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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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久米川駅東住宅管理費等不払い事件控訴審判決(その3)
留保の意思表示を認定

 管理組合が矢野と高野に対して管理費等の支払いを求めて送付した3通の内容証明はいずれも受領されなかった。では東京高裁は、管理組合が供託金を受領したことによって管理組合は矢野の主張する管理費等1万3000円を容認したことになるとする矢野の主張をどう判断したのか。東京高裁は次のように述べた。

〈被控訴人(管理組合)が、平成17年2月21日控訴人矢野が平成15年10月分から平成16年12月分まで管理費等月額1万3000円として行った供託を受諾して還付を受けたので、1万3000円について債務消滅の効力が生ずることになる。しかし、管理費等は前記のとおり、月額1万7000円であるから、4000円について債務が消滅することはないし、被控訴人は、供託金の還付を受けたことにより管理費を3000円とすることを認めたものということもできない。〉

 矢野は管理組合から送付された内容証明の内容が何であるか、おおよその予想はついていただろう。しかし、矢野が管理組合からの内容証明を受領しなかったからといって、管理組合が矢野に示した意思表示そのものが消えてなくなるわけもない。東京高裁は臨時総会における決議や管理組合の居住者全員に対する立場、さらに矢野が受領しなかった内容証明の内容などを総合判断し、矢野の供託を認めたものではない(留保の意思表示)とする管理組合側の主張を容認したものと思われた。

 管理組合に留保なく供託金を受領させ、内容証明を受け取らないことによって、管理費は1万3000円が妥当とする主張を管理組合が認めたことにしようとした矢野のもくろみは裁判所には通用しなかったということになろう。

供託そのものの有効性も否定

 矢野と高野は東住宅の居住者として管理費等の支払い義務があったにもかかわらず総会決議を論難して支払わず、管理組合が受領を拒否している」という理由で供託したが、その金額は総会で決議した額に満たず、同時に供託した延滞利息も管理規約に規定されている14・6%を無視して勝手に5%の利息を供託した。
 
 矢野と高野の供託にはどこを探しても正当な部分はないように思えた。またそもそも矢野の供託は有効なのか。それらの点について東京高裁は、管理費等を1万7000円とした総会決議の有効性を認めた上で、次のように詳細に認定している。 

〈控訴人矢野は、平成15年10月分から平成16年12月分まで、管理費の未払い分として月額4000円と各月末から供託日まで年5%の割合による遅延損害金を付加して供託したことにより債務全額を供託したことになるから、同債務は消滅したと主張する。そして供託書の「供託の原因たる事実」欄に「被供託者(被控訴人)は供託者からの弁済を受領しない意思表示をしている」と記載しているが、被控訴人が弁済の受領を拒んだ事実を認めるに足りる証拠はなく、かえって、弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、従前から控訴人らが適正金額の管理費等を業務時間中に被控訴人事務所まで持参すれば、いつでも受領することとしており、弁済の受領を拒んだことがないことが認められる。したがって、控訴人矢野がした供託は、供託の有効要件を欠くから、無効である。〉

〈管理規約によれば、遅延損害金の利率は年14・6%であり、その始期は毎月8日なのに、控訴人矢野は、各月末から年5%の割合とする計算で供託しており、従前の1万3000円の供託と併せても債務全額の供託となっていないから、控訴人矢野の供託は、一部供託として無効である。〉

〈控訴人矢野の平成17年1月分から平成19年9月分までの月額1万7000円と各月末から年5%の割合の遅延損害金の供託についても、供託の有効要件である被控訴人が弁済の受領を拒んだ事実を認めるに足りる証拠はなく、遅延損害金についての供託金額が上記のとおり、債務額に比して低額であるから、債務の本旨に沿った適法な供託ということはできないから、無効である。〉

 東京高裁はこう述べて、管理組合が矢野の管理費等の支払いを拒んだ事実はなく、遅延損害金の金利もその計算が間違っているから供託は無効であると認定し、管理組合が供託金を受領していない平成17年1月以降の供託についても同様の理由で無効と認定した。矢野の管理費不払いと供託に関する主張はことごとく排斥されたのである。

居住者全体の損失

 平成16年3月以降、法務局に毎月通って供託をしてきた矢野は、こうして法務局に残った供託金について自分の手で払い戻しを受け、直接管理組合に支払わねばならないことになった。管理組合がわざわざ法務局に出向いて受領の手続をする必要はない。矢野が管理組合に直接支払わなければ差押えという事態もあり得よう。

 ところで、管理組合が裁判で請求したのは平成19年9月分までである。矢野は平成19年10月以降も支払っていないが、それ以降の管理費等はどうなるのか。その点について確認すると、管理組合は平成19年10月以降現在までの管理費等についても追加請求しているので、矢野はそれも含めて直接管理組合に支払わねばならないとのことである。

 こうして管理組合発足から丸6年、矢野と高野らによる管理費不払い問題はようやく片づこうとしている。今回の判決で供託そのものが明確に無効と認定されたことで、矢野も今後は供託をしにくくなろう(普通なら「もう供託はしない」と断言できようが、こと矢野に限っては、そう断定する自信がない)。

 他の住民が問題なく支払っている管理費等を徴収するのに丸6年の月日をかけ、弁護士費用等の費用まで必要とした事態は異常というほかない。管理組合担当者の苦労もひととおりではなかったろう。当然、管理組合が負担した費用は組合員である居住者全体の損失である。

(了)

※なお、矢野と高野だけは2月1日付で上告していたことがわかった。繰り返し「供託は無効」と認定した東京高裁判決は、供託を得意とする矢野にとってよほどプライドを傷つけるものだったのだろうか。もちろん高裁判決後も、矢野は供託を続けている。
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