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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第26回
市長の専決処分を承認しなかった東村山市議会

 行政に都合の悪い議決が予想された場合、議長が会議を流してしまうなどという議会運営がまかり通ったのでは、東村山では議会は必要ないことになってしまう。議長は市民に対してなんらかのけじめをつけなければならなかった。そこで議長は辞表を提出、議会の議決を求めるために臨時議会の招集を市長に要請した。

 臨時議会が開かれたのは、審議未了からちょうど1カ月後の平成16年10月30日。この日の議会では、議長の辞任と合わせて専決処分の報告も行われた。市長が専決処分を行った場合、議会の承認を得なければならないのである(否決されても専決処分の効力には影響を与えない)。

 臨時議会は議長選びに手間取り、午前10時開会予定が午後4時30分にずれ込んだ。冒頭、議長の辞任理由が示され、議会は議長の辞任を承認、合わせて公明党副議長も辞任を申し出て承認された。議長が正当な理由もなく会議を開かない場合、副議長は議長に代わって会議を開くことができる。地方自治法は議長の権限濫用を防止する方法を定めているのである。しかし9月30日の事実経過はどうみても、副議長は議長の独断を許し、審議未了を受け入れたとしか受け取れなかった。副議長がその責任を取ったのは当然だろう。

国最低基準がすべてという「保育理念」

 では、夜の7時15分に始まった専決処分に関する質疑と決議はどうなったか。質疑で注目されたのは、開園前に懸念されていた施設上の問題点(避難用滑り台の脇の隣地のフェンスを開閉できるようにすること)や、弁護士を介さなければ所管との話し合いに応じなかった設置者・高野博子の独善的な姿勢がどのように改善されたかについてである。

 結果からいえば、「賛成」を表明していた自民党でさえ指摘していた施設上の問題点はいっさい改善がなされておらず、設置者にはその意思もないらしいこと、高野は開園後に開かれた市内の私立保育園園長会にも出席していないなど、補助金を支弁されて市の保育事業を委託された事業者としてきわめて不誠実であることが改めて確認された。それどころか、高野と同居する矢野は疑義が提出されるたびに、

「どこにやらなきゃいけない根拠があるんだ」(フェンス問題)

「出席の義務があるとどこに書いてるんだ」(園長会)

 などと不規則発言を繰り返した。のちに運営委員となる矢野にとって、保育園は国最低基準という箇条書きの条文さえクリアしていれば、保育士が次々と退職し、園児や保護者がどれほど不安にさらされようと、そんなことはどうでもいいらしい。運営側が保育環境をどう作るかについて国最低基準には具体的な記載はないからである。

 なお、フェンスの問題に関して矢野と高野は、最近の裁判で「避難口」設置に代わる対策として「2基の脚立を活用した避難システム」なるものを考案したことを明らかにしている。要は、フェンスをまたぐかたちで脚立を2基設置し、脚立を昇り降りさせて園児を保育園側から駐車場側へ避難させるという、矢野によれば「画期的なシステム」である。一秒を争う不測の事態にあって、フェンスが開閉式になっているよりもこのシステムの方が、あるいは開閉式と同等に効率的な避難ができるとのことである。だったら議会で「どこにやらなきゃいけない根拠があるんだ」などと怒る必要もないと思うが、矢野にはまだその「画期的な」アイデアがなかったということなのだろう。

開園当初から保育士不足の疑い

 高野が9月7日に提出した認可申請書類の職員名簿に、すでに経営している東京都認証保育所の職員と新しい認可保育園の職員に重複があったことも判明した。もちろん職員の重複勤務は認められていない。東村山市はりんごっこ保育園の開園日である10月1日にその事実を確認し、10月27日に是正させたというが、是正までになぜそれほど時間がかかったのだろう。

 この件について東村山市保健福祉部は(保育士が足りなかったのではなく)「重複は書類上の単純ミスで、勤務実態に重複があったわけではない」としたが、時間がかかったことについては「係争中だったので」と意味不明の答弁をしたものだった。「書類上のミス」なら翌日には是正できようし、その事務作業と係争中であることとはなんらの関係もなかろう。指摘から「改善」までに26日も要したのはなぜなのか、きわめて不可解というほかない。

 その後、平成18年になってまたしても「書類上の単純ミス」(東村山市の説明)によって高野は民改費(民間施設給与等改善費)という補助金の申請にあたり、平成16年度の申請分について民改費の対象ではない非常勤の職員を常勤として申告(過請求)していたことが発覚、東村山市が法的手段を通告したことでやっと返還したという出来事もあった。

 東村山市はこれも「ミス」だというが、平成20年2月、保育士の大量退職後に提出した職員名簿のデタラメさをみても、こと職員に関わる高野の申告は開園当初からおしなべて信用できないものだということは否定しようがない。それでも東村山市保健福祉部がそれを「故意」ではなく「単純ミス」として庇い続けるのはなぜなのだろう。

矢野と朝木は採決直前に議場を退出

 いずれにしてもこうして、専決処分の承認をめぐる質疑の結果、高野が認可保育園の設置者としてどうみても適格性に欠けること、背後に特定議員(矢野穂積)が関与しているのは明らかなこと、施設、運営についても行政の指導や保育関係者の意見を受け入れるなどりんごっこ保育園にはとうてい期待できないことが改めて確認されたのである。採決の直前、矢野と朝木直子は「ちゃんとやれよ」「裁判所が見てるからな」などといいながら、議場を退出してしまった。まさか当事者だから、自ら率先して除斥にしたわけではなかろうが、彼らの行動を理解するのは常人には困難というほかなかった。採決の結果は自民党以外は全員「反対」、17対7(草の根は棄権)で市長の専決処分は不承認となった。議会は改めてりんごっこ保育園予算に対する否決の意思を明らかにしたことになる。

 9月30日、りんごっこ保育園に対する予算案を廃案に追い込んだ際、その理由について議長は「否決後の専決処分では議会の意思をないがしろにしたことになる」と述べた。しかし今回の不承認決議によって、時期は前後したものの、市長の専決処分が議会の意思をないがしろにするものであることが明らかになった。こうなることを議長は承知していたはずである。

 事後の不承認決議なら議会の意思をないがしろにしたことにはならないという理屈は通らない。市長が専決処分の意思を固めているかぎり、議長は議会の意思を無視する以外にはなかったのである。議長が市長の意思を知らなかったことはあり得ない。つまり9月30日、議長が会議を再開しなかったのは議会と市長との関係に配慮した結果ではなく、最初から市長の専決処分が目的だったということになる。


(第27回へつづく)
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テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

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