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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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第2回朝木明代追悼街宣(中編)
「情けない右翼」

「Mが洋品店に向かった」という連絡を受けたとき、私は洋品店の裏側を見回っていた。すると連絡どおり、「行動する保守」Mがまさになにかの決意を固めた様子で洋品店の方向に向かっていくのが見えた。ただちに店の前の通りに出て後を追うと、千葉が店先でMと対峙していた。Mの後方には2名の制服警官と公安らしき人物数名がいて、彼らもMを店先から引き離そうとしていた。千葉はMにこう警告した。

千葉  ここはお前の来るところじゃない。

 するとMは、こんなおもしろいセリフを吐いたのである。

  買い物に来たのになぜ入れない。

 Mはそういいながら、店先に吊るした商品を選ぶフリまでしてみせた。店に来たからといってすべての人間が買い物目的で来るわけではないことを、店側も私たちも経験的に知っている。平成7年6月30日、矢野と朝木明代もこの洋品店に現れたが、彼らの目的は買い物などではなく女性店主を脅すためだった。昨年9月1日、日の丸やプラカードを掲げて大挙して押しかけたのも、もちろん買い物をするためではなかった。「万引き捏造を許さないぞ」などと大声で騒いだ連中の中でも、店内に入ろうとするなどしたMが、いまさら「買い物だ」などといったところで通用しない。

 傷害事件を起こして服役し、刑期を終えたヤクザが被害者の家の敷地内に侵入すれば、それだけでお礼参りとみなされ、ただちに逮捕される。Mが洋品店にやってきたこともお礼参りにほかならず、それが「行動する保守」の誰であろうとお礼参りとみなされてもやむを得ないのである。

 しかも「行動する保守」Mは千葉に対し、「万引き捏造の追及」あるいは「真相の究明」という大義名分さえも口にすることができなかった。商品を選んでいるフリをするMに対して千葉はこういった。

千葉  情けない右翼だな。

 街宣では「万引き捏造」を主張して果敢にも店に向かったのはいいが、いざ店に行けば「万引き捏造の追及」ともいえず「買い物」とは、まさしく右翼としては情けないかぎりである。Mはそもそも自分で調査し、自分になりに考えた結果ではなく、矢野の主張を妄信し、「冤罪」を主張しているにすぎない。だから、Mはもともと何かを究明するために洋品店に行ったのではないということである。

 ではMは何のために洋品店に行ったのか。去年、千葉によって入店を阻止されたことに対する腹いせ、お礼参り以外には考えられない。なぜなら、報復でないとすれば「万引き捏造の真相究明」以外に洋品店に行く目的はなく、それが目的だったとすればMは「買い物に来た」とはいわないはずなのである。Mはお礼参り目的だったがゆえに「買い物に来た」と強弁したということになろう。去年Mは千葉のおかげで刑法に触れずにすんだのだが、Mにはそう考えることはできなかったらしい。

 土壇場で堂々と自分の意見を表明することもできないくせに、非も認める度量もない。その意味では「行動する保守」とはまさに「情けない右翼」であるということをこの日の街宣は実証したといえる。

 Mとちがって「行動する保守」Aはこの日の街宣が負け犬の遠吠えにすぎないことを自覚していたのか。「行動する保守」Aが洋品店に向かったMを放置して自分だけは洋品店に行かなかったのは、さすがに指導者だけあって賢明な判断だったというべきだろう。「行動する保守」Aが街宣終了後に未練がましくロータリーに残っていたのも、街宣がことのほか盛り上がりに欠けたというだけでなく、矢野も朝木も参加しなかったことの意味を自分自身に言い聞かせるために必要な時間だったのかもしれない。

聞かされていない不参加の理由

 翌9月2日、東京地裁立川支部で千葉が「行動する保守」西村修平を提訴していた裁判の第5回口頭弁論が開かれた。千葉とともに10分前に法廷の前に行くと、「行動する保守」の一行がすでに法廷前に集まっていた。立川駅前で街宣してきた割りには人数が少ないなと感じた。「行動する保守」Aは街宣には参加していたらしいが、法廷前にその姿はなく、結局、その日の法廷には姿をみせなかった。

 私にはある疑問があった。矢野と朝木は昨日の街宣になぜ来なかったのかということである。その理由を「行動する保守」一行はどう聞いているのか。開廷までにまだ時間があったので、私は一行の中の1人に聞いた。「行動する保守」の街宣には必ず参加し、おおむねいつも街宣者の後方で日章旗を持ち、いかめしい表情で周囲ににらみをきかしている人物である。ここでは仮にKとしておこう。Kはあまり乗り気ではなさそうだったが、私の質問に答えてくれた。



――矢野と朝木は昨日なぜ来なかったんですか。

  議会があったんじゃないですか。

――議会は午後3時に終わってるんだよ。「逃げた」ということなんじゃないの?



 Kは浮かない顔をして、もう何も答えなかった。Kは毎回欠かさず街宣に参加している主要メンバーであるにもかかわらず、最も重要な街宣の1つである朝木明代追悼街宣に当事者であり遺族である矢野と朝木が参加しない理由を聞かされていなかったのか。だからKは、議会があったから参加できなかったと理解していたのだろうか。

 仮にそうだとすれば、街宣参加メンバーに矢野と朝木の不参加理由を伝えないこと自体、一行が矢野と朝木の不参加になんらかの不満あるいは不信感のようなものを抱いたということを示しているのではあるまいか。なんらの不審も感じなかったとすれば、当事者が参加しない理由ぐらいは主要メンバーには伝えるのが自然だろう。

 しかし「行動する保守」に矢野と朝木に対する不信感が芽生えていたとしても、複数のメンバーが提訴された今となっては、不信感を表沙汰にするわけにもいかないというところなのではあるまいか。提訴されれば応訴しなければならず、応訴するには矢野と朝木の力を借りなければならないのである。「行動する保守」Aに通常の判断力があれば、ジレンマを感じていなければおかしい。

 矢野としても、ここまで「行動する右翼」らとの関係を深めてしまった以上、無下にはしごを外すのも難しかろう。「週刊現代」は(取材姿勢は別にして)一応社会常識の範囲をわきまえているが、「行動する保守」の場合にはその行動規範は一般とは異なるように思えてならない。矢野と朝木も「行動する保守」をおだてる一方、今後どう距離を保っていくか腐心しているというところなのではあるまいか。

(つづく)
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