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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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多摩湖寿会事件 第20回
朝木、清水らを提訴

一般質問終了後、清水のそばにやってきた朝木は「市がやらなければ、こっちでやるしかないよ」と話しかけた。朝木の言葉に背中を押されたのかどうか、清水は東村山市に代わり、自分自身で「東村山じゅう触れ回る」ことにした。老人クラブ多摩湖寿会の会長としてやや慎重さに欠ける気もするが、平成29年1月7日、新年会の案内状に直接「山川が着服」と書いて配布したのがその具体的な行動だった。

その結果が重大なものであることだけは明らかだった。平成29年1月30日、山川は東村山市議の朝木直子、矢野穂積、多摩湖寿会会長の清水澄江、それに朝木と矢野が発行した彼らの政治宣伝ビラ『東村山市民新聞』第188号を自身のブログに貼り付け、山川を揶揄し、非難する記事を掲載した武蔵村山市議の天目石要一郎の4人に対し、総額900万円の損害賠償の支払いを求めて東京地裁立川支部に提訴した。

訴えの内容は多岐にわたる。被告別に順を追って紹介していこう。

朝木直子に対する請求(その1) 

(1)平成28年8月24日付質問通告書における下記記載

①〈多摩湖寿会で発生した、元市議会議員によって行われた業務上横領疑惑について〉

②〈「多摩湖寿会」(老人会)で発生した業務上横領疑惑について〉

③〈多摩湖寿会において、平成24年度から平成27年度にかけて、会計業務についていた元市議会議員によって行われた、業務上横領が強く疑われる行為〉

④〈公金から補助金が支出されている事業において、横領が強く疑われる不正が明らかになった〉

⑤〈この元市議は42万4500円を会計から抜いたことを認めていると聞く〉

⑥〈会計の不正処理を行った元市議会議員は、新年会の会費やお祝い金、バス研修会費などで集金したお金を会計収入に入れず、78件もの経費(領収書)を二重計上するなどして寿会会計から抜いた〉

 原告は、上記の記載について「原告が多摩湖寿会の公金や会員から集めた金を横領した」との事実を摘示するものであり、上記質問通告書がインターネット上の東村山市議会ホームページに掲載されたことなどにより、原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(2)平成28年9月議会一般質問における下記の発言

①〈当市の補助対象団体であります多摩湖寿会において発生した極めて横領の疑いが濃い会計の不正処理〉

②〈その前会計に連絡をし、7月1日に多摩湖ふれあいセンターにて役員が問い質したところ、寿会の会計から上記方法により42万4500円を抜き取ったことを認め、同日にこの42万4500円を返金した〉

③〈こういう人物が行った公金横領が強く疑われる行為〉

④〈現役員らが横領だといっているこの不正会計〉

⑤〈二重計上による現金の抜き取り〉

⑥〈公金から支出されている事業において、横領が強く疑われる不正が明らかになった〉

⑦〈4年間にわたって、これはむちゃくちゃな会計報告書が、収支報告書が上げられてたわけですよね〉

⑧〈むちゃくちゃな会計報告〉

⑨〈この元市議会議員は42万4500円を会計から抜き取ったという、このこと自体は認めております〉

⑩〈福祉募金の全額を着服していることが明らかとなっています〉

⑪〈集めた募金はどこかへ消えた〉

⑫〈この元市議会議員は、新年会の会費やお祝い金、それからバス研修会などで集金したお金を会計収入に入れないで着服〉

⑬〈経費を二重計上するなどして、寿会の会計からお金を抜き取っていました〉

 原告は、上記の発言について「原告が多摩湖寿会の公金や募金等を横領した」との事実を摘示するものであり、上記発言が東村山市議会で行われたことにより原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(3)平成28年9月議会決算特別委員会における下記の発言

①〈多摩湖寿会から、これは24年度から横領されてる疑いがある〉

②〈はっきりいってデタラメですよ、これ。会計帳簿もデタラメ、それから会計帳簿と決算書も全然違うし、数字が。決算書の内容もデタラメ、それから領収書もデタラメ。全部デタラメなんですよ〉

③〈4年間もね、募金は盗まれるし、二重計上で会計からお金は抜かれるし、入るべきお金は入っていない〉

④〈会計がめちゃくちゃな状態でお金が盗まれていくような状態〉

⑤〈多摩湖寿会で発生したこの横領と思われる事案〉

⑥〈会計さんが自分のポケットに入れていた〉

⑦〈 虚偽の報告書を自分がポケットに入れたお金も補助対象経費として計上〉

⑧〈誰がどうみたって意識的にやってるんですよ。これ、犯罪の可能性が非常に高い〉

⑨〈泥棒したものはね、お金返せばいいんですかっていう議論になるんですよ〉

⑩〈公金が、これは横領の可能性が非常に高い〉

 原告は、上記の発言について「原告が多摩湖寿会の募金を盗み、公金を横領した」との事実を摘示するものであり、上記発言が東村山市議会で行われたことにより原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(4)「ひがしむらやま市議会だより」における下記の記載

①〈元市議による公金横領疑惑を何故隠蔽するのか〉

②〈多摩湖寿会における当市元副議長による不正会計に対し、公金横領が強く疑われるにもかかわらず〉

③〈不正に抜き取られた金員は返還された〉

④〈犯罪行為に目をつぶるようなものだ〉

原告は、上記の記載について「原告が多摩湖寿会の公金を横領した」との事実を摘示するものであり、上記「ひがしむらやま市議会だより」が市内に全戸配布されたことにより原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第21回
朝木直子に対する請求(2)

(5)平成28年11月22日付質問通告書における下記記載

①〈元市議による多摩湖寿会での横領をいつまで隠蔽するのか〉

②〈9月議会で指摘した元市議による多摩湖寿会で発覚した横領について〉

③〈研修費として計上された「入浴料」(領収書もなく実際には入浴の事実すらなかった(平成25年))

 原告は、上記の記載について「原告が多摩湖寿会の公金を横領した」との事実を摘示するものであり、上記質問通告書がインターネット上の東村山市議会ホームページに掲載されたことなどにより、原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(6)平成28年12月議会一般質問における下記の発言

①〈元市議による多摩湖寿会での横領をいつまで隠蔽するのか〉

②〈本件多摩湖寿会で発生した横領〉

③〈元市議による多摩湖寿会で発覚した横領〉

④〈この元会計がお金を抜き取ったことは認めた〉

⑤〈入浴料ね、平成25年度の入浴料、…………施設はお風呂、宿泊施設とも改修中で、いっさい入浴については、この日は行っていなかったということがはっきりしているんですよ〉

⑥〈横領なんだよ、これ。百条委員会でも作ってよ〉

⑦〈計上については当然、お金がなくなっているわけですから、その部分は間違いなく横領なんですよね〉

⑧〈私は横領とそれから詐欺にも当たると思っている〉

⑨〈レシートと領収書の二重計上、これは支出がないのにあったと見せかけて、入浴料もそうですけれども、あったと見せかけてお金を盗っているわけですからこれは詐欺にもあたる。これは弁護士も同じ見解です〉

 原告は、上記の発言について「原告が多摩湖寿会の金を横領し、詐欺をし、盗んだ」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(7)裁判所に提出した陳述書における記載

 朝木は『東村山市民新聞』第186号で山川が「詐欺事件に関与した」などとする記事を掲載して50万円の支払いを命じられたが、その控訴審で提出した陳述書に次のように記載した。

①〈この「多摩湖寿会」において平成24年度から平成27年度にわたり、被控訴人山川が一人で務めていた「会計」業務において、経費の二重計上や会費等の未納入などにより、42万4500円の不正処理よる不足金が現役員の調査により本年6月に発覚しました〉

②〈会員から集めた福祉募金が行方不明になっている〉

③〈被控訴人山川は42万4500円を多摩湖寿会会計から抜き取ったことを認め返金した〉

④〈多摩湖寿会現役員はすでに弁護士をつけ、詐欺あるいは横領による民事裁判および刑事告訴の準備をしている〉

 原告は、上記の記載について「原告は多摩湖寿会の福祉募金の金等を詐取、横領した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

(8)裁判所内での発言

 上記裁判閉廷後の平成28年10月17日午前10時45分ころ、東京高裁第511号法廷前の廊下で、朝木は山川に向かって、

「福祉の金を奪って大泥棒だな、大泥棒、大泥棒」

 と連呼した。その際、廊下には一般傍聴人がいただけでなく、朝木の声を聞きつけた女性書記官が驚いた様子で法廷から出てきたほどである。

 原告は、上記の発言は「原告が福祉の金を奪った大泥棒である」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

矢野穂積に対する請求

平成28年11月22日付質問通告書における下記記載

 矢野は同通告書において「多摩湖寿会で発生した横領事件の責任」とのタイトルの下、

〈補助金(公金)を着服した会計担当の元市議に対し、横領及び返金につき法的措置をとる必要がある〉

 と記載した。

 原告は、上記の記載は「原告は多摩湖寿会の公金や会員から集めた金を横領した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させたと主張して40万円の支払いを求めている。

朝木及び矢野に対する請求

 朝木らは平成28年10月31日付『東村山市民新聞』第188号において下記のように記載した。

(1面)

①〈元公明市議が横領! 老人クラブから〉(見出し)

②〈市議四期、市議会副議長、監査委員を担当した人物が〉、〈創価・元市議が四年間にわたり〉、〈一部返金するも「これは横領ではなく積立金だ」と開き直り〉(見出し)

③〈元公明市議が横領! 老人クラブから〉との見出しの真下に原告の顔写真を配して〈元市議が老人クラブ会計から横領〉との写真説明を付けている。

④〈山川昌子・元公明市議が、同町の老人クラブ「多摩湖寿会」の会計を担当した2012年度から2016年度の4年間に、……会予算の2割以上を横領していた。〉

⑤〈事件発覚後事態を重くみた「多摩湖寿会」側が、横領金の一部約42万円を返還すること、……を求めたところ、……横領金の一部約42万円を「多摩湖寿会」側に山川昌子市議は返還したという。〉

⑥〈被害を受けた「多摩湖寿会」側は、「許せない、横領金はあらゆる方法を使って全部返還してもらう」と怒りを露にしている。〉

⑦〈返還矢野・朝木、両議員は10月はじめ、山川昌子元市議が横領した金員のうち公金に当たる部分の返還を求めるよう、東村山市長に監査請求を行った。〉

(2面)

①〈山川・元公明市議による横領事件について〉

②〈山川・元公明市議の横領〉

③〈横領事件を引き起こした山川・元公明市議〉

(3面)

〈老人クラブ(「多摩湖寿会」)を舞台に山川昌子・公明党元市議が前代未聞の横領事件を惹き起こしたが、本人は未だに、これを否定するかのような態度をみせている。〉

(4面)

①〈(横領をした元公明党議員は)研修旅行先で会員20人が入浴したとして入浴料1万円が研修費(公費)として計上されていることにも驚きますが、調査の結果、入浴したとされている日はその入浴施設は改修工事中で、「入浴の事実自体があり得ない」ことも明らかになっています。〉

②〈会員から集めた「福祉募金」も行方不明になっているなど、山川昌子元市議が返金した42万4500円の他にもかなりの不正会計があることは明らかです。〉

③〈会計帳簿に添付された領収書には、……山川元市議の私的な飲食費と思われる経費が多くみられます。〉

 原告は上記の記載について「原告が多摩湖寿会の公金を横領した」との事実および「原告が多摩湖寿会の研修旅行で、入浴もしていないのに入浴したとして1万円の架空の支出を計上し、その1万円を着服した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させたとして100万円、また原告の肖像権を侵害したとして20万円の支払いを求めている。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第22回
清水に対する請求(その1)

(1)会合における発言

 平成28年8月17日、東村山市は社会福祉協議会において、、多摩湖寿会新旧役員に対して同会の会計問題について行政側の見解を説明するための会合を開いた。会合には行政側から4名、新役員7名、原告を含む旧役員4名の計15名が出席した。

席上、東村山市の宮田課長が、弁護士の見解は「私的な保管金は返却されており、金銭面では寿会会長がお金を受け取った時点で示談が成立しているので和解したことになる」というものだったことを紹介し、市としては「市からの補助金は正しく使われており、帳簿が整っているので何ら問題ない」との見解であると説明、清水が主張する横領の事実を否定した。しかし、これに対して清水は次のように発言した。

〈私は納得できません。悪いことをしていたのに、いけしゃあしゃあと。1円でも人の金をごまかせば不正なんだ。不正をしたと東村山中触れ回って堂々と歩けないようにしてやる〉

 原告は、上記の発言は「原告が寿会の金を懐に入れた」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を著しく低下させたと主張して30万円の支払いを求めている。

(2)辞任を強要した行為

清水は行政側の説明に納得しなかった。このため新役員の1人が清水に「どうすれば納得するのか」と聞くと、「山川さんが社会福祉協議会や日中友好協会、東村山市文化協会の会長、多摩湖ふれあいセンターの役員を降りれば、(合意書に)署名・捺印する」と答えた。午前11時に始まった本件会合は、昼食をとらないまま午後1時を過ぎていたが、いつ終わるのかわからない状況になっていた。

また山川は、上記の清水の主張が会計問題とは無関係であることは承知していたが、ここで清水の要求に応じなければ本当に「東村山を歩けないように」されてしまうのではないかと不安になり、不本意ながら清水の要求に応じて上記役職を辞任する旨を記載した誓約書を作成し、清水に提出せざるを得なかった。

原告は上記の清水の行為について、原告を脅して誓約書を作成せざるを得ない状況に追い詰めて提出させたものであり、清水の行為は強要罪に該当する不法行為である。上記不法行為により、原告は不本意な誓約書を提出させられ、甚大な精神的苦痛を受けたとして50万円の支払いを求めている。

なお、誓約書には「今後、金銭的な内容について、これをもって一切申し立てをしない」との文言が付言されている。

(3)虚構犯罪申告

 清水は上記の誓約書を根拠に平成28年8月24日から同年10月31日までの間に、朝木及び東村山市健康福祉部に対し「原告が寿会の公金や会費を横領・詐欺をし、集金した福祉募金を盗んだ」と申告した。これについて原告は、清水から申告を受けた朝木が「原告を告発すべきである」旨の質問をした。これに対し、渡部市長は「犯罪とは断定できないので告発はしない」と答弁したことからも、清水の申告が客観的根拠を欠くものであることは明白であると主張し、清水の根拠のない申告によって甚大な精神的被害を受けたとして50万円の支払いを求めている。

(4)会計帳簿保管義務違反

 朝木直子は平成28年11月22日付一般質問通告書に、「研修費として計上した『入浴料』(領収書もなく、実際には入浴の事実すらなかった)」と記載し、12月議会の一般質問では、「山川は入浴の事実すらないにもかかわらず入浴料として1万円を支出したとして着服した」と主張していた。

原告は領収書綴りに入浴料の領収書を貼付したはずであるため東村山市に確認したところ、領収書綴りの「入浴料」の領収書を貼ってあったはずの場所には、出納簿の「入浴料1万円」の支出記録に対応している領収書番号(№44)は記載されているが領収書は存在せず、領収書が貼ってあったとおぼしきスペースだけが空白になって残っていた。つまり、その領収書綴りの№44の箇所には確かに領収書が貼ってあったが、なんらかの理由によって剥がされたのではないかと類推できた。

 では、いつ、誰が領収書を剥がしたのか。市の担当者によれば、「問題の領収書は、帳簿類が清水会長から提出された時点からなかった」とのことだった。この帳簿が作成された平成26年度の社会福祉協議会による監査では「入浴料の領収書がない」という指摘は受けていない。その後、山川は平成28年に清水に帳簿を引き継ぐまでの間に領収書綴りに触ったことはなかった。 すると、平成26年度の監査の時点では存在した「入浴料」の領収書は、山川が清水に引き継いだ後になくなったということになる。

「東村山市老人クラブ運営費の補助に関する規則」は第12条で、補助を受けた老人クラブは、「補助金の対象となった事業に関する経理については、……収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、かつ、当該収入及び支出についての証拠書類を整理して5年間保管しておかなければならない。」と定めている。つまり寿会の会長である清水は、監査を通った時点で公文書となった寿会の平成25年度の領収書綴を原状のまま保管・管理する義務がある。

ところが被告清水は、「入浴料」の領収書がなくなれば領収書綴の効用を害するという結果の発生を十分に予測できたにもかかわらず、保管・管理について必要な注意を怠り、平成28年5月に原告が引き継いだ後から東村山市に提出した同年10月7日までの間のいずれかの日に、何者かによって領収書綴から「入浴料」の領収書を剥ぎ取って空白状態に加工されるという異状事態を生じさせた。加工行為を行ったのが被告清水であれ他の誰かであれ、公文書を毀棄することは上記規則に反する行為であり、被告清水の過失責任は免れない。

朝木から東村山市議会で「1万円の入浴料を架空計上し、着服した」と断定された原告は、無実の証拠である「入浴料」の領収書を清水によって紛失されたことにより、身体的にも精神的にも甚大な苦痛を被った。原告はこう主張して100万円の支払いを求めている。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第23回
清水に対する請求(その2)

(5)議場における不規則発言

 多摩湖寿会会長清水澄江は、朝木直子が東村山市議会平成28年12月定例会において一般質問を行った際、傍聴規則に反し、傍聴席から傍聴人のみならず少なくとも市役所職員全員に聞こえる音量で、朝木の発言を支援する趣旨で下記の発言を行った。

①(朝木の「何十件もあるんだから、不正計上が。……横領の証拠が」との発言に呼応して)清水〈全市に配ったらいいじゃない〉

②(健康福祉部長が寿会の市に対する返還額を読み上げたのに続き)
清水〈彼女から返してもらえばいいのよ〉

③〈みんな山川さんの懐に行ってるから、全部返してもらえばいい〉

 上記①の発言は「原告の横領の証拠を全市に配ればいい」というものであり、上記②③のの発言は、東村山市が寿会に対して返還を求めるとしている額のすべてを「原告が横領した」とする趣旨にほかならず、「原告が寿会の金を着服した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させたとして30万円の支払いを求めている。

(6)「新年会案内」における記載

 多摩湖寿会会長の清水澄江は、平成29年1月7日、同年1月吉日付寿会会員各位宛て「新年会開催のご案内」と題する文書を配布したが、同文書には、新年の挨拶に続いて「前会計山川昌子氏の会計会費の不正使用・着服につきましても、説明しご理解を賜りたく、より多くの参加を切にお願いし、お待ち申し上げます。」と記載されていた。原告は、上記記載は「原告が寿会の会費を着服した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を低下させたとして50万円の支払いを求めている。

朝木及び清水に対する請求

 平成28年11月30日に行われた朝木直子の一般質問で、朝木は市長に対して「告発すべきだ」と主張したが、渡部市長は「犯罪と断定するには至らないので告発はしない」と答弁した。一般質問終了後、傍聴席にやってきた朝木と清水は下記の発言を行った。

①「この中にね、鯛焼きまで補助金で。私たちの税金で鯛焼きまで」(被告朝木)

②「鯛焼きでしょ、チャーシューメンセットでしょ、それからバーミヤンでしょ、7月の2日と5日にね、リンガーハットとバーミヤン。横領で、あじさい館の下見に行ったら2回も食べてるの」(被告清水)

③「食べてるよ、よく。痩せたでしょう、寿会の会計離れて。だいぶ飲食費が少なくなって」(被告清水)

 上記②③の被告清水の発言に対して、被告朝木は「ふだんの行いが悪いからね、みんな怒って、みんな協力してくれるんです」と、あたかも原告が常日頃から不実な行動をする人物であるかのような発言をした。さらにそれを聞いた被告清水は「写真だって何だって会の金でやってて、飲食だって全部寿会の金で食べてたんだから、いっぱい貯まってるわよ」と発言した。

 原告は、上記の発言は「原告が寿会の金を横領した」との事実を摘示するものであり、原告の社会的評価を著しく低下させたとして朝木と清水に対して連帯して30万円の支払いを求めている。

天目石要一郎に対する請求

(1)平成28年8月26日付ブログ記事

 天目石は、天目石が運営するブログの平成28年8月26日付〈公明市議が老人会費を横領か? 東村山〉との記事において、

〈元東村山市議会議員Y(公明党)による老人会費の横領疑惑が発覚しました。9月7日の東村山市議会一般質問で朝木直子議員が追及することになっています。東村山市議会のホームページで質問の通告文を見ることができます〉

 と記載した上で、「原告が多摩湖寿会に支出された補助金を横領した」との事実を摘示した朝木の一般質問通告書(平成28年9月議会)のアドレスを貼り付けてリンクした――。原告は上記のように主張し、上記記事は「原告が老人会費を横領した」との事実を摘示したとして、天目石に対して20万円の支払いを求めている。

(2)山川に対する侮辱的表現

天目石は上記ブログで、

〈Y元市議を何回か見かけたことがあります。「めちゃくちゃケバいな。」と感じました。でも、あの厚化粧の下にはこんな秘密があったんですね。〉

と原告の容貌を揶揄した上、

〈もっとも、彼女のスキャンダルはこれだけではないですが〉

と記載した。原告は、天目石は上記記載によって「原告がひどい厚化粧をしている」、「原告には上記横領以外にもスキャンダルがある」と原告を侮辱したことにより甚大な精神的苦痛を受けたとして20万円の支払いを求めている。

(3)平成28年11月30日付ブログ記事

 天目石は、天目石が運営するブログの平成28年11月30日付〈公明党 山川昌子元市議会議長による老人会費着服〉と題する記事を掲載し、本文で、

〈東村山市での元市議会副議長(公明党)による老人会費着服事件〉

〈東村山市民新聞で、山川昌子と実名で報道されました。被害者の老人会の皆さんは、山川昌子を告訴する準備を進めているそうです。〉

〈警察も、公明党の偉い先生たちにゴマをするためにうやむやにしたら本当に信頼を無くします!〉

と記載した。天目石はさらに同記事に『東村山市民新聞』第188号の1面を転載し、クリックすることにより上記ビラを拡大して容易に閲覧できる状態にして、〈公明党山川昌子元市議会議長による老人会費着服〉との事実をより強固に補完した。

山川は、天目石は上記各記載及び「原告が老人会費を着服した」との事実を摘示した『東村山市民新聞』第188号上記記事をインターネット上に公開したことによって、原告の社会的評価を著しく低下させたとして20万円の支払いを求めている。

(4)写真の無断転載

 清水は上記ブログに『東村山市民新聞』第188号の1面を転載したが、その転載部分には無断掲載された山川の顔写真が掲載されており、拡大すると「元市議が老人クラブ会計から横領」との写真説明を確認することができる。原告は、上記の転載によって肖像権を侵害されたと主張して20万円の支払いを求めている。

 以上が、山川が朝木、矢野、清水、天目石を提訴した裁判の請求原因と請求額である。請求原因が多岐にわたるため、総額は900万円にのぼることとなった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第24回
謎の分離作戦

 平成29年1月30日に提訴してから約1週間後、裁判の第1回口頭弁論が同年3月7日に開かれることが決まり、被告らに対して訴状と呼び出し状が送達された。なお、この裁判は前回(「山川は詐欺事件に関与した」とする記事で矢野と朝木に対して15万円の支払いを命じたが、高裁で判断を否定され、損害賠償額が3倍以上に増額された)と同じ民事3部に係属されたが、担当は別の裁判官だった。

 被告らは「多摩湖寿会の金を横領した事実はない」とする原告の主張に対してどんな反論をしてくるのか。また、被告らはそれぞれ立ち位置が異なるが(矢野と朝木は同じ)、1人の弁護士に依頼するのか。

 第1回口頭弁論1週間前の同年2月27日、山川の自宅に1通のファックスが届いた。矢野・朝木の代理人が送信した答弁書だった。当時者を確認すると、矢野穂積、朝木直子のほかに依頼人の名前は記載されていない。矢野と朝木は清水、天目石とは別の代理人を立てたということだった。

 天目石は矢野らが発行したビラを転載し、またその内容に基づいた記事を掲載したのだから同志として扱い、同じ代理人に依頼してもおかしくないともみられた。しかし、朝木は天目石と代理人を同じにしたところで何の得にもならないと判断したのだろう。

一緒にやってくれるだろうと考えていた天目石は当惑し、さぞ落胆したことだろう。「朝木明代の自殺」という絶対に知られてはならない秘密を抱える朝木と矢野が他人に気を許すことはない。

いまだに「朝木明代は殺された」と信じ込んでいる天目石には、矢野と朝木直子のきわめて特異な人間関係になど、とうてい考えも及ばないのだろう。天目石は朝木に適当にあしらわれているにすぎないのではあるまいか。それがこの代理人の選任の仕方に現れているように思えてならない。

 朝木と矢野が清水とは別の代理人を立てたことは理解できないでもない。清水は山川と誓約書を交わした当事者であり、朝木は清水から話を聞いたというだけで、山川と直接の利害関係があるわけではない。両者の防御方法にはおのずと違いが出てこよう。だから、代理人が同じであるのが自然とは思うが、別々に代理人を立てたからといって特に不自然ともいえないのではないかと思う。

 ただ、清水と天目石が同じ代理人に依頼したというのはやや違和感があった。天目石が朝木と清水のどちらかと同じ代理人を頼むのならやはり朝木側が自然のように思われた。朝木に断られた天目石は仕方なく清水の代理人に弁護を依頼したのだろうか。いずれにしても確かなのは、この裁判に臨むにあたり、朝木と矢野は清水や天目石とは別の代理人を立てる道を選択したということだった。

想定できなかった裏切り

 かつてこんな事例があった。平成7年のことである。

『週刊現代』が〈「朝木明代は創価学会に殺された」!〉とする記事を掲載した。明代は万引きを苦にして自殺したというのが事実であり、創価学会は無関係だった。創価学会は重大な名誉毀損であるとして『週刊現代』と記事でコメントした朝木直子とその父親を提訴した(『週刊現代』事件http://pullman.blog117.fc2.com/blog-category-50.html)。

当時の編集担当者の証言によれば、創価学会から提訴された『週刊現代』は会社の顧問弁護士を伴って東村山を訪れ、矢野、朝木らと面会し、応訴のための協議を行った。朝木明代と矢野穂積が万引きのアリバイ工作に利用したレストラン『びっくりドンキー』だった。

その席で『週刊現代』側は朝木側に対し、まず「朝木明代は創価学会に殺された」などの記事に掲載された「コメント内容とその事実」について、裁判の中で否定するようなことがないか確認を求めると、矢野は「そんなことはありません」と答えた。また、会社の顧問弁護士が彼らの弁護を引き受ける必要があるかどうかを聞くと、朝木側は独自の弁護士を立てると答え、実際に『週刊現代』とは別の弁護士を立てた。

 裁判開始から1年、『週刊現代』と朝木側は表面上は相被告として創価学会と闘っていた。しかしある日、突如、朝木は「『週刊現代』の取材は受けておらず、コメントもしていない」と主張したのだった。

朝木のその主張が認められれば、当然のことながら、『週刊現代』は記事の根拠を失うことになる。『週刊現代』側としては、朝木に対する取材が確かに行われたこと、記事に掲載されたコメントは実際にあったことをまず主張・立証しなければならなくなった。この結果、『週刊現代』裁判は、当初は味方として創価学会と闘っていた相被告同士が、一審の途中から完全な敵対関係になるというきわめて珍しい裁判となったのである。

矢野は提訴された時点で敗訴を覚悟していたフシがある。朝木がコメントの事実を否定するまで、彼らは記事の中身に触れるような主張をしなかった。このまま『週刊現代』の方針に従っていくのか、一挙に手のひらを返して逃げの態勢に入るのか、どちらが自分たちの利益になるのか、矢野らはじっと裁判の推移をうかがっていたのだろう。

その結論が、「コメントはしていない」として『週刊現代』にすべての責任をかぶせるという想像をはるかに超えた裏切りだった。朝木明代の万引きとそれを苦にした自殺という事実を隠蔽するために利用するだけ利用し、都合が悪くなると、自分たちの発言をなかったことにしようとしたのである。利用はしても信用はしていないということだったのだろうか。

 相被告を切り捨てることを最初から想定していたからだと考えれば、『週刊現代』の弁護士に「受忍させてもいい」という申し出を断り、独自に弁護士を立てたことも理解できよう。ただそれが、今目の前で確認したばかりのコメントについて、まさか存在自体を否定し、『週刊現代』と敵対する可能性を秘めたものだったとは、『週刊現代』の代理人としてもとうてい想像できなかったのである。

さて、朝木が清水、天目石とは別の代理人を立てたことにどんな意味があるのか。『週刊現代』事件を知る者としては、朝木の心中にはなにか相被告に対する不信感のようなものがあるのではないか――そう思えてならない。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第25回
根拠がなかったことを自白

 では、朝木側、清水側に分かれた被告らの答弁書の内容はどんなものだったのか。短いのですべて紹介しよう。



(朝木・矢野答弁書)

第1 請求の趣旨(=いくら払えという原告の主張)に対する答弁

〈原告の被告朝木直子及び被告矢野穂積に対する請求をいずれも棄却する。〉

第2 請求原因(=「横領した」などの名誉毀損の事実等)に対する認否、被告朝木直子及び被告矢野穂積の主張

〈事実関係、証拠資料を確認・精査したうえ、追って認否、主張する。〉

(清水・天目石答弁書)

第1 請求の趣旨に対する答弁

〈原告の請求をいずれも棄却する。〉

第2 請求の原因に対する認否及び反論

〈追って行う。〉



 訴状の送達から1カ月たって送られてきた答弁書の内容はこれだけで、被告らはいずれも第1回口頭弁論には差し支えがあって出廷できないとのことだった。第1回口頭弁論に出廷できないのはやむを得ないとして、あれほど「山川は多摩湖寿会の金を横領した」「盗んだ」と断定していた朝木と清水が、請求原因に対する具体的な反論を一言もしないというのはやや不自然に思えた。

 とりわけ朝木は、これから「事実関係、証拠資料を確認・精査」するという。朝木はこれまで東村山市議会で再三にわたって「山川は横領した」と発言してきた。その時点で確かな根拠を持っていたとすれば、答弁書でこれから「事実関係、証拠資料を確認・精査」するとはいわないだろう。つまり朝木の代理人は、たった1行で、議場での発言は「事実関係、証拠資料を確認・精査」した上でのものではなかったと自白したということになる。

 すると朝木は、市議会議員として議場で発言するにあたり、確かな根拠がなくても市民を犯罪者呼ばわりすることが許されると認識しているということだろうか。答弁書の記載を読むかぎり、そう理解することができる。

 第1回口頭弁論は原告だけが出廷し、訴状と甲15までの証拠書類を確認しただけで終了し、第2回口頭弁論は平成29年4月26日と決まった。被告らはその1週間前までに訴状に対する認否・反論を提出すればよい。被告らは訴状の送達から具体的な反論までに、実質的に2カ月半の時間が与えられたことになる。

非現実的な要求

 ところで、答弁書を提出する10日前、朝木は平成29年2月16日付で東村山市議会3月定例会の一般質問通告書を提出している。そのタイトルは「多摩湖寿会で発生した元市議による横領事件について」だった。平成29年2月27日付答弁書では〈(これから)事実関係、証拠資料を確認・精査(する)〉と記載しているほどだから、同年3月3日に行われた一般質問で朝木が「元市議による横領事件」の根拠を示したわけではない。朝木にとっては一般質問の中身よりも「元市議による横領事件」が事実であると主張することが重要だったのだろう。では朝木はどんな質問を行ったのか。

 朝木は一般質問で平成28年9月と12月議会における市側の答弁を逆手に取り、斬り込む形で質問を行った。まず追及したのは、朝木が同年12月議会で、過去の多摩湖寿会の監査において補助対象外経費であるはずの酒やビールの経費が補助対象経費として認められていた(再調査によって補助対象外であることが確認された)点を質したのに対し、所管が「元会計担当者が元市議だったために多摩湖寿会だけを特別扱いしたわけではない」と答弁したことについてだった。

 朝木はこう聞いた。

朝木  多摩湖寿会だけ特別扱いをしたんではないということになりますと、他の老人クラブの監査も同じようにルールを無視したかたちで行われているということではないんですか? そうすると、他の老人クラブの監査はどうするんですか。多摩湖寿会にだけ監査を行って、多額の補助金返還を求めるつもりなのか伺います。

 今回の再調査によって、東村山市は多摩湖寿会の平成24年度から同27年度の会計報告について、補助対象外経費として誤って計上されていた経費や二重に計上されていた経費等45万円余の返還を求めている。朝木は「『特別扱い』していないのなら他の老人会に対する監査でも補助対象外経費を補助対象経費として認めている可能性がある。多摩湖寿会に対して再調査を行ったのなら他の老人会も再調査すべきだ」といっているのだった。

 1度監査が終了していたものに対する再調査など、通常はあり得ない。多摩湖寿会の会計に対する再調査は、多摩湖寿会現会長の清水の主張に基づき、平成28年9月議会で朝木自身が「山川は多摩湖寿会の金を横領下。再調査すべきだ」と迫ったため、例外的に行ったにすぎない。東村山には51の老人会が存在する。その51の老人会の、しかも平成から27年度のすべての会計を再監査するのは現実的に困難であるし、市の方から老人会に対して再監査を受けるよう命じる大義名分もない。

 朝木は「再監査」を否定した市に対して「他の老人クラブについては放置するのか」と追及した。しかし、市が「そういった考えはない」と答弁したのは当然だったろう。

返還請求の対象を再確認

 東村山市が多摩湖寿会に対して45万円余の返還を求める決定をしたことで、寿会会長として清水が返還を求められるかたちになっている。山川を追及するつもりが、逆に会長である自分自身が返還を求められているのだった。もちろん清水が自腹を切るわけではないが、表面上は藪蛇をつついた形になっている。そのことも気に入らないのかもしれなかった。

 朝木はこの点について、返還を求める対象は「行政側としては当事者は、この件についての当事者は現役員だけだというお考えなんでしょうか」と、暗に山川に返還を求めるべきだと主張した。しかしこれに対して市はきっぱりと次のように否定した。

「補助金はあくまで多摩湖寿会にお出ししておりますので、個人というよりも多摩湖寿会ということでご説明をさせていただきたいというふうに考えております」

 山川は前任者に習って補助対象経費かそうでない経費かを仕分けていたにすぎない。その仕分けについては当時の会長も副会長も監査役も承認していたのだから、山川個人が勝手に補助対象経費でないものを補助対象経費であるとして計上していたわけでないのは明らかだった。

 市は返還金の発生について説明するために清水に対して説明会への出席を求めているが、清水は山川が出席しない(山川には出席する必要がない)との理由で出席を拒んでいる。しかしこれが、自ら再調査を望んだ結果である以上、多摩湖寿会会長として、清水は市からの返還請求を受け入れる以外にないのではあるまいか。

 朝木の最初の質問は、補助金の返還をめぐる市への牽制であるように思えてならない。しかし、返還請求の対象が多摩湖寿会会長の清水であることを再確認しただけに終わったようだった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第26回
一方的に「着服」と主張

 平成29年3月議会で朝木が次に質問したのが、朝木らが「山川の横領の根拠」と考えているらしい事実についてだった。同年2月27日付答弁書で〈事実関係、証拠資料を確認・精査したうえ〉と記載しているとおり、その質問によって「事実関係」の裏付けを取ろうとしたものとみえた。

 もちろん、これから質問しようとしているにもかかわらず、質問通告書に〈多摩湖寿会で発生した元市議による横領事件について〉と、「横領」の事実を断定していることは質問内容と矛盾する。朝木の内心では、答弁のいかんにかかわらず、「横領した」という結論に変わりはないのだろう。

 まず聞いたのは、東村山市健康福祉部のヒアリングで、山川が「市に実績報告を提出する期限が迫る中、各サークルから領収書が提出されて来ず、やむなく他の領収書を使用してしまった」と話している点についてである。山川はヒアリングでさらに、「他の領収書で一時的に代替えして、後日差し替えようとした、その後適切な領収書への差し替えや、実績報告書の訂正などの対応ができなかったため、結果として二重に計上された経費として残ってしまった」と説明している。

この点について朝木は、「意識的に虚偽の報告をした」ということであり、「別の領収書を貼って出すこと自体が不正行為なのではないか」と主張した。これについて山川は「不適切な会計処理」だったことを認めている。しかし、朝木は次のように主張した。

朝木 「不適切」じゃなくて「不正」っていうんですよ、そういうのは。で、結果的に、結果的にね、その領収書を、別の領収書を、支出していない領収書を貼ったことによって、その分のお金は浮いたわけでしょ。で、その浮いたお金をずっと持ってたわけじゃないですか。言われるまで持ってたわけでしょ。こういうのを着服っていうんですよ、社会では。

「別のサークルの領収書」を正規の領収書として貼ったとしても、それは正規の領収書の代替なのだから「お金が浮く」ということにはならない。朝木は山川が「その浮いたお金をずっと持ってた」と主張するが、朝木はその証拠を提示できるのだろうか。

議会では提示する必要がなくても、法廷ではその証拠の提出を求められることになろう。当然、提出できない場合には、朝木は相応の責任を取らねばならない。

 その他、朝木は「二重計上のうち、レシートと領収書両方もらって、全く別の経費として二重計上していた件、また幟旗を前年度の控えを用いて購入していない幟旗を購入した件、また飲食費のレシートを文房具セットとして計上した件」(朝木の発言)について質問したが、いずれも「着服の根拠」といえるような答弁を得ることはできなかった。「着服」と断定し、またそのような答弁をさせたいのなら、自らその根拠を示して質問すべきなのではあるまいか。

 ここまでの質問で、朝木が答弁書に記載した〈事実関係、証拠資料を確認・精査〉する目的を果たすことができなかったのは確かなように思われた。ただ、ここまでの質問は平成28年に行った質問の蒸し返しのようなものであり、朝木とすれば、この日の市側の答弁もある程度は想定していたのではあるまいか。また質問される側としても、事前に質問通告がなされていたこともあって、それほど答弁に困るようなものではなかったようにみえた。

 しかし、この日の朝木の本当の目的はこれから行う質問にあったようにみえる。山川から提訴された裁判に直接関わる内容であるのみならず、健康福祉部を少なからず動揺させるものだったのである。

「裁判の証拠」を問題視

 その質問は一般質問通告書には一言も記載されていなかった。朝木はあえて、この質問をいきなりぶつけることで自分たちに有利な答弁を引き出そうとしたものとみえた。朝木は1枚のファックスを示してこう聞いた。

朝木  では伺います。部長、私も大変驚きましたけれども、このファックスのことはご存知ですか? ここにあるのは平成、昨年の12月7日付で東村山市保健福祉部から元会計担当者へ送信されたファックスの写しです。送信元、東村山市保健福祉部、送信者は担当係長、時間は勤務時間である16時21分。件名「領収書の写しの送付」、送付書には、「平素大変お世話になっております。さて、平成25年度日帰り研修入浴料の領収書が貼ってあったと想定される部分の写しを送付いたします。白紙の部分は提出された状況から白紙でした。こちらでは加工しておりません」。こういうコメント付きで、2枚目、2枚目は領収書の写しのコピー、これは誰の決裁でこういうことをしたんですか? 冗談じゃないですよ。

 少なくともこの発言からは、健康福祉部から山川に対してこのファックスが送られたことに朝木がたいそう怒っていることが伝わってくる。そのファックスを朝木がなぜ持っているのかというと、山川が提訴の際に「横領はしていない」ことを証明する証拠として提出していたからである。

 朝木は平成28年12月議会における一般質問で、施設側から入手した「入浴止め」と書かれた記録のコピーを掲げ、「この日に、施設の風呂は工事中で入浴することは不可能だった。山川は入浴した事実がないにもかかわらず1万円を計上して、着服した。もちろん領収書もない」と、この件を山川が「多摩湖寿会の金を横領したこと」の根拠の1つとして主張していた。朝木の質問に驚いた山川は「入浴の事実はあり、領収書ももらったはず」として、事実を確認するために、健康福祉部に対して領収書綴りの領収書が貼ってあったと思われるページをファックスで送ってくれるよう要請したのだった。

その領収書綴りは、再調査を求めていた寿会会長が東村山市に提出していたものである(コピーだが)。入浴料の領収書が「貼ってあった」と山川が主張する箇所には「№44」の数字があり、「貼ってあった領収書がなくなった」ようにみえる空白(スペース)があった。しかも、市の担当者は「こちらでは加工しておりません」と記載していた。

山川は訴状で、領収書綴りのこのページは確かに「入浴料の領収書が貼ってあった証拠」であり、加工したのが何者かはわからないが、多摩湖寿会会長の清水は会計帳簿類を原状のまま保管する義務を怠ったと主張していた。朝木にとっては不利な証拠であることは確かだった。

朝木は一般質問の最初の方で、「入浴料は補助対象外経費で、市が関知するものではない」とする答弁を引き出していた。朝木とすれば、言質を取ったつもりなのだろう。すると、朝木の理屈の中では、担当者が「入浴料」に関する資料を山川に送った行為は私的な行為となり、違法だといいたかったのだろう。

「勤務時間内に送った」といっているのも、「勤務時間内であるにもかかわらず私的なファックスを市の予算で送信した」違法な行為であるとする含みのようだった。その上で、朝木は「これは誰の決済なのか」と詰め寄ったのである。

この件については質問通告書には一言も記載されておらず、担当者が山川にファックスを送っていたこと自体を健康福祉部長は初耳だったようにみえた。健康福祉部長がすぐには答弁できそうになかったため、議長は休憩を告げた。

傍聴席には多摩湖寿会会長の清水澄江をはじめ、清水の主張に疑いを抱いていないとみえる多くの高齢者が訪れていた。くわしい事情がわからない市民には、朝木に追及された所管が、あたかも誠実な仕事をしなかったために答弁に窮し、立ち往生している状況のようにみえていたのかもしれなかった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第27回
自信満々の反論

 多摩湖寿会会長が東村山市に対して再調査のために提出した会計帳簿類の一部である領収書綴りの1ページが担当者から山川にファックスで送付されたことを、朝木は山川が裁判所に証拠として提出したことによって知り、担当者はいかなる正当な理由があってこの文書を山川に送ったのかを質した。健康福祉部長はその事情を知らなかったため、担当者に確認を求めたようだった。

 かなりの時間が経過したのち、ようやく議会は再開となった。担当者に事情を確認した健康福祉部長は次のように答弁した。

健康福祉部長  元会計の方から平成25年度の日帰り研修入浴料の領収書について、当方に提出された領収書、帳簿類の内容を確認したいとの申し出があって、当方としては、返還金についての説明会に出席していただきたいとの思いがあったことから、ファックスにて送付したものでございます。

 本会議場で「入浴した事実がないにもかかわらず1万円を支出したことにして着服した」といわれた本人が、帳簿類を確認したいと担当者に申し出たこと、担当者がそれに応じたことに何の問題があると朝木はいうのだろうか。そもそも、「入浴した事実がないにもかかわらず1万円を支出したことにして着服した」と議場で発言したのは朝木であり、朝木がそのような主張をしなければ、山川が帳簿類の確認を要請することもなかったのである。

 しかし朝木は、健康福祉部長の答弁に対してかなり自信たっぷりにこう反論したのである。

朝木  この領収書の綴りについてですが、おそらくこの元会計かその関係者だと思われますけれども、先日、情報公開請求がありました。それに対して多摩湖寿会の会計帳簿関連文書は非公開の決定がされてます、市の方で。非公開文書です、これは。で、こういう非公開文書の写しがなぜファックスで元会計担当者に送付されているのか。

 また送付書での「領収書が貼ってあったと想定される」というコメントについて、これは初めから領収書が貼付されていなかったことを契機にしてこの問題が発覚したわけであるのに、なぜ貼ってあったと想定したのか、そして「こちらでは加工しておりません」というコメントはどういう意味なのか。

 入浴料は補助金事業対象外、ヒアリングの対象外であるということでありますから、このやり取りは完全なわたくし的、私的やり取りであり、職務外であるのは明らかでありますが、この係長は勤務時間中に役所のファックスを使って元会計担当者にアングラでこのような非公開文書を漏洩していたわけです。で、この元会計担当者とどのようなやり取りをしていたのかご説明いただきたい。またこの領収書綴りの写しにある複数の印影もマスキングすることもなくそのままファックスされています。市で非公開とされているこの文書が漏洩してることについて、当市情報公開条例、個人情報保護条例、公務員法、それぞれに照らして納得の行く説明を求めます。非公開文書です、これ。

 担当者が山川に対してファックスを送付した行為そのものに関して、上記の発言には2つの論点がある。1つは「情報公開請求」という手続きの中で「非公開」となった文書であること。2つ目は、ヒアリングの対象外だったこと、つまり公的正確を持つものではないということ――である。

 このうち、まず2つ目の論拠について、朝木は「入浴料は補助対象外経費だから、多摩湖寿会の私的経費」であり、したがって入浴料に関する資料を送付した行為もまた私的行為であると主張している。しかしそうだろうか。「入浴料」が私的経費であるというのなら、そもそも市議会の一般質問で取り上げる必要もなかろう。仮に「入浴料」の問題を一般質問で取り上げることに正当性があったとしても、市議会本会議場で発言された問題はすでに私的な問題ではなくなっている。すると、担当者が山川に関連箇所をファックスで送信した行為が私的行為であるとはいえないことになろう。「(担当者が)アングラでこのような非公開文書を漏洩」したというのも、担当者に対して非常に失礼な発言というほかない。

不十分なものとなった答弁

 しかし市側としては、ここで朝木が主張している「情報公開請求手続きで非公開となった文書」という点に関して、それでもなお担当者が山川にファックス送信した行為が正当な行為であることについて答弁したとはいえなかった。朝木はすかさず「全然答弁になってないじゃないですか」と不満を述べた。ここで議会は再び中断となった。総務部長は情報公開の担当部署に朝木のいう「非公開文書」であるとはどういうことなのか、事実確認をしたようだった。

しばらくして答弁に立った総務部長は、以下のような趣旨の答弁を行った。

「会計簿が非公開となったのは『裁判になっているから』という理由で多摩湖寿会側が非公開を求めたためであり、担当者が元会計にファックスをした時点ではまだ裁判にはなっていなかった。また、その内容は元会計自身が作成したものであり、伏せる必要性がなかった。『非公開文書』であるという点については、ファックス送信した領収書綴りの一部は非公開となった会計簿には含まれていない」

 この答弁は、担当者が山川に対して領収書綴りの一部をファックス送信したことの正当性および、情報公開請求で会計簿が「非公開情報」となったこととは無関係であることを十分に説明するものとは言い難かった。健康福祉部長も総務部長も、一般質問の最中に時間をもらっただけでは、事実経過とその意味合いを正しく把握するのは難しかったのだろう。

結果として、この答弁は、むしろ朝木を勢いづかせた。ここまでを見る限り、担当者が領収書綴りの1ページを山川にファックス送信したことについて一般質問通告書に記載しなかった朝木の狙いが功を奏した――という流れであるように思えた。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第28回
的を射た反論

「担当者が元会計にファックスをした時点ではまだ裁判にはなっていなかった」、「ファックス送信した領収書綴りの一部は非公開となった会計簿には含まれていない」とする総務部長の答弁に対し、朝木はすぐにこう反論した。

朝木  ……会計帳簿と領収書は別物だといいますけれども、領収書の綴りというのは、……会計帳簿の添付書類です。会計帳簿に添えて出すものですから、会計帳簿がダメだったら、添付書類だって一緒、同一のものだっていう扱いをするのは当たり前じゃないですか。

 それから、……その時点で照会したら、そのときの事情はわかってないですよ、照会してないんだから。それはあなたの勝手な解釈であって、行政側の。それはまったく答弁というか、合理的な理由にならないと思います。再度説明を願います。

 朝木は「領収書の綴りは会計帳簿と一体のものである」、「担当者はファックス送信してもいいかどうか所有者である多摩湖寿会に確認を取っていない」と主張しているようだった。このうち「領収書の綴りは会計帳簿と一体」とする主張は、この一般質問の中で唯一、正当と評価できるもののように思われた。総務部長としても、この主張に関しては認めざるを得なかった。

 さらに朝木は座ったまま「なんで情報公開通してないんですか」と抗議し、こう発言を続けた。

朝木  (領収書綴りは元)会計のものじゃないでしょう。寿会のものでしょ、これは。勝手な判断で出していいわけないじゃないですか。寿会の持ち物ですからね、これは。

 もちろんこれは、東村山市議会規則で定められた正式の「質疑」ではない。不規則発言である。このところ体調が思わしくないせいか、朝木の隣でおとなしくやりとりを聞いていた矢野も朝木の不規則発言につられて、こんな当たり前のことを口にした。

矢野  山川の個人の文書じゃないだろ。

 一連のやりとりになんら影響を与えるものではないが、矢野も参加したかったというところだろうか。矢野も一応被告であることに違いはない。

理解しがたい主張

 もちろん担当者が山川にファックス送信した領収書綴りは山川のものではない。しかしこの領収書綴りは、多摩湖寿会の清水会長と朝木が再調査を要求し、そのために清水が、コピーではあるものの、自ら再調査のための資料として市に提出していたものである。

 市はこの資料に基づき山川に対するヒアリングを行うなどの再調査を行ったが、その際に「入浴料1万円の領収書がない」という話は出てこなかった。朝木が議会で「入浴しておらず、領収書もないにもかかわらず、1万円を支出したとして着服した」などと発言した結果、確認する必要が生じたのである。

「入浴しておらず、領収書もないにもかかわらず、1万円を支出したとして着服した」といわれれば、「着服した」といわれた本人が反論の必要があると考えるのは当然のことだろう。間違いなく「入浴料の領収書」を貼付したはずの領収書綴りを、貼付した本人が確認しようとすることに何の問題があるのだろうか。よく理解できない主張というほかなかった。

傍聴席から抗議した寿会会長

 朝木、矢野の不規則発言が続き、議場内には市側の答弁に対する不満が当然と思わせるような空気が広がっていたように思う。するとその雰囲気に乗せられたのか、今度は、傍聴席の多摩湖寿会会長の清水澄江が突然こう発言したのである。

清水  領収書を提出いたしました。思いもよりませんでした。あくまでも、会計監査のために、会計監査で出した書類ですので、このようなことが行われるとは夢にも思っておりませんでした。

 どうみても、傍聴人の立場を逸脱した傍若無人の行為である。議長は顔をゆがめて発言を制止したが、議長が制止しなければ、清水はまだ不満を述べ立てていただろう。

 清水は「このようなことが行われるとは夢にも思っておりませんでした」という。「このようなこと」とはいうまでもなく、所管が山川に対して領収書綴りの問題とされるページをファックス送信し、それを「領収書が存在した」証拠として裁判所に提出されたことを意味するのだろう。

「着服した」「横領した」といわれている側が、その根拠であるという書類の送付を求め、身の潔白を主張するためにそれを裁判所に提出することに何の問題があるというのだろうか。しかも、そもそも再調査を要求したのは清水自身である。「着服」したというのなら、堂々とその根拠を相手方に提示すべきだろう。またそれが「着服」の証拠であるというのなら、清水は裁判所で堂々とそう主張すればいいだけの話なのではあるまいか。

 ただ、議場の状況は朝木の質問に市側が一方的にやり込められた形だった。質問通告にもなくいきなり行われた質問で、担当者がファックス送信した状況と「情報公開で非公開となった情報である」という、健康福祉部と総務部という2つの所管にまたがる状況をどう整理すべきか、市側も短時間で結論を出すことはできなかった。再び議会は中断し、議会運営協議会を開いて対応を協議することとなった。

 再開を待つ間、寿会会長の清水は傍聴席のあちこちを巡り、訪れた高齢者たちに「山川がどのような方法で寿会の金を着服したか」を説明して回っていた。そのせいもあってか、傍聴席ではやはり「山川が着服したというのは事実であり、市が朝木の質問に答えられないのは市側にやましいところがあるからだ」とする趣旨の感想が飛び交っていた。

それは、正しい事実認識だったのだろうか。しかし、人の口に戸は立てられないのは恐ろしい事実だった。

 議運で協議した結果、朝木の質問に対する答弁はいったん保留とし、3月議会の最終日に行われることとなった。

(つづく)
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多摩湖寿会事件 第29回
「入浴料」は公的問題化

 山川が東村山市議の朝木直子と多摩湖寿会会長清水澄江を提訴した際、証拠の1つとして提出した領収書綴りのファックス(山川が「入浴料1万円の領収書を貼ってあった」と主張しているページ)をめぐり、朝木はその書類が情報公開請求手続きの中で非公開とされた文書であるとして、市の担当者がその文書を所有者である清水の了解を得ることなく山川にファックス送信したことは重大な問題であると主張し、市側は事実経過及び担当者の行為に問題があったかなかったかについて日を改めて答弁することになった。通常、一般質問は1人当たりおおむね1時間程度で答弁まですべて終わることを考えると、別の日に答弁を持ち越すというのは異例の出来事である。

 さて事実経過を確認しておくと、朝木が「山川は入浴の事実がないにもかかわらず1万円を支出したとして着服した」とする一般質問通告書を提出したのは平成28年11月22日で、一般質問を行ったのは平成28年11月30日である。この時点までに朝木は、寿会の会計問題について東村山市に対してさまざまに疑義を唱え、答弁を求めていた。

 清水と朝木が多摩湖寿会の会計に対する再調査を要求したことに基づいて市が山川らに対するヒアリングを行ったのは平成28年10月31日と同年11月8日だが、ヒアリングの中では「入浴料」の件はなんら聴かれていない。しかし、ヒアリング終了後に朝木が新たな「問題点」を指摘したことで、市としても新たな調査、確認事項が生じていたという状況であることは明らかである。

そもそも市は、「入浴料」については補助対象外であると認識していたため、ヒアリングにおける聴取対象ではないと判断していた。しかし、朝木が議会で取り上げたため、本来は多摩湖寿会内部の問題であるはずの「入浴料」の問題は、多摩湖寿会の内部問題ではすまなくなったといえるのではあるまいか。

朝木の主張を「裏付ける」証拠

朝木の一般質問に驚いた山川が「領収書は領収書綴りに貼ってあるはずだ」として確認のために領収書綴りの当該ページをファックスで送ってくれるよう東村山市健康福祉部の担当者(係長)に依頼し、担当者が山川にファックスを送信したのは平成28年12月7日である。

「架空の入浴料を計上して1万円を着服した」と断定された山川が、自分が作成した領収書綴りの確認を市に求めたとしてもそれは当然で、市としては朝木の質問によって新たな調査項目が追加されたわけだから、山川の要求に応じて事実確認をしてもらおうと考えたのも自然な対応である。朝木は依然として「山川は横領した」と主張しているのだから、担当者の行為は朝木と清水が要求した調査の一環ということになる。

調査を要求していた朝木が、資料に基づいて事実確認しようとした担当者の行為をなぜこれほど責めるのか、むしろその方が不可解というべきではあるまいか。ただ一方的に「架空の入浴料を計上して1万円を着服した」と主張するだけで裏付けがなければ、その主張は客観的な事実とは認められない。担当者が領収書綴りの1ページを山川に提示し、事実を確認しようとしたことを、朝木はむしろ評価すべきだったのではあるまいか。

しかも、担当者が山川にファックス送信した領収書綴りには「入浴料」の領収書が貼付されておらず、その経緯は別にして、朝木の「入浴料の領収書はない」という主張を裏付けている。だったら別に、領収書綴りのそのページを送信したからといって目くじらを立てる必要はなかったのではなかろうか。

気に障った担当者の「証言」

朝木としては、ファックス送信されたそのページこそ、「入浴の事実がなかった証拠だ」と主張すればいいように思える。しかし山川は訴状で、「領収書のないそのページは、何者かによって剥ぎ取られたものだ」と主張している。そのページの状態は、領収書の「№44」という数字と、あたかも帳簿の「№44」(入浴料)に対応した領収書が剥がされた跡であると推測できるスペースがある。

山川の反論がなければ、「入浴料」の領収書が貼られていない領収書綴りは朝木の主張を裏付ける証拠となったかもしれない。しかし、そのページにある空白部分が、領収書が剥がされた跡であること、つまり当初は「入浴料」の領収書が貼られていたことを示すものであるということになれば、山川の主張を裏付けるものとなり、朝木の主張が誤りであることを裏付ける証拠となる。朝木は「領収書」が最初は貼られていた可能性を示しているそのページのスペースと「№44」という記載から、それが自分たちの主張を破綻させる可能性を持っていると直感したのだろうか。

さらに朝木の気に障ったのは、担当者がファックスを送信するに際して領収書綴りにあるスペースについて次のように記載していたことである。

「平成25年度の日帰り入浴料の領収書が貼ってあったと想定される部分の写しを送付いたします。白紙の部分は提出された状況から白紙でした。こちらでは加工しておりません」

 あたかも「加工」されたことを前提にしていると読めないことはない。「加工」されたとすれば、それは誰か。少なくとも担当者は「こちらでは加工しておりません」と証言している。

 この「入浴料」が計上された平成25年度の決算は社会福祉協議会の監査を受けており、その際には「入浴料の領収書がない」とは指摘されていない。したがって、「入浴料」の領収書は、その時点では存在したとみるのが自然である。

監査を終了した会計書類は5年間の保存義務がある。監査終了と同時に会計書類はそのままの状態で保存され、誰も手に取ることはなかったし、当時の会計を担当していた山川が「入浴料」の領収書を剥ぎ取る理由もない。山川は平成28年に役員を退任した際、「入浴料」の領収書を貼付した領収書綴りを多摩湖寿会の新会長、清水澄江にそのまま引き継いだのである。

会計書類を清水に引き継いだ時点で、監査の際に存在した「入浴料」の領収書は領収書綴りの中に間違いなく存在したはずである。ところが市の担当者がコピーを受け取った時点で、「入浴料」の領収書はなくなっていた。すると、「入浴料」の領収書が領収書綴りからなくなったのは、清水が会計書類を引き継いでから市の担当者に提出するまでの間ということになる。

「こちらでは加工しておりません」という担当者の証言は、上記のようなきわめて重要な事実関係を意味していた。そのことを朝木がいつ知ったのかは定かではない。しかし、領収書ナンバーだけが残り、空白となった領収書綴りの意味が、担当者の証言によってより鮮明になったと朝木は感じたのではあるまいか。

 担当者が山川からファックスを依頼された時点で寿会会長の了承を得るべきだったと朝木は主張している。しかし、朝木が疑義を提示し、山川が「そんなことはない」として確認を求めた結果、市には新たな調査の必要が生じたのであり、担当者が山川に領収書綴りをファックス送信した行為は同年10月から11月にかけて行った再調査の一環とみなすことができよう。寿会会長は再調査のために過去の帳簿類のコピーを市に提出しており、担当者はその一部をファックスで送信したにすぎない。したがって、「寿会会長の了承を得ていない」とする朝木の主張は筋が通らないとみるのが妥当というべきではあるまいか。

(つづく)
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