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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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りんごっこ保育園問題とは何か(第2部)  第28回
裁判を取り下げなかった高野博子

 平成16年10月30日、市長の専決処分の可否を問う臨時議会が終わり、細渕市長にすれば否決されたとはいえ、りんごっこ保育園に対する予算に関する手続きはすべて終了したことになる。しかし、高野博子はいっこうに提訴を取り下げず、それどころか平成16年11月になって逆に弁論の再開を申し立てた。同居人の高野を陰でコントロールしている矢野としては、専決処分に対する議会の不承認がいたく気に入らなかったものとみえた。弁論の再開を申し立てた理由として高野(=矢野)は、

「(議会が承認していない状況では)平成17年度予算についても否決される可能性が高く、これでは保育園の継続的、安定的運営が保証されたとはいえず、開園の約束を履行したことにはならない」(要旨)

 としたのである。

 一方、東村山市と東京都は、合意事項を履行したとして請求の却下を申し立てた。保育園は単年契約であり、いったん認可開園したからといって、最初の委託契約が未来永劫保証されるところはどこにもない。高野の申立が理不尽なものであることは明らなように思えた。当時の東村山市政策室長は高野の申立についてこう述べている。

「市側は合意内容を履行したものと考えている。このまま高野氏が訴訟を取り下げなければ、今後、高野氏との関係を根底から考え直さなければならないと考えている」

「高野との関係を根底から考え直さなければならない」という政策室長の発言がどこまで本気であるのかはきわめて疑問であるものの、その時点での東村山市としては当然の反応というべきだろう。

予算決議に合わせて弁論期日を変更

 再開された最初の口頭弁論が開かれたのは平成17年2月24日。やはり高野は取り下げの意思を見せず、再び話し合いが持たれることになった。平成17年度予算の審議・議決が行われるのは3月25日に迫っていた。どうやら矢野は、一方で損害賠償の裁判を継続しながら、予算審議の動向を見ようとしているようだった。議会に対して予算を否決するなら裁判は取り下げないぞというあからさまな意思表示である。つまり、矢野は議会に対して頭を下げろと迫っているのだった。

 次回期日はいったん3月8日に決まったが、矢野はその日のうちに期日の変更を申し入れた。変更となった期日は予算決議の前日である3月24日。平成17年度予算は本会議での予算議決以前に予算委員会で審議され、だいたいの方向性ははっきりする。矢野は予算審議の模様をながめながら、取り下げか継続かの判断をしようとしているようだった。

 このように裁判を脅しや駆け引きに利用して議会に揺さぶりをかける矢野のやり方に対して議会はどう対応するのか。このままりんごっこ保育園の予算を通してしまうようでは未来永劫、議会は矢野の前にひれ伏してしまうことになりかねない。そのころ、りんごっこ保育園は表面上は特に大きな問題もなく運営されているように見えた。しかし、議会が市長の専決処分を承認しなかった当時と状況は何も変わっておらず、議会が当時の意思を変える要素は何一つなかった。

 万が一、議会が既成事実の積み重ねを容認して予算を通してしまうようなことがあれば逆に、あの不承認は何だったのかということになる。東村山市議会が市長の専決処分によって奪われた民主主義を再び取り戻すことができるのかどうか。議会としては、議員個々の認識と覚悟が再び問われていた。

着々と形成された既成事実

 一方、待機児解消という課題に対応しなければならない行政の立場からすれば、すでにりんごっこ保育園に園児が通っているという既成事実が重いものであるのもまた事実だった。いかに保育環境が市内の既存保育園よりも著しく劣るからといっても、当時はまだ目に見える問題が発覚していたわけでもなく、保育内容に関する保護者からのクレームが表面化していたわけでもない。行政の立場として、裁判所における高野の不誠実な対応と保育園の認可問題を同列に論じることはできない。

 議会にも行政の空気が伝わらないはずはなかった。現実に保育園の恩恵を受けている園児と保護者に罪はない。いかに異常な経過をたどって開園した保育園であるとはいえ、既成事実もまた現実的には実績なのだった。再び予算修正となれば、今度こそ市長辞任、議会解散という事態に発展することも十分に予測できた。

 予算修正の動きがなかったわけではない。しかし結果からいえば、予算修正に積極的な姿勢を見せていたのは公明党と希望の空(佐藤真和市議)にとどまり、予算特別委員会で修正動議を提出しても可決される見通しはなくなっていた。こうして平成17年3月17日、予算特別委員会においてりんごっこ予算はついに可決された。

 ただ討論においては、行政との話し合いを拒否し、いっこうに施設改善に着手しようとしないばかりか、開園したにもかかわらず提訴を取り下げない高野の姿勢については各党から批判が相次いだ。とりわけ、すでに市長の専決処分についても承認していた自民党からも厳しい討論が展開されたのは異様な光景だった。それもまた自民党の本心だったのだろう。

 市民からみて、それならなぜ予算を付けて開園させたのか、最後まで闘わなかったのかという疑問を解消することは難しいというほかなかった。しかしいずれにしても、これまで一度も議会の承認を得られていなかったりんごっこ保育園に対する予算は、ついに堂々と議会の理解(=市民の理解)を得たことになったのである。通常、予算特別委員会の決議が本会議で覆ることはない。すなわちこの時点で、りんごっこ保育園の予算は本会議を通過することが事実上確定したのだった。


(第29回へつづく)
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テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

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