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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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佐藤ブログ事件 第9回
「極めて特異」と認定

 佐藤が裁判で「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントには真実性・相当性があると主張して提出した書証は明代の万引き関連以外にもあった。順を追って確認しておこう。



②「東村山市民新聞」第118号(2001年2月発行)

「……95年7月16日夜に、暴漢に襲われて前歯を折るなどの重傷を負った事件で……創価より裁判官はこの事実をわざと無視。」



 この記事は〈信用落とす裁判官〉というタイトルで掲載されたもので、ここで矢野がいう「重傷を負った事件」とはいわゆる「少年冤罪事件」である。平成7年7月16日、矢野が深夜に暴行されたと主張する事件が起きた。その日、犯人は逃走した(と矢野は主張する)が、2カ月後の平成7年9月21日、矢野は東村山駅近くの居酒屋で偶然居合わせた1人の少年を「お前が暴行犯だ」といきなり断定し、東村山署に突き出した。

 しかし少年にはまったく身に覚えがなく、それどころか矢野とはそれまで会ったこともなかったのだった。東村山署は少年をすぐに解放し、なんらの処分も科さなかった。まったくの無実、冤罪だったということである。

 ここまでの経緯だけでも通常はあり得ない話だが、これで終わらないのが矢野の常人の想像をはるかに超えた特異性だった。3年後の平成10年10月、矢野は今度はこの少年に対して損害賠償を求めて民事訴訟を提起したのである。

 これに対して東京地裁八王子支部は平成12年4月26日、

〈仮にも公職にある者がこの曖昧な記憶に基づき、しかも司法警察職員による捜査がなされながら刑事訴追の手続が執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異であると言わねばならない。〉

 などと述べ、矢野の請求を棄却した。上記②「東村山市民新聞」第118号で記載されている「創価よりの裁判官」とはこの一審の裁判官のことである。

悪質な尋問

 では、矢野がいう〈この事実をわざと無視〉の「この事実」とは何なのか。本件の判決文では省略されている「東村山市民新聞」第118号の以下の部分である。

〈事件の目撃者の方に法廷での証言をお願いしましたが、「顔見知りなので逆恨みされる可能性があり出廷できない」と怖がって地裁八王子支部に何度も訴えでたため、問題の犯人は被告であることが事実上はっきりしましたが、創価よりの裁判官はこの事実をわざと無視。〉

 少年が暴行はおろか警察に突き出されるまで矢野とは1度も会ったこともないと主張していること、捜査を行った東村山署が少年は無関係と断定していることからすれば、「問題の犯人は被告であることが事実上はっきりした」などとはいえるはずがない。ところが矢野は裁判でも「目撃者」を持ち出し、弁護士を通じて少年を追及していた。この尋常とも思えない追及の様子を紹介しよう。



矢野代理人  彼女が、前回も今回も呼ばれて来なかったんですけれども、出廷を拒否してる理由をご存じですか。

少年  知りません。

代理人  矢野さんが、今日出てくれと連絡したんですけれども、あなたに逆恨みされるから出たくないと。

少年  そういうふうに言ったんですか。

代理人  矢野さんが、○○さんのお母さんに、どうしても難しいんですかと聞いたんですよ。何かお話によりますと、「裁判所にも、『逆恨みされる可能性がある』ということで、むずかしい、というお話をされたみたいですが」と、「ええ」と、「やっぱりそういうふうなことが原因になりますか?」と、「やっぱりねぇ」と、そう答えているんです。

少年  お母さんがですか。

代理人  あなたが犯人だからということじゃないですか。

少年  ……意味が分からないです。

代理人  顔見知りのあなたに、出て来て真実をしゃべったら逆恨みされるということは、あなたが犯人だということを言ってるんじゃないですか。

少年  僕に言っても、わかりません。



 ここには矢野が「目撃者」と称する人物(の母親)の自主的な発言はなく、たんに矢野が聞いた内容(これすら確証はない)に相槌を打っているだけで、その本心はまったくわからない。それどころか、「逆恨みされる」といったのが仮に事実だったとしても、裁判所で矢野に不利な証言をした場合には矢野から「逆恨みされる」と考えていた可能性さえないとはいえない。

 矢野は「目撃者」の母親に電話した際の会話記録を証拠として提出しているが、その会話の中にも「目撃者」が実際に事件を目撃したという証言は何一つ出てこないのだった。したがって、この尋問は現実に存在したかどうかも確認できない事実に基づき、少年を犯人に仕立て上げようとする悪質な誘導というほかなかった。

賢明な判断

 一審の裁判官は判決でも矢野のいう「目撃者」についてはいっさい触れないまま、矢野の主張を「極めて特異」と認定し、請求を棄却した。これに対して矢野は、裁判官が「創価より」だから「目撃者」を「わざと無視した」と主張しているわけである。

 しかしどうみても、「目撃者」と称する人物の母親との会話から「やはり少年を目撃していた」=「少年が犯人である」という結論を導くのは無理があるといわざるを得まい。だから裁判官は「目撃者」の話を無視したのである。きわめて賢明な判断というべきだろう。

 裁判官が「創価より」だから証拠を「無視した」と主張する方こそ根拠のない決めつけで、とうてい法廷で通用するような主張ではない。矢野が見ず知らずの少年を確たる証拠もなしに犯人と名指ししたことと合わせ、この「東村山市民新聞」の記載を東京地裁が「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性の根拠の1つとして認定したことの妥当性が改めて確認できよう。
 
 仮に「目撃者」が「犯人(=少年)から逆恨みされる」ことを恐れて証言を拒否したということ、またそのことによって〈問題の犯人は被告であることが事実上はっきりした〉というのなら、矢野は東村山署なり東京地検なりにアクションを起こすべきである。しかしそのような事実があったとは聞かないし、矢野もそのような主張はしていない。これらの事実が示すのは、暴行事件が実際に存在したとしても少年は無関係であり、矢野のいう「目撃者」が「犯人=少年」を目撃した事実も存在しないということである。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第10回
主張を放棄した代理人

 余談だが、裁判官を「創価より」で公平性を欠くと断定したこの記事には、さらに「パーソナリティ障害」とのコメントの相当性をうかがわせる続きがある。一審で矢野の代理人を務めていた弁護士に関する記述である。



(弁護士に関する記載)

 控訴したところ、今度は私の弁護士が控訴理由書を出さないという前代未聞の背信行為が発生。このため、私は弁護士をすぐ解任し、……



 この控訴審第1回口頭弁論を傍聴していた私は、「控訴人は控訴理由書を提出していませんね。これでは控訴の理由がわかりませんよ」という裁判長の発言を聞いて、一瞬、何が起きたのかわからなかった。代理人がついていて、控訴審第1回口頭弁論に控訴理由書が提出されないということは、通常は考えられない。

 弁護士はその場で立ち上がって何か釈明し、右隣に座った矢野が強い調子で指示しているようにみえた。しかし結局、裁判長は弁護士の言い訳を認めず、その場で結審を言い渡したのである。もちろん控訴棄却以外の可能性は考えられなかった。その直後、矢野、朝木と代理人はなにやら気まずい様子で、足早に法廷から去っていった。その光景は今も記憶に鮮明に残っている。

 弁護士はなぜ控訴理由書を提出しなかったのだろうか。依頼人の味方でなければならない弁護士として、あってはならない行為である。

 矢野が提出した書証によれば、この弁護士か弁護士事務所の者が、矢野が主張する「目撃者」宅を訪問し、その場で証言を断られている。弁護士には「目撃証言」なるものが少年を犯人と特定できるものなのかそうでないものか、その時点で薄々わかったのではあるまいか。

 だから弁護士は少年に対する尋問で、事件そのものに対する証言内容ではなく「証言すれば逆恨みされる可能性がある」といったという事実かどうかもわからない話を根拠に追及するしかなかったのである。矢野流の論点のすり替えである。

 その上、一審で〈刑事訴追の手続が執られていない被告を名指しで犯人であると断定している点において極めて特異〉とまで断定され、弁護士にはこれ以上、無実の少年を暴行犯に仕立て上げるための新たな主張ができなかったということだろう。あるいは、無実の少年を暴行犯に仕立てることに嫌気が差したようにも見えた。

なぜか登場した「アングラ記者」

 それにしても控訴理由書を提出しないとは、やはり弁護士としてあってはならないことで、依頼人である矢野が背信行為と怒るのも無理からぬところがある。しかし続く記述は矢野独特のものだった。記事は以下のように続いている。

〈私が解任した弁護士の事務所には、宇留嶋という創価系のアングラ雑誌の自称記者(2面参照)が最近出入りしていました。〉

 弁護士が控訴理由書を提出しなかったのは、あたかも私と関係があったことが理由であるかのような記述である。自分の代理人が責任を果たさなかったからといって、それが何かの謀議に基づくものであるかのように話を作出してしまうところは、まさに「パーソナリティ障害等」とのコメントの相当性をうかがわせるものといえるのではあるまいか。

 当時、弁護士の事務所が勤務先の近くにあり、別件で書類を直接持参したことがあった。そのことを弁護士は矢野に伝えていたのだろう。もちろん私と弁護士は敵同士で、弁護士の事務所に行ったのはその1度きりで、以後行ったことはない。

「出入りしている」といえば訪問する側とされる側の間にはなんらかの関係があったと解されるのが普通である。つまり矢野はこう記述することで、弁護士は敵である宇留嶋と関係を結んで矢野を裏切り、依頼人の利益と正義に反して控訴理由書を提出しなかったのだと印象づけようとしているものと理解できよう。事実なら弁護士懲戒にも匹敵する行為である。しかし矢野がこの行為について弁護士会に対して懲戒請求したという話は聞かない。

証言を拒否した矢野と朝木

 ところでこの弁護士は当時、〈東村山女性市議「転落死」で一気に噴き出た「創価学会」疑惑〉と題する記事で創価学会から提訴された『週刊新潮』の代理人を務めていた。矢野が弁護士を解任したのは、『週刊新潮』裁判がちょうど証拠調べ(証人尋問)を迎えようとする時期だった。

 解任の影響かどうか、『週刊新潮』の裁判で変化が起きた。人証直前の口頭弁論の際、この弁護士から裁判長に対して「証言を依頼していた矢野さんが出廷できなくなった」との申し出があったのである。「出廷できなくなった」とは、矢野は証人として出廷することをいったんは了承していたということと理解できた。以下、法廷ではこんなやりとりがあった。

裁判官  そうですか。では、朝木直子さんはいかがですか?

弁護士  朝木さんもダメなようです。

裁判官  どうしたんですかねえ。

弁護士  私にもよくわからないんです。

 弁護士はこうとぼけたが、矢野から解任されたことと無関係なはずはなかろう。新潮社の代理人でもあった弁護士は、少年との裁判で控訴理由書を提出しなくても、そのことは『週刊新潮』裁判での証言には影響しないと楽観していたのかもしれない。しかし現実はこうなった。矢野にとって「朝木明代の汚名を晴らすこと」(証言台に立つこと)は、自分の裁判のなりゆきによって左右される程度のものだったのだといわれてもやむを得まい。

『週刊新潮』側はやむなく『怪死』(教育史料出版会)を出版したジャーナリストの乙骨正生を証人の代役に立てたが、客観的な証拠に基づかない話ばかりで、とうてい説得力のある証言とはいえなかった。むしろ創価学会側弁護士の追及によって、「創価学会疑惑」にはなんらの根拠もなかったことが浮き彫りにされたのである。『週刊新潮』は200万円の支払いを命じられ、控訴もしなかった。

(つづく)
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第2次「行動する保守」事件 第30回(補遺)
 私が肖像権を侵害されたとして「行動する保守」Aを提訴していた裁判は、控訴期限までに控訴状の提出がなく、平成24年11月29日、「行動する保守」Aに対して1万円の支払いを命じたさいたま地裁川越支部の一審判決が確定した。

 12月1日、私はさっそく「行動する保守」Aの事務所に請求書をファックス送信しようとした。しかし呼び出し音が鳴るばかりでつながらないため、やむなく「行動する保守」Aに電話をかけた。電話に出た「行動する保守」Aに、判決が確定したこと、請求書をファックスで送りたいが送信できないことを伝えると、「嫌がらせが多いのでファックスはつながらないようにしてあるんだよ。郵送して」という。重鎮にはいろんなことがあるらしい。

 それはともかく12月1日、いわれたとおり請求書を郵送すると、私が設定した期限の平成24年12月7日、損害賠償金1万円と遅延損害金1858円の計1万1858円が振り込まれた。東村山市議の朝木直子と異なり、賠償金を投げて寄こすようなことをしなかったのはさすがに人生経験を重ねた重鎮だけのことはあると感じた。これによって本件は完結した。

 なおこの日、西村修平からも損害賠償金の振り込みがあったが、こちらの方はまだ完結をみていない。

(了)
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佐藤ブログ事件 第11回
佐藤には違法がないことが確定

「矢野と朝木にはパーソナリティ障害等であることを疑わせる根拠がある」として佐藤が朝木明代の万引き事件と少年冤罪事件関連以外に提出した証拠は、佐藤自身と薄井政美に対する「東村山市民新聞」の誹謗中傷記事と多摩レイクサイドFMの放送の一部である。特に悪質であるとして佐藤が提出した記事や放送は以下のとおりだった。



③「東村山市民新聞」第148号(2006年9月発行)

「……佐藤真和・東村山市議に公選法違反の疑惑が発覚した。……25日、市民オンブズマンが日野市の自宅前で次娘と一緒に買い物を終え、レジ袋を両手に提げた佐藤『市議』を直撃、本人に確認したところ『週に半分は東村山に行っている』と事実を認めた。」

④「東村山市民新聞」第152号(2006年10月発行)

「他市の行政に口出しするまえに、公選法の違反の責任とって辞職を」「『出稼ぎ』市議の無責任ぶり」

⑤「東村山市民新聞」第153号(2006年12月発行)

「地方議員は選挙区内で生活していなければ詐欺登録罪で失職なのです。」「公選法違反容疑の佐藤市議、進退極まる!」

⑥「東村山市民新聞」第154号(2007年1月発行)

「……佐藤市議、自分の公選法違反容疑……が深まっている中、市長そして与党・公明との関係という新たな疑惑が噴出した格好だ。」

⑦「東村山市民新聞」第155号(2007年2月発行)

「佐藤まさたか『市議』に、一般市民から痛烈な批判」「『佐藤さん、ウソをついてはいけません』」

⑧「東村山市民新聞」第165号(2010年6月発行)

「市議の任期開始後も、ネット上に超セクハラ満載の動画に実名で登場」「『薄井(市議)はエロキャスター』裁判所も断定!」「現市長支持の『セクハラ市議』をかばった現市長、またも汚点」

⑨多摩レイクサイドFM(2006年12月6日放送)

「佐藤真和市議が、えー、公選法違反となることを知りながらですねね、えー、あえて、えー、日野市に住んでいるにもかかわらず、生活しているにもかかわらず、家族4人の生活があったにもかかわらず、えー、日野市じゃなくて、えー、東村山市からですね、の市議会議員に立候補したという、まさに公選法違反そのものにあたると思いますが、……早く辞職することを、潔い態度をとることをおすすめしたいと思います。」



 ⑧を除く上記記事はいずれも「佐藤の生活実体は東村山市にはなく、佐藤は虚偽の登録をして立候補したから公選法違反であり、当選は無効である」と主張するものである。平成19年になって矢野と朝木直子は佐藤の当選が無効であると主張して、矢野の異議申立を棄却した東京都選管を相手取り、東京高裁に提訴した。

 これに対して東京高裁は平成20年12月8日、判決で次のように述べた。

〈佐藤の生活の本拠たる住所は平成15年1月17日ころ以降一貫して東村山市内にあると認めることができるから、同年19日の佐藤の選挙人名簿への登録が違法である旨の原告らの主張は、その前提を欠いているというべきである。〉

〈佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同質に生活の本拠を有していたものというべきである。〉

〈佐藤が○○(日野市内の妻子が住むマンション)を生活の本拠としていたと認めることはできないというべきである。〉

 東京高裁はこう述べて、佐藤の住民登録に違法はなく、当選は適法であると認定したのである。その後佐藤がこれらの記事をめぐって矢野と朝木を提訴した裁判でも、損害賠償請求は棄却されたものの、事実認定において、佐藤の生活の本拠が東村山にあったことを認定している。つまり矢野が半年以上にわたって行ってきた佐藤に対するネガティブキャンペーンには客観的根拠がないことが、2度にわたり裁判所から認定されたということである。

 また⑧の薄井に関する悪質な記事は、平成19年の東村山市議選直後に始まった誹謗中傷に対して薄井が提訴し、一審判決が言い渡されたあとのものである。最初の記事から3年が経過し、敗訴判決後もなお薄井を誹謗していることがわかる。一審で彼らは200万円の支払いを命じられたが、その事実についてはいっさい触れられていない(控訴審では矢野と朝木に対して100万円の支払いが命じられた)。

 この記事は「矢野と朝木は病気なのです」などとする本件コメントのそもそもの原因となった薄井に対する一連の誹謗中傷の延長線上にある。佐藤に対する記事と同様に、その執拗さとともに1度主張したことはいっさい撤回も非を認めることもせず、自らの不利な事実についてはストレートには公表しない彼らの特異性がよく表れていよう。これらの記事についても東京地裁は、「矢野と朝木にはパーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動及び行動があった」とする根拠の1つと認めたのである。

根底に議席譲渡事件の屈辱

 ところで矢野と朝木が執拗に佐藤の住所を問題としたことには別の背景もあるようだった。平成7年4月に執行された東村山市議選の直後、東村山では選挙制度そのものの根幹を揺るがす前代未聞の大事件が起きた。4位当選した朝木直子が次点で落選した矢野穂積を繰り上げ当選させるために自らの住民票を千葉県松戸市に移動させて被選挙権を喪失させ、当選を無効にしようとしたのである。

 当選を目指して立候補したはずの当選者が当選を拒否するという常識では考えられない事態(選挙を愚弄する事態でもある)に選管も振り回されたあげく、矢野の繰り上げを認めざるを得ず、矢野はいったんは繰り上げ当選者となって1年以上東村山市議の地位にあった。しかし、市民(「草の根」の議席の私物化を許さない会=以下、「許さない会」)の異議申し立てによって最終的に最高裁が矢野の繰り上げを無効と認定、矢野は議員資格を失い、ようやく事件は終結をみた。

 最高裁が矢野の繰り上げを無効とした理由がまさに朝木の移動先の居住実体だった。朝木は平成7年4月下旬から5月にかけて、わずか1カ月の間に3度の転居を繰り返していた。最高裁は少なくとも1回目と2回目の転居先には居住実体はなかったと断定し、その間はまだ朝木の住所は東村山にあり、当選は失われていなかったと認定、矢野の繰り上げは違法と結論付けたのである。朝木の居住実体を追跡したのは「許さない会」だった。

 調べられることを警戒した朝木は、住所の実体を取り繕うために短期間の間に住民票移動を繰り返さざるを得なかったようにみえる。しかも住民票移動を繰り返したことが最終的に繰り上げ当選無効の根拠とされたのである。「許さない会」が異議申し立てさえしなければ矢野の企みはみごとに成就したはずだった。法の盲点を突いたつもりの矢野にとって、彼らを追及し、松戸の新住所を調査した「許さない会」に対する怨念がひととおりのものでなかったことは推測に難くない。

 佐藤の生活実体を追及していた当時、朝木は彼らを追及していた市民の1人である人物から佐藤の件を聞かれてこう答えたという。

「私がやられたことをやり返しているのよ」

 議席譲渡事件の当時、佐藤は東村山市民ではなく、追及した「許さない会」のメンバーでもない。しかし東村山に住んで以降、佐藤は少なくとも矢野・朝木問題に関して「許さない会」のメンバーとは理解し合う関係にあった。それで十分仕返しの対象たり得たのだろうか。

 朝木のこの発言が佐藤を追及したすべての理由ではなかったとしても、この発言から、自分たちが引き起こした議席譲渡事件によって市政を混乱に陥れたこと、市民の信頼を裏切ったこと、民主主義を危機に陥れたことなどに対する反省の気持ちを汲み取ることはできない。それどころか、自分たちに非があったとしても、まず自分たちを追い詰めた者に対して仕返ししようとするのが矢野と朝木の姿勢なのだった。あるいはそれが彼らの生き方なのだというべきだろうか。この朝木の発言もまた「パーソナリティ障害等であることを疑わせるそれなりの言動」の1つに数えられるのではあるまいか。

(つづく)
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佐藤ブログ事件 第12回
「東村山市民新聞」など以外に佐藤が「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントには真実性・相当性があると主張して提出したのは矢野と朝木が関わった過去の裁判所の判断だった。①「許さない会」事件②超党派事件③少年冤罪事件の3件である。③少年冤罪事件については本連載の第10回で触れたので、①②の裁判の内容と認定内容をあらためて確認しておこう。

1 「許さない会」事件

 平成7年4月に執行された東村山市議選で、当選した朝木直子が次点で落選した矢野穂積を繰り上げ当選させることを目的として議員任期開始前に住民票を千葉県松戸市に移動した。これによって朝木の被選挙権がなくなったことで当選も失ったとみなされ、矢野の繰り上げ当選が認められることとなった。この議席譲渡が違法であるとして東京都選管の決定に異議申立を行ったのが「『草の根』の議席の私物化を許さない会」(以下=「許さない会」)だった。

 議席譲渡から2年後の平成9年8月25日、最高裁は矢野の繰り上げ当選を無効とする判決を言い渡し、矢野は議席を失った。この間、「許さない会」は多くのビラ(「手を結ぶ市民のニュース」=以下=「市民のニュース」)を発行して議席譲渡がいかに民意を愚弄するものであり、選挙制度の根幹を揺るがすものであるかを訴えてきた。議員資格を失った矢野は「許さない会」が発行したビラの文言をめぐり「許さない会」メンバーと、〈他の被告ら(「許さない会」のメンバー)と通牒して虚偽の事実を〉提供したなどとして万引き被害者を提訴したのである。

 矢野が問題にした記事の中には本件の「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とのコメントに通じる文言があった。最高裁判決を市民に伝えた平成9年9月1日付ビラで安藤智文が記載した文言と同年12月1日付ビラに掲載された匿名市民の文言である。



(平成9年9月1日付「手を結ぶ市民のニュース」の文言=記事3)

 矢野氏は物事を自分本位に解釈して、訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行します。また自分の憶測を理屈づけ、朝木直子さんという媒体を巧みに利用し、多くの市民を味方に惹きつけようとしています。精神分析のリポートによりますと、パラノイヤ(偏執病・妄想病)の中でも好訴妄想者がこうした傾向を示す場合が多いと云います。

(平成9年12月1日付「手を結ぶ市民のニュース」の文言=記事4)

 1人の異常とも思える人間とこれにマインドコントロールされた人達とが、一見正常とも見える反社会的行為を繰り返しているのが「草の根」の真の姿だと思います。自分達に都合の良いウソの情報を流し世間をごまかして来ました。

 批判する人は告訴やペンの暴力で攻撃され続けています。行政や市議に対しても然りです。



 上記記事3、4について東京地裁は、いずれも議席譲渡事件に関するものおよび最高裁判決あるいはこれまでの「許さない会」の活動等を報じる「市民のニュース」の「市民の声」欄に掲載された文章であり、その〈前提となる事実は、本件議席譲り渡し事件における原告矢野及び同直子らの行動であるというべきである。〉と認定した上で、その真実性・相当性について検討している。

 その際に裁判所が注目したのは、議席譲渡に際して矢野と朝木が市民に公表した「理念としての当選者交代について」と題する文書の内容と最高裁判決に対する矢野の見解である。「理念としての当選者交代について」において彼らは議席譲渡を正当化し、最高裁判決については「東村山市民新聞」で〈最高裁は判決で、選管が朝木直子編集長の住所移転(当選失格)を判断する権限がないのに勝手に、繰上当選の手続きをとったのは誤りで、市議会に繰上当選の手続きをはじめからやり直しをすべきというもの。〉と主張していた。

 最高裁判決によっても矢野がなお、繰り上げ当選が是認されることを前提とした論理を組み立てている点にはやはりかなりの違和感を覚える。最高裁判決は、

〈本件繰上補充は、当選人である朝木が被選挙権を失っていなかったにもかかわらず、これを失ったものと誤認してされた点において違法であり、矢野の当選には無効事由があるというべきである。〉

 と述べている。すなわち最高裁が矢野の繰り上げ当選を無効とした理由の根幹は、「朝木の被選挙権は失われていなかった」ところにあるのであって、矢野の繰り上げ当選手続きを行った機関がどこだったかにあるのではない。矢野が得意とする論点のすり替えにほかならない。

 これらの矢野と朝木の主張に対して東京地裁は次のように述べた。

〈(「理念としての当選者交代について」)で示された考え方は、公選法上は想定されていない考え方であるといえる。また、……議席譲り渡し事件に関する本件最高裁判決について原告矢野は、東村山市民新聞において……(上記の主張)との記事を掲載しているが、本件最高裁判決は、……東村山市議会において、原告矢野の繰上当選の手続をやり直さなければならないなどと判断したものではない〉

 その上で東京地裁は、「許さない会」のビラに掲載された、

〈原告矢野は物事を自分本位に解釈する〉
〈自分の憶測を理屈づける〉
〈1人の異常と思える人間〉

 との論評について〈その前提となる事実は相応の根拠があるということができる〉と認定した。

 さらに、〈原告矢野は訴訟を計画し、これをもって時には脅し、執拗なまでに実行する〉との論評については、

〈原告矢野が、市議会議場の傍聴席から、創価学会等を批判する発言をした際、公明党所属の市議会議員がこれをとがめたところ、原告矢野は、「裁判するぞ。」「新聞に書くぞ」「公明党とも全面戦争、仁義なき闘いをするぞ。」と発言したこと、……当時市議会議員であった者に対し、8年間にわたって「裁判するぞ。」「新聞に書くぞ。」と発言していたことが認められる。……論評の前提となる事実は相応の根拠があると認められる。〉

 と認定している。その上で残された「パラノイア」との論評についても次のように結論づけた。

〈パラノイアに関する論評は、上記各論評を前提にしたものであることからすると、表現自体はやや穏当さを欠くものであるが、当該論評の前提たる事実もまた相応の根拠があると認められる。〉

 東京地裁はこう認定し、矢野と朝木の請求を棄却したのである。もちろん万引き被害者についても〈共牒していたと認めることはできない。〉などとして矢野らの請求を斥けた。矢野と朝木は一審判決を不服として控訴したが、控訴審第1回口頭弁論当日になって控訴を取り下げ、一審判決が確定している。

 佐藤の裁判で東京地裁は、この判例もまた「矢野と朝木はパーソナリティ障害等を有する」とするコメントの真実性・相当性の根拠として認めたのである。

(つづく)
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