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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「朝木宅襲撃事件」 第3回
「ハハハ」と笑った記者

 第1回目の放送で「朝木宅襲撃事件」を初めて知った私は、放送終了後、知り合いの東村山市議に連絡を取った。あるいは2月5日に朝木宅で起きた出来事について知っているかもしれないと思ったのである。するとその市議は事件について聞いたことがないといったものの、東村山署に知り合いがいるから、確認してくれるとのことだった。

 翌朝、その市議から連絡があった。市議が東村山署に確認したところによれば、「酔っ払いが騒いだだけだったようだよ」とのことだった。ただ、それが朝木直子に対して危害を加えようとしたものだったのか、そうではなかったのかまではわからなかった。

 事件が仮に「襲撃」を目的とするものだったとすれば、それは朝木の政治活動や思想・信条を暴力によって圧殺しようとするもので、全国紙、少なくとも全国紙多摩版に掲載されていてもおかしくない重大事件である。しかし、2月10日の時点でそのようなニュースが掲載された事実はなかった。各紙立川支局の記者たちは「事件」の存在を知らないのだろうか。

 私は知り合いの記者に電話して聞いてみることにした。「朝木宅で暴漢事件があったという話をご存じですか」と聞くと、「知ってますよ。東村山署に取材しました」という答えが返ってきた。「記事にはされたんですか」と聞くと、記者は「ハハハ」と笑いながら「記事にはしませんでした」と答えた。記事にしなかったのはなぜなのだろう。

「矢野がラジオでいっているように、実際に市議会議員に対する襲撃事件だったとすれば、見過ごしにできない重大な事件ですよね」。私がさらに聞くと、記者は「はあー、そうですけどね」と言葉を濁した。そこで私は「ただの酔っ払いだったという話ですが……」と踏み込んだ。すると、記者は具体的には答えなかったものの、私の話を否定もしなかった。業務として行った取材について話せるのはこれが限界だろうと私は理解し、もうそれ以上は聞かなかった。

「ニュースワイド多摩」が放送した「事件」が実際に市議会議員が狙われた事件であるとすれば、新聞としても十分な報道価値があるだろう。しかし、記者が記事にせず、事件について聞かれて「ハハハ」と笑ったということは、事件は矢野のいうような「襲撃事件」ではなく「たんなる酔っ払い」という市議会議員の情報の方が事実なのではないか。少なくとも記者の回答は「たんなる酔っ払い」という情報と矛盾しないと、私はこの時点の判断としてそう考えた。

具体的に答えなかった朝木
 
 この段階で私は、2月5日に朝木宅で起きた出来事について矢野と朝木が「襲撃事件」と主張し、その一方で「ただの酔っ払い騒動」にすぎないという評価があることを知った。しかしもちろん、東村山市議と記者への取材はしょせんは伝聞で、直接取材のための事前調査にすぎない。

 私は新聞記者から話を聞いた翌日の2月14日、今度は警視庁広報課に取材を申し込んだ。東村山署の取材ができれば、これは一般に直接取材とみなされ、記事化することも可能になる。もちろんその場合は、東村山署の捜査状況、事件に対する判断と矢野・朝木の主張を比較することになる。しかし、その日のうちに私の目論見はあっさり崩れた。警視庁から取材には応じない旨の連絡がきたのである。よくあることだが、伝聞情報だけでは事件に対する最終的な判断をすることはできないし、記事化することも難しい。

 残る直接取材の相手として考えられるのは当事者である矢野・朝木か「犯人」本人だが、「犯人」に会えたとして「酔っていた」という以外の回答を得る可能性は少ないと判断できた。したがって、「事件」の真相を明らかにするには水面下の情報(「酔っ払い騒動」)とは異なる主張をしている矢野と朝木に聞くのが最も手っとり早い方法だった。

 そのチャンスは意外に早くやってきた。警視庁に取材を断られた3日後、私は東京地裁八王子支部で矢野・朝木に会った。当時、私は彼らとの間で裁判を争っていたのである。裁判は非公開の弁論準備手続きという方法で行われていて、裁判官の準備ができた時点で書記官室の前から法廷に移動するのが常だった。その移動の間に私は朝木に聞いた。

「襲撃事件があったそうだけど、事実はどうだったんですか?」

 すると朝木は一言だけこう答えた。

朝木  もう調べはついてるんでしょ。

 それは買い被りだが、この一言をどう理解すべきか。朝木は私が彼らに対して取材していないことを知っているのだから、朝木のいう「調べ」とは朝木以外のところに対する「調べ」すなわち東村山署が把握している内容のことを指していると推測できた。もちろん朝木は東村山署の調べの内容をすべて把握しているはずである。「調べ」の内容が朝木の体験した事実と異なるのなら、私に対して「殺されそうになった」と答えればいいはずである。したがって私は、ここで朝木がそう答えなかったのは、そのような事実はなかったということではないかと判断した。

 もちろん、この日の朝木の反応は「ただの酔っ払い騒動にすぎなかったのではないか」という心証の1つにすぎない。私は引き続き推移を見守ることにした。

思わせぶりな「解説」

「ニュースワイド多摩」における「朝木宅襲撃事件」に関するニュースを私が次に確認したのは2月28日である。私が確認したかぎりでは、2月10日の放送が2月27日まで流されていたことになる。

 矢野はこの日も3名のアシスタントを従えていた。そのうちの1人が2月10日の放送でアシスタントが読み上げたのと同じ基本情報を読み上げたあと、矢野は次のように「解説」した。



矢野  はい。えーっと、この犯人が、えー、警察に、ここが自分の住所ですよっていうふうに、えー、しゃべったですね、住所には、この人が犯人が住んでないってことがわかってるんですねえ。えー、奇怪な事情でして、えー、この事件の、おー、なりゆきもですねえ、えー、行方が注目されるところになりましたね。はい。



 矢野はまだ自分が準当事者であることを聴取者には明かさないが、事件から23日がたち、この放送では「犯人」に関する新しい具体的な情報が明らかにされていることが注目される。ただ、「犯人」の住所に関する事情が「事件」とどう関係しているのか、矢野は明らかにしない。なにか「犯人」が「不審」であると印象付けようとしているだけのようにも聞こえる。

 矢野によれば、矢野が「犯人」の住所を知ったのは「犯人」が「警察でしゃべった」からである。つまり、現場で取り押さえられた「犯人」は東村山署に連行されて取り調べを受けた。当然、東村山署は被害者である朝木からも事情を聞いただろうから、朝木も東村山署に行ったはずである。ケースバイケースだが、警察が被害者に「犯人」の住所を教える場合もある(矢野が見ず知らずの少年を「暴行犯」として突き出したときのように、「被害者」である矢野に少年の住所・氏名を教えなかったケースもある=「少年冤罪事件」)。したがって、矢野が朝木を通じて「犯人」の住所を知り得たとしても不思議はない。

 しかしこの時点で、通常の被害者の関心事は「犯人」の住所よりも、取り調べの結果、東村山署が「犯人」をどう取り扱うのかということである。朝木は事情聴取の際、東村山署が「犯人」をどう取り扱うかについて何も聞かなかったのだろうか。たとえば留置して取り調べを継続するのか釈放するのか、刑事責任を問うのか問わないのか。警察は被害者に対してその程度の方針ぐらいは教えるはずである。まして事件から23日がたった時点で、少なくとも「犯人」の取り扱いについて当事者である朝木が何も知らないことの方が不自然なのだった。

 被害者である朝木が東村山署の「犯人」の取り扱いについて何も知らないはずがなく、矢野が「犯人」の扱いを何も知らないはずはない。矢野はなぜそれにはいっさい触れず、「事件」とは直接関係のない「犯人」の住所についてのみ述べるのか。

 私がそれまでに得た情報(ただの「酔っ払い騒動」)および被害者である朝木本人の反応を重ね合わせると、矢野のこの日の放送には、「犯人」の処分に関するなんらかの事実を知りながら、しかしそれを明らかにしたくない事情が隠れているように思われた。

(つづく)
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