ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

プールマン

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

東村山街宣事件控訴審判決(その2)
矢野・朝木の代理

 平成21年6月14日、東村山市内および東大和市内をダークグリーンの街宣車が走り回った。乗っていたのは右翼Mと千葉県浦安の行政書士である。彼らは以前に東村山駅前で行われた「朝木明代転落死事件の真相究明を求める」と称する街宣活動にも参加しており、右翼Mは明代による万引き被害者の店にも押しかけている。行政書士は議会内の「草の根」の控室にも出入りするほどの関係にある。要するにいずれも、「行動する保守」の中でも矢野と朝木のデマを盲信した代表的な存在といえる。

 この日午前9時30分、右翼Mは東村山駅東口において次のような演説を行った。これが東村山街宣の始まりである。



〈○○(政党名等)の不正というものを糾弾しておりました女性市議会議員が転落死いたしました。……これは明らかに○○による犯罪なんです〉

〈朝木明代市議が万引きして警察につかまったことを苦にして自殺したんだというストーリーまで作り上げているんです。これが○○の狡猾なやり方なんです〉

〈○○というのはまさに犯罪者の集団なんです〉

〈日本の国を牛耳ってやりたい放題。不正、犯罪のオンパレードなんです〉



 これをそばで聞いていた行政書士は右翼Mの発言に合わせて「そうだー」などと同調し、街宣を盛り上げた。

 その後、右翼Mと行政書士らは街宣車に乗り込み、東村山および東大和市内での街宣に出発。走行中にはスピーカーで次のような録音テープを流し続けた。

〈今こそ○○の犯罪をあばき、東村山に安全な暮らしを取り戻しましょう。……殺人罪の時効まであと1年。14年前の朝木明代市議会議員の転落死は自殺ではありません。事件を担当した東村山警察署、担当検事もカルト教団関係者。これで公正な捜査ができるのでしょうか〉

 右翼らはさらに市内数カ所において同趣旨の内容の街宣活動を繰り広げたのである。いずれも平成7年に朝木明代が万引きを苦に自殺を遂げて以後、矢野と朝木が宣伝してきた内容そのものである。矢野と朝木が直接参加していなくても、この街宣は彼らが長年にわたって繰り広げてきたデマ宣伝の成果であることはいうまでもなかった。

 矢野と朝木は同じ内容のデマ宣伝によって、政治宣伝ビラ関係で300万円(2件)、『週刊現代』におけるコメントで200万円の損害賠償が命じられている。したがって彼らは同様のデマ宣伝をすれば再び不法行為に問われることを知っているから、右翼らのようなマネはしない。右翼Mと行政書士は危険を冒して矢野と朝木の代理としてデマ宣伝役を務めたようなものである。矢野と朝木に「止めた方がいい」と忠告する義務はなく、何も知らない右翼が勢いにまかせてやってくれるのはありがたかったにちがいない。

無謀な証人申請

 これに対して創価学会は提訴し、平成22年7月30日、東京地裁は右翼Mと行政書士に対して連帯して110万円の支払いと東村山市内および東大和市内において同趣旨の街宣活動を禁止する命令を言い渡している。一審で右翼らは東村山デマの集大成『東村山の闇』(矢野・朝木著)などを提出し、「朝木明代の転落死が他殺であること」「万引きが捏造であること」に関する真実性・相当性を主張したものの、証拠提出などの立証活動を積極的にやったとは思えない。

 同じく明代の転落死をめぐり千葉から提訴されていた西村修平が、明代の「万引き冤罪」と「他殺」を主張して相当数の書証を用意して真実性・相当性を立証しようとしたものの、その主張がことごとく排斥されたという事情もあったかもしれなかった。しかも、西村の裁判は証拠から主張とその組み立てに至るまで矢野と朝木が全面的に支援していた。西村の代理人もそのことを隠そうともしなかった。

 ところがその裁判で、東京地裁は明代に「自殺の動機がなかったとはいえない」と認定して、西村は全面的に敗訴し10万円の支払いを命じる判決を言い渡されている(平成23年3月15日、最高裁が西村の上告を棄却し、上記判決が確定)。右翼らとしても、これだけの判決を出されたあとでは西村と同様の主張をすることを躊躇したとしても無理はない。書証のコピー代がかさむだけである。

 かといって、矢野と朝木にそれ以上の証拠があるかといえば、そんなものがあるはずもなかった。あるとすれば、彼らとしても可能なかぎりの支援を惜しまなかったはずである。しかし西村修平が提訴された裁判では全面的に支援に乗り出した矢野と朝木は、この裁判でなんらかの支援を行った形跡はみられなかった。右翼らと結託した矢野と朝木も無様な結果になることは避けたかったものと思われた。

 一審で最も注目を集めたのは、終結も間近という段階になって行政書士が「明代の他殺」を立証するためと称して暴力団の元組長を証人申請しようとしたことである。元組長の著書には「明代の暗殺」と「宗教団体の関与」が示唆されているという主張らしかった。これもまた矢野と朝木が宣伝している内容だった。

 しかし裁判長はこの証人申請をあっさり却下した。元組長の著書には「明代の暗殺」と「宗教団体の関与」をうかがわせる具体的な記述はなく、元組長を証人申請する理由はないという判断とみられた。しかも証人申請に際して、証言してもらう人に対して事前に了承を得ているのが通常だが、行政書士の申請にはそんな様子もなかった。裁判所がこの申請を認めなかったのはきわめて常識的な判断だったのである。右翼Mが裁判官を追いかけるという信じがたい行為に及んだのはその直後のことだった。

「内部告発者」に一縷の望み

 ただ右翼らにとって、雲を掴むような話ではあるとはいえ、控訴審で逆転勝訴の一縷の望みをつなぐ「証拠」がないわけではなかった。そもそも右翼Mらが東村山デマに参入するきっかけとなったのは、「行動する保守」一行の重鎮である「行動する保守」Aが最初に行った八王子での街宣で「東村山署は朝木明代殺害犯3名を確認していたが、検察はそれを隠蔽したという現職警察官による内部告発があった」と演説したことにある。

 この「内部告発」については矢野も朝木も、少なくとも彼らの口からは1度も主張されていない。つまり、裁判所では1度も検討されていない事実だった。したがって、この「内部告発」が正式に立証され、その内容が真実であると証明されれば「万引きを苦にした自殺」という朝木事件の本質さえ覆る可能性がある。右翼Mは控訴にあたり、控訴理由書で「内部告発」に触れながら次のように明代の転落死が「他殺」だったと主張していた。



〈平成20年9月1日に東村山駅前において、……主宰者の訴外(「行動する保守」A)は演説の中で、「創価学会の関与は疑いの余地がない。警察関係者からの内部告発があった」、と断言している。当時の事件に関った警察関係者が創価学会の関与を知っているものであるから、この警察関係者が真実を証言すれば、創価学会が殺害事件に関与したことは明白となる。

 しかしながら現在はまだ、当の警察関係者が公に証言を行うことを躊躇しているものと思われる。警察関係者からの綿密且つ、正確な情報収集と証拠が提出できれば、事件の真相が解明されることは間違いない。今現在、関係者を通じて警察関係者との交渉で調査・聞き取りを継続している。〉



 ここで右翼Mがいう「(調査している)関係者」が誰なのか、いつ、どこで「調査・聞き取り」を行っているのかについては、残念ながらまったく具体性がない。あるいは右翼Mは「行動する保守」Aからこんな曖昧な説明を聞かされて、いまだにそれが本当だと信じているのかもしれない。

 どこまでが具体的事実でどこからが想像なのか、あるいはその中に事実があるのかさえ判然としないような話が「他殺」の根拠として裁判所に通用するものかどうか、常識で考えればわかりそうなものである。しかし右翼Mとしては「内部告発」を持ち出すことで判決が覆る可能性もあると考えたのだろう。

 裁判官がこの「内部告発」をどう捉えたか。裁判官の内心はわからないものの、特に「内部告発」についてそれ以上の資料の提出を求めなかった。また、行政書士は控訴審でも再び暴力団元組長を証人申請したが再び却下され、裁判は終結した。私にはほぼ順当な進行と思われた。

(つづく)
関連記事

TOP