ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

「創価問題新聞事件」最高裁判決 第9回
皮下出血を「圧迫痕」にすり替え

「創価問題新聞」判決と「東村山の闇」判決の関係性に関して「行動する保守」がいかに考え違いをしているかについては前回述べたとおりだが、判決における事実認定の内容を理解するには普通の読解力があればさほど難しいことではあるまい。「行動する保守」のリーダー的存在である右翼Aは続けて、「具体的にですねえ、前の判決(「創価問題新聞」判決)が何が間違っているか、……1つだけ訴えを絞ってですね、皆様たちにあるいはこの最高裁判所にですね、この声が聞こえているならば、ぜひとも訴えたいことがあります」と、「創価問題新聞」判決が「誤っている」とする箇所を具体的に挙げ、批判し始めた。



〈東村山市の朝木明代さんが、ビルから何者かによって突き落とされ、転落死したときにですね、東村山署はですね、解剖を行って、鑑定書を作っておきながら、その鑑定書をですね、何年間にわたってもこれをですね、公開せずに隠していた(とんでもないじゃないかー)。

 しかしこれはようやく、3年後だと思いましたけど、……この鑑定書に上腕、両腕の内側にですね、圧迫痕がみられました。この圧迫痕はですね、ちょうど人の指によってですね、つかまれた痕である。そして、それはですね、揉み合ったときに何者かによってつかまれて圧迫痕ができたということがはっきりと、これが法医学者によって明らかにされ、その鑑定書が裁判所にですね、民事訴訟でありますけど、その裁判所に提出されたわけであります。〉



 司法解剖鑑定書の作成や位置付けについては現実の捜査状況や事件に対する捜査機関の判断等によって異なる。「行動する保守」Aは「東村山署はですね、解剖を行って、鑑定書を作っておきながら」などときわめて大雑把に導入し、さらに「東村山署は……何年間にわたってもこれをですね、公開せずに隠していた」などと主張しているが、すべて虚偽である。

 司法解剖をしたからといってすぐに司法解剖鑑定書を作成するとはかぎらない。朝木明代の転落死の場合には、地検も東村山署も事件性があるとは認めていなかった。司法解剖の結果も、無数のアザがあったものの事件性をうかがわせる状況にはなかった。そこで司法解剖に立ち会った刑事が司法解剖医の所見に基づいて「司法解剖立ち会い報告書」を作成し、捜査書類に添付したのである。その内容はいうまでもなく、事件性をうかがわせるものではないし、「隠していた」などという事実も存在しない。

 続いて「行動する保守」Aは、明代の遺体の左右の上腕に「圧迫痕」があったというが、司法解剖鑑定書には「皮下出血の痕」とあるだけだから、これもきわめて正確性を欠く表現である。皮下出血の原因には圧迫もあれば打撲もあろう。この「行動する保守」は、現場も遺体も見ていない法医学者の「他人からつかまれた痕」という主張に説得力を持たせるために意図的に「皮下出血」を「圧迫痕」と言い換えたのだろう。

理解できない「誤読」

「行動する保守」のリーダーAの虚偽はさらに続く。 


 
〈千葉英司を勝たせた高裁の裁判官はですね、この鑑定書についているこのアザはですね、これは他人ともみ合ったときにつけられたものであるということが、これは認めたのですけれども、それがなぜ転落につながるのかと、転落死につながるのかと、そういうことについては推認できないと。そしてこれはですね、サインもしませんでした(鑑定書の意味がないじゃないか、これじゃー)。

 問題になるならば、法医学者が鑑定して申請したものをですねえ、これを裁判官が否定するにはですね、違う法医学者の鑑定書をですね、照らし合わせて、そしてどちらが正しいかを判断をすべきなんです。法医学者でもなんでもない裁判官がですね、その法医学者の鑑定書をもとにですね、アザはあるけれども、それはひょっとすると自分でつけたのかもしれないとかですね、あるいはなぜついたかのその理由も述べずに、それがその転落死と関係あると推認できないなどと、驚くべきですね、見解を出した(なんだそれー)。〉



 どうすればこんな嘘が次から次に出てくるのだろう。東京高裁が明代の上腕内側部の皮下出血の痕について「他人ともみ合った」ものと認めた事実はない。この点について東京高裁は判決で次のように述べている。

〈司法解剖鑑定書には、本件損傷が他人と争ってできた可能性があることをうかがわせる記載はなく、本件損傷の存在からは、鈴木医師の意見書に記載されているとおり、その生成原因として、明代が他人ともみ合って上腕を強くつかまれた可能性があることが認められるだけであり……〉

 これをどう読めば、「行動する保守」Aのいうように、東京高裁が「他人ともみ合ったときにつけられたものであるということが、これは認めた」ということになるのだろうか。

 また、「アザがなぜついたのかその理由も述べずに、それがその転落死と関係あると推認できないなどと、驚くべきですね、見解を出した」というが、東京高裁は判決文でこう述べている。

〈他の(筆者注=他人からつかまれた以外の)可能性を否定する根拠も十分なものでないと言わざるを得ず(鈴木医師が控訴人らから提供されて検討したとする乙56の1ないし8、57ないし61によって、他の可能性を否定することはできない。)、鈴木医師の鑑定書の上記記載は採用することができない。

 そして、司法解剖鑑定書の記載に加えて、前記認定の明代転落前後の状況(明代が転落前に人と争った気配はないこと、明代が転落後に意識があるのに、救助を求めていないこと、明代が落ちたことを否定したこと、明代が転落箇所から真下に落下していること等)を併せ考慮すると、明代が他人に突き落とされたもの(他殺)ではないことがうかがわれる。〉

 朝木直子から司法解剖鑑定書の「鑑定」を依頼された山形大学名誉教授の鈴木庸夫は、明代の上腕内側部の皮下出血の痕について、いくつかの可能性を検討した上で、他人からつかまれた以外に上腕内側部の皮下出血を引き起こすことは考えられないと結論付けた。これに対し東京高裁は、鈴木が挙げた以外にも皮下出血が起きる可能性もあり得ると判断し、鈴木の主張を退けている。東京高裁が上腕内側部の皮下出血の痕について「他人からつかまれたもの」と認定していないことは明らかである。東京高裁が「他人ともみ合ったときにつけられたものであるということが、これは認めた」とする「行動する保守」Aの主張がはなはだしい誤読に基づくものであることがわかろう。

 また「行動する保守」は東京高裁が皮下出血の原因を特定していないなどとも主張しているが、矢野が鈴木の「鑑定書」を証拠提出して「他殺の証拠」と主張しているのだから、東京高裁が判断すべきは皮下出血が「他人につかまれたもの(=他殺)」であるかどうかだけであり、その論拠として鈴木名誉教授の「鑑定書」が十分なものといえるかどうかである。したがって「アザがなぜついたのかその理由も述べなかった」などと非難するのはかなり的外れというべきではなかろうか。

 間違いは誰にもある。しかし、「行動する保守」Aは一行の中でもリーダー的存在である。そのAが街宣を行う以上、明確な事実の裏付けがなければなるまい。ところがAの街宣内容にきわめて単純な文言のすり替えや誤読が目立つのはどういうことなのだろうか。一行はどう見てもAの主張を信用しきっているように見える。「行動する保守」のリーダーともあろう者が、こんなことでいいのだろうか。

 ところが、「行動する保守」Aの嘘はこれで終わりではなかったのである。

(つづく)
関連記事

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

TOP