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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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久米川東住宅管理費等不払い裁判一審判決(第4回)
                             ★第1回から読みたい人はこちら



矢野の主張はすべて排斥

 矢野がこの裁判で主張した内容は、

①管理費等の決議を行った平成15年臨時総会は不適法なものであり、決議は無効である。
②管理費を7000円とする理由はない。
③駐車場使用料収入を1組合員当たりに計算した額を管理費実額から控除し、月額1800円にすべきである。
④本件提訴の時点で管理組合の理事長は次期理事長候補選挙(8月5日)に落選しており、提訴は不適法である。
⑤本件訴えは理事会の決議を経ていないから不適法である。
⑥矢野は平成15年10月以降毎月1万3000円を法務局に供託しているから管理費の支払い義務はない。

――などである。では、これらの矢野の主張に対して東京地裁八王子支部はどう判断したのか。東京地裁の判断をみよう。

①②について 
 矢野は管理費等が決議された平成15年臨時総会の決議無効を主張し、また当時は区分所有者が確定してしなかったなどとして臨時総会の成立そのものの違法性を主張したが、これについて東京地裁はこう述べた。

〈被告矢野は、本件において臨時総会の決議が無効である旨の主張をするが、すでに前訴訟において臨時総会の決議に無効事由がないことが確定しているのであるから、臨時総会の管理費等の決議に基づく原告の管理費等の請求に対し、臨時総会の決議無効を主張して争うことは、前訴訟に抵触して許されないものである。〉

〈前訴訟で主張していなかった決議無効事由であっても、前訴訟で主張することができたのであるから、新たに本件で主張するのは、結局臨時総会の決議の効力の問題を蒸し返すものであって、信義則に反して許されない。〉

〈臨時総会において管理費を月額7000円とする決議が適法にされたことは、上記のとおりであるから、被告矢野の同主張は何ら理由がない。〉

③について
〈臨時総会では管理費とは別に駐車場運用規定等規則が可決されて駐車場使用料が定められたのであって、管理費と駐車場使用料は別であるから、管理費から駐車場使用料を控除すべき理由はない。〉

④⑤について
〈(矢野のいう当該理事長は)役員の任期中に行われた役員候補者を選出する選挙に落選したというにすぎないのである。そして、理事等の役員は、団地総会で選任されるところ、平成19年11月25日に開催された臨時団地総会において正式に新しい役員が選任され(た)。……(中略)…本件訴えが提起された同年9月21日時点では、同人は原告の理事であったのであるから、同人を原告の代表者理事とした本件訴えの提起は適法である。〉

〈平成19年7月7日原告の第Ⅳ期第12回理事会が開催され……(中略)……理事会は、本件訴訟提起について承認したこと、本件訴訟提起後の同年12月8日新たに選任された理事により原告の第Ⅴ期第4回理事会が開催され、新理事会として改めて本件訴訟提起について追認決議をしたこと、以上の事実が認められる。したがって、本件訴えの提起について理事会の決議があったとみられる。〉

⑥について
〈被告矢野が供託しているのは長期修繕積立金月額1万円を含めて月1万3000円であり、支払うべき管理費月額7000円に4000円も不足しているのであるから、同供託は無効である。〉

 矢野の主張と東京地裁の判断を比較してみれば、矢野の主張がほとんどいいがかりにすぎないものであることは明らかで、東京地裁が矢野の主張をすべて排斥したのは当然というべきだろう(他の2名も矢野の主張と同様)。こうして東京地裁八王子支部は平成20年9月24日、管理組合の主張を全面的に認容し、矢野と高野に対して76万円余、ほか他の2名の区分所有者に対しても未払い分の管理費等全額の支払いを命じる判決を言い渡した。

最悪の事態に追い込まれた住人

 なお、いったんは管理組合側の主張を認めて反論もしないと供述した被告Bについて東京地裁はこう述べている。

〈(被告Bは)第1回弁論準備手続(平成20年1月31日)において、原告の主張事実をすべて認めると述べたが、その後自白を撤回し、原告の主張を争い、被告矢野と同趣旨の主張をする。〉

〈被告Bは、その後自白を撤回する旨主張し、原告の主張について争うが、自白の撤回の要件について主張も立証もないので、自白の撤回は認められない。また、その主張内容は、被告矢野の主張内容とほとんど同一であり、仮に自白の撤回が許されるとしても、その主張が認められないのは、被告矢野の主張についての判断と同様である。〉

 当初、管理組合側の主張を認めていた被告Bがなぜ自白を撤回すると主張するに至ったのか。その理由は定かではない。しかし、のちに提出した準備書面の内容のみならず、裁判官が口頭弁論で被告Bの準備書面と矢野の準備書面が酷似していると指摘もしていることを考慮すれば、矢野が被告Bの準備書面を代筆した可能性も類推されよう。

 矢野にとってBが応訴に転じたことは、裁判官の心証はともかく、被告Aと合わせ被告3名の足並みがそろうことになり、主張もしやすくなるという利点があった。Bにしても、あえて自白を撤回して争う方針に転換したのは、矢野と同じ主張をすれば勝てると考えたものと理解できる。確かなのは、当初は話し合い解決の道も残されていた被告Bは判決によって、最悪の場合、住居が差し押さえられることも覚悟しなければならない状況に追い込まれてしまったということである。事態をようやく理解したのか、Bだけは控訴しなかった。

なおも非を認めない特異さ

 この判決によって平成15年に決議された管理費等の適法性が2度にわたり認められたことになる。普通なら非を認めて、すんなり支払いに応じるところだろう。しかし矢野と、延滞利息の支払いを拒否していたもう1名は控訴した。とりわけ矢野は、裁判所で敗訴したという事実だけはなんとしても受け入れがたいようだった。

 控訴後、決して自らの非を認めない矢野の特異性が現れた出来事があった。管理組合に対して2通の供託書が送られてきたというのである。そのうち1通は月額4000円×1年分の供託書。もう1通は、月額1万7000円×3年分の供託書である。矢野が供託していた1万3000円の最初の1年分については管理組合が受領したという事実があった。そのため正規の管理費等に満たない4000円を新たに供託したということ。つまり矢野は、管理費等が1万7000円であることについては東京地裁の判断に従ったということのようだった。

 すると矢野は、いったい何が不服で控訴したのか。そのあたりはまったく理解を超えるものというほかない。現実問題としても、法務局に供託するのなら管理を委託している公社に支払う方が手間が省けると思うが、矢野にとっては手間の問題ではないらしかった。

 管理組合としては手間暇をかけて供託金を受領しなければならない理由はないし、東京地裁の支払い命令は仮執行宣言付きで、すぐにでも不払い分を差し押さえることもできる。東京高裁でも支払い命令が出て、それでもなお矢野が素直に支払いに応じないようなら差し押さえという選択肢もあり得よう。同じ団地に住む住人同士でありながら、どうしても普通の人間同士の話し合いができない相手ということになればそれもやむを得まい。

 管理費等は住人すべてが公平に負担 実に毎年管理費として支出されている。他の住人との公平性の上からも、管理組合がいつまでも矢野の管理費等を不払いのまま放置することはできないだろう。

 管理組合にとっては、控訴に対する対応だけでなく、今回の判決に含まれない管理費等の問題がまだ残されている。今回の判決で支払いが命じられたのは提訴の時点までの不払い分だけで、平成19年10月分から現在までの分は含まれていないのである。常識が通用しない相手でもあり、新たな訴訟提起もあり得ないことではないとみられている。

 なお、控訴した矢野に対しては11月27日までに控訴理由書を提出するよう命じられていたが、同日までに提出はなされていない。

(了)
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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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