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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第27回
満面の笑みを浮かべた細渕市長

 議長の独断による審議未了と市長の専決処分、さらに専決処分に対する議会の不承認というかたちで、市長にとっては無事、りんごっこ保育園に対する予算執行が可能となった。こうしてりんごっこ保育園の予算をめぐる茶番劇の幕は降りたが、細渕市長が最も恐れていたらしい高野との裁判の行方はどうなったのか。

和解協議を欠席した高野博子

 平成16年7月12日に成立した和解合意書によれば、東京都が認可し、正常に開園した場合には、その日付で東京都と東村山市に対する提訴を取り下げることになっていた。その条件の限りでは、高野は10月1日をもって提訴を取り下げていなければならない。もちろん、東村山市も東京都もそう理解していたはずである。

 しかし、高野は10月1日の開園を過ぎても提訴を取り下げず、さらに開園から1カ月が過ぎた10月30日現在もなお、提訴を取り下げてはいなかった。東村山市は議会の意思を無視し、民主主義のルールを侵してまで予算を執行することで高野との合意内容を履行したはずである。この点についてだけは市側も自信を持って「まことに不誠実で遺憾だ」などと答弁したものだった。

 これに対して矢野は議場で、

「市が約束通りにやらないからだ。7月12日の段階で専決処分をやらなかったのが悪いんだ」

「このままだとどうなるか、わかってるんだろうな。敗訴して金を払いたかったのか」

 などと威圧的な不規則発言を繰り返した。矢野の発言内容はたんなる高野の支援や代弁を超えて、矢野がこの裁判に直接的に関与していることを示していた。

 それにしても、東村山市が合意内容を履行してもなお「約束を守っていない」とする矢野の発言の根拠は何なのか。10月末には1回目の補助金約700万円が高野に支払われている。定員の77名に対して実際の園児数は57名となったが、これは応募数が割れたためで市の責任ではない。定員割れした分については相当の補てんもなされている。常識的にみれば、高野が提訴を取り下げない理由はみつからなかった。

 専決処分採決に際して議場から出ていった際、矢野は「裁判所が見ているぞ」という捨てぜりふを残した。裁判所が認可を認めた以上、議会も予算を否決することはできないという趣旨のようだった。しかし矢野とて、東京都が認可し、東村山市が保育の実施を決定したからといって、議会が無条件に予算を承認する義務がないことは百も承知だろう。地方自治体の予算は原則としてすべて議会の承認(議決)を経なければならないのである。和解合意項目の中にも議会の議決は含まれていない。したがって、矢野のいうように和解合意が成立した段階で行政が独自に専決処分をすることなどできないのも当然なのである。

 和解に合意し、開園して1カ月が過ぎたにもかかわらず、高野が提訴を取り下げないばかりか、法廷にも出廷しない理由を理解するのは困難というほかなく、このこと自体、認可保育園設置者としての高野の不適格性を物語っていた。

不承認直後の大名行列

 専決処分の可否が問われた10月30日臨時議会は午後11時55分にようやく閉会となった。市長の専決処分に対して議会が承認しようと不承認だろうと、それが現実には何の影響力もないことを知らない者はいない。問題はこの不承認という結果を何人の議員が茶番と感じたかである。この結果は、一部の者たちの間ではすでに1カ月以上前から予定されていたのにちがいなかった。

 臨時議会終了後、細渕一男市長は助役を引き連れて大名行列よろしく自民党控室を訪ねてにこやかに挨拶を交わし、帰りしな保健福祉部長を見かけると、今度は満足げに左手を上げて労をねぎらった。その表情は、議長と副議長を辞任に追い込んだ上、つい今しがた自らの専決処分を否定された市長のものとは思えなかった。

 地方自治体の予算は町づくりや行政計画に対する首長の考え方や理念を反映するものであり、予算案が否決されるということは首長にとってその理念を否定されるに等しい。細渕市長にとって、今回の専決処分の否決は平成15年3月にりんごっこ予算が否決されて以来2度目のことである。予算を否決された市長が自ら辞職して民意を問うことはよくあるが、それほど予算が否決されることの意味は大きい。

 しかし、専決処分否決後の市長の表情を見ていると、東村山市の市長にとって世の中の常識は通用しないとしか思えなかった。どうやら東村山は、行政行為の責任を誰も取ろうとはしない町のようだった。責任の所在も覚悟もはっきりしない町に、行政の理念やなんらかの確固たるビジョンを求める方が間違いだったのかもしれない。そこにりんごっこ保育園が認可されるスキがあったのだと私は感じた。


(第28回へつづく)

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テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

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