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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「セクハラ市議」誹謗中傷事件 第2回
公論を拒否

 矢野と朝木は薄井に対する誹謗中傷をエスカレートさせる一方で、「職業差別」として彼らを批判していた市民に対して訴訟をちらつかせて脅すなどした。その結果、同年8月21日にはたまりかねた市民が矢野と朝木に対する辞職勧告を求める請願を提出するという出来事も起きた。

 この請願は同年9月20日、議会運営委員会で審議されたが、委員会での弁明を求められた矢野と朝木は市民らを提訴(同年9月3日)したことを書面で明らかにし、それを理由に出席を拒否した。最終的に請願は平成20年2月4日、不採択となったものの、委員からは矢野と朝木が委員会での議論を拒否したことに対して批判的な意見が相次いだ。

 請願に対する提訴があり得たとしても、朝木を紹介議員として辞職勧告を求める請願を提出された薄井は理不尽であると感じながらも政策総務委員会に出席して堂々と弁明を行っている。矢野と朝木も頭から議論を拒否するのではなく、弁明を行ってから提訴すればよかったのではあるまいか。

 この請願をめぐって矢野が市民を提訴した裁判は平成22年3月17日、東京地裁が矢野と朝木の請求を棄却し、同年10月6日には東京高裁が彼らの控訴を棄却する判決を言い渡している。

 さて、朝木による東村山市長に対する苦情申出が棄却されたことを受けて薄井は平成20年4月16日、「セクハラ市議」「職業安定法違反」「薬事法違反」などの記載や放送によって名誉を毀損されたとして矢野と朝木、さらには多摩レイクサイドFM(理事長・岡部透)に対して損害賠償の支払いなどを求めて提訴した。提訴から2年後の平成22年3月8日、一審の東京地裁立川支部は「職業安定法違反」「薬事法違反」の部分について薄井の請求を認容し、矢野と朝木らに対して総額200万円の支払いと多摩レイクサイドFMにおける謝罪放送を命じていた。

 総額200万円の支払いと謝罪放送命令という判決内容は一般的にみても軽いものではない。しかし薄井にとって「超セクハラ市議」などと誹謗された部分について請求が棄却された点には大きな不満が残った。このため矢野と朝木の控訴に対して薄井も、棄却された部分の見直しを求めて附帯控訴した。

2つの表現行為にまとめて検討

 問題となった表現は政治宣伝ビラ「東村山市民新聞」、ウェブ版「東村山市民新聞」、多摩レイクサイドFMを合わせて10件以上にのぼるが、裁判所は意味内容の共通する表現行為を、

①薄井に対する「セクハラ市議」「風俗マニア」などとする表現行為

②薄井に対する「職業安定法違反」「薬事法違反」とする表現行為


 の大きく2項目に整理した上で名誉毀損の有無を判断している(この点だけをみても、矢野の宣伝とはニュアンスが異なることがわかろう)。

 記事や放送による名誉毀損では、その表現が他人の社会的評価を低下させるものであったとしても、それが論評や意見表明である場合には、前提事実の重要な部分が真実であり、論評や意見表明の域を逸脱せず、公益性・公共性があると認められる場合には違法性が阻却される(損害賠償の支払いなど、名誉毀損の不法行為責任は問われない)というのが判例である。

 では、東京高裁は矢野と朝木による薄井に対する誹謗中傷事件をどう判断したのだろうか。まず、一審でも違法性が認定された前記②「職業安定法違反」「薬事法違反」という表現からみていこう。東京高裁はそれぞれの具体的表現について検討している。

「疑いさえも認められない」



〈職業安定法違反〉との表現について

⑴ウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日付)


〈『有害業務』の宣伝(求人など)は職業安定法63条2号違反の犯罪(懲役刑)〉

〈法が否定する『有害業務』を『職業』などと叫んだ薄井氏及び薄井擁護派は、これで完全に破綻です。……犯罪の疑いまで出てきたのです。〉



 これらの表現について東京高裁はこれが「意見ないし論評の表明に範疇に属するものというべきである」と認定した上で次のように述べた。

〈前記意見表明は、被控訴人(筆者注=薄井)が職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがあるとし、かつ、これに基づいて被控訴人に市議会議員としての適格性はないと論じるものであるから、いずれにしても、被控訴人の社会的評価を低下させるおそれがあることは明らかである。〉

 では、「薄井は職業安定法違反の犯罪行為をした疑いがある」とする意見表明の「前提事実」についてはどうか。この点について矢野と朝木は、

「薄井は『公衆道徳上有害な業務』に該当する特殊性風俗業界の求人誌に関与した疑いがある」

 などとして、薄井が同求人誌を発行する会社の名刺を所持していたことなどを挙げて「意見表明」の前提事実であると主張した。しかし、東京高裁はこの点について次のように認定した。

〈被控訴人(筆者注=薄井)が特殊性風俗情報誌「○○」及び求人誌○○を発行する○○社に勤務していたこと……を加えても、被控訴人が○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与していたことを認めるには足りず(その疑いがあることを認めるにさえ足りない)、他にこれを認めるに足りる証拠はない。また、控訴人矢野及び控訴人朝木が、被控訴人は○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与し、又は関与していた疑いがあることを真実であると信じるについて相当の理由を認めるに足りる証拠もない。〉

 その上で、東京高裁はウェブ版「東村山市民新聞」(平成19年8月7日付)の表現について次のように判断している。

〈上記意見表明は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的は専ら公益を図ることにあるが、本件訴訟において控訴人矢野及び控訴人朝木が上記意見表明の前提事実として主張した事実(被控訴人が○○社で求人誌○○の取材又は編集の業務に関与していたこと又はその疑いがあること)の重要な部分が真実であるとは認められず、また、控訴人矢野及び控訴人朝木がこれを真実であると信じるについて相当の理由を認めるに足りる証拠もない。

 したがって、上記意見表明の違法性は阻却されないから、上記意見表明は名誉毀損の成立を免れない。〉

 東京高裁は「職業安定法違反」だとする矢野らの意見表明の前提事実を認めなかったのである。「(求人誌業務に関与した)疑いがあることを認めるにさえ足りない」のだから、職業安定法違反の前提事実が認められるはずもあるまい。矢野と朝木は、裁判所から「疑いがあることを認めるにさえ足りない」と認定されるようなあやふやな根拠で、選挙で選ばれた市議会議員を「職業安定法違反」などと非難していたことになる。どういう判断基準を持つ市会議員だろうか。

提出されない準備書面

 余談だが、朝木明代(矢野ときわめて親密な関係にあった元東村山市議で朝木直子の母親=故人)の万引きを苦にした自殺をめぐり千葉英司から提訴されている右翼一派、「行動する保守」の重鎮で矢野、朝木ともきわめて近い関係にある「行動する保守」Aは前回口頭弁論(3月2日)で3月31日までに陳述書を提出すると述べたが、4月4日現在、千葉のもとには送付されていない。

 同じく千葉から提訴され、とりわけ朝木直子から証拠提出をはじめとする手厚い援助を受けている西村修平も前回口頭弁論(3月3日)で裁判官から4月4日までに準備書面を提出するよう命じられたが、やはり4月4日現在、千葉のもとには送付されていない。右翼Mはどうしたのだろうか。

 なお、「東村山市民新聞」170号によれば矢野と朝木が「東村山の闇」Ⅱを発刊したというから、「行動する保守」Aも西村も右翼Mも、証拠として提出しない手はあるまい。どこまで役に立つかは保証の限りではないが。

(つづく)
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