ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

万引き被害者威迫事件 第14回
隠し録りだった「会話記録」

 矢野のいう1回目の訪問時に、「取材」の目的も素性も明かさなかった矢野と明代は、次の訪問時には「取材」の目的らしきものを口にしたが、やはり2人が何者であるのかについては明らかにしていない。被害者の代理人は続いてこの点を追及した。 
  
代理人 2ページ目、午後8時前というのは2回目にいらっしゃったときですね。

矢野 はい。

代理人 まだ帰っておられないというようなやりとりの中で、この中であなたが取材に来たということを告げた部分を示していただけますか。

矢野 真ん中からちょっと下のところに、「取材というのは6月19日に市議会議員が万引きしたという話を聞いたんですよ」というふうに説明してあるはずですが。

代理人 ほかの部分はありますか。

矢野 それだけいえば十分だと思いますけどね。店主の方に取材をしたいということを再三言ってますので、それだけ伝えれば伝わるというふうに私は考えておりますが。

代理人 「取材の内容は市会議員が万引きをしたという話を聞いたんですよ」というふうにおっしゃってるけど、東村山市民新聞だけどということはおっしゃってないようですよね。

矢野 店主の方じゃないからそこまではよろしいんじゃないですか。

代理人 でも、取り次いでもらうにはそれぐらい言うのが普通じゃないですか。

矢野 それは考え方の問題で、店主の方が前にいればこういうふうなことで取材に来ましたと、名刺を出すとか、そういう手続きになりますけども、その方は、店主の方はいつ帰ってくるかもわからないという、私のお見かけしたところ、電話で連絡して来ないように言ったように見えましたので、その範囲にとどめただけですが。

代理人 あなたは取材されるとき、この件は別として、取材に自らいらっしゃることが多いんですか。

矢野 大事な件は編集長ですから行きます。

代理人 名刺とか、そのときには先方に置いてきたりしますか。

矢野 置いてくる場合もあります。そういう名刺を持っておりますから。

代理人 このときはどうでしたか。

矢野 先ほどもお話ししたでしょう。店主の方はいらっしゃいますかということをお聞きしたんですよね。いたら取材に応じてくださるということであれば、名刺を交換するとか、そのやりとりはありますよ。それはなかったんです。

代理人 取材に行って本人がいなかったんで、もう6月30日は会えなかったわけですよね。

矢野 はい。

代理人 あなたとしてはこのあとまたいるときに訪ねてこようかということは考えませんでしたか。

矢野 いや、その様子から見て、これは簡単に会える相手ではないなというふうに理解しました。

代理人 それはあなたの理解ですね。

矢野 7時に来て8時に帰る予定の人が帰ってこないわけですから、ああ連絡取ったんだなというふうに思いましたよ。

代理人 そういうことで来ても会えないだろうというふうに考えたということですか。

矢野 そうですね。直接行くと、反訳にも入っておりますが、お客さんがいますから、非常に取材としてはやりにくいんですね。お客さんが来ましたから出ていってくださいという趣旨で最後出ざるをえなかったんですから。いわゆるそういうのを直撃取材というんですか、直接取材をするというのは無理だという判断をしたんです。

代理人 あなたとしては直接店主本人に会えなければ自分の素性を明かす必要もないし、名刺を置いてくる必要もないというふうに考えたということですね。

矢野 そのとおりです。

代理人 これは録音されたものなんですが、この録音については店員は知ってましたか。

矢野 私は申し上げておりませんが。

代理人 テープかなにか見えるようなかたちで。

矢野 申し上げておりません。

代理人 いわゆる隠し録りですね。

矢野 それはそのとおりです。

代理人 ほかの取材でもそういうことはやられるんですか。

矢野 たまにはあります。大事な取材のときには、あとで担保が必要ですから。

代理人 要するに、録音しますよとも録音しますともいわないと。

矢野 そうですね。

 矢野は店員に対して「取材の内容は市会議員が万引きをしたという話を聞いたんですよ」と話しかけているが、パート店員がこれを「取材」内容の説明と受け取ったとしても、それでもなお身元を明かさなかった点について、矢野は相手が店主ではなかったからだと答えている。しかし、相手が誰であれ「取材」は「取材」である。どんな取材でも、取材相手が多い方がいいのは当然なのだから、相手が店員だろうとこれもやはりりっぱな取材活動であり、店主ではなかったから身元を明かす必要がないというのは合理的説明とはいいがたい。

 余談だが、最近、矢野と朝木直子はホームページで、市民が彼らに何か質問したい場合、さらに「回答をご希望の方は住所氏名もご記入を」と書いている。市民が市議会議員である矢野と朝木直子に何かを聞くには、氏名だけでなく住所までも明らかにしなくてはならないが、彼らが市民に何かを聞こうとする場合には相手の仕事を滞らせても、(住所はともかく)名前も名乗らなくてもいいということらしい。あるいはまさか、被害店に出向いた矢野と明代はそのとき、こっちも名前を名乗らないかわり、相手からの回答も必要ないと考えていたのだろうか。そんな「取材」はあり得ない。

 また、矢野はこのときまだ被害者が店に帰っていなかったことをもって「簡単に会える相手ではない」とか「連絡取ったんだな(その結果、店主は店に来ないことにした)」などと考えたというが、矢野がそう考えた根拠は説得力に乏しい。「社会的信用にかかわりますので、やはり市民新聞として総力を挙げて取材調査をして真相を究明しなければいかん、それを市民の皆さんに説明する責任があるだろう」(「許さない会」裁判での供述)とりっぱな「社会的責任感」に燃えて「取材」に行ったにしては、パート店員とのたったこれだけのやりとりでもう取材をあきらめたというのでは「新聞」の名に恥じよう(尋問の時期は前後するが、1つの事実に対する同一人物の供述なのであり、時期が前後するからという理由で整合性がなくても仕方がないということにはなるまい)。

 矢野は代理人の厳しい追及の前に、素性を明かさなかったことについて裁判官になんとか説得力のある弁明をしようとするあまり、「(本人には)直接取材をするというのは無理だという判断をした」というところまで行ってしまったようにみえる。しかしこれは、その後の矢野と明代の行動とも矛盾する。その2日後の平成7年7月2日、矢野は被害者本人に直接電話をかけ、同日、明代は支持者の小坂渉孝をともなって被害店に行き、被害者本人と顔を合わせているからである(この日の状況については拙著『民主主義汚染』でも触れたが、のちにあらためて詳述する)。

 この尋問では矢野の主張する「来訪目的」の不自然さ以外に、矢野と明代の特異な「取材手法」も明らかになった。本人がいなかったからとして、名前を名乗る必要のないと考えた相手との会話を隠し録りしていたのである。矢野あるいは明代が常にテープレコーダーを持っているという話はよく聞いたことがあるが、取材対象とは認めていないはずのパート店員との会話まで隠し録りする必要があるとはどういうことなのか。彼らがパート店員からなんらかの情報を引き出し、あるいは言質を取ることを期待していたとみられてもやむを得まい(再度訪問した場面では、特に明代がそう思わせる質問をしている)。

 通常、隠し録りという取材手法がアンフェアなものであることはいうまでもない。当然、隠し録りだったことを指摘されることは、矢野にとって心証的に不利な材料であるといえる。しかし矢野は、隠し録りであることを素直に認めた。「録音をそのまま反訳」したとして提出した「会話記録」に録音を通告する発言が存在しない以上、通告したと主張することは「会話記録」そのものの信用性を疑わせることになる。「録音については店員は知っていましたか」と聞かれた矢野は隠し録りを認めるほかなかったのだろう。


(第15回へつづく)
関連記事

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

TOP