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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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右翼M事件 第7回
「裁判官追いかけ事件」を正当化 

 右翼Mの請求原因とは直接関係ない部分に対する反論はまだあった。



(右翼Mの主張)

「裁判長を追いかけた」ことについて


 5月21日の東京地裁における口頭弁論での出来事と推察する。(筆者注=それ以外にあるのか?)

 証拠書類を提出して、これから審理に入ろうとしている矢先に担当する裁判官は、突然に次回判決言い渡し期日を口の中でモゴモゴと小声の早口で発すると、急いで退廷してしまった。

 被告と被告選任弁護人、傍聴者もアッケにとられてしまったが、被告は即座に気を取り直して、「今、何と言ったのですか。聞き取れませんでした」と言って席から立ち上がったのである。

 別段に裁判所職員から制止された訳ではない。

 選任弁護人も「長年やっているが、あんな裁判官初めて見たね」、とあきれ返っていた。

 なんら、被告が常軌を逸した言動をとっている訳ではない。「常軌を逸している」とは被告を貶めたい原告千葉による創作である。



 右翼Mが「裁判官を追いかけた」事実だけは認めていることは評価できるものの、その行為を正当化しようとしている点はどうかと思う。私の記憶では、傍聴席の女傑Mが「Mさんやめて」と叫び、右翼Mを追いかけて制止したのは確かに裁判所の職員ではなく西村の側近だった。裁判官を追って壇上まで駆け上がり、裁判官専用ドアのノブに手をかけてガチャガチャ回そうとした右翼Mの行動が、裁判所職員に直接制止されなかったから許されない行為ではないのだと考えてはまずかろう。

 右翼Mは判決言い渡しの際に2名のガードマンが配置されたのが、右翼Mの裁判官席への侵入と襲撃を阻止するためであることに思い至らないのだろうか。「政治活動家」を標榜するのなら、動機が何であれ、やっていいことといけないことぐらいの分別がなければいけない。それに法廷で裁判官を追いかけてもいいという弁護士がいるとすればきわめて問題だろう。



(右翼Mの主張)

「個人の家の前で街宣した」ことについて


(原告は)被告は思想信条が対立する人物の家へ押しかけて街宣活動を行っていると決め付けている。……

 しかし、被告が行っている広報宣伝活動は東村山事件の真相解明を訴える一般の広報宣伝であり、思想信条とは無関係である。

 平成21年6月14日は東村山市内、及び東大和市内において東村山事件の真相解明を訴えて駅前、創価学会文化会館等の施設前において広報宣伝活動を行ったものである。

 お礼参り的に公明党区議と都議の自宅へ押しかけた、とは原告による悪意を持った独占的(ママ)解釈である。……

(これは)被告が公明党区議の事務所を訪問して、「私が如何なる犯罪を犯したというのでしょうか」と、質問した行為である。訪問先は中野区議会ホームページで公表されている各区議の事務所である。何も違法性を伴わない正当な政治活動である。非難されるものではない。



 街宣禁止と110万円の支払いが命じられた東村山街宣について右翼Mは、「思想信条とは無関係」で、「一般の広報宣伝」だったとし、また個人の自宅に押しかけてはいないと主張している。一般社会では普通、街宣禁止命令が下るような街宣を「一般の広報宣伝」とはいわないだろうし、「創価学会の犯罪を許すなー」「創価学会は殺人をやめろー」などと大音量で騒ぐことも「一般の広報宣伝」とはいわない。

 また提訴はされなかったものの、右翼Mらが個人の議員宅に押しかけて街宣活動を行ったのは明白な事実である。右翼Mはその際、議員を名指しし「犯罪者」と決め付けた上、「出てこーい」と連呼している。どこからみても「一般の広報宣伝」ではない。

 中野においても、右翼Mが行ったのが議員個人の自宅であることは明らかである。右翼Mは〈「私が如何なる犯罪を犯したというのでしょうか」と、質問した行為である。〉と主張しているが、一般に、質問するのに相手の所在も都合も確認せず、一方的にハンドマイクでがなり立てる者はいないのではあるまいか。またハンドマイクで怒鳴られた方も、「野方の右翼のMさんが徒党を組んで、きわめて常識的かつ紳士的に質問に来られたから、誠実に答えなければ」とは思わないのではあるまいか。

 右翼Mは本件請求とは直接関係のない部分について反論しているものの、いずれもめったに聞けない言い分で、合理的かつ効果的な反論になっているとは思えない。むしろ反論しようとすることで特異な前提事実が存在したことを認める結果になっている。それはそれで正直だという評価もあろうが、裁判長もいうように、右翼Mが反論する必要はないと思っていたのなら、反論しない方が得策だったのではあるまいか。 

趣旨不明の書証

 さらに右翼Mは中野区役所における騒動で拘留された件についても反論しており、「消防団員の非行行為について」と題する右翼M自身による書面を書証として提出している。第4準備書面には、

〈創価学会・公明党が被告の「特別職地方公務員」の地位を剥奪、懲戒解雇処分とすることを目論み、被告所属の野方消防団に圧力を掛け、聴聞会を開かせた。これに対し、被告が事情と経過を説明した際の文書である。〉

 と説明されている。「創価学会・公明党が圧力をかけた」かどうかは定かでないが、右翼Mは野方警察署に拘留された件について野方消防団本部から懲戒解雇を視野に入れた事情聴取を受けたようである。

 書面は野方消防本部に対してあらためて拘留が不当だったことを主張するもので、右翼Mは、

〈もしも、任命権者が懲戒解雇の判断を下す事態になれば、私はあらゆる手段を駆使も徹底的に闘う覚悟を持っています。〉

 と宣言した上、返す刀で「他の消防団員による非行行為について」として、消防団員である2名の公明党中野区議(K区議とH区議)を名指しして「虚偽告訴という犯罪行為を実行し」たとし、

〈両団員が非行事実にあたる犯罪行為を実行していることは疑いようがありません。厳正なる処分をお願いします。〉

 と結んでいる。右翼Mの主張が事実なら、野方消防本部は右翼Mの拘留問題については不問に付し、両議員を懲戒解雇処分としなければならないことになるが、どうするのか。今度は野方消防本部が街宣の標的となるのだろうか。いずれにしても、すこぶる取り扱いの難しい人物である。

 私にはよく理解できないが、右翼Mはこの書面を書証として提出することに意味があると考えたのだろう。逮捕には根拠がなく、自分は千葉が主張するような人間ではないといいたかったものとみられる。
 
 しかし通常、自分の主張を立証するために自分の書いた書類を証拠提出しても客観性のある証拠とはみなされないし、そもそも右翼Mが拘留されたことは本件とは直接には何の関係もない。私にはこの書面についても、出す必要はまったくなかったというよりも、右翼Mの名誉のためにもむしろ出さない方がよかったのではないかという気がしてならない。

最後のメッセージ

 判決は予断を許さないが、判決言い渡し期日を通告したあと、裁判長は一呼吸置いて、最後にこういった。

「それから、判決当日は出頭する必要はありません。判決書はあとで郵送しますからね」

 双方が素人だから、裁判長も親切でいったのだと思うが、私にはふと「来ないでください」という間接的なメッセージのようにも聞こえた。とりわけ「行動する保守」関連裁判では警備に余計な人手が割かれるし、判決内容によっては何が起きるかわからない。そのような判決を想定しての発言だったとは思わないが、場合によっては立川支部も屈強なガードマンの配置を検討した方がいいのかもしれない。

(「判決後」につづく)

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西村修平事件控訴審判決(その2)
判決主文を「改変」

 平成22年10月28日、降りしきる雨の中で「断固として闘う」とする意思を表明した西村修平は同日付のブログで〈一審に続く整合性を欠く不当な判決〉であると主張している。西村は何が「整合性を欠く」といっているのか。記事ではその点は不明確だが、わずかにその根拠らしきものがうかがえないこともない。

 西村はまず、一審の判決内容について次のように記載している。



(西村の記載)

1.被告は、原告に対して十万円の精神的苦痛に対する慰謝料を払え。
2.「創価学会の四悪人」とかかれたプラカード類などに関して判決は、「原告(千葉英司)のその余の請求を棄却する。
3.訴訟費用の九割を原告の負担とする。

 なお、仮執行については相当でないから、これを付さない。



 読者(支援者)に対しあたかも実際の判決主文と誤解させるような体裁だが、一方、実際の判決主文は以下のとおりである。



(本物の判決主文)

1 被告は、原告に対し、10万円を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その9を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。



 本物の判決主文と西村の記載を比較すると、西村が読者(支援者)に対し、千葉の請求が認容されたのはごく一部で、「そのほとんどは認められていない」と強調しようとしているようにみえる。「なお、仮執行については相当でないから、これを付さない。」との文言は裁判長が判決文の末尾で述べたものだが、西村としては千葉の主張が斥けられた部分をとりあえず並べたかったのだろう。

 西村の記載のうちとりわけ主文と異なるのは、2項目目である。西村は〈「創価学会の四悪人」とかかれたプラカード類などに関して判決は〉と記載し、その部分についての請求が棄却されたかのように装うが、上記のとおり、本物の判決にそのような文言は存在しない。判決にない文言を加えることで西村は、プラカードの記載については違法性が認められなかった、その点においては勝ったと支援者に印象付けたかったものとみえる。そうでなければ本物の判決文を表示しなかった理由はなかろう。

 あるいは主文にプラカードに対する判断が記載されていないことでそう勘違いした可能性もあろうが、裁判所が主文で命じるのは訴状における請求の範囲のみである。千葉の請求は「100万円を支払え」というもので、プラカードは請求原因の1つである街宣の1部として主張されているものの、プラカードの破棄命令などは請求していない。したがって、裁判所が主文でプラカードに関してなんらかの命令をすることもしないことも、そもそもあり得ないのである。

 つまり西村は全面敗訴ではないと主張したいために、あたかも裁判所がプラカードには違法性がないと判断したかのように記載したのではあるまいか。そうすることで西村は、「創価学会の4悪人の1人である千葉が、創価学会員の検事と謀り、謀殺事件を自殺として処理した」とする趣旨のプラカードの記載内容については違法性が認定されなかった、すなわち正当性が認められたと支援者にアピールしたかったものとみられる。

街宣ごと否定されたプラカード

 東京地裁立川支部が西村に対して10万円の支払いを命じた理由は、街宣とブログ記事の真実性・相当性は認められないと判断したからである。判決理由の中で裁判所はプラカードについて具体的に記載していないものの、街宣について次のように述べている。

〈亡明代は、自殺したのではなく、計画的に殺害されたと断定的に主張した上、東村山署副署長であった原告が捜査に当たり、亡明代が自殺したものとして処理したことについて、原告が、同署刑事係長及び地検八王子支部の検察官2名とともに、亡明代が計画的に殺害されたことを知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げて隠蔽しようとしたと主張し、さらに、上記検察官2名は亡明代の謀殺事件に関わっている創価学会の学会員であって、原告及び上記刑事係長もこれと結託して上記隠蔽に加担する不正を行った同類のものであると主張(するものである)〉

 街宣はプラカードを指し示すなどして行われたものであるとともに、プラカードの文言の趣旨はこの東京地裁の認定部分に重なっており、千葉の社会的評価を低下させるとしたこの認定にはプラカードの記載内容も含まれていると理解すべきだろう。したがって、西村がブログで東京地裁が〈「創価学会の四悪人」とかかれたプラカード類などに関して判決は、「原告(千葉英司)のその余の請求を棄却する。〉としたかのように記載したことは、判決文の読み方としても誤っているのではあるまいか。

 また西村のブログは、東京地裁が街宣と記事について〈公正な捜査と事件の真相の解明を求める側面……もある〉として一応の公益性を認めたことと、最終的に10万円の支払いを命じた点が「整合性を欠く」と主張しているように読める。最高裁判例によれば、表現が千葉の社会的信用を低下させるものと認定した以上、違法性が阻却されるには公共性・公益性以外に真実性・相当性が認定されなければならない。したがって、東京地裁が公益性を認定しておきながら10万円の支払いを命じたことには「整合性を欠く」とする西村の主張こそ法的論理性を欠くものといわれても仕方あるまい。

 矢野穂積と朝木直子に全面的に依拠したにもかかわらず、真実性・相当性に関する西村の主張はことごとく排斥された。支援者に対して肝心な事実を正直に伝えようとせず、敗訴の事実を潔く認めようとしない姿勢こそ、西村の指導者としての限界を示していよう。

いまだ提出されない答弁書

 余談だが、西村はかつての側近である細川勝一郎とともに千葉から肖像権をめぐり新たに提訴されている。その第1回口頭弁論が12月10日、東京地裁立川支部で開かれる。

 第1回口頭弁論を3日後に控えた12月7日、なぜか西村自身のブログではなく「行動する保守」Aの弟子が運営するブログで、裁判当日に立川で街宣を行うという告知が「連絡 西村修平」名でなされた。告知文には「不当な裁判である」との文言がある。その根拠は不明だが、当然ながら争うということなのだろう。

 それならそれで、被告は第1回口頭弁論までに答弁書を提出しなければならない。ところが12月8日午後10時現在、千葉のもとに西村の答弁書は届いていないという。どうしたのだろうか。

 なお、私が写真削除などを求めて西村を提訴していた裁判は平成22年11月30日、最高裁が西村の上告を棄却して20万円の支払いと写真の削除を命じた一審判決が確定した。その4日後の12月3日、問題の2枚の写真(平成20年7月29日付記事および同年9月1日付記事)が削除されたことを確認している。

(つづく)

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西村・細川事件 第1回
オールスターキャスト

 元東村山警察署副署長、千葉英司が名誉を毀損されたなどとして平成22年10月21日、「主権回復を目指す会」(全国的に有名な右翼「行動する保守」の一派)代表の西村修平と側近の細川勝一郎を提訴していた裁判の第1回口頭弁論が平成22年12月10日、東京地裁立川支部で開かれた。

 開廷15分前に裁判所に到着し、1階でエレベーターに乗ろうとすると、ロビーに西村、右翼M、「行動する保守」Aの弟子ら5名がたむろしているのが見えた。誰かを待っているのだろうか。

 私は西村と個人的に話をする必要があったので、西村をロビーの脇に誘った。すると途中で右翼Mが肩をいからしながら近づいてくるのがわかった。右翼Mは私に向かって「やるか」などと意味不明の言葉を投げたが、私は右翼Mに対応するヒマはなかった。口頭弁論が始まる前から右翼Mは、いったい何をそんなに高ぶっているのだろうか。

 西村との話が終わり4階に行くと、法廷前には女傑Mが1人で立っていた。これで最近の「行動する保守」先鋭メンバーのオールスターキャストがほぼ揃ったということになろうか。

 西村など「行動する保守」一行を東村山市議の矢野穂積、朝木直子を発信源とする東村山デマに引き込んだ最大の責任者である「行動する保守」Aは、この日も姿を現さなかった。この卑怯者は、何の影響力も及ぼすはずもない床屋政談に逃げ込みながら、万引き被害者や支援者らに対する責任をこのままうやむやにしてしまうつもりだろうか。

総額140万円と写真削除などを求める

 千葉が問題にしているのは平成21年11月1日、西村がさいたま地裁川越支部前で行った街宣の内容と、ウェブサイト「主権回復を目指す会」に掲載された平成21年11月2日付記事である。

 西村は支援者らが〈創価学会の疑惑に沈黙するな 東村山女性市議・朝木明代さん謀殺事件の徹底究明〉などと記載した横断幕や、〈祝! 千葉英司敗訴「万引き」はでっち上げ!〉〈「自殺」は謀殺だった!!〉などと記載したプラカードを掲示する傍らで拡声器を使い、次のように演説した。



街宣

〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長と、えー、一心同体となっている宇留嶋瑞郎が、今、裁判所に今入って来ました。訴訟を乱発して一国民に対して100万円を請求する元千葉英司副署長と宇留嶋創価学会御用達ライターがね、これ名誉毀損といわれたその当人が今裁判所に入りました。〉



 この演説に対して千葉は、〈原告が朝木明代の万引き事件を捏造した〉との虚偽の事実を摘示するとともに、〈訴訟を乱発して……〉との部分は〈原告が根拠に乏しく非難されるような訴訟提起を繰り返していると印象づけるもの〉であるとし、それぞれ原告の社会的評価を低下させたと主張している。

 記事は街宣の翌日、平成21年11月2日に掲載されたもの(〈創価学会が大喜びする宇留嶋の訴訟乱発 創価学会「御用達」は栄えある名誉の筈だぞ! 言論・政治活動の自由をカルト教団から守れ〉)である。本文冒頭には次のように記載されている。



記事

〈朝木明代・東村山女性市議の謀殺事件を転落・自殺としたのが東村山署元副署長の千葉英司。自殺の動機を『万引き』を苦にしたとして事件を処理したが、これが限りなくでっち上げに近いことが判明されている。〉

 上記記載の下には〈創価学会の疑惑に沈黙するな 東村山女性市議・朝木明代さん謀殺事件の徹底究明〉などと記載された横断幕、〈祝! 千葉英司敗訴「万引き」はでっち上げ!〉〈「自殺」は謀殺だった!!〉などと記載したプラカードの写真と千葉の写真を掲載している。



 これに対して千葉は、上記記事は下の写真とあいまって「原告が朝木明代謀殺事件を自殺と捏造した」との事実を摘示し、読者に対し、千葉は公正な捜査をすべき立場にあったにもかかわらず謀殺事件を「自殺」と捏造したとの印象を与え、社会的評価を低下させたと主張。また記事に千葉の写真を掲載したことおよび、記事に街宣当日の千葉の映像が映った動画をリンクしたとして肖像権侵害を主張している。

 千葉は、街宣については西村に対して慰謝料80万円、記事については西村および動画を撮影・編集した者として細川に対して連帯して60万円の支払いを求めるとともに、上記記事と写真ならびにリンクした街宣動画の〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長〉との西村の音声および原告の画像を削除するよう求めている。

いきり立つ「行動する保守」

 被告が2名で利害が共通する場合、被告らは共通の代理人を立てるか、あるいは少なくとも連帯して応訴するのが通常である。この裁判も内容的に被告間の利害は共通しており、少なくとも利害対立があるとは思えない。

 ところがこの裁判では口頭弁論前の段階で、被告2名の間の情報交通や人間関係が必ずしも良好とはいえない状態にあることをうかがわせる出来事があった。11月25日、千葉のもとに11月21日付の答弁書が届いたが、それは細川単独のもので、末尾には次のように記載されていた。

〈被告細川は、現在は被告西村とは立場を異にしており、訴訟は分離して進行することを希望する。〉

 具体的にどのように「立場を異にして」いるのかは定かでないが、とにかく細川は分離裁判を希望していた(「立場を異にして」いる程度では分離は難しかろう)。

 一方西村は、11月下旬になって裁判所に電話をかけてきた。「立川は遠いので霞が関でやってほしい」という。細川の答弁書には移送申立はなかったから、これは細川の意向を確認したものではなく西村単独の希望であるとみられた。相被告がいる場合には、まず相被告の意向を確認するのが普通だろう。書記官から意向を聞かれた千葉は、いうまでもなく西村の申し入れを拒否した。

 その後、第1回口頭弁論期日までの間にはもう1つの動きがあった。答弁書を提出した細川が裁判所に電話をかけ、あらためて分離裁判を申し入れたのである。その上で、細川は上申書を提出した。裁判所は細川に分離に関する上申書を提出するよう伝えたものとみられる。細川の上申書には「被告間で衝突する可能性がある」と書かれていたという。

「衝突する可能性」とはたんに「立場を異にする」ということとは明らかに事情が異なる。裁判所は「行動する保守」に対する経験則から「衝突」した場合に何が起きるかを具体的にイメージしたのではあるまいか。当然、たんに西村との間の1対1の「衝突」で終わるはずはなかろう。

 この結果、裁判所は「分離やむなし」の判断に傾いたようである。裁判所の意向を知らされた千葉はこれを了承した。当事者の身の安全は守られなければならない。

 こうして細川は答弁書提出による擬制陳述とし、第1回口頭弁論には出廷しないことになった。少なくともこの日、「衝突の可能性」は未然に回避されたということになろうか。第1回口頭弁論までにはおおむね以上のような動きがあった。

 開廷5分前になり、右翼Mらオールスターキャストが入廷した。ロビーに集まっていた者のほかに、新たに加わった者はいない。彼らは仲間を待っていたのではなかったのだろうか。裁判官の入廷を待つ間、右翼Mや背の高い男などがしきりに周囲を観察したり、メモしたりしている。その表情は何かに対して異常にいきり立っているように感じられた。

(つづく)

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西村・細川事件 第2回
 裁判官は入廷すると、提訴から第1回口頭弁論までの間には何事もなかったかのように、型通り審理を進めた。傍聴席には西村支援グループのほかに6名の公安関係者とみられる一団、数名の一般傍聴人のほかに1名、スーツを着込んだ雰囲気の異なる人物が訪れていた。何かの情報収集が目的だろうか。

 裁判官はこれまでの提出書類を確認すると、次回弁論の打ち合わせに入った。

裁判官  西村さんは書面をいつごろお出しいただけるのかな?

西村  次回弁論までに出します。

 裁判官は当初1月24日に期日を入れたい意向だったが、西村が差し支えがあるということで、第2回口頭弁論は1月31日1時10分となり、その1週間前の1月24日までに準備書面を提出することになった。

裁判官の労い

 裁判官としては次回期日を決めたあと、この裁判が分離裁判になることを伝えてこの日の弁論を終わりにする予定だったのではあるまいか。ところがこのあと、答弁書では3行しか書いていない西村が「立川まで出向く負担が大きすぎる」などとして東京地裁への移送を申し立てる。裁判官が千葉に意見を聞くと、千葉は「回付には反対でございます」と答えた。

 千葉の回答を受けて、裁判官は西村に対し「検討しますが、回付決定までは立川で審理を行います」と述べた。裁判官の真意は定かでないものの、いずれにしても移送の件について早々に切り上げようとしているように見えた。しかし西村はなおも食い下がった。

西村  原告は立川在住だから近いが、被告は千葉県の柏に住んでいて遠すぎる(趣旨)。

裁判官  被告のご希望は承りました。はい、ご苦労さまでした。

 裁判官は千葉県柏市からやって来たという西村を労ったようにも聞こえるが、たんに西村の発言を早く終わらせたかったのではないかという気もした。裁判官が「はい、ご苦労さまでした」と言い終わるや、西村が「それから」といったときの裁判官の態度にそれが表れていた。この裁判官にしては珍しく強い口調で「いいたいことがあれば、立っていってください」といったのである。

 今度は西村は立って、「千葉が訴状で削除を求めた写真はすでに削除した」とし、「その点の扱いはどうなるか」と裁判官に尋ねた。これに対して裁判官は、その点については書面で主張するよう申し渡した。削除したのなら答弁書でその旨を書証を付けて主張すればよかろう。口頭でいきなりいわれてもその場で確認もできないから、裁判官としてはこう答えるしかなかったろう。

書記官に八つ当たり

 これで西村の発言が終わったとみた裁判官は初めて、この裁判を分離して審理すると述べた。しかし裁判官は当初、その理由を明らかにしなかった。

 これを聞いた西村が再び口を開いた。

西村  細川さんは今日も来ていないし、私は答弁書を見ていないのでコピーをいただきたい(趣旨)。

 これに対して裁判官は、初めて細川が分離を希望していることに触れた上で、「閲覧はできるので、あとで書記官に相談してください」と答えた。「コピーはお渡しできない」という趣旨のようだった。

 分離裁判になることを知った西村は、細川の次回弁論期日についても裁判長に聞いたが、期日は決まっていなかった。この日の傍聴人の異様な雰囲気からすると、細川の弁論期日には西村ほか右翼Mら精鋭が集まることが十分に予測できた。

 第1回口頭弁論はこうして終了したが、法廷では裁判官の退廷後にもう1つの見せ場があった。西村と傍聴席の右翼Mが書記官に抗議するかのように、大声でこう詰め寄ったのである。

「(細川の)答弁書を見なければ準備書面が書けないんだよ」

 めったに聞けない本音である。政治団体の代表ともあろう者が、元側近の書面を見なければ反論が書けないとはいったいどうしたのだろう。だから答弁書に3行しか書けなかったというのか。

 西村はHPの記事をめぐってこれまでも何度か提訴されているが、掲載責任そのものを否認したことは1度もない。実務者が誰であろうと、政治団体の代表が政治団体のHPの記事について責任を負うのは当然で、西村がこれまで掲載責任を否定しなかったこと自体は評価できよう。

 したがってこれまでの例からすれば、西村が掲載責任を否定することはないと思われる(否定すれば、別件裁判での主張と齟齬が生じる)。すると、責任者として西村は、なぜ細川の答弁書を見ないと準備書面が書けないということになるのだろうか。部下だった細川が提訴から1カ月後には答弁書を提出している一方、代表の西村が答弁書にわずか3行しか記載せず、認否さえもしていないのは不思議なことというほかない。西村には何か、本論以外に気になることでもあったのだろうか。

 元部下の答弁書を見なければ準備書面が書けないなどとは、普通は情けないと思うが、それを人前でさらけ出すとはさすがに「行動する保守」というべきかもしれない。しかしそれにしても、裁判所は閲覧もできないといっているわけではないのだから、大声を出す必要はあるまい。どうしてそんなにいきり立つのだろうか。

(第2回口頭弁論後につづく)

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