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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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元市議名誉毀損事件 第24回
「詐欺事件への関与」を全面的に否定

 さて、一応記事の「公共性」「公益性」を認めた上で、東京地裁は真実性および真実と信じるに足りる相当の理由があったかどうかについて検討している。東京地裁がその前提として事実認定した事実を要約すると以下のとおりだった。



(真実性・相当性判断の前提事実)

①「原告が平成10年頃、マッサージ師をしていたMと客として知り合ったこと」
②「被害者Tが友人の紹介でMと知り合ったこと」
③「MがS(筆者注=Tから多額の借金をした中心人物)をTに引き合わせたこと」
④「Sが平成21年頃、Tから次々と合計約2140万円を借りたこと」
⑤「Sが借金の返済をしないため、Tが平成22年、原告に相談したこと」
⑥「原告がT弁護士を紹介するなどして支援したこと」
⑦「TがSらに対し貸金返還訴訟を提起したこと」
⑧「上記訴訟で、Sが分割で返済する内容の和解が成立したこと」
⑨「Sが借金のうち1860万円を返済していないこと」
(※○囲み数字は筆者)



 東京地裁によるこの認定事実において最も注目すべきは、上記認定のすべてが原告の陳述書と原告が提出した被害者Tの陳述書の内容に依拠している点である(①⑤⑥⑦⑧⑨が原告の陳述、②③④がTの陳述書の記載内容)。少なくとも基本的な事実関係について裁判官が本件事件および、その後のTに対する支援活動の当事者であるTと原告の陳述内容を信用したということだろう。裁判官が判断の前提として示した事実関係になんら誤りは見当たらない。 

 矢野らは本件記事の冒頭で〈(被害者Tは)山川昌子・元公明市議の紹介で……Mというマッサージ師と知り合い……〉と記載し、裁判でも「『詐欺グループの一員』であるMをTに紹介したのは原告」であると主張していた。しかし上記②のとおり、東京地裁はMをTに紹介したのは山川ではなく「Tの友人」であると認定している。

 また矢野らは裁判で、「山川がMに対し『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった。このことは本件詐欺行為を仲介したものである」などと主張し、本件記事の真実性を主張していた。

 しかし東京地裁は山川がMに対してTの近況を話したことについて、違法性判断の前提とする事実の中で一言も触れていない。裁判官は山川がMに対してTの近況を話したことは、SがTから多額の借金をするに至ったこととは無関係であると判断したということと理解できた。「山川がMに対し『Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね』と話したことが本件詐欺事件の端緒となった」、すなわちそれが「関与」の根拠とする矢野らの主張は排斥されたということである。

 最終準備書面になると、矢野らは「詐欺事件に関与した根拠」どころか、「『原告がMに対しTが一人暮らしになったという個人情報を報せたことが詐欺事件になった』ということが本件訴えの争点事実」とまで主張したものだった。ところが、裁判官は矢野らが「本件訴えの争点事実」と主張した事実に一言も触れていない。これは、判断の対象とさえ認定しなかったということのようでもあった。

すべて否定された記事内容

 上記認定事実に基づき、東京地裁は真実性・相当性について次のように述べた。

〈原告がMをTに紹介したことについては、これを認めるに足りる証拠がなく、被告らが原告がMをTに紹介したと信じたことに相当の理由があることを認めるに足りる証拠もない。〉

 矢野らは最初にMをTに紹介したのは山川であると主張し、これに対して山川は「MからTを紹介された」と主張しており、双方の主張が対立していたという経緯はあった。矢野らはことさらそのことをもって、山川が詐欺事件に関与した根拠であると主張したわけではなかった。矢野らは、山川がMに対して「Tさんが一人暮らしになっちゃったのよね」と報せたことが関与の根拠であると主張していたのである。

 しかし東京地裁は、TにMを紹介したのが山川だったのか否かを重視したようだった。山川は矢野らの主張を否認し、Tは陳述書で〈私の友人の紹介でMさんと知り合いました〉と述べていた。東京地裁は山川の主張およびTの陳述書の記載から、TにMを紹介したのが山川であるとは認定せず、また矢野らがそう信じたことに相当の理由は認められないとした。

 その上で、本件記事の違法性について次のように結論付けた。

〈そうすると、本件記事のうち、原告がMをTに紹介したとの事実を摘示して、原告が、お金を巻き上げる連中の口ききであり、上記行為について、仲介のような役割を果たしており、上記貸金が返済されないことについて、知らん顔をしているあきれた人だと述べる部分については、事実を摘示して原告の名誉を毀損する行為であるというべきである。〉

 東京地裁はこう述べて本件記事の違法性を認定し、〈原告が上記記事によって相当の精神的苦痛を被ったことは、上記記事の内容から容易に推知できる〉と述べた。こうして東京地裁は、矢野らに15万円の支払いを命じる判決を言い渡したのである。

 本件記事の評価に関して、原告の主張(「原告が詐欺事件に関与した」)と裁判官の認識には温度差があったようである。しかし上記の認定によれば、本件記事のうち、山川が詐欺犯側の人間だったと思わせるような部分についてはすべて否定されたものと理解できる。少なくとも山川に関して本件記事の真実性は否定されたという結果に変わりはないということになる。これではもはや、記事としての体をなさないのではあるまいか。

 本件記事が掲載された『東村山市民新聞』第186号(平成27年7月31日付)が発行、配布されたのはちょうど1年前である。それ以後、山川は記事について聞かれるたびに、それが虚偽であることを説明しなければならないなど、本来なら必要のない多大な労力を割かざるを得なかった。しかし、今回の判決は山川に関する部分を否定するものだった。少なくともその意味で、提訴したことには大きな意義があったといえるのではあるまいか。

矢野と朝木が控訴 

 なお、矢野と朝木が一審判決を不服として平成28年7月29日までに控訴したことがわかった。

(つづく――「控訴審」開始後に再開)
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『聖教新聞』事件 第65回
創価学会に対する名誉毀損と認定

『聖教新聞』事件は、たんに東村山市議の矢野穂積と朝木直子らが同紙の記事をめぐって提訴したというものではない。元をたどると、朝木直子の母親で、当時東村山市議だった朝木明代が万引きを苦に自殺、ところが万引き事件でアリバイ工作を共謀した矢野と長女の朝木らが『週刊現代』の取材に対して「明代は創価学会に殺された」などと主張した内容がそのまま同誌の記事となって掲載されたことに始まっている。

 これに対し『聖教新聞』は、警視庁東村山署千葉副署長のコメントなどに基づき、同記事および同誌にコメントした朝木父娘らに対する創価学会秋谷会長の反論を掲載した。本件は、矢野らがこの『聖教新聞』記事が矢野らの名誉を毀損したとして『聖教新聞』や創価学会を提訴したものである。この裁判で矢野らは、『聖教新聞』だけでなく、その主張の根拠となる主張を行った(明代による)万引き被害者と、万引き事件で明代を書類送検し、明代の転落死を「自殺」として処理した警視庁および捜査を指揮した千葉副署長も提訴した。

 矢野らは訴状で「朝木父娘は『週刊現代』の取材を受けておらず、同誌に掲載されたようなコメントはいっさいしていない」とした上、「朝木明代が万引きをした事実はなく、『万引きを苦に自殺』したものではない」と主張していた。『聖教新聞』の記事は朝木父娘が『週刊現代』の取材に応じて同誌に上記のようなコメントをしたことを前提にしたものだから、その主張が認められれば『聖教新聞』の記事はその前提を欠くことになり、矢野らの請求が認められる可能性もないとはいえなかった。

 しかし平成12年6月26日、東京地裁は『週刊現代』裁判の判決と同様に『週刊現代』において朝木父娘は〈(『週刊現代』の記者に対して)朝木ら発言をしたものと認めるのが相当〉と認定。その上で、

〈原告ら(筆者注=矢野と朝木ら)は、被告創価学会が本件各事件(筆者注=朝木直子のポケベルに「4444」の数字が打ち込まれるなど、「創価学会が関与している」と矢野らが主張した様々な事件)に関与したと認められるような客観的な証拠もなく、被告創価学会に対し、さきに判示したとおりの名誉毀損行為をしたものである〉

 と述べ、〈原告朝木ら発言を中心にした原告らによる被告創価学会に対する名誉毀損行為に対する反論という目的に必要な範囲でなされたものと評価することができる〉などとして、『聖教新聞』紙上における創価学会の反論が正当なものだったと認定し、創価学会に対する矢野らの請求を退けた。

矢野のアリバイ工作も確認

 万引き被害者に対する請求についても、万引き犯が明代ではないと知りながら被害届を提出したなどという証拠は存在しないなどとして、矢野らの請求を退けた。東村山署が捜査を尽くした結果、明代を万引き犯と認定し、東京地検八王子支部に書類送検したことからも、被害者の申告内容が真実だったことが裏付けられていよう。

 矢野と朝木はこの裁判で明代の万引きが「冤罪」であると主張しようとしたが、逆にあらためて明代の万引きの事実が認定されたことになろうか。言い換えると、明代の万引きを隠蔽することを目的に矢野が明代と共謀したアリバイ工作の事実も確認されたということになろう。

取り調べに応じなかった朝木

 さて、矢野と朝木が創価学会や万引き被害者を提訴したことはともかく、捜査を指揮した東村山署副署長、千葉英司をも被告に加えたことにはやや違和感がないではない。2つの理由がある。

 1つは、原告である朝木直子は、明代が自殺を遂げた際、東村山署が事情を聴くために再三にわたって来署を求めたが、ついに1度も聴取に応じなかったことである。転落死の直後であり、当然、まだ警視庁は結論を出していなかった。「他殺」を主張するなら、自殺の動機がないことについて、警察に対して遺族として真摯に説明すべきだろう。

 東村山署は朝木の弟を聴取した際、直子にも来てくれるよう伝言を依頼した。それでも朝木は出頭しなかったのである。その朝木が、明代の万引きと自殺に関する千葉の広報内容について民事で訴えるというのは理解しにくい話というほかなかった。

取調室で混乱した矢野

 2つ目の理由は、もう1人の原告である矢野は明代の万引き事件でアリバイを主張しているが、万引き事件の時間帯には東村山市内のレストランで食事をしていたというアリバイは、東村山署の取調室において矢野自らがすでに放棄していたからである。明代だけでなく矢野もまたそれまで、「午後2時12分過ぎにレストランに行った」と何度も何度も供述していた。ところが、彼らがいたと主張する時間帯よりも2時間も前(12時台)にそのメニュー(「日替わりランチ」)が売り切れていた事実を突きつけられると、矢野は「そんなに早く行ったのかなあ」と動揺をみせた。

「午後2時12分過ぎに行った」というのが事実なら、どんな証拠を突きつけられようとこれほど時間にブレが生じるはずがない。つまり当初の主張が虚偽であることを自白したに等しかった。

 そもそも矢野と朝木は当日、「午後12時過ぎまで議会の委員会室にいて、その後、午後2時ごろまで議員控室で打ち合わせをしていた」と説明していた。その矢野が、12時台にレストランに行っていることはあり得ないのである。取り調べでアリバイが成立しないことを説明された矢野が、前後の時系列も無視し、議会にいたはずの時間帯にレストランに行っていたなどと口走ってしまうほどの取り乱したことがよくわかる場面だった。

 朝木明代の自殺によって、万引きによる窃盗容疑は不起訴となった。しかし東京地検は、東村山署に対する通知の中で「明代の万引きの事実は認定する」との付言を加えていた。

潰されたプライド

 矢野と明代は、明代が書類送検されたあと、東京地検に上申書を提出した。その上申書で彼らは、東村山署の取調室で破綻したアリバイのメニューを「レギュラーランチ」から「日替わりランチ」へと変更したのだった。東村山署が裏付け調査を行うと、「日替わり」は12時台で売り切れていた。その証拠を突きつけられた矢野が、あわてふためいたのが上記の取調室の場面である。

 もはや矢野は、少なくとも明代のアリバイ主張に関してただの「証人」ではなく、りっぱな当事者であることがこの場面からも明らかだった。矢野は明代の死後も、アリバイ工作の当事者としてあらゆる手段を尽くして捜査機関を騙し、丸め込もうとしていた。そのたくらみは、東村山署の丁寧な裏付け調査によってすべて潰された。

 東村山署は当然、この取り調べの状況も東京地検に報告している。東京地検は東村山署による矢野の取り調べ状況も含めて、「明代の万引きの事実は認定する」という判断を示したということだった。

 矢野の面目もプライドも、完膚なきまでに潰されたということでもあったと思う。

(つづく)
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