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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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右翼を煽動した矢野穂積の虚偽説明 第6回
襲撃事件を正当化しなければならなくなった右翼

 万引き事件当日の明代の服装について万引き被害者が一貫して「(どちらかといえば白っぽい)グリーングレー」と証言していることを矢野はこれまで何度も確認している。にもかかわらず、矢野はなぜ右翼主催のシンポジウムで「洋品店主は黒っぽいグリーングレーと供述している」などとすぐにわかる嘘をいったのか。やはり、右翼らはこれまでの経過を何も調べてもいないし、今後調べることもないとナメていたとしか考えられない。

 これは推測だが、平成20年8月末の段階で右翼との連携に消極的だった矢野は、しだいに右翼らの動きに引きずられるようになり、9月1日の東村山街宣と万引き被害者に対する襲撃事件を経て、11月16日のシンポジウムになると右翼の支持者の前で自ら積極的に「万引き冤罪説」と「他殺説」を主張しなければならなくなったようにみえる。とりわけ万引き被害者の店に日章旗を持ったヘルメット姿の男たちなどがプラカードを掲げて大挙して押しかけ、「万引き捏造を許さないぞ」などと大騒ぎした襲撃事件は右翼らの社会的信用を決定的に揺るがした。

 それまで「現職警察官による内部告発があった」として、朝木明代の転落死が「他殺」だったとする主張を行ってきた右翼はこの襲撃事件以後、明代の自殺の動機とみられる万引き事件の「追及」に焦点を移した。被害者への襲撃事件で(右翼の認識の範囲では)予期せぬ批判にさらされたために、右翼らは襲撃の大義名分を示さなければならないと考えたらしい。

 一方矢野は、襲撃事件は自分が街宣に参加する前のことで、襲撃そのものに関してはなんらあずかり知らないことでもあり、襲撃事件に対しては、否定はしないものの積極的に肯定的な発言をすることもなかった。よくいえば、矢野は右翼らと一定の距離を置いていたといえる。被害者が「万引き事件を捏造した」という根拠があるのなら、襲撃事件に対する批判が沸き上がった時点で、事件の当事者として、また右翼らによる被害者襲撃の原因を作った者として矢野には当然、なんらかの見解を出すべき責任があろう。しかし矢野はなぜか、11月16日のシンポジウムの日まで襲撃事件に対する態度を直接的には明らかにしなかった。

 右翼からみれば、襲撃事件を正当化させるには「万引き捏造」の根拠を示す以外になく、それができるのは矢野だと考えたのも無理はなかったろう。こうして矢野は11月16日、「万引き捏造」の根拠ないしは「万引き犯が朝木明代である」とする被害者の証言が「事実に反する」根拠を支援者の前で説明しなければならなくなったということではあるまいか。

目撃者Sさんの証言

「万引き犯は朝木明代に間違いない」とする被害者の証言を否定するために、右翼らは書類送検後に明らかになった新たな目撃証言の存在を持ち出していた。その目撃者はイトーヨーカドー付近で騒ぎを目撃し、「犯人は黒っぽいスーツ姿だった」と証言していた。銀行の防犯カメラに映った明代は白っぽいスーツを着ていた。すると、この新たな目撃証言が記憶違いでなく事実とすれば、万引き犯は明代とは別人ということになる。

 この目撃者Sさんの存在を矢野が知ったのは遅くとも平成7年7月23日である。Sさんの記憶によれば、Sさんが東村山署の事情聴取を受けたのは書類送検から5日後の同年7月17日のことという。Sさんが東村山署の事情聴取を受けることになった経緯について野田峯雄というジャーナリストが矢野に送った書面には次のように書いてある。ちなみに野田峯雄とは、今も朝木明代の「他殺説」を主張し、矢野と連携を取っている人物である。

〈(当日、)私は帰宅のためタイム・カードを押した。タイム・カードの時刻は、あとでみたら「午後3時13分」だった。ヨーカドーから表の道路に出た。駅のほうへ向かった。すると、前方の道路端で2人の女の人が何やら言い合っていた。この時刻は、タイム・カードの時刻から考えると、それから2~3分後だから、午後3時15分過ぎか16分過ぎだった。〉

〈2人のうちの1人はすぐにヨーカドーのほうへ歩いていってしまった。「黒っぽいスーツ姿だった」としか思い出すことができない。顔はよくみていない。どんな顔だったのか、はっきりしない。私は朝木さんの名前は聞いたことがあったけれど、顔はまったく知らなかった。〉

〈店の前(表)に、こぎれいな感じの、40代の、地元の人らしい女が一人いて、私がそっちへ(女のほうへ)いくと(つまり、駅方向へいくと)、女は「あれは朝木市議だ」といった。あのとき、「朝木」といったのは彼女だけ。彼女は店の人(○○)に「警察へいけ」としきりにいっていた。客はこの女以外だれもいなかった。私はたまたま通りがかっただけ。〉

〈7月13日、私はこの出来事を(たこやき屋の)店長(○○の妻のほうと思われる)に話した。と、店長が客の○○(夫)に(私の話したことを)話し、7月17日に警察の事情聴取を受けることになった。事情聴取は(7月17日の)午後4時から9時ごろまでです。〉(実名を伏せた部分以外は原文のまま。文中の「私」とはSさん、「客」とは被害者の夫である)

 Sさんは被害者の夫を通じて東村山署の事情聴取を受けたということのようである。Sさんが事情聴取で供述した内容と野田が取材した内容に齟齬はない。Sさんは事情聴取でも万引き犯のスーツの色について被害者とは食い違う証言を行っている。矢野は被害者と捜査機関がグルになって朝木明代を陥れた(「万引き捏造説」)などと主張しているが、被害者が「無関係」の明代を陥れようとしていたのなら、わざわざ被害者とは異なる証言をするような人物の存在を警察に教える必要もないし、東村山署もまた書類送検後にどんな証言をするかわからない新たな証人を事情聴取するなどという危険を冒す必要はあるまい。明代を陥れようとしていたのなら、すでに書類送検によって目的は達成されていたはずだからである。

 さて、矢野はSさんの「犯人は黒っぽいスーツを着ていた」という部分に着目し、証言のこの部分をもって「犯人は明代ではない」とする主張の根拠の1つとし、右翼らもまた矢野の主張のままSさんの証言を「万引き捏造」の根拠とする主張を繰り返した。矢野が11月16日のシンポジウムで明代の万引き当時の服装に関する被害者の供述を捏造(「黒っぽいグリーングレーのパンツスーツ」)したのも、右翼らがSさんの証言をしきりに取り上げていたからにほかならない。防犯カメラに写っていた明代が白っぽいスーツを着ていたことは間違いない事実であり、一方で目撃者の1人が「黒っぽいスーツ」と証言していた上に、被害者自身も「黒っぽいグリーングレーのパンツスーツ」と供述していたということになれば、明らかに明代は万引き犯ではなかったということになる。矢野は右翼もその支援者も確かな資料をもって事実を検証することはないと踏んでいたのだろう。

 しかし、はたしてこのSさんの証言のみをもって明代の万引きを否定することができるのだろうか。


(その7へつづく)

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