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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「越境通勤市議」事件 第2回
裁決取消訴訟における判断

 矢野と朝木はビラによる「越境通勤市議」キャンペーンを展開する一方、平成19年11月11日、東京高裁に対して東京都選管の採決取消を求めて提訴している。提訴に至る経過を振り返っておこう。

 矢野と朝木はまず平成19年3月6日、「選挙人名簿に関する調査及び登録抹消請求書」(同年3月5日付)を東村山市選管に提出。市選管は3日にわたる実態調査および佐藤に対する事情聴取を実施した上で佐藤を選挙人名簿に登録することについて問題なしと結論付けた。

 市選管の結論によっても矢野と朝木は納得しなかった。その後、同年4月22日に執行された東村山市議選で佐藤が当選すると、矢野と朝木は同27日「当選の効力に関する異議の申出書」を提出。同年7月27日、東村山市選管がこれを棄却すると、矢野と朝木はさらに同年8月16日、東京都選管に対して上記棄却決定に対する審査を申し立てた。東京都選管が同年10月10日、これを棄却すると、矢野と朝木は東京都選管の裁決取消を求めて東京高裁に提訴した。

 裁判で矢野と朝木が主張した主な論点は、「佐藤が住民登録した場所は保育所が賃借していたアパートであり、住民登録は許されない」(論点1)、「佐藤には平成15年1月以降、東村山に生活実態はない」(論点2)――というものである。これに対して東京高裁は平成20年4月30日、次のように述べて彼らの請求を棄却した。



論点1

 本件保育所は、……東京都が要綱により独自の基準を定めて制度として設けている認証保育所に該当するものであり、保育終了後の園舎の活用方法について法令で制限されているということはできないし、……そのような制限の有無は平成15年1月17日の本件転入届の時点に佐藤が……住居と定めてそれ以降同室に居住していた行為自体を否定する根拠とはなり得ないものであるから、原告らの主張する事情をもって本件選挙の期日の3カ月以上前から本件選挙の期日まで佐藤の生活の本拠が同室になかったということはできないというべきである。

論点2 

 佐藤の証人尋問における供述や陳述書の記載に証拠を総合すれば、……平成15年1月17日ころ、本件保育所が園舎の一部建替えのため賃借していた2DKのアパート……を佐藤の住居と定めてその日常生活の場とし、……同年(平成19年)5月に自ら賃借人となり、……佐藤は、本件選挙の期日の3カ月以上前から引き続き東村山市内の同室に生活の本拠を有していたというべきである。



 東京高裁は論点1について、認証保育所の使用について保育終了後の活用について東京都は法令で制限していないと正当に判断。論点2については、証拠および佐藤の供述と陳述書から総合判断し、佐藤が「平成15年1月17日ころ」そのアパートを「住居と定めてその日常生活の場」としたと認定している。

 佐藤はこの判決および事実認定を待って平成20年6月4日、矢野と朝木を提訴した。矢野と朝木は上告したものの平成20年12月5日、最高裁はこれを受理しない決定を行い、東京高裁判決が確定している。矢野は最高裁で朝木が譲渡した繰り上げ当選を無効とされたが、佐藤の当選は微動だにしなかったことになる。

きわめて重い事実認定

 佐藤が平成15年1月17日に東村山市に住所を定めた事実は最高裁で確定した。裁決取消申立訴訟で直接の対象となっていたのは平成19年の東村山市議選だが、この判決によれば平成15年における佐藤の当選にもなんら問題はなかったということになろう。

 では、平成15年1月時点での生活の本拠が直接の争点となった本件における裁判所の判断はどうだったのか。「平成15年1月17日」以降、佐藤の住所が東村山にあったことについて東京地裁は、

〈被告らは、平成15年1月17日の本件転入届の時点で、原告の生活の本拠は東村山市内になかったと主張するが、これを認めるに足りる証拠はない。〉

 とした上で、次のように認定している(事実問題における論点は基本的には裁決取消申立事件と同じなので、同様に整理する)。



論点1

(被告らが)違法に本件保育所が賃借していた……(アパート)に居住したと主張する点は、住所かどうかは客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決せられることであるから、当該場所を個人の住居として使用することが保育所の運営に関する行政法規に適合するかどうかということとは基本的には無関係であり、……この点の被告らの主張も理由がない。

論点2

(被告らの)原告の生活状況に関する主張の主な部分は、いずれも本件転入届から3年以上が経過した平成18年以降のことである上、妻子と別居中の原告が妻子のけがや子供らの関係で必要な際に日野市内の妻子のもとに戻っていることがあったという上記認定に沿うものであり、本件転入届当時、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことを積極的に根拠付けるものではない。



 東京地裁は最高裁判決に違背せず、平成15年1月17日以降、佐藤の住所は東村山にあったことを認定したのである。その上で、「越境通勤市議」「公選法違反」「詐欺登録罪」などの表現の真実性について次のように結論づけた。



(真実性)

 本件転入届の際、原告の生活の本拠が東村山市内になかったことは、被告矢野及び被告朝木が表明した意見ないし論評の前提となる事実の重要な部分であるところ、これを認めるに足りる証拠はないから、被告らの行為が違法性を欠くということはできない。



 東京地裁は、「越境通勤市議」という表現の前提である「佐藤の生活の本拠は東村山にはなかった」とする事実を真実と認めるはできないから、「矢野らの表現には違法性がある」と認定したということである。

 平成18年秋以降4年以上にわたる矢野と朝木の主張を真っ向から否定した点で、また裁決取消申立訴訟は直接的には平成19年時点での生活の本拠が争点となったが、今回の判決は転入時点での生活の本拠について「東村山にあった」と認定した点においてきわめて重大な認定と評価できよう。

(つづく)
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