ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

創価問題新聞事件 第3回
不可解な答弁書

 千葉が平成15年2月21日に提訴したこの裁判で、矢野と朝木が実質的な争点である朝木明代の万引きと転落死に関する主張を始めたのは提訴から4年半も過ぎた平成19年9月12日のことである。平成15年11月10日、矢野と朝木は『東村山の闇』を刊行、その中で平成11年、聖教裁判で行われた尋問と裁判途中で入手した司法解剖鑑定書の記載から、「明代の万引き容疑が冤罪だったこと、および転落死も他殺であることがはっきりした」と書いている。すなわち、彼らが「東村山の闇」で主張する内容は平成11年末の時点で明らかになっていたことになる。

 平成8年、東京弁護士会館で開いた『聖教新聞』提訴の記者会見で朝木は「母がかぶせられた万引き犯の汚名を晴らしたいと思う。万引きと自殺は表裏の関係にあるので、まず万引きが冤罪であることを明らかにしたい」などと語った。彼らはその後も一貫して「真相究明活動」を続けている。その主たる手段が裁判で警視庁(千葉)を提訴して「真相究明」のための材料を引き出すことで、平成11年末の段階で一定の成果を収めたと彼らは考えているらしい。するとなぜ彼らはこの裁判で、中身の主張を始めるまでに4年もかけたのだろうか。矢野と朝木の本音を知る上で興味深い事例でもあるので、それまで彼らがどんな主張をしてきたのか簡単に紹介しておこう。

 訴状に対して矢野と朝木がまずやったのは東京地裁への回付申立である。申立の理由は、明代の万引きと転落死に関して東京地裁で多くの裁判が行われていること、東京地裁に資料が集積していること、代理人の事務所が東京都内にあることなどである。これに対して千葉は、迅速な審理を最優先すべきと判断して回付に同意した。

 東京地裁に回付され、同裁判所において第1回口頭弁論が開かれたのは平成15年6月10日。この日ようやく矢野・朝木側から答弁書が提出されたが、「本案前の答弁」としてこう記載されていた。

〈訴状記載「請求の原因」によれば、その概略は、「警視庁東村山警察署副署長として在職中の原告の捜査指揮を被告らがインターネット上で批判した行為が、原告の名誉を侵害した」とするものであるが、原告の公職者としての職務行為に関する批判言論について、詩人として当事者適格を有しないことは明らかである。〉

〈さらに、原告は、名誉毀損であるとする被告らの批判言論が虚偽であると断定するが、かかる主張に関する原告の立証ないし反証活動は、原告が司法警察員警察官在職中の職務に関する事実を自ら明らかにすることを意味し、原告が負担する守秘義務に進んで違反することを前提としているものである。

 かかる違法行為を当然の前提とする訴訟提起は、訴えの利益を欠くものと言わなければならない。〉

 要するに矢野と朝木はこの本案前の答弁で、自分たちは千葉個人ではなく東村山警察署の捜査を批判しているにすぎず、また捜査に関わっていた千葉が裁判で自分たちの主張に反論すること自体が違法で許されないと主張しているもののようだった。それではなぜ記事で千葉個人を名指しで非難したのか、また公務員が職務行為をめぐり個人の名誉を毀損されても提訴できないのかという疑問が生じよう。

捜査員を脅した明代

 平成7年7月12日、朝木明代は万引き事件の取り調べで偽のアリバイを主張したが、捜査員から明代の主張するアリバイが捜査結果と矛盾していること、書類送検することを告げられ、「今日の調書はなかったことにしてください」と自らそれまでの供述をすべて撤回する意思表示をした。そして最後に明代は捜査員に向かってこういった。

「私のアリバイを含め、マスコミや他の者に対し、捜査内容について守秘義務を守ってもらいたいと思います。この件に関し、名誉毀損および誣告で相手方を告訴したいと考えております」

 明代のこの発言は、「公務員の守秘義務に背くと今度はあなたたちが地方公務員法違反に問われますよ」という趣旨の脅しであると捜査関係者は受け取ったという。明代はいったんは詳細なアリバイを供述したが、それまで一貫して主張してきたアリバイの矛盾を指摘されてすべて撤回したなどという事実が公表されれば、明代が「万引き犯」に間違いないという評価は動かしがたいものとなる。嘘をついたという自覚がないのなら、また万引きも身に覚えがないのなら、公表するなという理由はない。公表されるのはまずいと思ったからこそ明代は「守秘義務を守れ」と釘を差した。

 任意の事情聴取で、しかも自ら嘘の供述をしておきながら、それは黙ってろとは、普通ではなかなかとっさに出でくるセリフではない。矢野と朝木が千葉との裁判で行った本案前の主張も明代の取調室での脅しに似ていよう。

 少なくとも矢野と朝木は、地公法違反を匂わせることで千葉の動きを鈍らせようとしたのではあるまいか。仮にこの主張が裁判所に認められれば、その後彼らは思い通りに千葉を非難、誹謗できるお墨付きを得ることができる。そこまで見越した主張だったと推測できた。

 かつて矢野と朝木は、『週刊現代』の記事(「明代は創価学会に殺された!」)をめぐって創価学会から提訴された際には「かえって真相究明の手間が省けた」、万引き被害者から「東村山市民新聞」の記事をめぐって提訴された際には「飛んで火に入る虫」とうそぶいた。「真相究明」活動を継続している矢野と朝木としては、捜査責任者である千葉から提訴されたことも、まさに「真相究明」のまたとない機会ということになろう。

 まして矢野と朝木は『東村山の闇』で明代の「万引き冤罪」と「他殺」を証明する「新事実」が明らかになったと主張しているのだし(発行は提訴後だが、「新事実が明らかになった」と主張する時期は提訴の3年前)、その「事実」をあらためて確定的なものにする絶好のチャンスである。にもかかわらず、なぜ矢野と朝木は正面から千葉の主張を受けて立たず、却下によって内容に踏み込むことなく裁判を終結させようとしたのか。

 これでは自ら「真相究明」の大きなチャンスを逃がすことになりかねまい。現実的かつ限定的な裁判戦術としてあり得ないこととはいえないものの、あれほど「明代の万引き犯の汚名を晴らすため」「真相究明」をと訴えてきた上に、「新事実が明らかになった」と主張する矢野と朝木の取るべき対応としてはきわめて不自然だったような気がしてならない。


(その4へつづく)


関連記事

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

TOP