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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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「朝木宅襲撃事件」 第2回
「ニュースワイド多摩」の「スクープ」

 平成18年2月10日午後1時過ぎ、「多摩レイクサイドFM」の「ニュースワイド多摩」という番組のトップで、1本の重大なニュースが流された。「多摩レイクサイドFM」とは、総務省の認可を受けて東村山市議の矢野穂積と朝木直子が運営するミニFM放送局である。その電波は東村山を中心に立川、国分寺、小平、清瀬、東大和、所沢あたりまで届いているらしい。まずは、そのトップニュースを聞こう。

 放送はまず毎回通しの、女性による次の録音ナレーションから始まる。

〈リスナーのみなさん、「ニュースワイド多摩」の時間です。最後までお楽しみください。〉

 録音のナレーションが終わると、「ニュースワイド多摩」の「パーソナリティ」(進行役兼絶対権力者的解説役)である矢野穂積が番組へ案内する。



矢野  はい。今日の担当は、パーソナリティの矢野穂積と。

加藤  アシスタントパーソナリティの加藤恵子と。

横山  アシスタントパーソナリティの横山ゆうなと。

清水  アシスタントパーソナリティの清水あやと。

中島  アシスタントパーソナリティの中島久美子でお送りします。



 ちなみに矢野はこの日、4名もの「アシスタントパーソナリティ」を従えている。たいした華やかさだが、いずれもアナウンサーの訓練などまったく受けていないようである上に、素人であることを差し引いてもなお、その原稿を読む能力はおよそ平均以下である。おおかた学生のアルバイトか「ボランティア」なのだろう。それはそれで「手作り感」があり、人によっては逆に好感を持つこともあるのかもしれない。彼女たちは何本かのニュースを交代で読み上げるのだが、4人が必要とも思えない。

 聴取者にとってはどうでもいい4人のパーソナリティの自己紹介が終わり、番組は本編に入る。この日のトップニュースは、地元で起きた「衝撃的な」ニュースだった。



矢野  はい。それでは、ああーっと、今日はニュースからですね。行ってみましょう。

加藤  はい。2月5日午前6時半ごろ、東村山市諏訪町の東村山市議会現職の朝木直子議員宅に酔っ払いを装った男が敷地内に侵入、「出てこい、この野郎。ぶっ殺してやる」などと叫びながら、窓ガラスを蹴破って室内に入ろうと、建物全体が揺れるほど、約20分間にわたって何度も繰り返しガラスを足蹴りしました。

 朝木直子議員や近隣の110番通報で駆けつけた東村山警察署員がこの男を取り押さえました。

 10年前に朝木直子議員の母親の朝木明代議員が、この自宅から拉致されて、東村山駅ビル、駅前ビル上層階から何者かに落とされて殺害されており、関係者は「また事件が起きた」と語っています。

 犯人は40歳前後の男で、朝木議員の話では酒に酔っている雰囲気ではなかったようです。ガラスは強化ガラスだったことと、警察官の到着が間に合ったことで、朝木議員、朝木直子議員は危うく難を逃れました。



 アシスタントが原稿を読み上げたのを受けて、矢野が次のように解説した。



矢野  はい。ええーっと、どうもですねえ、ええー、この、おー、事件というのは、えー10年前の事件を思い出させるような、ええー、事件ですが、警察官がですねえ、110番で間に合ったからよかったんですが、ええー、雰囲気として、えー、とにかく、えー、何が起こるかわからないというか、生命の危険が予想できるようなですね、そういう事態だったようですねえ。えー、警察、東村山警察の捜査を見守っていきたいと思います。はい。



「ニュースワイド多摩」は録音放送で1日6回放送される。おおむね数日置きに新しいものに入れ替わるが、たとえばある日の放送分が5日間繰り返されることもあり、その場合には、同一内容の放送が30回繰り返されることになる。

準当事者であることを伏せた理由

 さて、私が確認したかぎり、これが「事件」に関する初めての「報道」である。「事件」発生からまだ5日しかたっていないということで、「警察の捜査を見守っていきたい」と矢野がまとめたのは理解できる。ただ、矢野が事件そのものに触れるよりもまず先に「10年前の事件を思い出させるような」といったのが少し気になった。「朝木直子が襲われた」、だから明代の転落死も「事件だった」といいたいように聞こえたのである。

 また、この時点では明らかになっていないが、ウェブ版「東村山市民新聞」によれば、「事件」発生直後に矢野は現場に駆けつけ、「犯人」の顔を現認しているという。それにしては、この日の矢野の解説は著しく臨場感に欠けるような気がしてならない。現場に駆けつけたのなら正直にそういえばいいと思うが、矢野はそのことを明らかにしていない。

 総務省認可の公共の電波を使う放送局という立場上、準当事者である矢野が自ら「ニュース」を作り、自分の番組で放送したのでは客観性が担保できないとでも考えたのだろうか。しかし「事件」が事実とすれば、事態は東村山市議会議員たる朝木直子の政治活動を妨害、抹殺しようとするものである可能性もある。「事件」の重大さを考えれば、矢野はむしろ自分が準当事者であることを明らかにした上で、堂々と民主主義に対する挑戦という事件の重大さを訴えるべきではなかったか。客観性の担保は事実が証明してくれよう。明代の転落死事件に関連づけるのはそれからでも遅くはあるまい。

 ところが矢野は、自分が現場に駆けつけたことを明らかにしなかった。それとも何か矢野には、客観性の担保(=事実の証明)に関して不安な部分でもあったのだろうか。

説得力を欠いた解説

 明代の転落死に事件性がうかがえないことは捜査機関の結論からも明らかで、当時すでに多くの民事裁判で矢野と朝木が主張した「他殺の根拠」なるもの(万引きの冤罪性、司法解剖鑑定書に記載された上腕内側部の皮下出血の痕など)もことごとく否定されている。すると、今回の「事件」を明代の転落死と結びつけることには論理的整合性がなく、むしろ矢野が「10年前の事件を思い出させるような」といった時点で逆に「襲撃事件」があったとする矢野と朝木の主張もまた疑ってかかるべきと判断するほかなかった。

 明代の転落死を「他殺」と主張し、そのために万引き事件も「冤罪」と主張していること、明代が命を狙われていたと印象づけるために見ず知らずの少年を暴行犯に仕立て上げたこと、女性を待っていただけの運転手が明代の転落死に関与していたかのように騒ぎ立てたこと、明代が警察に通報しておきながら消火をしなかったというきわめて不可解な「朝木宅放火事件」など、矢野と朝木がそれまでの11年間の間に明代の転落死と関係があると騒いだ事件は多い。しかし、何一つ実証されたものはなく、その存在自体に疑問符をつけた判決もある。矢野と朝木の前歴からしても、「朝木が襲われた」という彼らの主張を真に受けることは難しかったのである。

 もちろんだからといって、矢野と朝木の主張する「襲撃事件」が嘘だと断定するには根拠がなかった。私は自ら情報収集を進めるとともに、今後矢野がどのような「続報」を伝えるのか、推移を見守ることにした。

(つづく)
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