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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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元市議名誉毀損事件判決(速報)
 元東村山市議、山川昌子が『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)の記事によって名誉を毀損されたとして、同紙を発行する現職東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判で、東京地裁立川支部は平成28年7月13日、矢野らに対し連帯して15万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 矢野らは同紙1面で〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉〈創価、元市議らが仲介して〉などとするタイトルのもと、

〈山川元公明市議は口では被害者女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉

 などと記載。また2面では〈……政治集団化の先は、「詐欺師集団?」〉〈新興宗教の衣を脱ぎ捨てた集団〉とのタイトルのもと、

〈少なくとも仲介のような役割を果たした山川もと公明党市議も1860万円を返そうとしていないことについて、知らん顔をしています。〉

〈元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」、あきれた人たちです。〉

 などと記載した。これに対し原告の山川は、「記事は山川が詐欺事件に関与したと断定するもの」と主張していた。

名誉毀損を認定

 判決で東京地裁立川支部は、〈原告がM(筆者注=被告らが詐欺グループの一員と主張する人物)をT(筆者注=被害者)に紹介したことについては、これを認めるに足りる証拠がなく、被告らが原告がMをTに紹介したと信じたことに相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。〉と指摘した上で、

〈そうすると、本件記事のうち、原告がMをTに紹介したとの事実を摘示して、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べる部分については、事実を摘示して原告の名誉を毀損する内容である〉

 などと述べ、〈原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料を支払う義務がある。〉と断じた。

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元市議名誉毀損事件 第22回
『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)に掲載された記事によって名誉を毀損されたとして、元東村山市議の山川昌子が東村山市議の矢野穂積と朝木直子(いずれも「草の根市民クラブ」)を提訴していた裁判の判決が平成28年7月13日、東京地裁立川支部(渡邉左千夫裁判官)で言い渡された。

 原告の山川は出廷したが、被告の矢野と朝木、および代理人の田中弁護士はいずれも姿をみせなかった。その代わりかどうか、前回の口頭弁論で田中弁護士に矢野らの準備書面を届けた武蔵村山市議他1名の計2名が判決を聞きに来ていた。内容をどこまで理解しているかはともかく、なにかしらの関心があったのだろう。なおこの武蔵村山市議と親しい関係にあり、またかつて矢野、朝木と共闘関係にあった「行動する保守」Aはもう来なかった。

 判決主文は以下のとおりだった。



(判決主文)

1.被告らは、連帯して、原告に対し、15万円及びこれに対する、被告矢野穂積については平成27年10月30日から、被告朝木直子については同年11月1日から、各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2.原告のその余の請求を棄却する。

3.訴訟費用は、これを20分し、その1を原告の負担とし、その余を被告らの負担とする。

4.この判決の第1項は仮に執行することができる。



 ネトウヨAの知り合い2名も、矢野と朝木が負けたということだけはわかったのではあるまいか。

原告側の主張

 矢野と朝木は彼らの政治宣伝紙『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)1面において、〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉〈創価、元市議らが仲介して〉〈言葉巧みに、一般市民から、借りて1860万円も返さず〉との見出しの下、〈山川元公明市議は口では被害者の女性の味方になってお金を取り戻すそぶりをしていたが、結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉などと記載。

 2面では、〈本山破門『ご本尊』放棄の政治集団化の先は、『詐欺師集団?』〉などの見出しの下、〈元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」、あきれた人たちです。〉と記載した。

 これらの記事について山川は、「本件記事は『山川が詐欺事件に関与した』と断定するもので、原告の名誉を毀損した」と主張し、300万円の損害賠償の支払いを求めていた。

変遷を重ねた矢野らの主張

 これに対し被告の矢野と朝木は次のように違法性を否定する主張を行った。矢野らの主張は以下のとおりだった。



(矢野と朝木の主張)

①もともと、TにMを紹介したのは山川である。

②原告山川が、被害者Tが一人暮らしをしているという個人情報を詐欺グループの一員であるMに漏洩したため、SがTから2140万円を詐取し、そのうち1860万円が返金されていない。よって、原告山川が詐欺事件を仲介し、関与したことは明らかであって、〈結局はお金を巻き上げる連中の口ききでしかなかった。〉〈元議員の立場で、貸金の仲介者のような役割を果たしながら、山川元市議は「知らん顔」〉との記載は客観的真実と一致する。

③本件記事は原告山川が詐欺を働いたという記載ではなく、「結局は口ききでしかなかった」という記載内容である。「私が、『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』とMさんにしゃべったことがありました」と原告山川自身が自白しているとおりである。よって、記事には信じるに足る相当な理由がある。

④記事は「結果的に口ききとしての役割を果たしたに過ぎない」と批評しているのであって、原告山川が直接的に詐欺を働いたと読み取れる箇所はない。(以上、被告ら準備書面2)

⑤原告が、詐欺グループの一員であるMに対し、「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことが、本件詐欺行為の端緒となったのみならず、詐欺に荷担したことは事件の経過から見て間違いない。(被告ら準備書面3)

⑥本件訴えの争点事実は、原告山川がMにTが独居になったという個人情報を報せたことが詐欺事件の引き金になった、というものである。

⑦原告山川が、詐欺被害を発生させるに至る第一級の個人情報(筆者注=Tが一人暮らしになったこと)を詐欺グループに漏洩したことによって本件詐欺事件が発生したことが真実であることは明らかである。(⑥⑦=被告ら準備書面4)



 矢野らの主張には、上記②では〈原告山川が詐欺事件を仲介し、関与したことは明らか〉として「原告山川は詐欺事件に関与した」といいながら、④では〈口ききとしての役割を果たしたに過ぎない」と批評しているのであって、原告山川が直接的に詐欺を働いたと読み取れる箇所はない〉と主張するなど、それ自体に齟齬もみられた。しかし最終的に、矢野らは〈原告が、詐欺グループの一員であるMに対し、「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことが、本件詐欺行為の端緒となったのみならず、詐欺に荷担したことは間違いない〉と主張するに至った。

 原告がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と話したことは、原告自身が陳述書で認めている。よって、「本件記事には確かな根拠があり、違法性が阻却されるから、本件請求は棄却されるべきである」(趣旨)と被告らは主張していた。

(つづく)
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元市議名誉毀損事件 第23回
東京地裁の認定

 双方の主張に対して、東京地裁立川支部はどんな理由によって主文のような判決を言い渡すに至ったのか。判断の基準となるのは、裁判官が本件記事の内容をどういうものと判断したかである。

 その意味内容がどういうもので、それが原告の社会的評価を低下させ、名誉を毀損するものであるかどうか。名誉を毀損しているとすれば、記事に公共性・公益性があるかどうか、また真実性あるいは真実と信じるに足りる相当の理由があるかどうか――である。

 記事の内容が人の名誉を毀損するかどうかは一般読者の普通の注意と読み方を基準に判断すべきとされている。東京地裁は一般読者が普通の注意に基づいて本件記事を読んだ場合の読み方について、次のような判断を示した。

〈本件記事は、……S(筆者注=被害者Tから直接貸金をした人物)が被害者女性から約2140万円を借り、うち1860万円を返しておらず、この行為が詐欺まがいの行為であり、市議会議員である原告がM(筆者注=矢野らが「詐欺グループの一員」と主張している人物)を被害者女性に紹介し、Mが妹のSを被害者女性に仲介したことにつき、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べていると読むことができる。〉

 本件記事には〈1860万円詐欺、元公明市議らが関与〉〈創価、元市議らが仲介して〉との見出しが付いている。東京地裁は、本件記事について普通の読者は、原告が〈お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たし〉〈上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だ〉と読むものと認定したが、原告が主張するように「山川が詐欺事件に関与した」と読むとまでは認定しなかったことがうかがえた。

 一般的な認識としては、詐欺に「口きき」や「仲介」をしたといえば「関与した」と受け取られても仕方がないようにも思える。しかし本件記事における「口きき」や「仲介」については、「詐欺の仲介」ではなく「紹介」に近いものと裁判官は認定したということなのだろう。

 見出しには〈元公明市議らが関与〉の文言がある。しかし本文の記載内容を合わせて読んだ場合、本件記事の「普通の読者の読み方」という点において、裁判官は「山川が詐欺事件に関与したとする記事である」とする原告の主張を採用しなかったということになろう。

 しかしそれでも、上記のとおり認定した本件記事の名誉毀損性について東京地裁は次のように認定した。

〈本件記事が上記のように読めることからすれば、本件記事は原告の社会的評価を低下させるものというべきである。〉

 本件記事は直接的に「山川が詐欺に関与した」とまでは読めないとしても、「お金を巻き上げる連中の口きき」をし、「紹介」したにもかかわらず、被害者が多額の貸金が返済されない状況になっても「知らん顔」をしているというのは、やはり原告の社会的評価を低下させる内容であると認定したということのようだった。

単純な事実誤認

 記事に名誉毀損が認定された場合でも、記事が公共の利害に関わるものであり、公益を図る目的を持ち、かつ真実性あるいは真実と信じるに相当の理由があったと認められる場合には違法性が阻却される。

 東京地裁はまず公共性・公益性について検討している。東京地裁はまずこう述べた。

〈本件記事は、本件新聞発行時において市議会議員であった原告が詐欺行為に関係したか否かについてのものであるから、一応公共の利害に関する事実に係わるものであり、そうであれば本件記事の掲載は一応公益を図る目的でなされたものと推認される〉

 したがって、東京地裁は本件記事の公共性・公益性を認定する判断を示している。

 しかし、上記判断の前提事実には明らかな事実誤認があった。本件記事の発行時において原告山川は東村山市議会議員ではなく、一般市民にすぎない。裁判官は本件貸金および、原告が被害者から相談を受けて弁護士を紹介するなどの支援をした時期に山川が市議会議員だった事実と混同したもののようだった。

 東京地裁は〈本件新聞発行時において市議会議員であった原告が詐欺行為に関係したか否かについてのものである〉との理由によって、一応、本件記事の公共性を認めている。すると、この論理構成によれば、本件記事は一般市民にすぎない原告が詐欺行為に関係したか否かについての記事ということになるから、記事の公共性には疑問符がつく可能性がある。

 続いて公益性について、東京地裁は上記に記載した「公共性」の判断に基づき、次のように述べている。

〈そうであれば本件記事の掲載は一応公益を図る目的でなされたものと推認される〉

 東京地裁は、本件記事には公共性があるから、一応、公益目的性が推認できると述べる。だから本件記事は、「公共性」「公益性」に関しては違法性が阻却されるというのだが、単純な事実誤認に基づく「公共性」認定に疑問があるということになれば、公益性についての判断を導いた上記の論理も危うくなるのではあるまいか。

(つづく)
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