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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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東村山街宣事件一審判決(その7)
冷めつつある熱狂

 この裁判は原告が創価学会であるという点で「行動する保守」一行にとってきわめて重要な裁判と位置付けられていたようである。「行動する保守」Aが「内部告発者」が存在するとし、創価学会および千葉元副署長らの関与を断定的に主張して以後、一行はたびたびこの東村山街宣と同趣旨の街宣を繰り広げてきた。この間、一連の街宣に関連して西村修平や行政書士は千葉から提訴されていたが、創価学会による提訴は初めてだった。

 裁判では当然、「創価学会の関与の有無」が争点となることは「行動する保守」一行にも予測できたから、第1回口頭弁論の傍聴席は一行の支援者でほぼ埋めつくされた。傍聴にはざっと30~40名が訪れたと記憶している。彼らはいずれも「行動する保守」Aらの街宣によって彼らの主張する「東村山事件」のストーリーを真実であると思い込んでいたものとみられる。

 具体的な裏付けがなくても、白昼、「行動する保守」の指導者であるAが駅頭で堂々と演説すれば、彼らにはそれが信用できると思えたのだろうか。また、「行動する保守」Aが「内部告発」の具体的状況と内容をいつまでたっても明らかにせず、そのこと自体がおよそ信用できないものである証拠ではないかと批判されてもなお、彼らは「行動する保守」Aを信頼していたらしい。聴衆の質にもよろうが、街宣という糾弾、告発の手法はなにか聴衆を一種の熱狂に導き、演説の中身までも熱狂とともに正当化されるのだろうか。

 いずれにしてもこの裁判は、街宣した者だけでなく支援者にとっても、それまでの「創価学会批判」の前提すなわち彼らの行動の根幹に誤りがなかったかどうかの客観的な判定がなされる場でもあった。だから傍聴席にはあふれんばかりの支援者が集まったのだと私は考えている。なんらの知識も持たない支援者たちを糾合した最大責任者、「行動する保守」Aの心中のほどは定かでないものの、第1回口頭弁論に集まった支援者らが「創価学会の犯罪」が暴かれることを本心から期待していたのは間違いあるまい。

 しかし「行動する保守」一行にとって、第1回口頭弁論から1年の間に事態は大きく変わったようである。指導者と目されている者たちの相次ぐ敗訴があり、西村修平が千葉から提訴されていた裁判では平成22年4月28日、東京地裁立川支部が創価学会の関与を明確に否定するとともに、「殺害された」はずの朝木明代に「自殺の動機がなかったとはいえない」とまで言及する判決を言い渡した。

 このころを境に、傍聴する支援者の数はめっきり減った。少なくとも、裁判所まで足を運ぶまでの気が起きなくなったということと理解できた。平成22年7月30日の判決言い渡しの日、傍聴席に現れた有名どころは西村、「行動する保守」Aの弟子、警察官に凌辱を強要したりもする女傑Mぐらいで、支援者も10人に満たなかった。彼らにしても、その表情はいまひとつさえないようにみえた。

将来にわたって禁止された街宣

 そんな「行動する保守」一行にとって追い打ちとなったのが街宣禁止命令である。110万円の損害賠償責任を負うのは右翼Mと行政書士だけだが、街宣禁止命令は間接的に「行動する保守」一行全体に大きな影響を及ぼすものと判断できる。

 東京地裁は判決で〈被告らは、原告に対し、別紙1禁止行為目録記載の行為をしてはならない〉と命じた。「別紙1」の記載内容は以下のとおりである。



(別紙1)禁止行為目録

 自ら若しくは補助者又は第三者をして、
⑴ 別紙東京都東村山市内図面1、同東京都東大和市内図面2、同東京都東大和市内図面3の赤線で囲まれた区域内において、拡声器若しくは街頭宣伝車等の車両を用いて演説を行い、原告の宗教活動等の業務を妨害し、その名誉を毀損し、誹謗中傷したりする一切の行為
⑵ 東京都東村山市及び東大和市内において、拡声器若しくは街頭宣伝車等の車両を用いて別紙2記載の趣旨の演説を行い、原告の名誉を毀損し、誹謗中傷したりする一切の行為

(別紙2)街宣禁止内容

「公明党・創価学会の不正というものを糾弾しておりました女性市議会議員が転落死致しました。この事件を担当した東村山警察署は、単なる自殺というふうに片づけましたが、これは明らかに創価学会の犯罪なんです」

「創価学会というのはまさに犯罪者の集団なんです」

「日本の国を牛耳ってやりたい放題で犯罪のオンパレードなんです」

「朝木明代市議が、駅前のビルらか突き落とされて殺されました。殺人罪の時効、あと1年で時効になります。いまこそ、この薄汚い創価学会の犯罪に対し、我々、国民が、市民が、糾弾の声、鉄槌を下していかねばなりません」

「創価学会は、この日本における最大最悪の犯罪者集団」

「創価学会の犯罪を許すな」

「創価学会は殺人をやめろ」

「犯罪者集団創価学会を許すな」

「何と言っても宗教団体の皮を被りながら実際は犯罪のオンパレード、殺人組織化されているのが創価学会でありましょう」

「宗教の皮を被った殺人集団、創価学会を叩き出せ」



 東京地裁は平成21年6月29日、本件東村山街宣に関して街宣禁止の仮処分決定を行っている。しかし右翼Mと行政書士がこの仮処分を無視し、その後の平成21年9月1日にも同趣旨の街宣を行っている事実を認定。その事実から、右翼Mらが〈将来も請求の趣旨第2項記載の行為(=本件街宣)を繰り返す高度の蓋然性があり〉と認め、右翼Mらに対して別紙2記載の内容の街宣を東村山市内等で行うことを禁止したのである。

 通常の相手なら、発言の内容で名誉毀損が認定されれば、以後は同じ過ちを犯さないようにするだろう。しかし右翼Mと行政書士は仮処分決定を無視し、提訴されてもなお口頭弁論のたびに誹謗中傷を繰り返している。裁判所が右翼Mら「行動する保守」一行に限っては、損害賠償命令だけでは不十分と判断したとしてもなんら不思議はない。

「行動する保守」一行は、禁止項目目録の冒頭に〈自ら若しくは補助者又は第三者をして〉と記載されている点にも注意すべきだろう。今後、「行動する保守」一行が右翼Mらとともに東村山街宣と同趣旨の街宣を行えば、街宣禁止命令に違反することになる。右翼Mが参加していなかったとしても、また東村山や東大和以外の場所で行ったとしても提訴されれば敗訴は免れまい。

 110万円の損害賠償命令は平成21年6月14日に行った街宣に対してのみ向けられたもの、つまり過去の行為に対する責任が問われたものだが、一方、街宣禁止命令は未来にわたりまだ行われていない行為を具体的に示してあらかじめ禁止するものである。言論の自由が憲法で保障された現代において、将来にわたり特定の言論行為が禁止されるとはよほどのことというべきで、街宣禁止命令がいかに重いものであるかがより鮮明になろう。

判決に寄与した「行動する保守」A

 なお、街宣禁止の仮処分決定のあとに行われた平成21年9月1日の街宣の呼びかけ人は「行動する保守」Aと西村修平である。すると今回の判決において前年の街宣の事実が考慮されていることを考えれば、「行動する保守」Aと西村もまた110万円の損害賠償と街宣禁止命令に少なからず寄与したことになると理解していいのではあるまいか。

 右翼Mと浦安の行政書士が東村山で行った街宣は、平成20年7月29日、「行動する保守」Aが八王子駅前で行った街宣に端を発するものである。とりわけ「行動する保守」Aが追及の根拠として提示した「警視庁内部の告発者の存在」という「新事実」はきわめて衝撃的だった。その後、東村山デマの発信元である東村山市議の矢野穂積、朝木直子の協力を得て、「行動する保守」一行は平成20年9月1日、ついに東村山に勇躍乗り込んで街宣を行った。右翼Mと行政書士による街宣もまたその流れの中にある。

 しかし右翼Mらによる東村山街宣の違法性が認定され、さらに「行動する保守」Aが呼びかけ人として開催した平成21年9月1日の街宣を街宣禁止命令の理由の1つとしたからには、裁判所が前年の街宣にも違法性を認めたということでもある。この街宣以外にも「行動する保守」一行は裁判所前などこれまで多くの場所で同じ趣旨の街宣を繰り広げてきた。つまり今回の判決は、「明代は創価学会に殺された」とする内容の街宣のすべてを否定したものとみるべきであると私は考えている。

(つづく)
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