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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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久米川駅東住宅管理費等不払い事件控訴審判決(その2)
供託の意味と狙い

 管理組合が供託金の一部を受領したことによって、管理費等として矢野が供託していた月額1万3000円を認めたことになると主張している矢野が根拠としたのは次の最高裁判例である。

〈金額に争のある債権につき、金額に対する弁済を供託原因として供託した金額が、債権者の主張する額に足らない場合であっても、債権者が供託書の交付を受けてその供託金を受領したときは、受領の際別段の留保の意思表示をなした等特別の事情のない限り、その債権の金額に対する弁済供託の効力を認めたものと解するのが相当である。〉

 この最高裁判例を示した上で矢野は、

「前記最高裁判例に言う『受領の際別段の留保の意思表示をなした等特別な事情』というのは、供託金の還付を受ける者は、法務局に提出する払渡請求書の『払渡請求事由及び還付取戻の別』欄に『供託受諾』である旨記載し、且つ払渡請求書の『備考』欄には、『支払いを受けるべき額(債権)の一部として供託を受諾する』等の留保の意思表示を明記しなければならないことを言うのであって……」

 とし、管理組合が供託金の一部を受領した際には払渡請求書に留保の意思表示をしていないから、矢野がした供託の効力を認めたことになると主張していた。すると矢野は、組合総会で決定した管理費等1万7000円に4000円足りない1万3000円を供託するに際して、これを管理組合が留保の意思表示をしないまま受領すれば、矢野の供託が有効になることを知っていたということになろう。

 矢野は昭和54年、福島県檜枝岐村で借りていた廃校舎の賃貸契約を村が打ち切ろうとした際、賃料を供託することで契約の有効性を主張したことがある(檜枝岐村事件)。村が供託金を受領すれば矢野の供託の有効性、すなわち契約が継続していることを認めたと矢野は主張することができる。檜枝岐村は供託金を受領しなかった。

 内容はまったく異なるが、供託によって自らの主張を法的に有効なものにしようとしたという点においては東住宅のケースも同じである。供託という行為の意味とその法律的効果について矢野には経験も知識もあったとみるべきだろう。つまり、供託の時点で矢野がそれを狙っていたのかどうかはわからないが、供託の法律的有効性が認められれば矢野は管理費等を他の住人よりも4000円安くすることができるのである。

 供託の有効性が認められれば、管理費等は1万3000円が妥当とする矢野の主張が認められたと宣伝することもできよう。そうなれば、実質的に矢野の勝ちである。控訴審で矢野が供託を争点とした背景には、たんに管理費等を支払うか支払わないかという実務上の問題を超えて、管理組合の決議に異を唱えた自らの主張に対する特異なこだわり、自らの主張を正当化させようとするなにか強固な意思のようなものがあったのではあるまいか。

 いずれにしても、矢野は供託した時点で、管理組合が供託金を何の留保もつけずに受領してくれるのを待っていたものと推測できる。そうなれば、矢野の狙いどおりの流れになるのである。

受領されなかった内容証明

 一方、久米川駅東住宅分譲棟(336世帯)の管理運営を担う管理組合としては、矢野・高野を含む3世帯の住民が管理費等を支払っていないという事実は、公平性の上からも実務上の問題からも見過ごしにできないのは当然である。また、管理費等を1万7000円としたのは総会決議によるものであり、矢野の主張する1万3000円という額を是認できるはずもなかった。

 管理組合が平成15年10月~平成16年12月分として矢野が供託した月額各1万3000円の供託金を受領したのは平成17年2月23日のことである。ただこのとき、法律の専門家でもない管理組合は供託の意味を厳密には知らず、受領の際、払渡請求書にそれが正規の管理費等の一部に充当するものである旨の留保の意思表示をしなければ、供託の有効性を認めることになるという知識もなかった。
 
 この局面だけを見れば、矢野が主張するとおり、管理組合は矢野が主張する管理費等1万3000円を容認したものと判断されてもやむを得ない状況にあったことがわかろう。その後管理組合は供託金の受領をしていないが、これは弁護士のアドバイスによるものだった。弁護士はのちのち問題が複雑化することを懸念したのである。

 ただし管理組合も、供託金の受領に関する細かな法律的知識はなかったものの、供託金の受領以前に矢野に対して1万3000円を是認するものではないとする意思表示をしていなかったわけではなかった。管理組合は供託金の受領前の平成16年7月15日付および平成16年11月11日付で月額1万7000円×滞納月分の支払いを求める督促状を矢野・高野宛に送付。それでも矢野から納付されなかったため、管理組合は供託金受領の20日前、平成17年2月3日付催告書を送付している。この催告書には供託金を受領する旨の記載があるが、矢野の供託額を是認するものではないとする次のような明確な意思表示がなされていた。



 当組合は管理組合規約に則って供託金のすべてを収納することをご通知申し上げるとともに供託の原因たる事実を当組合が承服したことではないことをご確認下さい。



 供託金受領の際の払渡請求書には留保の意思表示はないものの、管理組合が矢野に対して矢野の供託の有効性を認めていたものでないことは明らかだった。しかし、管理組合が送付した3通の内容証明をめぐっては奇妙な事実があった。管理組合が矢野・高野宛に送付した3通の催告書はなぜかいずれも、「受取人不在」を理由に受領されないまま管理組合に返ってきていたのである。

 平成16年7月15日から1週間、平成16年11月11日から1週間、平成17年2月3日から1週間、東村山市議である矢野と認可保育園の施設長である高野はそれぞれの間、たまたま2人そろって自宅に帰っていなかったのだろうか。

(つづく)
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