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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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東村山街宣事件控訴審判決(その3)
「『東村山の闇』は推測にすぎない」

 では、東京高裁は右翼Mらの主張に対してどう判断したのか。まず東京高裁は右翼Mが相当性の根拠として提出した矢野と朝木のデマの集大成『東村山の闇』に対する評価をみよう。当然、その内容の評価によっては相当性が認められる可能性もないとはいえない。東京高裁は『東村山の闇』の記載内容について次のように述べた。

〈同書(筆者注=『東村山の闇』)には、……「司法解剖鑑定書」により、朝木市議の死因が紛れもなく殺害事件であったことが確認できたとする部分があることが認められる。……同書の全体の記述を読むと、同書の著者らは、朝木市議の死因が殺害であると断定したうえで、同市議の殺害行為に対する被控訴人関係者の関与やその可能性を示唆していることが窺えるというべきである。しかしながら、これらの記述は、あくまでも推測の域を出ないというべきであり(……朝木市議の死因について、これを殺害であると認定するに足る証拠が存するとまではいえない)、これによって、本件事件に対する被控訴人やその会員の関与を認定することはできないというべきである。〉

 東京高裁は、『東村山の闇』の記述は推測にすぎず、したがってその記載内容をもって朝木明代は殺されたと信じることに相当の理由はないとし、さらに明代の転落死が「殺害」であると認定するに足る証拠が存するとまではいえないと述べている。

「内部告発」を一蹴

 では、右翼Mが真実性を主張するために控訴審で持ち出した「行動する保守」Aが「聞いた」とする「内部告発」についてはどうか。「内部告発」の存在を証明する書証さえ提出しないただの主張についてまともに検討する必要もないと思うが、右翼らの街宣が繰り返されていることなどの現実に照らして東京高裁は「内部告発」について一応触れておく必要があると考えたのかもしれない。東京高裁は「内部告発」については次のように述べた。

〈控訴人(右翼M)は、客観的にみたすべての状況証拠、犯行に至るまでの経緯からみても、朝木市議殺害事件に被控訴人が関与していると確信するなどと主張し、平成20年9月1日に行われた「東村山市議朝木明代さんの謀殺事件の真相を究明する集会」において、主宰者である(「行動する保守」A)が「創価学会の関与は疑いの余地がない。警察関係者からの内部告発があった。」と断言しているなどと主張する。

 しかしながら、(「行動する保守」A)が述べたとされる内容は伝聞にすぎず、「警察関係者」なる者がいかなる人物であるかも明らかにされていないのであるから、これをたやすく採用することはできない。〉

 ついでにいえば、「内部告発」の内容(現場)を「行動する保守」Aがいう「警察関係者」が直接目撃したのかどうかも定かでない。つまりこの「内部告発」の内容とはどこからが当事者の直接の経験なのかさえ確定できない代物であり、普通は裁判所でなくてもにわかに信用する者はいないレベルの話だろう。東京高裁が「行動する保守」Aのいう「内部告発」を真実性の根拠と認めなかったのは当然だった。

「調査中」という言い訳

 しかしそれでも右翼Mは「行動する保守」Aの話を信じ、控訴に際してあらためて「行動する保守」Aに聞いたのかもしれない。「行動する保守」Aは誰が誰に対して行っているというのか具体的に明らかにしないまま「調査中」とのみ回答したらしいことが右翼Mの書面からはうかがえる。

 右翼Mが提出した控訴理由書は平成22年12月21日付である。この時点で「行動する保守」Aは「内部告発」の裏付け調査中だったということになろうか。それから4カ月後の平成23年4月20日、「行動する保守」Aは千葉と和解した。「行動する保守」Aは「内部告発」の真実性立証を放棄したのである。

 ところで右翼Mが問い合わせたとき、「行動する保守」Aが「内部告発」について調査中だったというのも私には疑問に思える。なぜなら平成20年の段階で「行動する保守」Aは「内部告発者に直接会った」と述べている。この「内部告発者」が本当に存在しており、その内容が朝木明代の転落死が「万引きを苦にした自殺」ではなく「謀殺」であることを立証するものであるとすれば、その「証言」等をいち早く証拠化しておくべきである。

 公表時期の問題があったとしても、「行動する保守」Aはなぜそれをしなかったのか。証拠化したくても、その話は最初から具体性を持った「内部告発」と呼べるような代物ではなかったということではなかったのか。要するに右翼Mを含め「行動する保守」一行はすべて「行動する保守」Aの「内部告発」話に騙されていたのではないかという気がしてならない。いずれにしても、「内部告発」の信用性は「行動する保守」A本人のあずかり知らぬところで否定されていたようである。

 さらに東京高裁は行政書士が行った元暴力団組長に対する証人申請にも触れてこう述べた。

〈そもそも「暗殺依頼密会ビデオ」なるものの存在自体が明らかでないし(そのようなビデオが存在すると聞いたなどとする伝聞にとどまる。)、後藤忠正の著作の内容等に照らしても、……証人として尋問することによって、「被控訴人が朝木市議を殺害したこと」を直接、間接に推認させる事実が明らかになるとは認められないものである。〉

 つまり、存在自体が明らかでないものに基づいて尋問を行うことには意味がない(=存在自体が明らかでないものに基づいて行う主張にも意味がない)ということである。この「密会ビデオ」なるものについては矢野と朝木も「他殺の証拠」などと騒いでいるが、存在自体が明らかでないものが「他殺の証拠」である道理はないというべきだろう。

「『鈴木意見書』は信用できない」

 行政書士は朝木が秋田大学名誉教授(当時)に依頼した司法解剖鑑定書に対する「鑑定」(=「鈴木意見書」)に基づき、明代の遺体の上腕内側部にあった皮下出血の痕が「他殺の証拠」などと主張していた。司法解剖鑑定書のみによって「(上腕内側部の皮下出血の痕は)他人と争った際に生じたと考えるのが妥当」と結論付けた「鈴木意見書」について東京高裁はこう述べた。

〈朝木市議の死亡の翌日に東京慈恵会医科大学法医学教室の医学博士2名が行った法医鑑定においては、同創傷(=上腕内側部の皮下出血)も含めて朝木市議の遺体の外表に認められる創傷は「いずれも鈍体による打撲、圧迫、擦過等により形成されたと思われる。」「これら部に作用した当該凶器の性状を詳らかにするのは困難である。」とされているのであり、この法医鑑定よりも鈴木意見書のほうが信用できるという事情は認められないものである。したがって、鈴木意見書の鑑定意見を直ちに採用することはできない。〉

 なお鈴木教授は朝木の求めに応じ、「意見書」に続いて「鑑定書」を提出、これが裁判所に否定されると今度は同趣旨の「鑑定補充書」を提出したが、これもまた客観的に信用できるものとは扱われなかった。しかも鈴木教授の鑑定が裁判所から否定されるのはこれが初めてではない(もちろん西村修平の裁判でも否定されている)。いかに法医学の権威であろうと、そもそも遺体も現場も直接見ないまま、司法解剖を行った医師の意見に反駁すること自体、無理があろう。

 こうみると、右翼Mと行政書士を被告とするこの裁判で東京高裁が否定した「他殺の根拠」なるものは、いずれも矢野と朝木によるものであることがわかろう。彼らはみごとに矢野と朝木から利用されたということである。

 さらにこの裁判では「他殺の根拠」として「行動する保守」Aが言い出した「内部告発」という新たな作り話も加わった。とりわけ「内部告発」話は右翼Mに大きな影響を与えたらしい。

 しかし残念なことに、「行動する保守」Aに「内部告発」を調査する気があるとは思えない。だからこそ「行動する保守」Aは千葉と和解したのである。そんなたわいない話にやすやすと乗せられた自らの不明から、また「行動する保守」Aの不誠実さから右翼Mは目をそらすべきではあるまい。

(了)
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