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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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西村修平事件第6回口頭弁論(その12)
千葉反対尋問(6)

 手すりに残されていた手の跡が誰のものであるかは、自殺を否定したい矢野にとっても西村にとっても大きな問題である。明代が何者かによって抱えられて落とされたとすれば、明代の手の跡が手すりに残るはずはない。手すりの手の跡が明代のものであるということは、矢野の他殺説を否定するということなのである。

 では、明代の転落位置の真上の手すりに残っていた手の跡は誰のものだったのか。「手の跡はなかった」とはいえなくなった西村代理人は、それが明代のものとは断定できないとする無理な尋問を継続する以外になくなった。



⑥手すりに残された手の跡(つづき) 

西村代理人  それじゃ、あなたは、その手の跡というのは、朝木さんの手がぶら下がった痕だと、こういう判断したと、こういうことですか。

千葉  そうです。

代理人  もしそうならば、そこの筋に朝木さんの手の組織の一部が必ず残っていたはずでしょう。

千葉  ほう。

代理人  ほうではなくて、そうでしょう。どうして東村山警察は、そこに残っていた組織を捜査しなかったのですか。

千葉  そこまでは捜査の必要性はなかったと思います。

代理人  なぜなのですか。

千葉  これをやれた方は、必ず落っこちるはずです。

代理人  落っこちているはずだけれども。

千葉  この跡は余人にはできません。



 西村代理人のいう「組織の捜査」の目的は、その組織が誰のものかを特定するため以外にはない。したがって、「なぜ手すりに残っていた組織を捜査しないのか」という質問は、その手の跡が誰のものかは断定できないではないかという趣旨である。ところが代理人は一方でそういいながら、「ぶら下がった人は必ず落ちるから、組織の捜査をする必要はない」とする千葉の説明に素直に同意した。

 手の跡の真下に明代以外の人間が転落していたのなら話は別だが、手の跡の真下に落ちたのは明代以外にはいない。組織を捜査する必要性を認めなかったとする千葉の説明には合理性がある。つまり西村代理人は、その点については認めたということになる。

 手すりは踊り場下の階段に合わせて階段状の構造になっており、手の跡は階段状の上部と下部についていた(つかまった手の位置は右が上、左が下と段差があるから、よけいにつかまりにくい)。その2カ所の手の跡が明代のものであることについては矢野も直子も認めていた。TBS『ニュースの森』の取材に矢野は、手の跡を指さしながら、それが明代のものであることを認めた上で、「生きようとする執念のようなものを感じる」とコメントしている(1回目の放送)。「意に反して落とされた」とでもいいたかったのだろう。人間の血が通っているとは思えないコメントである。矢野は「横倒しに落とされた」とも主張するが、横倒しで落とされた人間が両手で手すりにつかまることは至難の業ではあるまいか。

 代理人が「落っこちているはず」と千葉に同意したということは、手の跡が明代のものであると認めたということである。手の跡が存在したこと、およびそれが明代のものであることを認めれば、手の跡に関してそれ以上千葉に何を聞くことがあるだろうか。しかし、代理人はなお手すりに残ったはずの組織にこだわった。



代理人  そうじゃなくて、私は跡をいっているのではないのですよ。その跡が、ぶら下がった跡であって、そしてそこに、そういうふうな手の跡が残っている、指紋が採れないということは、手をこすっているはずなのですよ。いいですか。

千葉  はい。

代理人  そうすると、必ず手の組織の一部はそこに必ず残っているはずです。日本の警察の現在の技術からしたら、その組織を検査することによって朝木さんがぶら下がったものかどうかというのはすぐわかったはずです。だれもそのときに、それを調べようとした人はいないのですか。

千葉  調べなかったというのは、先生、何を根拠におっしゃっていますか。

代理人  だって、調べなかったのだから。

千葉  だれが。

裁判長  だから、そこを調べたのですか。

千葉  はあ、もう1回先生聞きますよ。これが朝木さんの手を調べたということですか。

代理人  手を調べたのではなくて、そこに残っている手の跡の中には、あなたのいわれる方法によりますと、必ず手をこすっていますから、朝木さんの手の組織がそこに残っていたはずだというのですけれども、それはいいでしょう。

千葉  そうですね。

代理人  それなら、その組織と朝木さんの手の組織を調べれば、これは朝木さんがそこからぶら下がったということは、これは証明できますよ。そこまで捜査をしましたかと聞いているのです。してないですね。

千葉  DNA鑑定をしたかという意味ですか。そういう趣旨の質問ですか。この朝木さんの手の付着物と、ここの付着物の一致する鑑定をしたかということですか。

代理人  そうです。

千葉  そういう趣旨ですね。

代理人  そうです。してないですね。しましたか。

千葉  していますよ。肉眼でわかる範囲でしかやりません。検死官が肉眼で見ればこれはわかるのです。手の先の付着物を採取するのです。採取して、ここのところを比べております。それは肉眼でありまして、機械にはかけてないことは事実です。専門家が見て、そういっています。

 ただしこれについて、矢野さんがおっしゃっているでしょう。矢野さんがここで異物鑑定をやっているでしょう。鑑定に頼んだでしょう。朝木さんのスカートがここから跡が残っていることで、矢野さんが鑑定に出したのですね。そうしたら、違うといわれましたね。そこでは鑑定されたでしょう。鑑定にお願いしたから。

裁判長  それは違う話なので、結論的には、今いわれた範囲では捜査した結果、科学的なものはしていないということですか。

千葉  科学的なものはしていません。肉眼ではやっております。採取しております。



 代理人は組織の捜査をしたかどうかを問いただすことで何を明らかにしようというのか。捜査がずさんだったといいたかったのだろうか。しかし、明代の手指の付着物を採取し手すりの表面の汚れ部分と比較したという説明で十分だったろう。裁判官も介入はしたものの、「肉眼でやった」とする千葉の供述に対してそれ以上何も聞かなかった。

 ところで、ここで千葉がいった「矢野が行った鑑定」とは、明代のズボン(千葉のいった「スカート」は単純な誤り)に横方向に入っていた何本かの白い筋がどこでついたものかを鑑定に出したことを指している。矢野はこの白い筋が手すりの塗料なのではないかとの推測を述べていた。つまり、ズボンに横向きの白い筋が入っていたということは、横倒しに落とされた証拠ではないかという意味である。

 しかし『ニュースの森』によれば、鑑定の結果は、何かにこすった痕ではあるが、手すりの塗料ではないというものだった。そもそも、矢野は手すりの手の跡が明代のものと認めているから、当初の想定自体に矛盾があったということである。

 さて、転落現場真上の手すりに手の跡があったことを認め、さらにそれが明代のものであることを認め、手の付着物が手すりに一致していたことまで明らかにされた西村代理人はこれ以上、手の跡に関する尋問を続けることはできなかった。逆にこれまでの尋問をみる限り、代理人は千葉を追い詰めるどころか、結局は千葉の判断の正当性、合理性を説明させただけだったように思える。

 代理人自身もそう感じたのだろうか。以下の代理人の尋問は、すでに尋問ではなくなった。本筋とは関係ないが、参考までに代理人の言い分を聞こう。



代理人  今初めて聞く話ですよ。あなた方は要するに、捜査をしたといったって捜査の記録を全然出さないから、本来は公判廷において被告人の要求に基づいてそれを出さなければならないものをいっさい出さないで、質問されると、やあ、実はやったのだとか、本当にやっているのかやっていないのか、それは全然わかりませんよ。あなたはそういうことは、この法治社会でまかり通ると思っているのですか。

千葉  先生のご質問は、民事裁判で刑事資料を出さないのがだめだと、こういう質問ですね。

代理人  民事裁判で相互の主張、立証をする重要な証拠というのは、これはやっぱり証拠というものは公平にあれしなければならないものですから、刑事事件でそれを利用する機会が奪われている以上は、民事裁判でも出すのが当たり前であるというふうには私どもは考えています。

千葉  現行の訴訟の中で、刑事資料を民事裁判に出さないのは原告に限ったことだというご質問ですか。

裁判長  そういう質問ではないのですけれど、その点はよろしいのではないでしょうか。



 西村代理人の言い分は一般論として一面においてはきわめてまっとうなものと思えるが、この尋問は一般論を主張する場ではない。しかも、手すりに残された手の跡の存在を否定できなくなり、最終的にそれが明代のものであることについて疑念を差し挟む余地がない状況に追い込まれたあとでは、正論も負け惜しみに映る。千葉の供述を待たず、この件に関する尋問を終わらせた裁判長の穏やかな口調が、よけいに心証の優劣を際立たせた。

 なお、「行動する保守」Aは千葉が尋問されている途中で法廷から出て行ったようである。

(つづく)
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