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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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万引き被害者威迫事件 第7回
矢野の供述が一貫しない理由

 駅の近くの洋品店に行かなかったことについて「許さない会」の代理人から追及され、反論したつもりだった矢野の供述の中で、代理人が着目し、そのとき矢野がまったく気づいていなかった重要な点とは何だったのか。続く代理人の追及をみよう。

「許さない会」代理人 じゃ、こう聞きます。あなたが聞いたという中には、「イトーヨーカドーの近くに」という言葉はなかったですね。「イトーヨーカドーの近く」の店だと聞きましたか。

矢野 だから、線路に沿って、イトーヨーカドーの近くに三角のビルがあるから、その中に入っている洋品店らしいということを聞いたということです。

代理人 さっきは、イトーヨーカドーの方に向かった道の左側と言ってる。今は、「近くに」と言ってる。どっち。

矢野 向かって行って、近いところに三角ビルがあるという意味でしょう。趣旨をつかまえて言っていただかないと。

代理人 趣旨なんかつかまえない。あなたは何を聞いたのかを聞いてんの。

矢野 線路に沿って行って、イトーヨーカドーに近づいたときに、その三角のビルがあるらしいよという、そして、その中に入ってる洋品店らしいということを聞いてるということですよ。

 最後にこう供述した矢野は、これで逃げきったつもりだったのかもしれない。しかし、最初は「イトーヨーカドーの手前の三角ビルの中の洋品店」、次いで「駅のそばの三角ビルの洋品店」「線路のそばの三角ビルの一番端にある小さい洋品店」、さらに「線路脇のヨーカドーの手前の三角のビルの洋品店」としだいに詳しくなり、「イトーヨーカドーの手前」には幅がある(実際に洋品店もある)ことを指摘されると、ついには「線路に沿って、ずっとイトーヨーカドーに近づいたところにある店」へと矢野の供述は変わっていった。変遷に変遷を重ねた矢野の供述をどう見ればいいのだろう。「許さない会」代理人が着目したのは、矢野の説明の中身よりも矢野供述の変遷そのものだった。

 平成11年11月15日、『聖教新聞』裁判で矢野は「取調官から事実上教えていただいた」と供述しているが、これは被害店の具体的な名前、場所は聞いていないということを矢野が認めていることを意味する。では、具体的には教えなかった取調官が明代にこれほどいろいろな説明をしたというのか。誰が考えても、まさかそんなことはあり得まい。
 
 一般に証人尋問で重視されるのは、「何を見たのか」「何を聞いたのか」という事実そのものの一貫性とその合理性である。通常それによって、その証言が信用するに足りるものであるかどうか、すなわちその信憑性が判断できる。矢野の場合はどうか。明代が取調官から聞いたと称する「被害店の場所の説明」という事実は1つしかない(取調官が何度も別の表現で説明したという供述はない)。にもかかわらず、尋問の流れによって次々に「説明」の内容を変えていった矢野の供述をどう評価すべきか。

 矢野は「取調官から事実上教えていただいた」と供述しているが、矢野は取り調べ当日に被害店に行った事実の不自然さ、すなわち明代が万引き犯であるからこそ取り調べ直後に被害店に行けたのだという事実を隠蔽するために、取調官が被害店を特定できるような説明をしたという虚偽の供述をしたということ、つまり明代が取調官から被害店を教えられた事実は存在しないとみるのが常識的かつ合理的な判断というべきだろう。

 この点について明代の万引き事件で捜査を指揮した当時の東村山警察署、千葉英司元副署長はこう語っている。

「通常、警察が加害側に被害者の住所、氏名を特定できるような情報を漏らすことはありませんが、今回の場合は特に、万引き現場での被害者との会話状況(明代は現場を押さえられたにもかかわらず『いいがかりをつけないでよ』などと、謝るどころか逆に被害者を非難するなどした)、取り調べの際の態度などを総合すると、お礼参りの可能性がある事案であり、被害店を特定できるような話はしていません」

『聖教新聞』裁判の尋問は、教えていない事実を取調官にあらためて確認し、それを前提に行われたものだったのである。

「許さない会」裁判で矢野は、「ほかのところを探す必要がなかった」ことの合理性を主張しようとするあまり、「イトーヨーカドーの近く」という新たな場所の説明を加えた。致命的なミスだった。そのことによって、「取調官から事実上教えていただいた」という事実の信憑性は決定的に崩れた。矢野の混乱と狼狽ぶりは「教えていない」という千葉元副署長の証言を裏付けるものである。

 初めての取り調べからわずか1時間で、誰からも教えられていない被害店を矢野と明代はいったいどうやって探し当てることができたのか。明代が万引き犯だから、という以外の答を導くことが困難であるのは明らかというほかなかった。

(第1部 了)

(第8回へつづく)

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