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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第23回
不可解な「置手紙」

保育士の退職に伴い、平成20年1月18日から3月22日までの期間においては、保育士が1名不足しているが、看護師が配置されており、保育士とみなすことができることから、職員の配置基準は満たされている。保育士の退職等に備え、必要な保育士有資格者を配置することにより、最低基準に示された職員配置を行なうこと。

 平成20年9月10日、東京都指導監査室はりんごっこ保育園(認可保育園)とりんごっこ第1保育園(東京都認証保育所)に対する立ち入り検査を行なった。検査は「運営管理」56項目、「保育内容」46項目、「会計経理」75項目について行なわれるが、冒頭に記した一文は、検査終了後に東京都がりんごっこ保育園に置いていった、その日の時点での「運営管理」に関する指摘事項のうちの1つである。

 9月13日、りんごっこ保育園設置者の高野博子と同居・内縁関係にあるりんごっこ保育園の運営委員で市会議員の矢野はインターネット「東村山市民新聞」で次のような記事を掲載した。

〈都の定期監査で「りんごっこ保育園は、児童福祉施設最低基準の上で特に問題なし」との結論を講評、文書を交付して終了。(9月10日)〉

 矢野のいう「児童福祉施設最低基準の上で特に問題なし」とは、都が置いていった文書中の「職員の配置基準は満たされている」との文言に基づくものであるらしい。

職員大量退職以後の事実経過

 りんごっこ保育園では平成20年1月31日付で3名の保育士と1人の栄養士が退職した。東村山市保健福祉部は、1月31日の時点でりんごっこ保育園の保育士は7名となり、最低基準を3名下回る状態になったと認定した。この経緯に関してはりんごっこ保育園問題とは何か」第1回第2回で詳述したが、あらためて時系列の経過を確認しておこう。

平成20年1月31日  りんごっこ保育園で3名の保育士と1名の栄養士が退職。
2月8日  東村山市保健福祉部の問い合わせに対し、高野は「職員の構成」と題する職員名簿を提出。しかし、その名簿に記載された保育士のうち1名は育休中であり、その保育士を含めて3名の保育士が不足していることが判明。
2月13日  東村山市保健福祉部は同保育園を訪問して保育士が不足している事実を確認。
2月18日  東村山市保健福祉部は東京都と協議の上、認可基準を下回った職員数を速やかに補充するよう文書による改善指導(「りんごっこ保育園職員等の改善について(通知)」)を行う。指導内容は、①改善計画書の提出②職員名簿(職名、氏名、勤務時間、採用年月日、常勤、非常勤、資格の有無、担当クラスを明記)の提出を①については「速やかに」、②については「改善後直ちに」というもの。
2月20日  高野博子から東村山市保健福祉部に対し、「2月1日付で2名の保育士を採用したこと」「2月18日に行った改善指導については適法なものではなく返上する」旨の「事務連絡(常勤職員等について)」と題する文書がファックスで届く(なお、文書の日付は2月18日付)。同文書には新採用の保育士名が記されていたが、2月8日提出の「職員の構成」には2名の名前は存在しない。
3月5日  高野博子から東村山市保健福祉部に対し、「2月18日に行った改善指導については適法なものではなく返上する」などとする内容の「2月18日付貴殿名義の文書について」(3月5日付)と題する書面が届く。
4月1日  新年度より、東村山市は全認可保育園に対し毎月の職員名簿を提出することを要請。
5月1日  東村山市保健福祉部は高野博子に対し、2月18日付通知に対する回答(改善計画書の提出等)を早急に提出するよう求める内容の「改善計画書等の提出について(通知)」(5月1日付)と題する文書を送付。なお、東村山市はその提出期限を「5月16日」とした。
5月19日  高野博子、東村山市保健福祉部に対し「職員名簿(5月1日現在)」を提出。2月8日に提出した「職員の構成」には存在していない保育士2名が含まれている(採用年月日は当然2月8日以前)。
6月6日  高野博子、東村山市保健福祉部に対し「職員名簿(4月1日現在)」と「職員名簿(6月1日現在)」を提出。2月8日に提出した「職員の構成」には存在していない保育士2名が含まれている(採用年月日は当然2月8日以前)。

東村山市(東京都子育て支援課)の認識と著しい齟齬

 東村山市保健福祉部が5月1日付通知を送付して以後、高野からは同通知に対するなんらの回答もそれらしきものも送付されていない。平成20年6月議会において佐藤真和市議がこの点をただしたのに対して保健福祉部長は「保育士の件でございますけれども、現在、りんごっこ保育園より、改善後提出書類の提出はございませんが、保育士有資格者は確保されており、改善されております」「改善の報告書が出ていない状況でございますので、再度、こちらのほうとしても、書類の提出をお願いしていきたいと思います。実際には、保育士がもうその時点からすぐに改善されているわけでありますから、何ゆえに出さないのか、ちょっと私も非常に疑問には思っておりますが、ぜひ出していただきたいと思っております」(6月12日)と答弁している。ただし、東村山市保健福祉部はこの時点で、りんごっこ保育園に対するなんらかの実態調査を行ったわけではなく、「有資格者は改善されている」というのはあくまで書類上の話で、それもこの答弁の1週間前にようやく提出された4月の職員名簿によって、あくまで書類上、「4月以降は改善されている」といっているにすぎない。また「その時点(2月1日の時点)からすぐに改善されている」というのも、あくまで高野が東村山市保健福祉部の「通知」を無視して一方的に提出した書類上の話なのである。

 なぜなら、東村山市保健福祉部は5月1日の時点で「5月16日までに改善報告をするよう」求めているのであり、それに対する回答はないのだから、仮に4月以降、職員配置が改善されていたとしても、2月時点での職員状況について保健福祉部長が「改善されていた」と判断する根拠がないことは明らかである。この保健福祉部長答弁以後も、高野博子から「通知」に対するなんらの回答もない。つまり現在もなお、少なくとも平成20年2月から3月末日までの間、りんごっこ保育園の職員配置状況が国最低基準を満たしていたかどうか、東村山市保健福祉部も東京都もなんら確認していないのである。

 この点について高野博子は「看護師1名は保育士1名とみなされる」と主張し、矢野穂積もしきりに議会で保健福祉部を追及してきた。しかし、看護師1名が保育士1名とみなされるとしても、依然残る2名が確保されていたかどうかについてはなんら確認されておらず、りんごっこ保育園が国最低基準を下回っていたのではないかという疑念はいっこうに晴れてはいないし、なぜか不思議なことに矢野は残る2名の実態についていっさい触れない。4月以降はともかく、2月1日以降3月末日までの職員配置状況の実態はどうだったのか。少なくとも現在もなお、東村山市保健福祉部の認識が「りんごっこ保育園が2月1日以降、国基準を3名下回った状態となり、看護師1名を保育士1名とみなしたとしてもやはり2名下回っていた」というものであることになんら変わりはない。

 そんな状況の中で突如出てきたのが冒頭の、東京都指導監査室の「指摘」だった。これはどうみても不可解を通り越して、明らかに東村山市と東京都子育て支援課の認識に反するものである。いったい指導監査室は、実施主体である東村山市も認可権限者である東京都子育て支援課も知らない間にいつ、どんな実態調査を行ったのだろうか。

 ちなみに、矢野は冒頭の「指摘」内容についてあたかも公文書が交付されたかのように書いているが、指導検査終了後、指導監査室がその日の時点での結果を残していくのは通例であり、通称「置手紙」と呼ばれているという。指導監査室は後日正式な(最終的な)「施設指導検査指摘事項」を作成するが、その日の時点での状況を記したこの「置手紙」はそのための資料としての性質を持つにすぎず、公文書ではあるがあくまで正式な「施設指導検査指摘事項」ではない(東京都はこの「置手紙」について「正式な文書ではない」という理由で情報開示を拒否した前例もある)。したがって矢野がいうように、正式の文書でないものを「結論を講評」したものなどといえる道理はないことになる。


(第24回へつづく)
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