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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「行動する保守」事件 第8回
名誉毀損性を認定

 名誉毀損性はないとする右翼Mの主張(本連載第7回)に対して東京地裁はまず、記事の名誉毀損性について次のように述べた。



(名誉毀損性)
 
 本件記事は、これと一体をなす表題その余の部分において、朝木市議に関する本件窃盗被疑事件及び本件転落死事件が創価学会の謀略によるものだという事実を摘示し、創価学会が殺人さえも厭わない犯罪者集団であるとの主張をした上で、本件記事により、創価学会シンジケートなる犯罪組織と繋がった原告が、東村山警察署副署長としての在職中、本件窃盗被疑事件の捏造に関与し、さらに創価学会による殺人事件であった本件転落死事件について真実を曲げて本件窃盗被疑事件を苦にした自殺として処理し、警察官退職後も創価学会との関係から、本件窃盗被疑事件で虚偽の被害届を提出した本件洋品店の用心棒を演じていたとの事実を摘示するものである。

 ……上記事実は、原告が現職中に一部の者の利益のために万引き事件を捏造し、また殺人事件を意図的に自殺として処理した人物であったとの評価につながるものであるから、上記事実の摘示は、原告の社会的評価を低下させるものと認められる。



 上記のとおり、東京地裁は包括的に記事の名誉毀損性を認定した上で、さらに右翼Mの主張に沿って逐一右翼Mの主張を排斥している。



(①「記事は創価学会による犯罪行為を糾弾するのが目的であり、千葉の糾弾を目的とするものではないから、原告の社会的評価を低下させるものではない」とする主張に対して)

 本件記事は、原告を名指しし、原告自身の行為に着目してこれを批判する内容であるから、原告自身の社会的評価を低下させるものであり、また、被告自身が創価学会の批判をするとともに同団体と原告との関係を指摘しておきながら、原告が創価学会との関係を否定したから被告は原告を批判していないことになるという主張は、被告の独自の見解であり、失当である。

(②「被告は原告が創価学会と何らかの関係性があったとは指摘せずに『創価学会シンジケートと繋がり』と軽く触れたにすぎない」などとする主張に対して)

 創価学会「シンジケート」の用語について、それが仮に被告の主張するとおり、カルテルや商業組織という意味で用いられていたとしても、朝木事件を謀略したとする創価学会に関わる組織と原告との繋がりを示していることに変わりはないばかりか、……当該用語は、創価学会の犯罪組織との意味として理解するのが一般人の通常の解釈であると認められる。

 また、被告は、本件記事で「創価学会シンジケートと繋がり」と軽く触れたにすぎないと主張するが、創価学会が犯罪集団であるという前提の下に、原告が、創価学会に批判的だった朝木市議に関する本件窃盗被疑事件を及び本件転落死事件の真実を歪曲したという本件記事の記載を見れば、……原告は創価学会シンジケートなる組織との何らかの関係から、その意を受けて、当該行為を行ったと理解するのが一般の読者の読み方であり、……原告の社会的信用及び評価を低下させることは明らかである。



 右翼Mは「朝木市議は創価学会によって殺害された」「東村山警察署副署長が自殺にすり替えた」「万引きはでっち上げ」などの記載はこの14年間に多数流布されているから名誉毀損にはならないとも主張したが、東京地裁は〈被告が本件記事で記載する朝木事件に関する原告及び創価学会の関わりが社会一般に周知されその評価が確定しているほどのものであったとは認められない〉として右翼Mの主張を斥けている。

 また名誉毀損性の認定に関して右翼Mは、「『政経通信』は不特定多数の者に配布されていないから名誉毀損は成立しない」とも主張していた。しかしこの点についても東京地裁は、〈政経通信は、「政経調査会」あてに直接申し込む方法のほか、……「模索舎」で入手でき、……特定の者にだけ政経通信を配布したとの事実はなく、政経通信の配布による本件記事の伝播可能性は極めて明らかである〉と認定し、右翼Mの主張を否定している。

2行で否定された「真実性」

 その上で東京地裁は、真実性・相当性(違法性阻却事由)を検討している。まず右翼Mが主張した16項目(「右翼Mが示した真実性の根拠」=本連載第7回)にわたる「根拠」について東京地裁は次のように述べた。



(真実性について)

(被告が主張する16項目の)事実を認めるに足りる証拠はなく、本件記事が摘示し又は前提とした事実の重要な部分が真実であるとは認められない。



 右翼Mは「真実性の根拠」としてかなりの行数を費やしたが、東京地裁が真実性の否定に費やした行数はわずか2行である。なんらの証拠も提出されないのでは検討以前の問題で、右翼Mの「真実性の主張」が最初から相手にされなかったとみえるのもやむを得まい。

「十分な裏付け調査」を否定

 では「相当性」についての東京地裁の判断はどうだろうか。右翼Mは〈「朝木市議殺害は創価学会による犯行である」、「東村山署副署長が自殺にすりかえた」、「万引きはでっち上げだ」等の言論が14年間にわたり種々雑多な出版物及び言論活動で紹介されており、また別訴の平成14年3月28日判決(筆者注=『潮』事件判決)においても、朝木市議が万引きをしたという事実及び矢野穂積議員とアリバイ工作をしたという事実もない旨が認定されている〉などとして記事の相当性を主張していた。

 これらの点について東京地裁は次のように述べた。



(相当性について)

 被告は、いかなる出版物及び言論活動のいかなる記述等をもって、上記事実を真実と信じるに至ったのかを具体的に主張立証しない。……

 同判決(筆者注=『潮』事件)は、朝木市議が窃盗犯人である可能性は相当程度に達するものの、なお犯人と断定するに足りない旨、また朝木市議のアリバイの主張には根拠はないが、それが虚偽であったとまでは認めるに足りないから、このアリバイの主張が意図的に虚偽の事実を主張したものとまで認めることはできない旨判示したにとどまる。



 また右翼Mが「相当性」の根拠として「矢野らが本件転落死につき他殺の可能性を示す証拠があると信じるについて相当な理由がなかったとはいえない」「矢野らが万引き事件について朝木市議が犯人でないことをうかがわせる証拠があると信じるについて相当な理由がないとはいえない」旨判示した「東村山の闇」判決を提出していた点について東京地裁は次のように述べた。


 仮に被告が本件記事を掲載するに当たり上記東京高等裁判所平成21年3月25日判決を1つの参考にしていたとしても、他に被告が本件窃盗被疑事件や本件転落死事件について十分な裏付け調査をしたことを認めるに足りる証拠がない本件においては、本件窃盗被疑事件がえん罪であることや本件転落死事件が殺人であることを被告が信じるについて相当な理由があったと認めることはできない。

 ましてや、本件において、原告が、本件転落死事件が殺人であることを知りながら、あえてこれを強引に自殺として処理したこと、本件転落死事件を朝木市議の自殺に見せかけるため、原告が朝木市議の本件窃盗被疑事件を捏造したこと、原告が創価学会シンジケートで繋がり、本件洋品店での小競り合いの際、本件洋品店の店主を装って用心棒を演じたことは、被告の推測にすぎず、本件記事を記載した当時、これらの事実を被告が信じるについて相当の理由があったと認めることはできない。



 東京地裁はこう述べて、記事の相当性も否定したのである。関連裁判において明代の「他殺」と「万引き冤罪」が認定された判決はただの1件も存在せず、矢野と朝木の責任が阻却された判決(「東村山の闇」判決)があるといってもその具体的表現内容は本件「政経通信」とは異なり、したがってその判決があるからといって本件記事の相当性が認められることにはならない。

 右翼Mが相当性を主張するなら記事掲載までにいかなる独自調査を行ったのか具体的に示さなければならないが、右翼Mにはそれができなかった。それでも後日、右翼Mは私に対して「矢野の宣伝を鵜呑みにしたのではなく、独自に判断したのだ」と語った。それはそれでよいが、問題はその「独自の判断」にどの程度の客観性が担保されていたかだろう。もちろん判例では「週刊誌が書いていたから」という理由は相当性の根拠として通用しない。

(つづく)
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