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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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久米川東住宅「電波障害」事件・前編
久米川東住宅「電波障害」事件                宇留嶋瑞郎

 いったい何が気に入らないというのか、東村山市議、矢野穂積(草の根市民クラブ)が、自分の住む久米川駅東住宅の管理費のみならず長期修繕積立金まで入居から4年間にわたって1度も納付しておらず、管理組合から支払いを求めて提訴されたことは昨年お伝えしたとおりである。平成19年11月13日に開かれた第1回口頭弁論で矢野は、「管理組合の運営が民主的でないから支払わない」とか「11月25日の総会で理事長が代われば支払う用意がある」などと主張していた。

 管理組合の総会は予定どおり11月25日に開かれ、新理事長が就任したが、矢野は理事長が代わっても支払いはしなかった。その後、弁論準備手続が同年12月12日と平成20年1月31日の2回開かれている。この手続きでは裁判長が実質的な話し合いによる解決を進めている(和解協議に近い)が、矢野は無条件の支払いを拒んでいる。

 管理組合側には矢野に対して譲歩する理由はなんらないと思えるが、ポスター印刷代金踏み倒し事件からもわかるように、客観的にはどう見ても合理性がないと思える理由でも、矢野の論理の中では正当化されているところが特異である。次の弁論準備手続は2月中旬に予定されているが、話し合いによる解決は難しい状況にある。

 話し合いによる解決が成立しなければ判決となるが、矢野が管理費等の決定に違法があるとして管理組合を提訴した裁判ですでに矢野の敗訴が確定している。したがって、判決になった場合には矢野に管理費等および延滞利息の支払いが命じられる公算が高いとみられる。

1軒だけの受信障害

 さて、矢野は平成14年1月10日、久米川駅東住宅に高野博子(認可保育園「りんごっこ保育園」施設長)と同居しはじめて4年の間に管理組合に対して9件の争訟を提起している。そのうち1件の民事調停を除いて、矢野が管理組合を相手に起こした裁判は総会決議を含めていずれも組合として決定した事項が法的に無効であるとするものである。

 管理費等をめぐる裁判を含め、これら9件の争訟で矢野の主張はすべて退けられているが、その中でとりわけ、矢野が最初の管理組合理事選挙で落選したのも無理からぬものと思わせる興味深い事件がある。団地が導入した有線テレビのケーブルによって矢野の部屋のテレビに受信障害が発生し、テレビだけでなく多摩レイクサイドFM(矢野が実質的に運営し、市民を誹謗中傷することで有名なビラを読ませ、それに矢野が我田引水のコメントを加えるなどする、いわば矢野思想翼賛の情報操作放送局)も受信できなくなったから原状回復せよなどとして、管理組合やジェイコム関東(JCOM)を提訴していた事件である。

 平成13年11月、東京都住宅供給公社はJCOMとの間で東住宅に有線テレビのケーブルを敷設することについて協定書を交わし、翌14年に入って自治会もこれに同意して同年敷設工事を実施した。また、平成15年の権利委譲にともなって設立された管理組合も、自治会の同意を承継する旨の合意書をJCOMとの間で交わした。

 この有線ケーブルの導入については住民にはいっさい金銭的負担はかからず、住民がそれまでアンテナで受信していた放送も無料で受信でき、有線テレビを希望する区分所有者についてはJCOMが提供する番組や光通信によるインターネット接続ができるようになるというものである。つまり、JCOMのケーブルを接続したからといって、団地の資産価値を高めることはあっても住人にはなんらマイナス要素はない。実際に、JCOM導入以後、矢野以外の住人からテレビの映りが悪くなったなどの苦情は1件もなかった。

 ところが不思議なことに矢野は、自分の部屋だけは受信障害が発生したという。平成16年10月19日に提出した訴状で矢野はこう主張していた。

〈被告ジェイコム関東は、故意または過失により、原告宅内へのアンテナ同軸線と接続させる上記「有線テレビ線引込み工事」を行ったことにより、原告には、先ず第1に、本来の周波数によるFM放送の聴取が不可能となり、総務大臣が免許を交付して東村山市ほか6市などを放送区域としてFM放送をする「多摩レイクサイドFM」(79MHz)は全く聴取ができない状態となった。さらに第2として、テレビの画像の右にゴーストが映る受信障害が生じるという損害が発生した。〉

 したがって矢野は、矢野宅に接続された有線テレビケーブルを取り外し、さらに矢野の住む棟の屋上に個別アンテナを設置し、矢野宅にケーブルを接続してFMおよびテレビの受信状態を原状回復せよなどと主張していた。

 ところで矢野は、「ケーブル敷設工事以降、再三、架電により原状回復を求め」、「平成16年以降、ファックスによって、原状回復するよう催告した」という。「架電により原状回復」を求めたのが具体的にいつのことなのか訴状では明らかでない上に、「ファックスによって」原状回復を求めたのが工事から2年後というのは奇妙である。

 また通常、この工事の実施主体が自治会であるにもかかわらず、矢野はなぜか自治会に対してはなんらの働きかけもしていない。自治会は工事実施までに工事の説明会を開催、さらにジェイコム関東が工事についての周知・お願い文書、室内のケーブル調査、端子取替え工事日程調査などを数度にわたって全戸配布したが、その間にも工事実施中も、工事完了後も、自治会に対しては不同意や抗議の意思を示した住人は矢野を含めて1件もなかったという。

 少なくとも自治会は住人が委任した組織であり、その決定と事業計画は一応、住民の同意に基づいたものである。その事業遂行に異議を唱え、またその事業遂行によって不利益を受けたというのならまず自治会に対して改善を求めるのが筋というものではなかろうか。それをせず、自治会の頭越しにJCOMに原状回復を求めたのは、自治会では相手にされなくてもJCOMなら対応する可能性があるとでも考えたのだろうか。

 奇妙な点はもう1つあった。有線ケーブル敷設工事を行ったのは平成14年だが、矢野が「聴取できなくなった」とする多摩レイクサイドFMの放送が始まったのは平成16年6月30日である。すると矢野は、JCOM以前には聴取できていたことをどうやって確認したというのか。JCOM以前には存在していない放送を聴けたかどうかを確認するのは不可能である。立証不可解であることが明らかな事実を前提としていること自体、この裁判の本質が通常の原状回復を求めるものではないことを示していたように思えてならない。


(後編へつづく)

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久米川東住宅「電波障害」事件・後編
                             ★前編から読みたい人はこちら


JCOMの立ち入り調査を拒否した矢野

 矢野の請求内容を端的にいえば、受信障害の現状が改善されればよいということに尽きよう。被告であるJCOMもまたそう考えたのは当然である。だからJCOMは、矢野の部屋の受信状況がどういう状態なのかを確認するために立ち入り調査をさせてほしいと申し入れた。その結果、実際に受信状況に異状が発生していることが確認できれば、ただちに無償で対処するという趣旨である。

 きわめて自然ななりゆきで、多摩レイクサイドFMの件は別として、矢野の受信状況が改善されれば(実際に受信障害があると仮定すれば)、その時点で事実上、この裁判は矢野が関与する裁判では珍しい平和的解決をみることになる。JCOMの応訴姿勢はこの上なく紳士的かつ誠実なものだったといえる。

 JCOMが立ち入り調査を申し出たということは、矢野からすれば、被告であるJCOMが矢野の立証活動を手伝ってくれるといっているに等しい。原状回復を求める原告にとって、相手方が立証の手助けを申し出るという裁判もそうあるものでもあるまい。通常なら、こんなありがたい話を断る理由は思いつかない。ところが矢野は、不思議なことにJCOMの申し入れを拒否したのである。

 目に見えない部分のデータ分析などの調査なら、改ざんの恐れがないとはいえない。しかし、テレビの受信障害は素人でも一目で確認できるから、JCOMが調査結果を改ざんする恐れもない。にもかかわらず、矢野はなぜJCOMの立ち入り調査を拒否したのだろう。普通人の常識ではとうてい理解できない話というほかなく、これではむしろ矢野自ら提訴の前提事実が最初から存在していないと自白したも同然と受け取られても仕方あるまい。虚偽の事実に基づいて裁判を起こすこと自体、濫訴という違法行為にほかならない。

 裁判で矢野は、JCOM導入に至る自治会の決定過程に対しても違法性があるなどと主張したが、東京地裁は提訴からわずか3カ月で口頭弁論を終結し、平成17年2月10日、矢野の請求を全面的に棄却する判決を言い渡した。東京地裁は判決で、JCOM導入に際しての自治会の手続きに違法性はなかったと認定した上で、矢野の主張する受信障害の事実について次のように述べた。

〈原告(矢野)の主張する受信障害等被害対策を求める部分については、その受信障害の存在やこれが本件接続工事に起因するものであることを認めるに足りる証拠がない〉

 受信障害と接続工事の因果関係を認定する証拠がないというのみならず、裁判所が「受信障害の存在」についてまでもその証拠がないと認定した事実は重い。裁判所はJCOMが立ち入り調査を申し入れて矢野がなぜか拒否したという経過を重視し、少なくとも裁判所は最初から受信障害の事実は存在しなかったのではないかとする疑念を抱いたということである。請求原因事実の存在そのものが疑われること自体、そうそうあることではあるまい。矢野はそれでも控訴したが、東京高裁もまた矢野の主張を全面的に退けた。
 
 かつて矢野は、故朝木明代の万引きを苦に自殺した事件では「他殺」や「拉致」を主張しながら事務所や自宅の調査を拒み、少年冤罪事件では被害を訴えたにもかかわらず「多忙」を理由になかなか事情聴取に応じようとせず、朝木直子はセクハラ被害を申し立てながら何カ月もヒアリングに応じようとしなかった。いずれのケースにも共通するのは、彼らの申し立ての前提自体が虚偽だったか、もしくはこじつけにすぎなかったということである。

「電波障害事件」もまた、矢野以外に受信障害の苦情は1件もないこと、JCOMの立ち入り調査を拒否した事実などからすれば、矢野の主張する受信障害など最初から存在しなかったとみるのが自然である。すなわちこの裁判はいいがかり、嫌がらせのたぐいと見られてもやむを得まい。その理由は何なのか。矢野が入居以来4年間に管理組合に対してこの裁判以外に8件もの争訟を起こしていること、さらにこの間、管理組合に対して1度も管理費等を支払っていないこととけっして無関係ではないように思えてならない。

 いずれにしても、管理組合や自治会は同じ団地の住人である1人の市会議員が起こした常識的にはあり得ない裁判のために、また通常ならなんの問題もなく納入される管理費等の請求のために物理的・精神的エネルギーだけでなく、多額の費用の支出を余儀なくされているのである。

(了)

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