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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

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万引き被害者威迫事件 第22回
不可解な「請求原因」

『東村山通信クラブ』に掲載した記事の趣旨は①明代が万引き容疑で初めての取り調べを受けた当日、矢野とともに被害店に現れたこと②その目的は「取材」などではなく、被害者に被害届を撤回させるための脅しであり、お礼参りであったこと③矢野はのちの裁判で、脅しの事実を隠蔽するために改ざんした会話記録を裁判所に提出したこと④それはつまり、当日の矢野の行動が脅しであることを矢野自身が自覚しているからにほかならないこと⑤明代と矢野の訪問が脅し目的であるとすれば、それは明代の犯人性を証明するものであること――である。いわば、矢野の立場からすれば全編これ名誉毀損ということになるのだろう。

 平成7年7月12日、明代が窃盗容疑で書類送検されたことが全国紙で報じられて以後、一貫して「冤罪」を主張し、明代が自殺を遂げて以後も「明代の万引き犯の汚名を晴らす」と言い続けてきた矢野は、私のこの記事を提訴するのなら全編を対象にするのが当然と思われた。明代の万引きと自殺については、矢野と朝木直子の主張は平成15年11月までにあらゆる裁判で排斥されており、とりわけ『東村山の闇』発刊から2週間後の平成15年11月28日言い渡された「月刊タイムス事件」判決では、明代の万引きとアリバイ工作について東京地裁は、

〈被告(万引き被害者)が犯人と亡明代の同一性を間違える可能性は極めて低く、目撃者も3名存在することから、本件窃盗被疑事件の犯人は亡明代ではないかとの疑いが粗糖当の根拠をもつものということができる。

 そして、そのような疑いが、ひいては、本件窃盗被疑事件があったとされる時刻に、亡明代が本件レストランで原告矢野と食事をしていたとのアリバイが虚偽ではないかとの疑いを招き得るところであり、さらに、亡明代が平成7年7月4日の取調べにおいて、自らの上記アリバイを裏付けるものではない本件ジャーナル(レシート)を警察に対して任意提出して、上記アリバイを主張していたことは認定のとおりであり、原告矢野が4通もの詳細な陳述書を提出し、本人尋問においても供述しているにもかかわらず、本件レストランにおいて亡明代と食事をした際の状況について具体的に述べないのは不自然であることといった、亡明代が虚偽のアリバイ主張をしていたことをうかがわせる事情が存在することは、否定できない。〉

 と述べ、また「万引きを苦にした自殺」についても次のように述べて記事の相当性を認定している。

〈被告会社ら(月刊タイムス社及び宇留嶋)において、亡明代が、原告矢野の関与のもとに主張していたアリバイも虚偽であることが判明し、本件窃盗被疑事件を苦に自殺したことが真実であると信じるにつき相当な理由があったと認められる。〉

 この判決によって、矢野と朝木が生き残りをかけて発行した彼らの8年間の虚偽宣伝の集大成である『東村山の闇』はわずか2週間にして否定されたことになる。とすればなおのこと、『東村山通信クラブ』に対する提訴において明代の万引きの事実こそ正面から争うべきだったのではなかろうか。「万引きと自殺は表裏の関係にある」と直子がいうように、矢野は明代の万引きが「冤罪」であることを裁判所に認定させられれば、「他殺」であるとする主張にも初めて一定の合理性を認めてもらえることになろう。そうなれば、彼らが特異なエネルギーをつぎ込んだはずの『東村山の闇』を再評価させることにもつながるのである。

 ところが奇妙なことに、訴状には明代の万引きの事実について正面から争うような記載はなかった。訴状の「請求の原因」は以下のとおりだった。

〈2 名誉毀損記述 被告宇留嶋は、本件記事において、以下のとおり、客観的真実に反しているにもかかわらず、原告(矢野)が裁判所に提出した「反訳書」の記載内容には改ざんがあると断定し、原告があたかも裁判所を欺罔する不正を働く人物であるかのように一般市民に印象付け、原告の名誉を毀損して記述した。

《名誉毀損記述①》
「改ざんした会話記録を証拠として提出」

《名誉毀損記述②》
「明代氏の万引きをめぐる裁判で矢野氏は、6月30日の洋品店でのやりとりの録音反訳を証拠として提出している。ところが、その反訳には2回目までの会話しか入っておらず、1回目の時間も、「5時20分ごろ」立ったものが「7時」にすり替えられていた。取り調べの直後では早すぎて、「真犯人」であることを自白しているようなものだからか。そして、3回目しての会話からは最後の矢野氏のセリフがカットされている。それは、「オーナーに、証拠もないのに人を訴えると罪になると伝えて下さい」。自分でもそれが“脅し”であることを十分に自覚していたのだろう」

3 録音反訳と客観的真実
(1)録音期日と録音・反訳内容
 被告宇留嶋のいう右「録音反訳」というのは、東村山市民新聞の取材の目的で、原告と朝木明代議員が、1995(平成7)年6月30日午後7時ころ及び同月同日午後8時前ころの合計2回、訴外(被害者)の洋品店を訪れて、同洋品店員と会話した内容を、原告矢野が録音し、反訳したものである。
 したがって、録音テープは原告が保存しており、反訳書は録音内容をそのまま記述しているのであって、反訳書が録音内容と異なるものとなることはありえない。

(2)被告宇留嶋による名誉毀損記述
 被告宇留嶋は、本件記事において1995(平成7)年6月30日に5時20分、7時、8時の合計3回、原告が洋品店に訪れたと断定し、にもかかわらず、原告は、訪問回数を2回と偽るなどして反訳書を証拠として提出し、裁判所を欺罔した、と決め付けた。
 ところが、当の上記洋品店の店主は、別訴事件(「東村山市民新聞」の記事をめぐり、万引き被害者が矢野を提訴した事件))の本人尋問において、以下のとおり(本連載第16回参照)、原告はこの6月30日には2回しか来ていないと明確に証言しており、被告宇留嶋の3回だと断定した上記記述は客観的真実に反し、全く根拠がない。〉

 つまりこの訴状で矢野は、「自分は2回しか行っていないにもかかわらず、宇留嶋は3回行ったとし、さらに矢野が会話記録を改ざんして裁判所に提出したなどと虚偽の記載をしたことによって矢野の名誉を毀損した」と主張しているのである。矢野は平成12年2月23日、自らが行った尋問で被害者から引き出した供述を利用し、被害者に対する威迫発言をなかったことにしようとしていた。もちろんそれによって、明代の万引きもなかったことにしようとしているのは明らかなようだった。

 矢野と明代が当初、明代の万引きを否定するために持ち出したのが、万引きの時間帯、2人は東村山市内のレストランで食事をしていたとするアリバイだった。アリバイ作りのためにそのレストランに電話をし、適当なレジジャーナル(店側の記録)がないかどうか探りを入れたのも、最初に被害店を脅しに行った平成7年6月30日だった。しかし彼らは、まんまとジャーナルを入手したものの、それが他人のものであることを東村山署に簡単に見破られると、明代はついに取調室で、

「今日の調書はなかったことにしてください」

 とそれまでの供述をすべて撤回させられてしまった(この日の取調室の状況は『民主主義汚染』で詳述した)。もちろん一連の裁判でも、矢野は自ら提出した証拠によって明代の万引きが「冤罪」であるとする主張を立証することはできなかった。矢野が明代の「冤罪」を主張するために残されたのは、わずかに当事者たち(とりわけ万引き被害者)の証言の揚げ足を取り、あるいは失言を誘い、その矛盾を突いていくという姑息な方法だけだった。とりわけ矢野にとって最も使いやすかったのが平成12年2月23日、被害者が矢野の訪問回数を「2回」と誤認した供述だったのである。


(第23回へつづく)

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