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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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「重要容疑者」事件 第3回
かみ合わない主張

 真実性・相当性を主張・立証する場合、その対象が何になるのかが争点になることもある。この裁判では「重要容疑者」という文言をどう捉えるかで主張が対立した。被告は〈「重要容疑者」とは犯罪の容疑者という意味ではなく、明代と何者かの間で諍いがあったとすれば、その相手が矢野だった可能性が高いという趣旨である〉と主張している。一方矢野は、被告の立証対象について次のように主張している。

〈被告柳原が本件記事中に「この件ではむしろ矢野は重要容疑者の一人」との本件記述を記載し、原告を「捜査の対象となっている犯罪の重要容疑者」と決め付け、その社会的評価を低下させている以上、原告が「捜査の対象となっている犯罪の重要容疑者」であることにつき、もはやその名誉毀損性を否定することができないのは明らかであるから、被告柳原は、仮定抗弁として、目的の公共性、事実の公共性、真実性、相当性を速やかに主張、立証しなければならない。〉
 
 矢野が「重要容疑者」という文言の辞書的意味にこだわっていることがわかる。しかし柳原はそもそも本件記事で明代の転落死は「自殺」であると主張しているのだし、記事中にも「(諍いの存在は)事件性の有無と結びつくものではなく」と明記しており、「重要容疑者」を矢野が主張する「捜査の対象となっている犯罪の重要容疑者」と規定しているわけではない。矢野はそのことを承知の上であえて柳原に対し、柳原が最初から想定していない「矢野が明代の転落死に犯罪者として関与した」とする事実の真実性・相当性を立証せよと迫ったものとみえた。

千葉が陳述書を提出

 判断以前の立証対象において双方の主張が対立したことになるが、この点は裁判所の判断に任せるほかない。柳原は東村山警察署副署長として明代の万引きと自殺事件の捜査を指揮した千葉英司の陳述書を提出し、明代が自殺直前に事務所に立ち寄り矢野と会った可能性があったことについてあらためて主張した。この点に関する千葉の陳述内容は以下のとおりである。



(千葉の陳述内容)

「故明代が当該事務所(筆者注=「草の根」事務所)に立ち寄る必然性と蓋然性」

 平成7年9月1日……、夕方に、故明代は矢野に「講演原稿が仕上がっていないので、今日は半徹夜になるかもしれない……」と言い、……当該事務所で半徹夜の仕事をする決意を表明しています。

 そして、当該事務所は、自宅から転落現場にいたる経路の途中にあり、当該事務所と転落現場までは100m足らずの距離にあるという地理的条件に照らせば、故明代は電話の後で少し休憩し午後10時近くには、矢野がいた当該事務所に行く必然性と、また、当該事務所に行ったという蓋然性があると判断した警察は、故明代が、転落現場に至る途中に、矢野1人がいた当該事務所に立ち寄ったと判断しました。

 また、故明代が、当該事務所で最後に会ったのは誰かということになれば矢野ということになります。

 その際に、同日の昼に弁護士と打ち合わせた立証不可能なアリバイに関する警察に対する説明について話合いが持たれ故明代が警察に行き何らかの説明をする印象を矢野に与えたと仮定すれば矢野が

「そちらに行っていないかと思い電話しました」

 と警察に電話で確認したことの整合性があります。



 ここで千葉が、矢野が東村山署に「そちらに行っていないかと思い電話しました」と話したとしているのは、平成7年9月2日0時30分ごろに矢野からかかってきた電話のことである。矢野は明代の安否を尋ねたがその際、こう述べたのである。電話を受けた署員は千葉に対し、「矢野は故明代が深夜に警察に行く可能性があると認識していた」と報告したと千葉は陳述書で述べている。

 矢野が「故明代が深夜に警察に行く可能性があると認識していた」とすれば当然、その理由が何であるかもわかっていただろう。東京地検の調べに備えて弁護士と打ち合わせをした当夜に警察に行く理由とはいうまでもなく、万引きに関する説明にほかならないのは自明である。

 少なくとも朝木直子が「警察に電話してほしい」と電話してきた午後10時30分に矢野が東村山署にすぐに電話しなかったのは、万引きで追い詰められた明代の窮状を知っていたからにほかならない。また矢野が警察に電話したのが翌9月2日0時30分だったにもかかわらず9月1日9時30分に電話したと事実に反する主張をしているのも、矢野が明代の窮状を知っていた事実を隠そうとしているように思える。

 問題は、明代が警察に行くとまで言い出すほど精神的に切迫した状況になったことを矢野が知ったのはいつの時点なのかということになろうか。さらに千葉は、その他の状況証拠として次のような事実を挙げている。



(千葉が挙げたその他の状況証拠)

①明代は自殺の数時間前から現場周辺を打ち沈んだ様子で徘徊していた。

②警察は、明代の自宅周辺、当該事務所周辺、本件ビル周辺における聞き込み結果から、本件転落死に第三者が関与していたことを示す証拠と理解することのできる客観的証拠は発見されなかった。

③矢野は……、不明であった靴の捜査等のために当該事務所への立入調査の要請を拒否したこと。

④矢野は……故明代の所在確認のために警察に電話をした時間を変更したこと。

⑤矢野は、マスメディアに他殺とコメントしていながら警察には、拉致犯人が電話で故明代を当該事務所から誘い出したとか、矢野がマスメディアに公開した故明代が最後に矢野と会話した電話の録音記録など他殺を裏付ける(とする)資料を一切提出しなかったこと。



 客観的に判明している事実のうち、矢野が時刻をごまかしているのは、矢野が警察に電話したとする時間だけである。これは不思議なことではあるまいか。

(つづく)
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