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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第24回
現時点での回答を拒否した指導監査室

 平成20年2月1日の時点で「3名の保育士が不足していた」(看護師1名を保育士とみなしたとしても2名不足)とする東村山市と東京都子育て支援課の認識に対して、正式の文書ではないとしても東京都指導監査室が「1名不足していた」としているのはなぜなのか。10月2日、私は東京都子育て支援課と指導監査室に聞いた。

子育て支援課の認識



――9月10日に行った指導検査で、2月1日以来の保育士の不足数について指導監査室は「1名」だったと記載している。不足数は「3名」だったはずだが、どういうことなのか。

課長  指導監査室がどんな記録を残していったかについては承知していない。

――私は指導監査が残していった文書を確認して電話している。では、子育て支援課の認識はどうなのか。東村山市は東京都と協議の上で2度改善指導を行っている。

課長  2月1日以降、東村山市が「3名」不足していると認識していたことは承知している。

――東京都子育て支援課の認識も「3名」不足だということと理解してよいか。

課長  東村山市が改善指導したことは承知しているが、「3名不足」の事実は確認できていない。

――指導監査室が「1名」不足しているとしている点は、東村山市の認識とは齟齬があるが、指導監査室は子育て支援課と情報を共有していないのか。

課長  指導検査は指導監査室が行うもので、指導検査について子育て支援課はいっさい関知していない。指導監査室が書いたことについて子育て支援課としては何も答えられない。



 優等生の回答である。保育士の不足数について課長の回答が若干他人事のように聞こえるのは、この課長は今年4月に就任したばかりで2月当時はまだ前任課長の時期だったということもあるのかもしれない(ちなみに前任課長は、「食中毒騒動退園事件」で保護者が退園に追い込まれた際、事実関係を承知していながら見て見ぬフリを決め込んだ人である)。ただ、この課長も東村山市が東京都と協議の上で改善指導を行ったこと自体を知らないわけではなく、5月に再度改善指導を行った際にはすでに課長の地位にあったのだから、今回の指導監査室の記載についてまだ事実確認をしていないとはいえ、「3名」と「1名」の齟齬についてなんらかの感想ぐらいはあっていいのではあるまいか。

「3名不足の事実は確認できていない」ということもあるのかもしれない。しかし、このことは「最低基準を満たしていた」かどうかも確認できていないということなのである。認可権限を持つ東京都は、自ら認可した保育園が国最低基準を満たしているかどうか確認する責任がある。東村山市は高野が名簿等を提出したことによっても信用できないから改善指導を行ったのであり、書類上で事実確認ができないなら確認に出向くべきだし、それをやるのは東京都と東村山市の責任である。 

 この課長は保育士が国最低基準を下回っている恐れがあるという事態をどう考えているのだろうか。保育士が足りないということはただちに子供の安全が脅かされる(可能性が高まる)ということであり、だからこそ保育士が充足しているかどうか確認しなければならないのである。2月以降、保育士が不足している可能性があるにもかかわらず「確認できていない」とは、東京都が必要な確認を怠ったからにほかならず、課長自身の口からこのような発言が出ること自体、無責任きわまるものといわれても仕方あるまい。

指導監査室の奇妙な対応

「置手紙」の記載内容について子育て支援課長が「いっさい関知していないから答えようがない」という以上、それ以上課長と話してもらちが明かない。そこで私は指導監査室に電話し、りんごっこ保育園の指導検査に出向いた担当者に記載内容について聞いた。



――9月10日、りんごっこ保育園に対して行った指導検査のことでおうかがいしたい。

担当者  指導検査の内容についてはいっさい答えられない。

――私の手元に当日の指導検査結果をメモした書類がある。当日の状況についてはこの書類でおおよそはわかるのだから、その記載内容について聞きたい。

担当者  ああ、「置手紙」のことですか。しかし、指導検査の内容についてはお答えできない。

――すでに手元に当日のメモがあり、私はその内容について聞きたいといっている。東京都が作成した公文書の内容について具体的な質問に答えられないとはどういうことか。



 担当者はしばし沈黙し、上司の指示を仰いだようだ。数分後、電話口に戻った担当者は「どんな質問でしょうか」というので、私は「置手紙」の記載内容を読み上げて聞いた。



――りんごっこ保育園の保育士不足の問題は今年2月以降表面化していて、東村山市も東京都もその時点で「3名不足」の状態にあると認識していた。今、子育て支援課長に確認したところ、「3名不足」と認識しているといっている。それが指導監査室ではなぜ「1名不足」となっているのか。この明らかな齟齬について東村山市は「遺憾だ」といっている。いったい東京都は関連部署と情報を共有していないのか。

担当者 「置手紙」は正式な文書ではなく、最終的な指導検査結果が出るまでは何もお答えできない。

――今年2月の時点で何名不足していたかについては半年も前から問題となっていたもので、今回の指導検査とは直接関係がない。だから指導検査結果とは関係なく答えられるのではないか。なぜ指導監査室では「3名ではなく1名」なのか、来週でもいいからお答えいただきたい。



 担当者は再び沈黙してしまった。公務に関わる文書ならメモさえも情報公開の対象になる時代に「まだ正式文書の段階ではないから答えられない」とは妙である。しかし、電話の向こうで黙られては聞きようもない。私は仕方なく、「では、指導検査結果が出た段階でいいので、『1名』不足だったという明確な根拠をご説明願いたい」といって電話を切った。ちなみに担当者によれば、「指導検査の結果はいつ出るかわからない」とのことである。

 正式な指導検査結果ではないとはいえ、「置手紙」として残していった文書に改善指導の対象となったとみえる事実について実施機関の認識とは異なる数字が記載されていたことの意味は小さくない。りんごっこ保育園が国最低基準を満たしていたかどうかに関わる内容であり、その不足人数について指導監査室が言及したということは、少なくとも指導監査室がこの問題を無視できないと考えていたということでもあろう。

指導監査室の根拠

 いったい、指導監査室は何を根拠に東村山市や東京都子育て支援課の認識とは異なる数字を持ち出したのか。東村山市保健福祉部や東京都子育て支援課といっさい連携することなく、独自の調査を行ったのか。だとすれば、指導監査室は東村山市が東京都と協議の上で改善指導した事実を知っているのだから、結果が判明した時点で調査結果を報告すべきだし、高野博子は看護師を保育士とみなすかどうかなどではなく、「不足していたのは『1名』だったこと」を東村山市に回答すべきだろう。不足していたのは「3名」ではなく「1名」だったと判明した時点で指導監査室はなぜ東村山市に事実を伝えなかったのか。あるいは指導検査担当者の単純なミスだとすれば、これはあってはならないミスである。いずれも通常は考えられない話というほかない。

 もう1つ、「3名の不足」が「1名の不足」となった理由が考えられないこともない。現時点で明らかなのは、2月以来の保育士数が国最低基準を下回っていた問題は、指導監査室が「不足分は1名だった」としたことによって「りんごっこ保育園にはなんらの瑕疵もなかった」こととなり、半年以上も懸案となっていた問題が一気に落着するということを意味する。考えたくはないが、東村山市の反応と東京都子育て支援課の回答の範囲で「3名」が急に「1名」になった理由を考えていくと、指導監査室は問題の決着をはかるために「3名」を「1名」にしたというのもあり得ないことではないように思える。「1名」不足だったのなら、看護師1名を保育士とみなすことによって、りんごっこ保育園が国最低基準を下回った事実はなかったことになるのである。

 一時的にせよ、東京都が認可した保育園で保育士数が国最低基準を下回っていたとすれば、この問題が解決しないまま推移すれば、今度は指導監査室の対応が問われることになる。しかし、りんごっこ保育園が最初から保育士は不足していなかったということになれば、東村山市保健福祉部が2月、5月と2度にわたって文書による改善指導を行ったにもかかわらず回答の姿勢さえみせない高野博子の対応についても、指導監査室は取り立てて問題視する必要もなくなるし、指導監査室が不作為を批判される前提も消えてなくなるのである。東村山市と東京都子育て支援課の見解を聞いた範囲では、その可能性も100%ないとはいえないのではないか。

 万が一、監査指導室が問題の収束を目的に「3名」を「1名」にしていたとすれば、これは2月1日以降、不安にさらされてきた園児および保護者に対する重大な裏切り行為となる。2月1日以降すでに、東村山市保健福祉部および東京都子育て支援課に複数の当事者が園内の異常な状況を直接伝えているし、東村山市長も直接園児の保護者に会って話を聞き、市長自ら子育て支援課に出向いている。そのことを監査指導室は知らなかったというのだろうか。いずれにしても、仮にこの検査が問題の収束を意図したものだったとすれば、ずさんを通り越して東京都民に対する違背行為であり、この指導検査自体が行政監査の対象となろう。当然、指導検査は厳正なかたちでやり直すべきである。

 高野博子が2月8日と同20日に東村山市保健福祉部に提出した文書とはまったく整合性がないものの、「置手紙」にはこれまでいっさい話題にのぼらなかった「1月18日から3月22日まで」という具体的な期間も示されている。したがって、指導監査室には「1名が足りなかった」とするよほど確かな裏付けがあるらしい。

 保育士が充足していたかどうかの問題はりんごっこ保育園で園児の安全が確保されていたかどうかの問題であり、指導監査室や子育て支援課のメンツの問題ではない。確かな裏付けがあるのなら、市民に対してその根拠を明らかにすることについてなんらの支障もあるまい。正式な指導検査書類が出た段階であらためて取材させていただこうと考えている。


(第25回へつづく)
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