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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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創価問題新聞事件 第14回(最終回)
                           ★第1回から読みたい人はこちら


矢野の主張をことごとく排斥

 平成21年1月29日、東京高裁は矢野と朝木に対して10万円の支払いを命じた東京地裁判決を支持し、矢野と朝木の控訴を棄却する判決を言い渡した。千葉の提訴から丸5年がたっていた。では、一審とは異なり、150ページにも及んだ矢野と朝木の主張に対して東京高裁はいかなる判断を示したのか。矢野と朝木の主張と対照しながら東京高裁の判断を見ていこう。



転落死
(矢野側主張)

 司法解剖鑑定書には「上腕内側部に皮下出血の痕がある」と記載されており、これは他人につかまれたものであることを裏付けるものであり、転落死は「他殺」であると推認できる。法医学の権威である鈴木庸夫山形大学名誉教授も司法解剖鑑定書を「鑑定」した「司法解剖鑑定書に対する意見書」で「他人につかまれた可能性が高い」と述べている。

高裁判決
〈司法解剖鑑定書には、本件損傷が他人と争ってできた可能性があることをうかがわせる記載はなく、本件損傷の存在からは、鈴木医師の意見書に記載されているとおり、その生成原因として、明代が他人ともみ合って上腕を強くつかまれた可能性があることが認められるだけであり、明代が他人に突き落とされて本件転落死したことまで推認できるものではないことは明らかである。〉



 矢野が「法医学の権威」と称する鈴木山形大学名誉教授はもちろん明代の遺体をつぶさに検案したわけではなく、たんに司法解剖した医師が作成した司法解剖鑑定書を見ただけである。これは現実の遺体の観察に基づいて作成された司法解剖鑑定書の文言から現実の遺体の状況を類推するという転倒にほかならず、科学者としてあってはならない行為である。また鈴木教授の行為は司法解剖を行った医師および法医学そのものを冒涜する行為にほかなるまい。なお、控訴審で矢野は鈴木教授の「意見書」に加えて同教授の「鑑定書」まで提出したが、東京高裁は同鑑定書の信頼性を否定したのである。

 さらに東京高裁はこう続ける。



高裁判決
〈司法解剖鑑定書の記載に加えて、……明代の転落前後の状況(明代が転落前に人と争った気配はないこと、明代が転落後に意識があるのに、救助を求めていないこと、明代が落ちたことを否定したこと、明代が転落箇所から真下に落下していること等)を考慮すると、明代が他人に突き落とされたもの(他殺)ではないことがうかがわれる。以上によれば、本件転落死が殺人事件であると認めることは到底できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。〉



万引き事件
(矢野側主張1)

 朝木明代市議から万引きの被害を受けたと届け出た洋品店の店主の供述する真犯人の服装と、犯行当日に朝木明代市議が着ていた服装が全く異なる(矢野と朝木は万引き事件当日の明代の服装であるとして、色の異なる服装の写真を法廷に提出した)。

高裁判決
〈控訴人ら(矢野と朝木)が明代の服装として作成した再現写真と明代の監視カメラの写真について、○○(万引き被害者)は、服装の雰囲気が違うような気がすると供述し、被控訴人(千葉)は、服が同じか断定できないと供述しており、控訴人らは、明代の服装の再現写真として同一とは判定できないものを作成しているところ、控訴人らは、アリバイの裏付資料としてアリバイを裏付けることのできないレジジャーナルを提出するなどしていることに照らすと、明代の服装の再現写真なるものは必ずしも採用することができず、他に本件窃盗被疑事件の真犯人の服装と明代の服装が異なることを認めるに足りる証拠はない。〉



 矢野と朝木は、明代が万引き時刻前に振り込みのために立ち寄った銀行の防犯ビデオの静止写真が白黒だったため、白黒にすれば似たよう感じに映る洋服を朝木が着用し、「再現写真」なるものを作成した。しかし、洋服の色は被害者の証言とは異なっており、その服装なるものと本物の防犯ビデオの画像が一致しているという証拠はどこにもない。



(矢野側主張2)洋品店主は「万引き犯(朝木明代)の服装は『グリーングレーの上着に黒のブラウス』」と供述しているが、一人の目撃者は「犯人は黒っぽい服装だった」と証言している。したがって、当日白っぽい上着を着ていた明代は万引き犯ではない。

高裁判決
〈○○(目撃者の一人)の目撃内容は、明代が本件窃盗被疑事件の犯人であることをうかがわせるものであり、明代が万引きをしていないことを裏付けるものということはできない。
 そして、○○(被害者)は、……明代が万引きをしたことを明確に供述しており、控訴人らが提起した別件訴訟においても、いずれも○○の供述に信用性を疑わせるものはないとされている。
 以上によれば、明代が万引きをしていない(本件窃盗被疑事件がえん罪である)と認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。〉



 矢野と朝木はこの目撃者の「犯人は黒っぽい服を着ていた」とする証言から、「犯人は明代ではない」と主張していたが、この目撃者は別の目撃者が「犯人は朝木だ」と話していたことも証言していた。したがって東村山署もまた、明代が万引き犯であることを裏付ける証言と判断し、この目撃証言を追送検していた。被害者は明代の服装について「グリーングレーの上着」と一貫して供述しており、この洋服は白黒にすれば白っぽく映っている。以上の状況から、明代の服に関するこの目撃者の証言について裁判所は信憑性がないと判断、むしろ他の目撃者の「犯人は朝木」という話を聞いたとする証言を重視したのである。

別件判決に対する明確な判断

 矢野と朝木はこれまでの判決について彼らの都合のいい部分のみを抜き出し、それによって彼らの主張する「万引き冤罪」と「他殺説」があたかも認定されたかのような主張を続けてきた。では、この部分に対する東京高裁の判断はどうか。



潮事件
(矢野側主張)

 平成14年3月28日、雑誌「潮」事件判決で東京地裁は、東村山警察の捜査結果を検討した上で、「司法解剖の結果、亡明代の左右の上腕内側部に皮膚変色が認められたこと」を根拠の筆頭に挙げて「朝木明代市議が自殺したとの事実が真実であると認めるには足りない」と判示認定し、また「同人を『万引き被疑事件』の犯人と断定するに足りない」と判示認定し、事実上、東村山警察の捜査結果を否定している。

高裁判決
〈いわゆる潮事件判決は、明代が本件窃盗被疑事件の犯人の可能性は相当程度に達するものと思われるが、なお明代を本件窃盗被疑事件の犯人と断定するには足りない、明代の死因が自殺であるとみる余地は十分にあるが、なお明代が自殺したとの事実が真実であると認めるには足りないとしたものであり、本件転落死が殺人事件である(明代の死因が他殺である)こと、及び明代が万引きをしていない(本件窃盗被疑事件の犯人でない)ことが真実であるとしたものではなく(明代が万引きをし、万引きを苦にして自殺したことは同判決で否定された旨の控訴人らが出版した書籍の記述は、当たらない)、……控訴人ら主張の真実性を否定する趣旨であることが明らかである。〉



 潮事件については、矢野は一審で敗訴したものの控訴しなかった。「明代を万引きの犯人とするには足りず、自殺が真実であると認めるに足りない」とした部分が使えると判断したためだろう。事実その後、矢野は多くの裁判で潮判決を援用してきた。しかしそれが詭弁であることを、東京高裁はあらためて認定したということになる。



FM東村山事件
(矢野側主張)

 平成19年6月20日、東京高裁は司法解剖鑑定書および「鈴木鑑定意見書」を援用して「『上腕内側は、一般に、転落による外力などが作用しにくい箇所であること』、『他人ともみ合い、上腕を強くつかまれたような場合には、上記箇所に皮膚変色部(皮下出血)が生ずる可能性があること』という事実に照らすと、少なくとも被控訴人(矢野)が本件のアザが他殺を疑わせる証拠となるようなものであると信じたことについては相当の理由があるというべきである」と判示認定している。

高裁判決
〈FM放送事件判決は、アザ(本件損傷)が他殺を疑わせる証拠となるようなものであることについての相当性について判断しただけであり、その真実性については判断しておらず、まして、本件転落死が殺人事件である(明代の死因が他殺である)としたものでないことが明らかである。〉



 このFM東村山判決もまた、明代の遺体に残された上腕内側部の皮下出血の痕が「他殺の証拠」と認めたわけではなく、同僚である矢野がそれを「他殺の証拠」と考えたことはやむを得ないとしたにすぎない。それを矢野は他殺の証拠と認定したかのように主張した。東京高裁はこの点に関する矢野の主張もまた明確に否定したのである。

 自分が判断を下したわけではない裁判の判決書の読み方まで判示する判決というのも珍しかろう。この点については、矢野と朝木が判決を都合のいいように解釈し、利用してきたことに対する裁判所の強い意思を示したもののようにも感じられる。

自ら墓穴を掘った判決

 東京高裁が示した判決内容を見ると、これまで矢野と朝木が明代の「万引きを苦にした自殺」という事実を否定するために主張してきた内容をことごとく、それも具体的にすべて排斥したものであることがわかる。矢野と朝木が詳細な主張をしなかったためにたんに名誉毀損の成立を認めただけで終わった一審判決と比べれば、その違いは歴然である。

 控訴が棄却される場合、一審判決に若干高裁独自の判断が加わる程度で、今回の判決ほど詳細な検討を行う例は珍しかろう。一審で敗訴した矢野と朝木は、一審判決を覆すためにそれまでしなかった具体的な主張を行った。その結果、控訴審は若干長引いた。しかしその分、東京高裁は矢野の主張に従って詳細な検討を行った。最終的に、明代の「万引き冤罪」と「他殺説」を主張する彼らの根拠は完膚なきまでに否定されるという結末を招いたのである。矢野と朝木は平成21年2月10日上告したが、確定を長引かせるにすぎまい。

(了)
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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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