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西村修平「婚外子」差別発言裁判 第1回
 外務省が主催した意見交換会(平成19年8月31日)での発言によって名誉を傷つけられたとして、同意見交換会に出席していた女性が「主権回復を目指す会」代表の西村修平に対して220万円の支払いを求めて提訴していた裁判の第2回口頭弁論が平成21年5月14日、東京地裁で開かれた。     (宇留嶋瑞郎)

原告の主張と異なる裁判報告

 この裁判について同日、西村は「主権回復を目指す会」のホームページにおいて次のように説明している。

〈主権回復を目指す会の西村修平代表は平成19年8月、外務省主催の「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」の政府とりまとめの意見交換会で私生児(婚外子)は人種差別に該当しない旨を述べた。この席上、西村修平代表は婚外子を私生児と呼んだ。さらに 私生児が嫡子と区別(差別)されるのは当然だと意見を申し立てた。

 これが名誉毀損に当たるとして○○(実名)西村修平代表を相手に220万円の損害賠償を請求する訴訟を起こした。〉

 内容は別にして、意見交換会における西村の発言が上記のとおりのものだったとすれば特に誰かを特定して個人の名誉を傷つけるものではないような気がする。

 では、原告は訴状でどんな主張をしているのか。原告は事実関係について次のように主張している。

〈原告は、自らが当事者として婚外子差別問題に取り組んでいることを述べた上、日本国内において婚外子差別が温存され、日本政府は国連から差別解消を求める勧告を出されていることを述べたが、その際、被告は原告の発言を妨害しつつ、婚外子について「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」と発言した。(発言1)

 また、原告に向けて「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」と今日では差別語として認識されている「私生児」という言葉を投げつけた。〉(発言2)

〈原告が法務省官房秘書官……に対して……、その差別語がこの意見交換会の席上で発せられたことに対する見解を問うていると、被告は原告に近寄り「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」などという言葉を投げつけたうえ、さらに「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」などと言い放った。〉(発言3)

 その上で原告は、上記発言1については事実摘示部分は原告の名誉を毀損し、発言2については〈原告に向けて私生児という言葉を連呼する行為であり、やはり原告の名誉感情を著しく侵害する侮辱行為〉、発言3については〈原告を意図的に傷つけるためにした行為〉であるとそれぞれ主張している。

 西村が第2回口頭弁論後にホームページで説明したたんなる婚外子に関する意見を述べたにすぎないとする内容と原告の主張との間には明らかな食い違いがあることがわかろう。意見交換会における自己の発言に対する西村の「一般論である」とする認識はともかく、裁判の報告をするのなら、「原告個人に対して向けられた発言」であるとする原告の主張は主張としてなぜそのまま正確に伝えようとしないのだろう。原告の主張は主張としてありのままに明らかにし、その上で反論すればいいだけではないのかという気がしてならない。

 原告の主張に対し西村は答弁書で、発言1(「個人の不倫の関係で生まれたアレだ。不貞の子どもでしょう。」「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される。」)については、

〈原告の発言に対して反対の意見表明をしたもので発言を妨害したものではない。〉

 と主張し、発言2(「何回でも言ってやる。私生児が! 私生児が!」)、発言3(「おまえは何人不倫の子を産んだのか?」)については西村の発言ではないと主張している(発言3のうち「何度でも言ってやる。訴えてみろ。裁判でも何でも受けて立ってやる。」については答弁がない)。

 すると西村は、原告の主張が西村の原告個人に向けられた発言によって名誉を傷つけられたとするものであることを必ずしも理解していないわけではないようである。それがなぜホームページでは、たんに婚外子についての一般論を述べたことに対して提訴されたことになっているのか、私にはよく理解できない。

理解不能の言語

 第1回、第2回口頭弁論が開かれた当日、西村は彼を支援する右翼らとともに東京地裁前で街宣活動を行っているが、右翼らは次のように主張している。



右翼  これはですね、まさに訴訟権の濫用であります。われわれが政府主催の意見交換会でですね、これを述べてですね、なぜそれがですね、そういう民事事件に問題にされなければならないのか。

右翼の弟子  日本政府主催の意見交換会において、人種差別問題および私生児の問題について「どうぞ忌憚のない意見をお聞かせください」「どうぞ忌憚のない意見をお願いします」、そのようにいわれて忌憚のない意見を述べたというのに、それで訴えられたらたまったものではない。



 何も知らない者が彼らの主張を聞けば、なるほどこれは提訴自体が不当と考えるだろう。右翼はこう締めくくった。



右翼  しかもおかしなことにですね、この人権侵害を一緒に訴えられたMさんにはですね、裁判は提起されておりません。このことを考えると、この裏にはやはり創価学会、公明党をですね、厳しく追及してきたわれわれ行動する保守運動、そしてそのリーダーでもある西村さんをですね、なんとしても黙らせたい、そういう思惑でですね、今回の裁判が提起されたと、そういうふうに考えざるを得ません。



 西村とともに意見交換会に出席して西村と同趣旨の意見を述べたMに対しては「おかしなことに」提訴していない、と右翼はいうのだが、これはたんにMが原告個人に向けた発言をしなかったからということにすぎないのではないか。右翼のそれ以下の主張については飛躍が激しく論評不能というほかないが、この街宣に集まった30名前後の右翼の支援者たちの間からは「そうだ、そうだ」という同意の声はあがっても特に異論もなかったことを考えると、支援者たちにとって右翼の言語は理解できるものであるらしかった。

 ちなみに、この提訴について右翼は「訴訟権の濫用であります」と主張している。しかし、西村が答弁書で「訴権の濫用」を理由に却下を求めている事実はない。


(第2回へつづく)
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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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