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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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西村修平事件第6回口頭弁論(その15)
尋問当日に提出された書証

 千葉と西村に対する尋問が行われた平成21年11月11日、西村代理人は準備書面とともに矢野からのメールを書面化したものを書証として提出している。尋問における代理人の尋問内容と主張は大筋において矢野の書面と符合しており、代理人の尋問が矢野の書面に基づいて行われたものであることがうかがわれた。

 代理人が書面化した書証は「千葉準備書面(6)の疑問点」と題して9ページ。証拠説明書の日付によれば、矢野からのメールは1週間前の11月4日に送られてきたものとみられる。その内容は前回紹介した事務所および自宅の調査の申し入れに関する主張のほか朝木事件全般にわたるが、いずれもすでに裁判で排斥された主張がほとんどである。

 その中で、これまであまり裁判で主張してこなかったことといえば、千葉の主張の根拠とりわけ物的証拠など警察の捜査資料が法廷に提出されていないこと、万引き事件などの目撃者が明らかにされておらず、反対尋問にもさらされていないから信用性がないなどとする主張である。前回までにみてきたように、千葉を追及するはずが逆に捜査結果の正しさを認めさせられ追い詰められた西村代理人が最後に、警察は捜査資料を提出していないとか目撃者の身元を明らかにせよなどと主張したのも、矢野のメールの影響を受けたもののように思えてならない。

 要は、捜査資料の提出を求める以前の問題として、矢野も代理人も裁判所にその主張を認めさせるだけの反証も提出できず、また合理的な反論もできなかったということにすぎない。たとえば実際に矢野は、「聖教新聞」裁判で明代がアリバイを主張したレストランのレシート一覧の提出命令の申立をしたが、東京地裁はこれを却下している。もちろん矢野が代理人にそんな経過を説明しているはずはない。今回の尋問で裁判長が、千葉に対して捜査資料の提出も目撃者の公表も求めなかったことも同様の経過といえるのではあるまいか。

 尋問を終えた西村代理人が、書証の提出から主張に至るまで全面的に依存した矢野の主張と説明をどう考えているのかは定かではない。しかしこれまでの経過を知る者からみれば、矢野が送ったメールの内容にはなんらの真実もなく、なんとか代理人を丸め込もうとしているようにみえる。参考までにその一部を紹介しよう。

自ら否定していた拉致・監禁説

 明代が矢野に最後の電話をかけてきたときの状況について矢野と朝木は、「生命の危機的状態にある」という声紋鑑定の結果が出たことを理由に、明代が脅された状態で電話をかけさせられたものだと主張している。その後、転落ビルまで連れて行かれ、突き落とされたというのが矢野と朝木の主張で、西村もまた同じ主張をしている。これに対して千葉は準備書面で、矢野自身が拉致・監禁説について否定した事実を紹介するかたちで拉致・監禁説を否定した。これに対して矢野はメールで次のように反論している。

〈「被告の主張は、拉致・監禁中の朝木市議が自宅から矢野氏に電話したとの前提であるが、別件の聖教新聞事件裁判で拉致・監禁説を否定した矢野氏の証言とも矛盾する。」との千葉の主張は我田引水の典型で、NTT通話記録(証拠あり)から特定できます。〉

 矢野はそういいながら、なぜ千葉の主張が「我田引水」といえるのかについて具体的な説明はいっさいしていない。もちろん千葉がここで「明代が矢野に電話してきたこと」それ自体に疑念を唱えているわけでないのは明らかである。したがって、「NTT通話記録(証拠あり)から特定できます。」ということによって矢野が何をいいたかったのか趣旨不明というほかない。具体的な説明ができなかったものと理解できよう。

 千葉がここで主張しているのは、「明代は犯人から脅された状態で最後の電話をかけさせられた」すなわち「明代は事務所から拉致され、自宅に一時的に監禁されたのちにビルから突き落とされた」とする矢野の主張は、矢野自らが否定しているということ、すなわち「拉致・監禁説」にはなんらの根拠もないことを西村の唯一の情報源である矢野自身が認めているということである。「聖教新聞」裁判において矢野は以下のように供述している。



東京都代理人  具体的にはどのような方法でそういう殺人が行われたというふうに、あなたは考えているんですか。

矢野  殺人が行われた方法を私に教えろといわれてもですね、それは推測の域しかできませんし、5階の階段手すりあたりから落とされたということ以外にないんじゃないでしょうか。

代理人  今明らかになっている時点では、自宅に監禁されていたということでしょ。自宅に監禁されていて9時19分ごろ、あなたのキャッチに何か墜落したパイロットの交信みたいな形で危機に瀕したようなトーンだったと、こういうことですよね。

矢野  そのとおりですが。

代理人  その前は、そもそも明代さんは、どういうふうに呼び出しをかけられたんですか。

矢野  だから、私は主尋問では何もお話ししてないと思いますが。鑑定の結果については資料を基にお話ししたと思いますが。



 こう供述して、それまで主張してきた「拉致」の状況について話そうとしない矢野に対して、代理人は矢野が高知の反創価学会活動家に対して電話で語った内容を具体的に突きつける。



代理人  東村山の駅まで、だから駅にだれか来てですね、交番がすぐにあるんですが、交番の側にはボックスがあって、そこから電話をかけてきて、どう行けばいいかって聞かれてるでしょう。そうする。じゃあ待ってて、迎えに行ってあげるからという調子でですね、全部を置いて鍵だけかけて迎えに行って帰ってくると2分、その状況で消えているんですと。

矢野  イメージは。

代理人  イメージはということで、これがあなたの拉致殺人説の基本的な筋なんじゃないんですか。

矢野  ちょっと、もう少し文脈を読んでから聞いていただきたいんですが、それは時間の経過というか、時間の経過がどのくらいの関係だったかと、それを例示してイメージでお話ししただけであって、別に殺害事件のストーリーをそこでシナリオをいっているわけでは全然ありませんから、誤解のないようにしてください。

代理人  違うんですか。それではあなたが思っている本件が殺人であるというような状況というのは、1つは自宅に監禁されていたと、そこから電話をしたんだとそういうことですね。それも違うの。

矢野  私は監禁されたとまでは公表しておりませんが、自宅から21時19分に9・5秒のキャッチホンを私にかけてきた、それが最後の電話であると、したがって、最後こちらと連絡を取ったのは自宅であると、それははっきりしているという事実しか言っておりませんが。

代理人  そうですか。

矢野  はい。そこから拉致された、どこへ行ったという話はどこにも出ておりませんよ。この件に関しては殺害事件ですから、不用意な発言はいっさいしておりませんし、市民新聞にも書いておりません。



「時間の経過」を説明するのに、なぜ駅の近くの電話ボックスから何者かが草の根事務所に電話をかけ、明代を呼び出したなどという具体的かつ詳細なイメージが出てくるのかわからないが、矢野がこのストーリーを第三者に話していたことは動かせない事実である。重要なのは、理由はどうあれ、矢野が法廷で自ら話したストーリーを否定したという事実だろう。

 もう1つ重要なのは、矢野が第三者に対して自宅監禁説を主張していながら、尋問ではなぜか「自宅監禁説」「自宅からの拉致説」を公表した事実はないと主張している点である。本当だろうか。矢野は明代の葬儀が営まれた平成7年9月4日に放送されたラジオ番組のインタビューに次のように答えている。



――矢野議員としては、朝木さんは脅かされた中で電話をしてきたということなんでしょうか。

矢野  そのへんはちょっと確言はできませんが、非常に自由がきかない状態でかけてるんじゃなかろうかと思います。

――略――

――ということは、拉致監禁というような状況にあったかもしれないということですか。

矢野  そういう推定ができるということと……――以下、略――。



 明代は拉致監禁という状態で電話をかけてきた(と推定できる)と矢野は述べている。これは「自宅監禁説」を公表したということにならないのだろうか。また矢野は、当の「聖教新聞」裁判で尋問前に提出した陳述書で次のように述べている。

〈この事実(靴が発見されていない事実)は、朝木議員が現場まで自ら歩いていったのではなく、事務所に電話をかけたときにいた自宅から何者かに連れ去られたことを物語っています。〉

 これが「自宅からの拉致説」でなくて何だろうか。ここで矢野が、転落した明代が最初から靴を履いていなかったことを認めている点も興味深いが、いずれにせよ矢野は裁判官の前で陳述書にも記載した「拉致・監禁説」を否定し、「最後のメッセージ」は9時19分に明代がかけてきたもので、それが最後の電話であり、自宅からかけたものであるという事実しか意味しないことを認めたのである。 

〈「被告の主張は、拉致・監禁中の朝木市議が自宅から矢野氏に電話したとの前提であるが、別件の聖教新聞事件裁判で拉致・監禁説を否定した矢野氏の証言とも矛盾する。」との千葉の主張は我田引水の典型で、NTT通話記録(証拠あり)から特定できます。〉(再掲)

 矢野の主張と尋問での供述の経過をふまえて、矢野が西村代理人に送ったメールの記載内容をあらためて確認すると、矢野が代理人に対して何を隠したかったのか、事実がどこにあったのかということがよりご理解いただけるのではあるまいか。西村代理人は矢野のこの説明に何も疑問を感じなかったのだろうか。

 矢野は自分自身が「拉致・監禁説」を否定したことを隠したかった。自分たちに対して主張したことを実は矢野自身は否定していたことを知れば、いくら「行動する保守」一行でも、少しはおかしいと気づくかもしれない。それだけでなく矢野にとって、「拉致・監禁説」を否定するということは「他殺説」を自ら否定するに等しい。すると当然、明代の転落ビルまでの足どり、すなわち明代は転落前に草の根事務所に立ち寄らなかったのかという疑問も出てこよう。

 そんな事情も知らないまま、西村ら「行動する保守」一行は矢野の「拉致説」を鵜呑みにしたのである。

(つづく)
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