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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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西村修平事件一審判決 第5回
プラカードの記載内容も全面的に否定

 真実性判断の論点(争点)は本連載第2回で示したとおりである。このうち①と⑴について東京地裁は西村の主張を全面的に否定した(本連載3、4回)。②⑵以降の論点はいずれも「明代が計画的に殺された」とする事実が存在しなければ、その可能性は生じ得ない。したがって、「明代が自殺したのではなく計画的に殺害されたものであること」を全面的に否定した東京地裁は、そのことを理由に「その余の争点については検討するまでもない」と切り捨てることもできた。

 しかし東京地裁は丁寧に②⑵以下の争点についてもなお検討し、判断を示している。「創価学会の4悪人」などと記載したプラカードについては直接の請求内容には含まれていないものの、東京地裁はこの記載を悪質と考えており、その内容に重なる争点について具体的な判断を示しておくべきと考えていたのではないか、私はそう推測している。②⑵以下の論点について東京地裁は次のように述べた。



 以上のとおり、亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであることは認められないが、仮に亡明代が殺害された可能性があるとしても、本件において、原告が、(明代が殺害された)事実を知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げ、またはこれを断定して、隠蔽しようとしたこと、創価学会が亡明代の謀殺事件に関わっており、原告は、創価学会の学会員である検察官2名と結託して上記隠蔽に加担する不正を行ったこと、原告がその隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したことは、いずれも客観的にこれを認めるに足りる証拠はない。

 よって、本件各表現について、摘示または前提とされた事実の重要な部分が真実であることが証明されたとはいえず、違法性は阻却されない。



 裁判官の意図はともかく、この認定によって「創価学会の4悪人」などと記載したプラカードの内容も否定されたことになる。こうして東京地裁は、千葉が問題とした西村街宣すなわち矢野穂積と朝木直子の主張の真実性をすべて否定したのである。

添付写真の証拠能力を否定

 名誉毀損裁判では、表現内容について真実性が認められなかった場合でも、そう信じたことに相当の理由があったと認められれば違法性は阻却される。では、西村が「明代は殺された」と信じたことに相当の理由があったのか。

 平成20年7月29日以降、「行動する保守」Aや西村らが開始した「他殺疑惑」街宣にいかなる根拠があったのか、またそれは彼らがどのような調査を行った結果だったのか。西村街宣の相当性が認められるかどうかは、「行動する保守」一行の街宣に相当の根拠があったかどうかが問われるということである。したがってこの裁判において、相当性の判断は真実性判断と同等の重みがあると私は考えている。

 平たくいえば、「行動する保守」一行が『東村山の闇』など矢野や朝木の主張、あるいはそれまでの週刊誌記事の内容についてなんらかの裏付けを取ったのか、それらをただ鵜呑みにして騒ぎ、市民に多大な迷惑をかけただけだったのかということである。東京地裁はどう判断したのか。

 東京地裁は西村の街宣およびブログ記事掲載当時、西村がその前提として把握していたものは、
①司法解剖鑑定書(ただし添付写真を除く)
②音声鑑定書
③国会議事録(筆者注=自民党保坂三蔵の質問や野田刑事局長の答弁を記載したもの)
④『怪死』(乙骨正生著)
⑤『東村山の闇』
⑥『週刊文春』等の週刊誌
 ――だったと認定している。

 このうち①の死亡解剖鑑定書について裁判所が「(ただし添付写真を除く)」とただし書きを付したのは、矢野と朝木が西村に提供し、書証として提出した鑑定書の添付写真がきわめて不鮮明なもので、それが事実の記録として通用するものではないと判断したためではないかと私は推測している。司法解剖鑑定書を法廷に最初に提出したのは東京都で(救急隊事件)、その事件記録に綴られた添付写真はきわめて鮮明なものである。明代の上腕内側部やそれ以外の部位の写真を確認すると、上腕内側部の皮下出血が上腕裏側から続くもので、明代が打ちつけたとみられるフェンスの形状に近い。ところが、西村が提出した添付写真ではそのような遺体の状況は確認できない。

 矢野はその後多くの裁判で司法解剖鑑定書を証拠として提出したが、鮮明な写真を添付したことは1度もない。矢野はなぜそのような不鮮明なコピーを添付したものを証拠として西村に提供したのか。事実を隠蔽するためであると考えても不自然ではあるまい。いずれにしても東京地裁は、添付写真があまりに不鮮明だったため、判断材料の1つとするには適当ではないと判断したのではないかと私はみている(「西村修平事件第6回口頭弁論(その6)」参照)。

矢野と朝木の主張を鵜呑み

 さて、これらの資料をもとに「明代は計画的に殺害されたにもかかわらず、千葉は万引き事件をねつ造するなどして隠蔽し、自殺として処理した」とする西村の主張に対して東京地裁はどう判断したのか。東京地裁は次のように述べた。



 被告が参考にした上記資料には、左上腕部後面等に皮下出血を伴う皮膚変色部があること(上記①=筆者。以下、同)、本件転落死事件直前の亡明代の声からは亡明代が相当な精神的緊張にあったと推測されること(上記②)及び亡明代が自殺したとするには不自然な点があることなどが記載されている(上記③④⑤⑥)にすぎないのに、被告は、原告が本件転落死事件につき早々に本件被疑事件を苦にした自殺説を打ち出して他殺の証拠を無視したなどと記載されている本件書籍等を前提とし、これに沿うように上記資料を解釈して、本件各表現を行ったものと認められ、これらの事情に照らすと、被告が報道等に携わる者ではないことを考慮しても、裏付け調査を十分にしたとはいえず、本件各表現当時、亡明代が自殺したのではなく、計画的に殺害されたものであることを被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。

 ましてや、本件において、原告が、同①の事実(筆者注=明代が計画的に殺害された事実)を知りながら、あえてこれを自殺事件に仕立て上げ、またこれを断定して、隠蔽しようとしたこと、創価学会が亡明代の謀殺事件に関わっており、原告は、創価学会の学会員である検察官2名と結託して上記隠蔽に加担する不正を行ったこと、原告がその隠蔽工作として亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造したことは、被告の推測にすぎず、本件各表現当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできず、本件各表現の意見ないし論評が公正な論評として許容される範囲であるともいえない。



 東京地裁はこう述べて、西村の街宣と記事の相当性も否定した。西村ら「行動する保守」一行が街宣の時点で出されている判決を何一つ読んでいなかったことは想像に難くないし、なんらの調査もしていないことは西村に対する尋問からも明らかだった。東京地裁は西村の街宣や記事がなんらの裏付け調査もしないまま矢野と朝木の主張、週刊誌記事などを鵜呑みにしたものと認定したということである。

 これは重大な認定ではあるまいか。すると西村ら「行動する保守」一行は、なんらの裏付けもないままに集団で万引き被害者の店に押しかけ、大声でいいがかりをつけたということになる。尋常な感覚ではあるまい。

 今回の東京地裁判決は、明代の「万引きを苦にした自殺」を認定したというだけでなく、西村ら「行動する保守」一行の特異さを鮮明にしたという点においてもきわめて重要な判決であると私は考えている。

(了)
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