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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「重要容疑者」事件 第2回
「事務所に立ち寄った」ことに合理性

 東村山市議、矢野穂積(「草の根市民クラブ」)が問題にしたのは柳原滋雄コラム日記の平成20年9月13日付記事の一部分である。記事は〈「朝木明代」はなぜ救急車を断ったのか?〉と題し、平成7年9月1日午後10時ごろ、明代が東村山駅前のビルから転落したあと、第一発見者に対し救急車の出動を断った事実を軸に、この転落死がどのような性質のものだったのかを考察している。

 柳原はまず救急車の出動を断った事実について、仮に明代が何者かによって突き落とされたとすれば真っ先に助けを呼んだはずで、明代がいっさいそれらしいことを訴えず、それどころか救急車を断った事実は〈転落事件がどのようなものだったかを浮き彫りにする。〉と述べて、筆者の見解が明代の転落死が第三者が介在したものではないとするものであることを示唆している。捜査を担当した東村山署もそう判断した。きわめて常識的な判断である。

 しかしこの転落死を自殺と認めたくなかったのが、明代の万引き事件でアリバイ工作を共謀し、さらには万引き被害者を執拗に脅した市会議員の矢野と、明代の長女、朝木直子だった。彼らが「他殺」の根拠の1つとして主張しているのが司法解剖鑑定書に記載されていた上腕内側部の皮下出血の痕だった。彼らはそれが第三者と争った痕にちがいないと主張しているのである。柳原はこの点に言及して次のように記載した(記載1)。



(記載1)
 確かに、司法解剖の鑑定結果によれば、両腕にアザがあった旨記載されているが、かといって争った際によく見られるボタンが飛ぶなどの痕跡は全くなかった。おそらく、このビルにたどりつく前にだれかと争った可能性も考えられるが、本人が死亡した以上、そのことを確定させることは困難と見られる(ただしそれは事件性の有無と結びつくものではなく、この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人)。



 柳原はさらに、矢野が明代に自殺の動機があったことを知っていながらその事実を隠すために「他殺」を主張している点についてこう述べた(記載2)。



(記載2)
 もし仮に明代が蘇生し、今も生きていればどうなったか。転落にいたった動機も、本人は正直に話さざるをえなかっただろう。それでいちばん困ることになったのは、矢野穂積ではなかったろうか。



 明代が万引き容疑で書類送検された平成7年7月12日以降、矢野と明代は市民やマスメディアに対して万引きを否定するとともに、万引き被害者や創価学会・公明党が結託して明代を万引き犯に陥れたとする宣伝を続けていた。したがって、仮にビル5階から飛び降りた明代が一命を取り止め、万引き事件や矢野と共謀したアリバイ工作の真相を語ったとすれば当然、矢野は道義的責任を免れない――少なくとも事実経過からは、そう考えたとしても相当の合理性があると私は思う。

文言にこだわった矢野
 
 さて、矢野が提訴したのは上記記載1と記載2に関してである。矢野は訴状で次のように主張している。

〈被告柳原は原告について、「柳原滋雄コラム日記」2008(平成20)年9月13日付記事中で「この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人」であると記述し、何の根拠もなく、公選による公職者たる原告矢野が、朝木明代議員の転落死に関し犯罪の重要容疑者であると決めつけて事実を摘示し、公職者たる市議会議員として著しく適格性を欠く人物であるかのように印象付け、同年同月同日以降、現在にいたるまで、24時間、不特定多数の閲覧に供し、原告の社会的評価を著しく低下させた。〉

 確かに「重要容疑者」という表現自体については不穏当あるいは不適切という評価もあり得よう。しかし柳原はその前提として「ただしそれは事件性の有無と結びつくものではなく」とただし書きを付けており、この文章内でいう「重要容疑者」とは、仮に明代が自殺の直前に誰かと争ったとすれば、その相手として可能性が高いのは矢野であるという趣旨にすぎず、一般的に使用される「犯罪に関与した疑いの強い者」という意味ではないようにみえる。

 この点について矢野は裁判で次のように主張した。

〈一般の読者の普通の注意と読み方を基準にすれば、本件記事のうち、「この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人」であると記載した部分は、「朝木議員の転落死について、原告が何らかの犯罪を犯し、捜査の重要な対象となっている被疑者である」と理解されるものであり、それが事実を摘示して原告の社会的評価の低下を招く記事となっていることは明らかである。〉

 これに対して柳原は次のように反論した。

〈本件記事は、朝木議員の転落死が自殺であること、また朝木議員が転落死する直前に何者かと諍いを起こした可能性があることを明記しており、一般の読者の通常の理解に照らして、その転落死が何らかの犯罪によるものであるとか、原告がその重要容疑者であるなどと理解する余地はない。

「この件ではむしろ矢野は需要容疑者の一人」という表現は、あくまでも、朝木議員が転落死する直前に諍いを起こしていた相手が、原告であるとの疑いがあることについての、被告の意見・論評を示す記述に過ぎない。

 また「重要容疑者」というのは、そもそもその被疑事実も、その根拠も示されることなく、単に被告の意見・感想として記述されているに過ぎない表現であって、それが朝木議員の死亡について、「何らかの犯罪を犯した被疑者」という法律用語としての「重要容疑者」であるとの事実を摘示したものでないことは明白であり、その表現をもって、原告の社会的評価を低下させるものということもできない。〉

 記事全体を読めば、「重要容疑者」という言葉はやや穏当さを欠くとは思うが、明代の自殺に関して矢野が何らかの犯罪に関与したというふうには読み取れないと私は思う。ただ一般読者がどう読むかは難しい判断ではないかと思われた。裁判所は被告に対し、問題部分についての真実性・相当性の立証を求めた。

(つづく)
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