、内容を確認していなければ「新たな情報」などとはいえない。

 右翼のいう「内部告発」=矢野のいう「新たな情報」をめぐっては、矢野と朝木が千葉から提訴されている裁判でも話題にのぼった。その裁判も朝木明代の転落死をめぐるものである。9月26日開かれた口頭弁論で千葉は矢野にこう聞いた。

「ある右翼が『新事実』(内部告発)があると主張している。あなたは自分のホームページでも紹介しているし、東村山で行われた集会にも参加している。あなたも『真相究明を求める』と称して闘っているわけだから、この裁判でその『新事実』について説明したらどうだ」

 すると矢野は、「(右翼)本人に聞け」といって自分から説明することを拒んだ。「新事実」が明代の「他殺」を証明するものなら千葉との裁判も有利になるはずだが、なぜ矢野は「新事実」について説明しようとしないのか。自分のホームページでは「新事実」などと宣伝に利用しておきながら、説明を求められると「(右翼)本人に聞け」とはまたずいぶん虫のいい話のようにも思える。退廷後も、矢野はまだ朝木や弁護士に「本人に聞けばいいんだよな」としきりに同意を求めていたという。

 これはどういうことなのだろう。「内部告発」の事実自体は確かに「新事実」なのだろう。だが、それは矢野の口からは説明できないものだということのようである。なぜ矢野が説明できないのか。「(右翼)本人に聞け」とは、①聞いているがとうてい法廷で堂々と主張できるような代物ではないと判断している②聞かされていないが、矢野は明代の万引きを苦にした自殺の事実を知っているから、右翼から聞かなくてもそれが荒唐無稽なものであることがわかっている――このどちらかということになろう。この点については西村裁判で明らかになるのではなかろうか。

口も目も閉じてしまった矢野

 ところで右翼は、西村裁判の口頭弁論の3日後、11月16日に再び「真相究明」のためのシンポジウムを開くという。10月14日、東京地裁八王子支部の書記官室前に矢野が1人で椅子に座っていた。矢野がこちらをちらっと一瞥したので、私はシンポジウムのことについても聞こうと近づいた。私に気がついた矢野は目を閉じてしまったが、かまわず聞いた。

――11月にまた集会をするそうですね。

矢野  ……(瞑目した状態)

――無視することはないでしょう?

矢野  ……(瞑目した状態)

 矢野は一言も発せず、目を閉じたままだった。「真相究明」ができるというのならもっと積極的に答えてくれてもよさそうだが、この矢野の態度はどうしたことなのだろう。右翼は「徹底究明」すると独りいきり立っているようだが、やはり矢野としては右翼から誘われるのがよほどいやなのだろうか。

「社会運動家」か、ただのハッタリ屋か

 それはともかく、はたして千葉から提訴された西村の裁判で、矢野はなんらかの形で協力するのかどうか。また、西村の同志である右翼は「内部告発」の具体的内容を明らかにするのかどうか。実は「内部告発者」に関して、9月1日の東村山街宣の最中、右翼が私のところに近づいてきたので一言だけ聞いた。

――あなたは「内部告発者」に直接会ったのか。

すると右翼は「当然でしょ」といわんばかりにこう答えた。

右翼  もちろん会ってますよ!!

 取材対象に会うことは取材の基本である。したがって右翼が「内部告発者」に会ったこと自体に対しては素直に評価するが、右翼が「内部告発者と会った」という事実と、その人物が本物の「真実を語る内部告発者」なのか、あるいは単なる思い込みと憶測を述べただけの自称「内部告発者」にすぎないのかは別問題である。

 しかし、右翼がこれほど自信たっぷりに「会ってますよ!!」という以上は、その「告発内容」もよほど確たる裏付けがあり、右翼自身もそれを客観的に確認したということなのだろう。「社会運動家」としての責任を果たすためにも、西村や右翼を信じきっている無辜の支持者を失望させないためにも、ぜひとも法廷で明らかにしていただきたいものである。

 法廷外の「余裕」など何の意味もないし、いつまでたっても中身が明らかにされない「内部告発」では内部告発の体をなさないのだから。

(了)


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西村修平裁判第1回口頭弁論
 右翼が主催した東村山駅前街宣(平成20年9月1日)での発言で名誉を毀損されたとして、千司英司元東村山警察署副署長が「主権回復を目指す会」代表の西村修平を提訴した裁判の第1回口頭弁論が11月13日、東京地裁八王子支部で開かれた。

 私が法廷に行ったのは開廷10分前である。西村の支援者が傍聴に来るだろうとは予測していたが、傍聴席が16席しかない法廷でも1人ぐらいは入れるだろうと考えていた。しかし、エレベーターを降りて法廷に続く廊下を曲がってすぐ、私は自分の認識の甘さを思い知らされた。法廷前の廊下にはざっと40名近い人たちが長椅子にずらりと座っていたからである。他の裁判に来た人も含まれるものの、その大半が西村の支援者であることはその服装や雰囲気からおおよその察しがついた。彼らのほとんどがその日の午前中に行われたという八王子駅前での街宣に参加し、そのまま裁判所にやって来たもののようだった。

 いったい彼らは何を判断基準とし、矢野の虚言を信じ込んでいるのか。地裁八王子支部の廊下に集結した西村の支援者らに対して私があらためて感じたのは、彼らが事実評価に対する通常とは異なる判断基準(思い込みや飛躍、こじつけなど)に異常なまでに固執しているようだということだった。

 13年前の平成7年秋から年末にかけて週刊誌メディアを中心に繰り広げられた朝木明代の転落死をめぐるいわゆる創価学会疑惑報道は、明代による万引き被害者をはじめ事実を知る人たちにたとえようのない不快感を与え、あるいは事実が曲げられて伝えられることに対する強い不安を与えた。とりわけ一市民にすぎない万引き被害者はすでに何本もの嫌がらせ電話を受けていた。仮に電話をかけた主が嫌がらせであることに無自覚であるとすれば、むしろその方が恐ろしい。

 何かいいようのない違和感というのだろうか。私は法廷の廊下で西村の支援者たちの顔を眺めながら、矢野と週刊誌メディアによる虚偽情報に影響された、よくいえば不幸な人たちの実像を、明代の万引き事件発生から13年目にして初めて実感させられた気がした。

訴状と答弁書

 さて、裁判は始まったばかりで、実質的には平成21年2月4日に予定されている第2回口頭弁論からが本格的な審理ということになろう。そこで今回はとりあえず、訴状を紹介しておこう。



訴状

請求の趣旨
1 被告西村修平は原告千葉英司に対し、金100万円を支払え
2 訴訟費用は被告西村修平の負担とする
 との判決、1項につき仮執行宣言を求める

第1 当事者
 略

第2 不法行為
 被告(西村)は、平成20年9月1日午後3時30分、東京都東村山市本町2丁目1番地西武線東村山駅東口広場において開催された「朝木明代さん殺害事件を13年目の命日に市民に訴える!」集会において、「創価学会の4悪人 東村山署須田豊美? 東村山署?千葉英二副署長 地検八王子 芳村弘 信田昌男」と掲載されたプラカードを指差しながらマイクを使い約30名の聴衆に向け
「東村山署須田豊美刑事係長、千葉英司副署長 この2人が朝木さんが謀殺された事件を自殺として覆い隠した張本人 須田豊美刑事係長、千葉英司副署長 さらにこの事件を取り上げた東京地検八王子の吉村弘 信田昌男は筋金入りの創価学会員 須田豊美 千葉英司も同じ穴の狢 この4人が何をかしでかして殺人を自殺に仕立て上げた」と演説した(以下「本件演説」という。甲1)
 しかし、原告が、朝木さん謀殺事件を隠蔽して自殺に仕立てたとの事実は一切なく、本件演説は、「創価学会員の4悪人の1人である原告が、朝木明代殺害事件を隠蔽した」との虚偽の事実を摘示し、原告の社会的評価を低下させるものである。

第3 虚偽性及び悪質性
 1 虚偽性
  原告は、創価学会員ではなく、また、女性市議の遺族・関係者が流布した虚偽風説である「女性市議万引き冤罪及び殺人事件は創価学会が関与した」との事実も存在しない。捜査当局が「他殺を否定した」判断を覆す新事実も一切ない。

 2 悪質性
 (1)被告は、本件演説の夜に、被告のインターネット「主権回復を目指す会」上の動画で、本件演説の際に使用したプラカードをアップ撮影し「謀殺を『自殺』にすり替えた4悪人」と解説し、本件演説の内容を追認し、原告に対する名誉毀損の被害を拡大させた(甲2)。
 (2)被告は、上記虚偽風説を何ら検証することもなく、また、原告に確認の取材をすることも一切なく、虚偽風説を妄信して本件演説に及んだものである。



 したがって、本件裁判の争点は、千葉が訴状で述べる西村の街宣での上記発言が千葉の名誉を毀損するものであるかどうか、またそうであるとすれば、西村の上記発言内容は真実か、または西村が自分の上記発言内容を真実と信じたことについて相当の理由があったかどうか(免責要件)である。
 
 西村は第1回口頭弁論において書証として文藝春秋の記事(矢野絢也)を提出したが、それが明代の転落死と具体的にどんな関係があるのかについての主張はない。答弁書の末尾で西村は、

〈膨大な証拠があるためこれを整理し、証拠とともに次回までに提出する予定である。〉

 と主張しているので、次回(2月4日)には「千葉が明代の殺害事件を隠蔽した」ことに関する「膨大な証拠」を提出するのだろう。次回口頭弁論で西村がいかなる「証拠」を提出するのか、右翼がいう「内部告発」の内容がいつ明らかにされるのかを含め、注目したい。

街宣後も万引き被害者を威圧・中傷

 平成20年9月1日、暴走した西村ら右翼の一団が被害者の店の前に集まり、「万引き捏造洋品店」などの暴言を浴びせたのも矢野穂積による虚言に踊らされたものである。その後も何度か、被害者の店には「万引き捏造」などと叫んでいく者が現れたという。危惧していたことが現実に起きていたのだ。その者は店主に暴言を浴びせることがどういうことなのかわかっているのか。彼の行為は矢野穂積が働いた威迫行為を継続させるものであり、13年前の明代による万引き被害を拡大させるものにほかならない。

 その責任は当然、今も「万引きをでっち上げた」と主張する東村山市議、矢野穂積と朝木直子に及ぶことはいうまでもあるまい。その時期からして、9月1日に洋品店を襲撃した西村修平と西村の行動を容認している街宣主催者の右翼の影響を受けた者である可能性も十分に考えられよう。

 きわめて特異な人物として知られる矢野はともかく、愛国を旗印に掲げる右翼が弱者である被害者を威迫するとはどういうことか。万引き事件の事実を認識したとき、この右翼らはどう責任を取るのか。被害者に謝罪してまっとうな右翼に戻るのか。あるいは事実を受け入れることを頭から拒否するのか。右翼が矢野と同様に、虚偽にまみれて、自らをだまし続ける悲惨な晩年を送るのは勝手だが、それが市民社会に具体的かつ重大な害を及ぼすとすれば放置することはできない。

 11月16日、右翼が主催したシンポジウムと称する内向的な集会には乙骨正生に並んで矢野穂積と朝木直子も参加した。矢野は集会で参加者から「何かお手伝いすることはないか」と問われ、「最も弱いところ、洋品店に抗議してもらうと効果的」などとする趣旨の回答をしている。この発言は西村らの襲撃行為および矢野や右翼に洗脳された者による誹謗、威圧行為を容認するものであるのみならず、むしろ威圧活動を積極的に煽動するものである。自分の手を汚さず、他人を騙し利用しようとする矢野のどこまでも卑劣な本性はいうまでもなく、そのような人物をあたかも不正義と闘う闘士であるかのように称揚し、煽動に加担する右翼に、いったいいかなる存在価値があるのだろうか。
                              
(宇留嶋瑞郎)

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西村修平事件第2回口頭弁論
 平成21年2月4日、警視庁東村山警察署元副署長、千葉英司が、「創価学会の四悪人の1人である千葉が朝木明代殺害事件を隠蔽した」とする趣旨の発言などによって名誉を毀損されたとして右翼団体代表の西村修平を提訴していた裁判の第2回口頭弁論が東京地裁八王子支部で開かれた。この日も右翼らはJR八王子駅前で街宣活動を行い、その足で法廷に向かったという。

 集まった支援者は30名程度(正確に数えたわけではないので主催者発表とは誤差があるかもしれない)。支援者たちは幟のたぐいを持っていたと聞くが、目撃者によれば法廷あるいは裁判所の入り口で職員に預けさせられたもようである。なお傍聴席には5名ほど、支援者とも取材者とも若干雰囲気の異なる人たちもいた。行政書士は家が遠いためか、この日は来なかった。

 平成20年11月13日に開かれた第1回口頭弁論で、西村側は矢野絢也元公明党委員長の手記(乙1)を書証として提出、本件といったい何の関係があるのかと原告側を当惑させたが同日、西村側代理人は「膨大な証拠があるので次回提出する」と述べており、第2回口頭弁論でどんな主張を展開するのか注目されていた。
 通常の裁判では、準備書面や書証は口頭弁論の1週間前に提出するのが常識である。ところが、第1回口頭弁論から正月休みを除いても優に2カ月の準備期間があったにもかかわらず、前日までに西村側からの書面はいっさい提出されなかった。

提出された「膨大な書証」

 ところが口頭弁論当日、代理人は厚さ10センチにも及ぼうかという「膨大」な量の書証を持参していた。さすがは「膨大な証拠がある」と豪語しただけのことはあったのである。では、西村側が提出した書証とはどんなものだったか。詳しくみてみよう。

乙2の1~24 東村山市民新聞35号~41号、同43号~47号、同49号~51号、同54号~57号、同59号~60号、同62号、同速報版№095、同67号
乙3の1 「放火現場の撮影写真」
乙3の2、3 矢野穂積の診断書
乙3の4 襲撃された矢野穂積の写真
乙3の5 ○○所有の軽トラックの写真
乙3の6 95年7月29日付読売新聞「東村山市議殴られ怪我」
乙4の1 野田峯雄の矢野宛連絡メモ
乙4の2 ○○(万引き被害者)の証人調書
乙5の1 中央三井信託銀行東村山支店のキャッシュコーナーでの写真
乙5の2 同上
乙5の3、4 亡朝木明代議員の平成7年6月19日の服装と同じ服装した朝木直子の写真
乙6 FORUM21の2004年1月15日号
乙7 「創価学会を折伏する!」
乙8の1 草野敬の陳述書
乙8の2 事件現場ビル1階モスバーガー店主の共同記者会見
乙9の1 ○○(防衛医大医師)の陳述書
乙9の2 同上 救急救命及び死亡時の説明
乙10 日本音響研究所所長鈴木松美の鑑定書
乙11 司法解剖鑑定書
乙12 平成7年8月27日付読売新聞「3日に宗教シンポ」
乙13の1 レジ・ジャーナルの謄写・閲覧について(依頼書)
乙13の2 証人等目録
乙13の3 文書送付嘱託申立書
乙13の4 送付依頼書
乙13の5 株式会社アレフの弁護士中田康一宛レジ・ジャーナルの謄写閲覧についての回答書
乙14の1 龍年光の陳述書
乙14の2 昭和56年11月16日付聖教新聞
乙15 97年5月5日付国会タイムス
乙16 野中広務「差別と権力」(魚住昭著)
乙17 月刊現代04年6月号
乙18 月刊現代04年2月号
乙19 週刊新潮96年5月2・9特大号
乙20 読売ウィークリー04年2月1日号
乙21 週刊文春 平成7年9月14日号
乙22 平成7年9月8日付夕刊フジ

 以上である。しかし、西村側代理人は「膨大な」書証を提出しただけで証拠説明書(その書証によっていかなる事実を立証しようとするのかについてそれぞれの趣旨等を記載した書類)を提出しなかった。

 通常、書証には「証拠説明書」を付さなければ書証として受領されない。この日、西村側が提出した「膨大な」証拠は正式には受領されなかったということである。こうして第2回口頭弁論は、西村側が書証と称する書類を提出し、次回期日を決めただけで、実質的な審理としてはなんら進展のないまま、わずか5分で終了した。

弁護士の発言にも責任

 西村側の代理人は、ベテランであるにもかかわらずなぜ正式に受領されないような書証を提出したのだろうか。2カ月半もの十分な時間を与えられて準備書面も作成できず、何らの書類も提出できなかったのでは恰好がつかない。だから、形だけでも提出したことにしなければならなかったとみるのが自然なのではあるまいか。

 しかし、西村修平は右翼として街宣する以上は何らかの根拠を持っていたのではないのか。とすれば、その範囲においてなんらかの主張を準備書面にまとめ、その真実性なり相当性なりを裏付ける書証を提出すればよかったのではないかという気もする。

 西村の同志である右翼によれば、この代理人自身が右翼や支援者に向かって「私は西村さんが追及したこと(創価と千葉英司の関係、故朝木による万引き事件が創価による『でっち上げ』であるとした見解)は事実であると確信しております。それは事実であると考えるに至る客観的な事由はあったからです」と述べたともいう。弁護士は依頼者に過大な期待をさせるような発言をしてはならないことを、この代理人が知らないはずはない。だからこの代理人は根拠もなく説明したわけではあるまい。とすれば、代理人はその「確信」を準備書面にまとめ「客観的な事由」である書証を証拠説明書を付して提出すればよかったはずである。

 こう考えると、西村や代理人が能書きだけで準備書面も作成せず、書証と称するものしか提出しないとはどういうことなのか、きわめて不可解というほかない。裁判手続き上は何も提出しなかったに等しい第2回口頭弁論の様子からは、西村側のあわてぶり、混乱ぶりしか伝わってこない。

注目される右翼の戦略

 西村側にもそれなりの訴訟戦略があるのかもしれないので軽はずみな評価は慎まねばならないが、2月4日提出された書証はすべて矢野がこれまでの裁判で提出したもので目新しいものは何1つなく、矢野が朝木事件でこれらの書証によって勝訴した例はただの1度もない。質より量で勝負しようとしているわけではあるまいが、それ以前に、これらの書証によって「創価学会の四悪人の1人である千葉が朝木明代殺害事件を隠蔽した」という事実を立証できるとも考えにくい。

 代理人によれば、「まだ入手していない証拠がある」とのことである。それが何なのか、入手したとして、どれほどの証拠価値を持つものなのかどうか。いずれにしても、「千葉が朝木明代殺害事件を隠蔽した」という事実を立証するのは容易ではなかろう。わずかに可能性があるとすれば、西村の同志である右翼が他殺の根拠と主張する「内部告発」しかないように思える。万が一、右翼が「内部告発」の事実を証言しないまま敗訴ということになれば、右翼の責任は免れまい。

 ただ裁判所はブログとはちがって、右翼が「内部告発」について証言したとしてもそれは伝聞にすぎず、証拠能力は認められない可能性が高い。したがって右翼は「内部告発者」自身を法廷に連れてきて「内部告発者」自身によって証言してもらう必要があるが、その「内部告発」者にしても「人から聞いた」では相手にされまい。

 もちろん、右翼はその「内部告発者」に「会った」といっているのだから、意図は不明だが、最後の切り札として登場させる戦略なのかもしれない。「内部告発者」を登場させないまま西村敗訴ということにでもなれば、右翼は西村だけでなくカンパをしてくれた上に毎回遠路八王子まで傍聴に来てくれた多くの支援者たちをも裏切ることになりかねまい。次回口頭弁論(4月22日東京地裁立川支部)以降の西村側の主張・立証が注目される。

(宇留嶋瑞郎)

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西村修平事件第3回口頭弁論
 千葉英司元東村山警察署副署長が名誉を毀損されたとして右翼団体代表、西村修平を提訴していた裁判の第3回口頭弁論が、平成21年4月22日、東京地裁立川支部で開かれた。傍聴者は西村の支援者が別の右翼を含めて約30名。この日も口頭弁論に先立ち、彼らは午後12時過ぎから立川駅前でこの裁判の不当性を主張するなどの内容の街宣活動を行った。その内容はともかく、彼らの結束力の強さにはあらためて感心させられ、あるいは若干の違和感を覚えた。

 傍聴人の入廷前、係官が西村の支援者らに対し、法廷内に写真を持ち込まないよう注意した。前回の口頭弁論では前列中央に座った支援者2人がA4サイズほどの朝木明代の遺影を掲げていたため、係官から遺影をしまうよう命じられるという出来事があった。このため係官が事前に注意したものと理解できた。

 ただ、支援者らは遺影の持ち込みが認められないことをすでに学習していたらしく、10センチ四方ほどの大きさのバッジ状のケースに入れた写真を用意していた。その数10個以上はあったように見えた。経費としてはこちらの方がかかるのではないかと思うが、彼らにとってはそれほど朝木明代に対する敬意が深いということなのだろう。

 万引きという普通ではかなり恥ずかしい犯罪を犯し、だからこそ嘘の主張を続けた明代にこれほどの敬意を示すことがどれほど滑稽なことか、彼らは気がついていないらしい。洗脳と思い込みは彼らをここまで悲惨な状況に追いやったということだろうか。彼らをおだて上げた矢野穂積と朝木直子、情報を精査することによって軌道修正する機会は十分にあったにもかかわらず、矢野の情報操作に赤子の手をひねるようにたやすく乗せられた指導者の責任も小さくない。

今回も膨大な書類を提出

 前回の第2回口頭弁論で西村は数百枚に及ぶ未整理の書証と称するものを提出して原告を当惑させたが、今回提出した書類は口頭弁論に提出する書面としての体裁が整っていた。平成21年4月22日付準備書面は添付書類約80ページを含めて約100ページ。証拠説明書は前回未整理のまま提出した分の説明を含めて31ページ。書証は乙33まで。乙23~乙33の内容は以下のとおりである(乙22までは前回紹介)。

乙23  週刊新潮「創価学会に占領された東村山市役所の歪み」
乙24  週刊文春「創価学会脱会者3000人大調査」
乙25  階段手すり付近の構造図(朝木直子作成)
乙26  丹後ちりめん無地レース使いマオカラー
乙27  「創価学会・公明党の犯罪白書」(山崎正友著)
乙28  「怪死」(乙骨正生著)
乙29  衆院特別委員会議事録
乙30  参院特別委員会議事録
乙31  潮裁判判決
乙32  「東村山の闇」(矢野穂積・朝木直子著)
乙33  東村山の闇裁判控訴審判決(原告千葉=矢野・朝木逆転勝訴判決) 

 準備書面ではざっと、①朝木明代の議会活動②朝木明代の創価学会批判③万引き事件④転落死事件⑤政教分離問題――などについて主張していたが、現段階では具体的な紹介の必要はないように思われる。

 千葉が名誉を毀損されたと主張している西村発言をあらためて確認しておこう。平成20年9月1日、西村は東村山駅前の街宣で「創価学会の4悪人 千葉英二(ママ)副署長」などと記載したプラカードを指差しながら次のように演説した。

〈東村山署須田豊美刑事係長、千葉英司副署長、この2人が朝木明代さんの謀殺事件を自殺として覆い隠す、物事を握りつぶそうとした張本人。須田豊美刑事係長、千葉英司副署長、さらにこの事件を取り上げた東京地検八王子支部の吉村弘、信田昌男、この2人は紛れもしない創価学会の執拗、筋金入りの学会員。須田豊美、千葉英司も同じ穴の狢。この4人が一体何をしでかして朝木明代さんの謀殺を自殺事件に仕立て上げようとしたか〉

 千葉が名誉を毀損されたと主張しているのは、西村が「千葉を『創価学会の4悪人』と呼んだこと」「千葉が他殺事件を自殺として覆い隠した」「千葉が殺人を自殺に仕立て上げた」と主張した点である。したがって、西村が発言内容の真実性・相当性を主張しようとすれば、①千葉が「創価学会の4悪人」であるとする根拠②「千葉が他殺事件を自殺として覆い隠した」とする主張の根拠③「千葉が殺人を自殺に仕立て上げた」とする主張の根拠――でなければならないことになろう。ところが、西村の大部にわたる準備書面のどこを探しても上記名誉毀損発言に関する直接的な記載はなかった。

 西村は準備書面で、明代の万引きが「冤罪」で転落死が「他殺」であると疑われる理由を長々と述べている。西村が「冤罪」と「他殺」を疑うことについてそれなりの理由があり、東村山署の捜査結果について疑義を表明することは自由だろう。西村は第3回口頭弁論に先立って立川駅前で街宣活動を行っているが、その中でこう主張している。

「われわれ一国民がね、当然、この朝木明代さんの謀殺事件は限りなく転落ではなく突き落とされた他殺事件じゃないか、このように思うのはもっともであって、それを私は昨年の9月1日、朝木明代さんの亡くなったその命日にあたる日に、東村山署、警察署の前で私は、この事件はあと2年でもって時効になる、みなさん、この事件を風化させてはならないと訴えてきたわけであります」

 このような発言内容に対して提訴するのは不当だと西村は訴えているわけだが、この内容なら千葉が提訴することはなかっただろう。

 しかし、西村自身も答弁書で認めているように平成20年9月1日の街宣内容はたんに「朝木明代さんの謀殺事件は限りなく転落ではなく突き落とされた他殺事件じゃないか」と主張したものではなく、第3回口頭弁論の日に西村が行った街宣内容は事実に反している。西村が第3回口頭弁論当日の街宣で、なぜ9月1日の街宣内容とは異なる事実を前提に不当な提訴と主張したのかは私にはよくわからないが、東村山署の捜査結果に疑義を表明することと、千葉に対して「創価学会の4悪人」という雑言を浴びせ、「千葉が他殺事件を自殺として覆い隠した」、「千葉が殺人を自殺に仕立て上げた」と断定することとは次元が異なろう。

 少なくとも今回提出された準備書面には千葉に対する上記3点に関する主張・立証はない。しかし西村にはプロの代理人もつき、仲間の右翼も「東村山署は殺人犯の存在を確認していながら捜査をしなかった」とする内部告発者と「会った」と主張しているから、いずれは千葉の主張する名誉毀損発言に関する立証がなされるのだろう。そのあかつきには、多忙を押して毎回裁判所に足を運ぶ支援者たち、それから珍しい「明代バッジ」制作者の労苦も報われよう。

直接的な主張はわずか3行

 西村が第3回口頭弁論で提出した準備書面における真実性・相当性の主張は千葉が問題とする西村の発言内容とは直接には関係しないように思える。しかし、膨大な準備書面のうち1ヶ所だけ不法行為の成否の判断に直接的に関わる主張があった。末尾の3行である。西村はこう主張していた。

〈被告の批判は、朝木市議事件の捜査機関としての東村山警察署の機関としての副署長の捜査指揮を批判したもので原告個人を対象としてのものではない。よって原告の請求は失当として棄却されるべきである。〉

 西村の発言は捜査機関としての東村山署に対する批判にすぎず、個人としての千葉に向けられたものではないという主張である。この主張が認容されれば、千葉に対する名誉毀損そのものがなかったということになるが、はたして裁判所が西村の発言内容をどう判断するのか注目される。

 さて、口頭弁論終了後、法廷内で千葉は西村の代理人に対して「書証はまだ出されるんですか」と聞くと代理人はこう答えた。

「朝木さんと相談します」

 朝木もまた矢野穂積との共著『東村山の闇』で「千葉が殺害事件を隠蔽して自殺として処理した」とする趣旨の記述をしている。これまで提出した膨大な書証の中にはいっさい含まれていないものの、右翼の「内部告発」証言とともに、今後西村が「朝木さんと相談」の上、「千葉が他殺事件を自殺として覆い隠した」、「千葉が殺人を自殺に仕立て上げた」とする西村の発言内容を直接的に立証する証拠を提出するのかどうか、きわめて興味深いところである。

(宇留嶋瑞郎)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第1回
 外務省が主催した意見交換会(平成19年8月31日)での発言によって名誉を傷つけられたとして、同意見交換会に出席していた女性が「主権回復を目指す会」代表の西村修平に対して220万円の支払いを求めて提訴していた裁判の第2回口頭弁論が平成21年5月14日、東京地裁で開かれた。     (宇留嶋瑞郎)

原告の主張と異なる裁判報告

 この裁判について同日、西村は「主権回復を目指す会」のホームページにおいて次のように説明している。

〈主権回復を目指す会の西村修平代表は平成19年8月、外務省主催の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の政府とりまとめの意見交換会で私生児(婚外子)は人種差別に該当しない旨を述べた。この席上、西村修平代表は婚外子を私生児と呼んだ。さらに 私生児が嫡子と区別(差別)されるのは当然だと意見を申し立てた。

 これが名誉毀損に当たるとして○○(実名)西村修平代表を相手に220万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした。〉

 内容は別にして、意見交換会における西村の発言が上記のとおりのものだったとすれば特に誰かを特定して個人の名誉を傷つけるものではないような気がする。

 では、原告は訴状でどんな主張をしているのか。原告は事実関係について次のように主張している。

〈原告は、自らが当事者として婚外子差別問題に取り組んでいることを述べた上、日本国内において婚外子差別が温存され、日本政府は国連から差別解消を求める勧告を出されていることを述べたが、その際、被告は原告の発言を妨害しつつ、婚外子について「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」と発言した。(発言1)

 また、原告に向けて「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」と今日では差別語として認識されている「私生児」という言葉を投げつけた。〉(発言2)

〈原告が法務省官房秘書官……に対して……、その差別語がこの意見交換会の席上で発せられたことに対する見解を問うていると、被告は原告に近寄り「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」などという言葉を投げつけたうえ、さらに「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」などと言い放った。〉(発言3)

 その上で原告は、上記発言1については事実摘示部分は原告の名誉を毀損し、発言2については〈原告に向けて私生児という言葉を連呼する行為であり、やはり原告の名誉感情を著しく侵害する侮辱行為〉、発言3については〈原告を意図的に傷つけるためにした行為〉であるとそれぞれ主張している。

 西村が第2回口頭弁論後にホームページで説明したたんなる婚外子に関する意見を述べたにすぎないとする内容と原告の主張との間には明らかな食い違いがあることがわかろう。意見交換会における自己の発言に対する西村の「一般論である」とする認識はともかく、裁判の報告をするのなら、「原告個人に対して向けられた発言」であるとする原告の主張は主張としてなぜそのまま正確に伝えようとしないのだろう。原告の主張は主張としてありのままに明らかにし、その上で反論すればいいだけではないのかという気がしてならない。

 原告の主張に対し西村は答弁書で、発言1(「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」)については、

〈原告の発言に対して反対の意見表明をしたもので発言を妨害したものではない。〉

 と主張し、発言2(「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」)、発言3(「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」)については西村の発言ではないと主張している(発言3のうち「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」については答弁がない)。

 すると西村は、原告の主張が西村の原告個人に向けられた発言によって名誉を傷つけられたとするものであることを必ずしも理解していないわけではないようである。それがなぜホームページでは、たんに婚外子についての一般論を述べたことに対して提訴されたことになっているのか、私にはよく理解できない。

理解不能の言語

 第1回、第2回口頭弁論が開かれた当日、西村は彼を支援する右翼らとともに東京地裁前で街宣活動を行っているが、右翼らは次のように主張している。



右翼  これはですね、まさに訴訟権の濫用であります。われわれが政府主催の意見交換会でですね、これを述べてですね、なぜそれがですね、そういう民事事件に問題にされなければならないのか。

右翼の弟子  日本政府主催の意見交換会において、人種差別問題および私生児の問題について「どうぞ忌憚のない意見をお聞かせください」「どうぞ忌憚のない意見をお願いします」、そのようにいわれて忌憚のない意見を述べたというのに、それで訴えられたらたまったものではない。



 何も知らない者が彼らの主張を聞けば、なるほどこれは提訴自体が不当と考えるだろう。右翼はこう締めくくった。



右翼  しかもおかしなことにですね、この人権侵害を一緒に訴えられたMさんにはですね、裁判は提起されておりません。このことを考えると、この裏にはやはり創価学会、公明党をですね、厳しく追及してきたわれわれ行動する保守運動、そしてそのリーダーでもある西村さんをですね、なんとしても黙らせたい、そういう思惑でですね、今回の裁判が提起されたと、そういうふうに考えざるを得ません。



 西村とともに意見交換会に出席して西村と同趣旨の意見を述べたMに対しては「おかしなことに」提訴していない、と右翼はいうのだが、これはたんにMが原告個人に向けた発言をしなかったからということにすぎないのではないか。右翼のそれ以下の主張については飛躍が激しく論評不能というほかないが、この街宣に集まった30名前後の右翼の支援者たちの間からは「そうだ、そうだ」という同意の声はあがっても特に異論もなかったことを考えると、支援者たちにとって右翼の言語は理解できるものであるらしかった。

 ちなみに、この提訴について右翼は「訴訟権の濫用であります」と主張している。しかし、西村が答弁書で「訴権の濫用」を理由に却下を求めている事実はない。


(第2回へつづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第2回
 ところで、西村による婚外子差別発言および個人に対する名誉毀損発言がなされたとされる「外務省主催の『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』の政府とりまとめの意見交換会」とはどのような趣旨で行われたものだったのか。

意見交換会の趣旨

「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」(以下、「条約」)は1961年12月21日、第20会期国連総会において全会一致で採択され、1961年1月4日に発効した。日本においては1995年11月21日に衆議院、12月1日に参議院のそれぞれ本会議おいて全会一致で批准され、12月15日に146番目の締約国となり、翌1996年1月14日に発効している。

 なお条約のいう「人種」とは、人を骨格・皮膚の色・毛髪の形など身体形質の特徴によって分類することのみならず、民族や部族的出身や、世系と表現されるカーストやカースト類似の特定集団あるいは特定の身分(過去にそうであったことを含む)とされる集団の出身、特定言語や文化圏あるいは異なる歴史的背景等の出身、公的市民登録(日本においては戸籍等)によって異なる存在であることを明示されているなどの幅広い概念である。

 したがって、条約が撤廃を目指そうとする「人種差別」とは、特定の集団や特定の集団の一員であることで一般とは異なるカテゴリーに分類されることに基づくあらゆる区別、制限または優先を意味する。つまり条約のいう「人種差別」とは「黒人」「白人」「朝鮮人」「日本人」といった一般に認識されている「人種」のみを指すのではなく、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権および基本的自由を認識し、享有しまたは行使することを妨げ、または害する目的または効果を有するものすべてを指しているのである。(西村はこの件に関連して「日本に人種差別はない」と主張しているが、西村が条約のいう『人種』の意味を理解していたかどうかは保証のかぎりではない)。

 条約は第9条において、「この条約の諸規定の実現のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置に関する報告を、委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出することを約束する。」としている。すなわち日本政府は、政府報告書を作成することで、条約の国内実施のために必要な「立法上、司法上、行政上その他の措置」等を洗い出し、国内の「立法上、司法上、行政上その他の措置」を条約に合致させる責務を負っている(「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と定めた憲法第98条2項に基づく)。
 
 平成19年8月31日に外務省本省内で行われた「『あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約』政府報告に関する市民・NGOとの意見交換会(第2回目)」(正式名称)は、まさに条約の国内実施のために政府が人権NGOとの間で建設的対話を行う場として設定されたものである。意見交換会を主催した外務省も、意見の募集要項に「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見であること。」と明記している。

参加NGOは国連への協働が前提

 ちなみに国連はNGOについて、1968年5月23日の国連経済社会理事会決議1296において、「国連の活動を支援するとともに、自らのねらいと目標、ならびに、その能力と活動の性質および範囲に従い、国連の原則と活動に関する知識を向上させることを約束する」存在として規定し、NGOに国連憲章、世界人権宣言等の理念が共有されていて、国連の目指すところと協働することを想定している。また、NGOには国連憲章第71条による国連との協議資格が理事会決議の規定に従って付与されることとなっている。

 したがって意見交換会を主催した外務省も、会に出席する市民・NGO側は人種差別撤廃条約がどういうものであるのかを理解しており、その国内実施のための建設的意見を用意してくるものと想定し、あるいは期待もしていただろう。つまり参加NGOには「あらゆる形態の人種差別の撤廃」を目指すという共通の前提があるものと認識されていたと考えてよかろう。

 言い換えれば、この意見交換会では、発言は自由ではあるものの、その内容においては自ずと一定の枠組があったということになる。たんにいいたいことをいえばよい、というような場では決してなかったのである。

 意見交換会とはそもそもそのような性格のものだった。そこに西村や右翼らも参加していたわけである。


(第3回へつづく)

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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第3回
                           ★第1回から読みたい人はこちら



最後の発言者

 では、「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見」を求める外務省主催の意見交換会で、西村はどんな意見を述べたのか。意見交換会は自由人権協会やNGO関係者の発言に始まり、最後に挙手をしたのが西村だった。西村の発言をみよう。



西村  15番の西村と申します。今回の日本政府の対応状況を見ましたところ、非常におおむねよくできていると思います。まずもってこの人種差別撤廃っていうこと自体にですね、われわれの日本のような単一民族国家としてふさわしくない。細かい表現は非常に日本政府が批准しているっていう状況からして受けざるを得ないっていう、そういう立場を理解した上で非常によくできている。この不当な勧告に対してはそれなりにサティスファクションがあると思います。



 本連載第2回で説明したとおり、「人種差別撤廃条約」がいう「人種」とはたんに肌の色や骨格など身体的特徴の違いをいうのではない。「日本は単一民族国家だから人種差別撤廃ということ自体ふさわしくない」という西村の発言は、そもそもここでいう「人種」の意味をはき違えたもののように思える。

「日本は単一民族国家」という主張についても、08年6月6日、衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択され、政府は「アイヌ民族は先住民族である」との認識を示している。したがって、あくまで西村が「日本は単一民族国家」と主張することはアイヌ民族に対する礼儀を失することになるまいか。

 これまで「人種差別の撤廃」に携わってきた人権NGO関係者にとって西村の発言は、冒頭部分からしてかなりの違和感があったことは間違いなかろう。続く西村の発言はさらに意見交換会の趣旨からはずれ、街宣さながらの内容となる。

予想だにしなかった「チマチョゴリ事件」



西村  6ページなんですけれども、その中の6ページの韓国朝鮮人、主に児童・学生を対象とした暴力行為にかかるというところですね。まあ、あの閣議決定により策定された「人権教育・啓発に関する基本計画」とうんぬん外国人に関する人権問題を掲げ、その中には在日韓国、朝鮮人等をめぐる問題を位置づけている。これが非常に不可解でしてね。日本社会でこの在日朝鮮人、韓国人にですね、そんな不当な差別が今の日本で行われているかどうかってことです。

 この暴力っていうのはつまり、一番具体的な例でいえば、例のチマチョゴリの引き裂き事件、切り裂き事件なんですよね。ご存じのようにチマチョゴリというのは、ちょうどこの分厚いハンカチのようですね。これだけをきれいにカッターナイフで切るってことはまず不可能なんですよ。しかも満員電車の中でカッターナイフで切るといったら、肉体へずぶりと突き刺すくらいでなきゃ、これ傷つかないものです。ということは、一連のチマチョゴリがあれだけきれいに裂かれたっていうのは完全なでっち上げなんですよ、これが。

 このことが毎日新聞の○○(実名)っていう女性記者がいます。これは今たしか、新聞労連の委員長なんですね。その方に、私は直接毎日新聞に乗り込んで、現実にこれができるかどうかを問いただしたことがありましたけど、この○○記者は逃げましたね。

 これは、だいたいこのような事件があった場合、在日朝鮮人協会が刑事告発するはずが、それはしない。ただマスコミを呼んで「暴力を受けた」と、実態のない、そういう実態のないものに基づいてですね、この在日韓国、朝鮮人をめぐる問題としていますが、余計なことだと思いますので、これは削除していただきたい。

 あと一つはですね、さきほどここの旧植民地の方がですね、娘さんの就職が大変差別を受けたっていいますけど、あなたはまあ日本人じゃない、日本国籍を取得していないわけですからね、これね、っていうことは当然これは区別されるんですよ。区別はこれ、けっして差別じゃない。日本人だったら1人で保証人でもいいかもしんないけども、日本人でなかったらそれ以外の保証人、これ全然区別で、(差別でも)なんでもない。



「人種差別撤廃条約の実施状況に関する要望・意見」を求める意見交換会において、まさかチマチョゴリ切り裂き事件の話が出てくると予測した人権NGO関係者は少なかろう。当然ながら、主催する外務省もようやく口を挟んだ。しかし、ここから意見交換会には不穏な空気が流れ始める。



外務省課長  今回、条約の報告書に関する意見交換っていうことで。

右翼  だから今、発言に対する……。

課長  個別のケースについてはやめていただけないでしょうか。

西村  な、な、何ですか。

課長  個別のケースを議論しているっていうことはございませんので、報告書の観点からご発言いただければと思います。

西村  だって、この方は報告書に関係のないことを発言していた。だったら、なんであんた、その発言を注意しなかった。だから、当然私も発言する権利がありますよ。私もね、会社関係で在日朝鮮人雇っていますけどね。能力で雇いますけれど、在日朝鮮人で差別なんて、そんなことしないですよ。

 たまたまあなたの娘さんは能力かなんかでその会社に適合しなかったから、そりゃ就職を断られたかもしんないし、あんたが旧植民地出身でこられたもんだから、そんな差別……。

原告  ちょっと誹謗中傷でしょう。

課長  個別のケースについての発言は……。



 西村が「会社関係で」在日朝鮮人を雇っているとは意外だが、それはともかく、原告が即座に「ちょっと誹謗中傷でしょう」と西村の発言を遮ったのは、西村が一方的に在日外国人の娘に能力がなかったと決めつけたからだろう。すると原告のこの一言を機に、西村の発言はますますあらぬ方向へ向かったのである。冷静さを失った、といえばいいのだろうか。

(つづく)

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東村山市議会議長誹謗中傷事件 第1回
削除された記事

 平成21年6月8日、「創価学会の集団ストーカー日記」なるブログに「日護会・北多摩地区周辺をポスティング!」と題する記事が掲載された。それによると、このブログ主は、

「東大和市周辺地域を、日護会の黒田代表一行7名と矢野穂積市議、朝木直子市議と合同で配布」(記載1)

 したという。日本語として不完全な文で、これだけでは何を配布したのかわからない。彼らが配布したのは『北多摩市民新聞』(発行人・矢野穂積)なるビラである。さらにブログによれば、その日の午後には、

「東大和駅付近に移動する為に、朝木市議に迎えに来て」(記載2)

 もらったという。

 このブログ主は日護会会員であり、日蓮正宗妙観講の信徒であると自己紹介している。するとこの日の配布メンバーは右翼と妙観講および東村山市議の矢野、朝木という顔ぶれだったことになる。

 ところが2日後の6月10日、冒頭に紹介した記載1は、

「東大和市周辺地域を、日護会の黒田代表一行とで配布」

 と訂正され、記載2は、

「東大和駅付近に移動する為に、迎えに来てもらう」

 と訂正された。訂正後の記事では、当初の配布メンバーから矢野と朝木の名前が消えている。つまり、『北多摩市民新聞』なるビラを配布したのはブログ主である妙観講信者と右翼一行だったということになっていることがわかる。

 しかし記事の「訂正」はこれで終わりではなかった。それから5日後の6月15日ごろ、この妙観講信者の6月8日付記事は、記事自体がブログから削除されたのである。いったいブログ主あるいはその周辺で何が起きたのか。矢野・朝木の名前を削除し、最終的に記事自体を削除したのはブログ主自身の判断によるものか、あるいは誰か第三者の意向によるものだったのか、また削除の理由は何だったのか。

 一連の訂正から削除の流れを振り返ると、まず矢野・朝木がビラ配布に参加した事実が消されたのは矢野・朝木の意向によるものであるとみるのが自然だろう。とすれば、矢野、朝木はそれ以外の事実を公表することについては容認したということになる。当日同行した右翼も、同行者が誰だったか、とりわけ矢野、朝木が参加したことにはまったく触れていないものの、ビラ配布の事実については自ら公表している。

 注意すべきは、この妙観講信者の記事は削除されたが右翼の記事は削除されていないという事実だろう。これは不思議なことではあるまいか。では、右翼の記事にはなく、妙観講信者の記事にあったものとは何か。ビラ配布に妙観講信者が参加していたという事実ぐらいしか思いつかない。

 いずれにしても、その理由はともかく、訂正から削除という2段階を踏んだ動きの背景には、それぞれの段階でそれぞれの利害関係者あるいは組織の意向が働いたとみるのが自然なのではあるまいか。

朝木明代関連記事はすべて虚偽

 右翼などによれば、右翼・妙観講・東村山市議の矢野、朝木が一体となったビラ配布活動は東京都議選北多摩1区内で複数回に及んだ。故朝木明代の万引きを苦にした自殺を(創価学会が関与した)殺人事件と印象づけようとするビラの内容からみて、その目的が、目前に迫った東京都議選における公明党の選挙戦を少しでも不利に導こうとするものであることは明らかだった。ビラの内容が虚偽だった場合、公選法に抵触するものとなりかねまい。

 ビラの内容を簡単に検証すれば、まず「新銀行東京 公明・谷村都議に口利き疑惑」については谷村都議自身が明確に否定している。では、残りの朝木明代の万引きと自殺に関する記載はどうか。

 朝木明代関連記事の内容は、明代の万引きと自殺を捜査した当時の千葉英司東村山警察署副署長が『東村山の闇』(矢野・朝木共著)の内容をめぐり提訴していた裁判、雑誌「フォーラム21」の内容をめぐり創価学会が提訴していた裁判、さらに月刊タイムス裁判に関する記事の3本である。

 まず、千葉との裁判について矢野はビラで、

〈「万引き苦に自殺」とした東村山署・千葉英司元副署長の捜査は不十分で誤りだったことが判明した。〉

 と記載している。しかし判決は「矢野がそう疑ったことには相当の理由がなかったとはいえない」と消極的に認定しているにすぎず、裁判所が「千葉英司元副署長の捜査は不十分で誤りだった」などと認定した事実はない。

「フォーラム21」裁判についてはこう記載している。

〈(判決は)創価側(信者)に事件関与の疑いが「否定できない」とした検察官発言に、はっきりと言及している〉

 矢野はあたかも判決が「検察官発言に言及したこと」が勝訴理由であるかのように記載している。しかし判決は、雑誌の記載には創価学会に対する名誉毀損はないと認定したにすぎず、判決が「検察官発言」が事実であると認定した事実などどこにもない。

 また月刊タイムス裁判に関しては、

〈「万引き苦に自殺した」ということは真実ではない、ということが確定した〉

 などと記載しているが、裁判所は「亡明代の死亡直前の言動、死体の状況及び関係者の供述を総合考慮すると、亡明代が自殺したことを裏付ける事情が存在することは確かである。しかしながら、……上記亡明代が自殺したことを裏付ける事情をもって、自殺を推認するに足らず、他に亡明代が自殺したと認めるに足りる証拠はない。」としたにすぎず、「万引きを苦に自殺」が真実ではないと認定した事実はない。

 むしろ東京地裁は「万引きを苦にした自殺」については東村山署の捜査結果に基づくものであるとし、表現の相当性を認定している。この点について矢野と朝木は上訴しておらず、そのまま確定している。少なくとも、朝木明代の万引きと自殺に関するビラの記載内容がすべて虚偽であることがわかろう。

矢野と朝木に利用される右翼

 ビラに記載された3件の裁判の当事者である矢野が、その記載内容が虚偽であることを知らないとは考えられない。しかし、矢野の情報操作と「朝木明代の転落死は他殺だったとする内部告発があった」と主張する古参右翼の話を信じ切ってこのビラの配布に従事した右翼と妙観講信者にとっては、ビラの配布活動がなにか社会貢献活動ででもあるかのような錯覚に陥っていたのかもしれない。

 だから、配布活動の様子をブログで詳細に記載した妙観講信者は、矢野と朝木から該当個所の削除を要求され、さらに記事自体の削除を要求されてさぞがっかりしたのではないかと推察する。しかし、ブログの記事をめぐる不自然な動きがあっても、右翼周辺や当の妙観講信者が矢野の主張する(創価学会が関与した)「万引き捏造と他殺説」に疑問を感じた様子はまったくうかがえない。

 むしろ右翼は、ビラの配布を重ねることによってますます錯覚の度を増したようにみえる。当初は土日に限られていた配布活動は6月10日前後には平日にも行うようになり、この右翼は仲間の右翼Mらとともに6月14日には街宣車を使用した街宣活動を東村山市内とその周辺で行ったのである。

(宇留嶋瑞郎)

(つづく)

テーマ:右翼 - ジャンル:政治・経済

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