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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「創価問題新聞事件」最高裁判決 第4回
 上告理由書ではもう1点、万引き被害者と千葉元副署長の「聖教新聞」裁判における供述をめぐり、客観的な前提を欠く主張を展開している。

きわめて正当な認定

 被害者は「聖教」裁判で、矢野から「再現写真」を見せられ、そこに映った明代の服装が「万引き当日のものとは違うようだ」と供述。千葉は「断定できないが、雰囲気としてよく似ている」(趣旨)と供述している。東京高裁は被害者と千葉の供述を次のように評価し、明代が万引き犯ではないとする矢野らの主張を退けた。

〈控訴人ら(矢野と朝木)が明代の服装として作成した再現写真と明代の監視カメラの写真について、○○(万引き被害者)は、服装の雰囲気が違うような気がすると供述し、被控訴人(千葉)は、服が同じか断定できないと供述しており、被控訴人らは、明代の服装の再現写真として同一とは判定できないものを作成しているところ、控訴人らは、アリバイの裏付資料としてアリバイを裏付けることのできないレジジャーナルを提出するなどしていることに照らすと、他に本件窃盗被疑事件の真犯人の服装と明代の服装が異なることを認めるに足りる証拠はない。……
 以上によれば、明代が万引きをしていない(本件窃盗被疑事件がえん罪である)と認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。〉

 ほぼ正当な認定判断である。

客観的前提を欠いた主張

 しかし、この東京高裁の判断に対し、矢野と朝木は上告理由書でこう反論した。



〈原判決は、洋品店主○○は「監視カメラの写真と上記再現写真とは服装の雰囲気が違うような気がするなどと供述した」と認定し、一方、相手方千葉は「被控訴人は、上記再現写真は監視カメラの写真と服が同じか断定できないが、雰囲気としてよく似ている」と供述した旨認定した。

 結局のところ、相手方千葉は、「監視カメラの写真(捜査時写真)」=「再現写真」であると供述したのに対して、洋品店主○○は「再現写真」≠「監視カメラの写真(捜査時写真)であると供述し、客観的にみて、洋品店主○○が目撃した「万引き犯」の服装は「再現写真」とも「監視カメラの写真(捜査時写真)」とも一致することはありえないにもかかわらず、原判決は、何の理由も示さずに「監視カメラの写真等と○○(被害者)の供述はほぼ一致していた」としたのである。

 しかも、これに加えて、原判決は、千葉証人証書に明確に記載された以下の相手方千葉の供述のうち、一部分だけを切り取って、趣旨が全く逆に加工、変造しているのである。

 相手方千葉の供述は、「服もちょっと断定はできませんが、雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね。撮影を教えていただければ幸いですか。」であるのに対して、原判決の認定は以下の通りである。

「しかしながら、控訴人らが明代の服装として作成した再現写真と明代の監視カメラの写真について、○○(万引き被害者)は、服装の雰囲気が違うような気がすると供述し、被控訴人は、服が同じか断定できないと供述しており、被控訴人らは、明代の服装の再現写真として同一とは判定できないものを作成している」

 要するに、原判決は相手方千葉が「断定はできませんが、雰囲気としてはよく似ておりますね。鮮明ですね。……」と供述し「よく似ている。鮮明だ」としているのを「被控訴人は、服が同じか断定できない」と供述したように相手方千葉の供述内容を作り変えた上で、「被控訴人らは、明代の服装の再現写真として同一とは判定できないものを作成している」と決め付けている。

 因って、原判決には、「監視カメラの写真(捜査時写真)」及び「再現写真」に関する前記証拠の採否及び証拠の評価を誤った違法があり、ひいては事実を誤認したものといわざるを得ず、また、これが単なる事実認定上の問題にとどまらず、法律判断を誤り、判決に影響することは明らかであって、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとなることは明らかである。〉



 矢野は、千葉が「再現写真」と「捜査時写真」の服装が「同一」と認めたことにし、被害者が「再現写真」の服装と犯行当日の明代の服装が「違う」と供述したことを利用し、「犯人は明代ではない」とするややこしい詭弁を組み立てていたのである。もちろんその前提として、「再現写真」の服装が「捜査時写真」の服装と同一であることが客観的に証明されていなければならない。ところが、矢野はその同一性が自明であるかのように主張しているものの、彼らがそう主張しているだけにすぎず、なんら客観的な証拠はなかったのである(むしろ「再現写真」が、白黒にすれば「捜査時写真」に近くなるスーツを選んで本物に仕立て上げた「よく似たニセ物」であることは本連載第3回で述べたとおりである)。

 矢野は東京高裁が千葉の供述を逆の意味に「加工、変造している」などと主張しているが、「雰囲気としてはよく似ている」とする千葉の供述が「監視カメラの写真」と「再現写真」の同一性を認めたものでないことは明らかで、東京高裁の判断にはなんらの不自然もない。なお、「監視カメラの写真」も「再現写真」もモノクロのビデオを静止画像化したもので、そもそもそれほど鮮明なものではない。したがって、東京高裁が矢野の作出した「再現写真」とカラーの「再現写真」の同一性を認めなかった点も、写真の性能に起因するものと考えられる。

 本連載第3回で触れたように、「再現写真」が本物ならばわざわざ直子に着せて、たくぎんにキャッシュコーナーのカメラを借りて撮影するというような手の込んだことをする必要はない。ベージュのスーツが本物と主張するのなら、現物を地検に持ち込む方がより確実にしかも早く明代の万引き犯の汚名を晴らすことができるのである。

 矢野と朝木がそれをしなかったのは、明代の犯行時の服装は被害者の証言どおり、グリーングレーのパンツスーツにチャイナカラーのブラウスだったのであり、ベージュのパンツスーツではなかったからにほかならない。したがって、どちらもニセ物なのだから、2枚の「再現写真」が同一であろうとなかろうと、同一性の判断が判決に影響する余地はない。最高裁が矢野の上告理由を棄却したのはきわめて妥当な判断だったのである。

(つづく)
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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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