ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

りんごっこ保育園保育士虚偽申告事件 第1回
 認可保育園が守るべき最低基準の中でも、保育士の数は園児の安全に直結する問題である。したがって国の認可を受けた認可保育園が保育士の数をごまかすなどということはあってはならない。平成20年3月には東京都認証保育所であるじゃんぐる保育園が、長期にわたり規定の保育士を確保していなかったなどとして認証取消となった例もある。

 同じ時期、東京・東村山の認可保育園、りんごっこ保育園(高野博子園長)でも平成20年2月以降保育士数が国基準を下回っているとされていた問題で、東京都は同年9月10日行った現地調査などの結果、同保育園で一時期保育士が不足していたと結論付け、同保育園に対して行政指導を行っていたことが平成21年3月までに明らかになった。

実態解明までに1年を要した不思議

 認可保育園とは保育面積や保育士数などの国最低基準を満たした保育園に対して都道府県などが認可を与えるもので、国や都道府県、実際に保育を委託する地方自治体が交付する補助金によって運営されている。そうである以上、認可保育園は常に最低基準を確保し、問題が発生した場合にはただちに改善しなければならないし、指導・監督権限を持つ官庁から問い合わせがあった場合には誠実に対応する義務がある。もちろん虚偽報告など論外である。

 一方、市民の保育を委託する自治体の側にも、認可保育園になんらかの問題が発生したことを認知した場合には当該保育園に対してただちに報告を求め、必要な改善指導を行う責任があることはいうまでもない。

 国最低基準の中でも保育士の不足は園児の安全に直接の影響を与えかねない。一人の保育士が同時に見られる園児の人数にはおのずと限界がある。保育士数が最低基準を下回った状態にあったことが原因で誤飲事故などを見落とす可能性もある。つまり保育士の不足は園児の安全を脅かす事態であるといえる。

 したがって保育士数の不足はただちに改善しなければならないきわめて重大な問題であるということになるが、今回行政指導が行われたりんごっこ保育園の場合、保育士数が国基準を下回ってから行政指導が行われるまでに約1年もの時間を要したのはいったいどういうことなのかという当然の疑問が生じよう。

保育士不足が明らかな「職員名簿」
  
平成20年2月、東村山市議・矢野穂積(草の根市民クラブ)と同居する高野博子が経営するりんごっこ保育園で3名の保育士が退職し、それをきっかけに保護者の間に動揺が広がり、転園希望者が相次いでいることが同年3月5日、東村山市議会本会議における佐藤真和市議の質疑を通して明らかになった。

 平成20年2月当時、りんごっこ保育園の定員は77名で、最低必要な保育士数は10名だった。同保育園はそれまで最低基準の10名の保育士しか確保していなかった。したがって、同年2月1日現在で同保育園は3名もの保育士が不足していることになる(乳児が6名以上の場合には看護師1名を保育士1名とみなすことができるという規定に照らしてもなお2名が不足している)。

 りんごっこ保育園の保育士不足を認知した所管の東村山市保健福祉部は同園に対して電話で事実確認を行ったようだ。それに対して2月8日、高野から「職員の構成」と題する平成20年2月1日現在における同園の職員名簿がファックスで送付された。それによれば、園内における「職名」(資格ではない)保育士は9名。この段階で高野が保育士不足を認めたわけではない。したがって高野は、この名簿の提出によって「職員は不足していない」と主張したものと理解できた。

 しかし東村山市保健福祉部がこの名簿を精査すると、内1名は「育休中」で、さらに1名は幼稚園教諭の資格は持っているが保育士の資格は保有していないことがわかった。つまり名簿上は看護師1名を保育士とみなせば充足しているように見えるが、実質的には看護師1名を保育士とみなしてもなお2名が不足している状態にあった。

今度は「保育士は補充した」と主張

 そこで東村山市保健福祉部は同年2月13日、同保育園を訪問して事実確認を行い、認可権限者である東京都子育て支援課と協議の上、平成20年2月18日付で「りんごっこ保育園職員等の改善について(通知)」と題する指導文書を送付した。つまり東村山市と東京都は、2月8日に高野が提出した職員名簿は虚偽であるか少なくとも保育士数を満たしていることを証明するものとは認めなかったということになる。文書には「改善を要する事項」として次のように記載されている。

〈児童福祉施設最低基準第33条第2項及び保育所設置認可等事務取扱要綱の規定のとおり、保育士資格を有する職員を現在より3名以上配置し、園全体で10名以上の保育士有資格者を確保すること。〉(なお、看護師1名を保育士1名とみなすことができるため、保育士の不足数は実質的に2名)

 ところがこれに対して同年2月20日、園長の高野は東村山市に対して「事務連絡(常勤職員等について)」と題する2月18日付の文書をファックスで送付してきたのである。文書にはこう記載されていた。

〈本年2月1日付をもちまして、下記の者を採用し、同日付で当園の常勤職員として発令いたしておりますので、取り急ぎ通知いたします。

 なお、2月18日付貴殿名義の文書については、国の通知にも反する認識が前提となっており、違法なものとしてお受けいたしかねます。したがって、遺憾ながら返上させていただきますので、念のため、併せてお伝えいたします。〉

 その上で、文書には「2月1日付」で採用したとする2名の保育士の氏名が記されていた。

「職員名簿」と申告内容に明らかな矛盾

 しかしこの「事務連絡」と称する文書と高野が2月8日に東村山市に送付した「職員の構成」を比較すると2つの文書には明らかな矛盾があった。高野は「事務連絡」で「2月1日付で2名の保育士を採用した」と書いている。しかし2月1日付「職員の構成」には平成20年2月1日付で「保育補助」として保育士資格取得前の大学生2名を採用したことになっているものの、2月1日付で採用された2名の保育士の名前は記載されていないのである。

 いったいどちらが本当なのか。あるいはどちらも虚偽なのか。これまでの経緯からすればいずれにしても、高野の言い分は文書だけではとうてい信用できないものとしかいいようがなく、行政による指導を拒否するためのものと受け止められても仕方ない文書と判断するほかなかった。

 それ以上に不可解なのは、東村山市が指導文書を送付する前の2月13日に同園を訪問した際、高野はなぜ保育士を2月1日付で採用した旨を説明しなかったのかということである。少なくとも東村山市が送付した文書にその旨の記載はないし、保健福祉部が「2名の採用」を確認したとすれば、指導文書にある「3名」足りないということにはなるまい。

 この間の保健福祉部とりんごっこ保育園のやりとりを総合的に判断すれば、どうみても高野が保育士不足の事実を隠蔽するために次々に彌縫策を重ねていたようにしか見えない。保健福祉部の確認以後、高野はこれまで2度にわたり保育士不足を否定したことになるが、仮に高野の対応が保健福祉部の指導を逃れようとするものであるとすれば、すでにこのこと自体、認可保育園設置者としての資質を疑わせるものにほかなるまい。

(この間の詳細は「りんごっこ保育園問題とは何か 第1回」「同 第2回」でも触れた)

(宇留嶋瑞郎)


(その2へつづく)
関連記事

テーマ:社会 - ジャンル:政治・経済

TOP