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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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西村・細川事件 第12回
書記官の興味

 判決言い渡しが行われた平成24年1月26日、千葉は法廷には行かないことに決めていた。裁判所に無用の警戒態勢を取らなくていいよう配慮したのである。案の定、法廷では不穏な出来事があったらしかった。

 判決言い渡しから数時間後、千葉は判決文を受け取りに書記官室に出向いた。すると、担当書記官は判決文を渡しながら千葉にこう聞いたという。

「(右翼)Mさんというのは、どういう方ですか?」

 判決文の交付は通常はきわめて事務的な手続きで、とりわけ書記官の側から当事者に対し裁判や当事者以外のことを聞くことは珍しかろう。今日もよほど何かあったのだろう。そう思いながら千葉は答えた。

「警察の監視対象になってるようですね。あなたが見たとおりの方じゃないですか」

 この裁判で右翼Mは以前にも、当事者でないにもかかわらず、再三にわたって傍聴席から裁判長に抗議し、あるときには裁判長の制止を無視して数分間にわたって暴言、誹謗を繰り返したことがある。数か月前のことである。書記官はその様子も目撃していようが、数か月も前のことを急に思い出すというのも考えにくい。するとやはりこの日、右翼Mはまたも法廷で常識では理解しにくい行為に及んだということのようだった。当事者でもないのに、虫の居所が悪かったのだろうか。

提訴された裁判所前街宣

 この裁判は常識を超えた珍しい展開をたどるが、まずこの裁判における千葉の請求原因と請求内容を確認しておこう。

 平成21年11月1日、私(宇留嶋)が西村修平を提訴していた裁判の口頭弁論がさいたま地裁川越支部で開かれた。その際、西村は裁判所前において〈創価学会の疑惑に沈黙するな 東村山女性市議・朝木明代さん謀殺事件の徹底究明〉などと記載した横断幕(なお、この横断幕には賛同団体として「日本を護る市民の会」「せとblog『日本よ何処へ』」「主権回復を目指す会」「在日特権を許さない市民の会」「NPO外国人犯罪追放運動」の名が記載されている)および〈祝! 千葉英司敗訴「万引き」はでっち上げ! 「自殺」は謀殺だった!!〉などと記載したプラカードを掲示した上で、

〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長と、えー、一心同体となっている宇留嶋瑞郎が、今、裁判所に入ってきました。訴訟を乱発して一国民に対して100万円を請求する元千葉英司副署長と宇留嶋創価学会御用達ライターがね、これ名誉毀損といわれたその当人が今裁判所に入りました〉

 と演説した。私だけでなく千葉に対しても、提訴されたことに対する腹いせだったろうか。

 さらに翌日の同年11月2日、西村は主権回復を目指す会のウェブサイトに〈創価学会が大喜びする宇留嶋の訴訟乱発 創価学会「御用達」は栄えある名誉の筈だぞ! 言論・政治活動の自由をカルト教団から守れ〉と題する記事を掲載し、

〈朝木明代・東村山女性市議の謀殺事件を転落・自殺としたのが東村山署元副署長の千葉英司。自殺の動機を「万引き」を苦にしたとして事件を処理したが、これが限りなくでっち上げに近いことが判明されている。〉

 と記載するとともに千葉が映った演説時の動画とその静止画を掲載した。平成22年10月21日、千葉は上記記載と演説のうち〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている〉とする箇所および〈訴訟を乱発〉とする箇所が名誉を毀損するものであるとし、さらに動画と静止画の掲載は肖像権を侵害するものであるとして提訴したのである。

揺らいでいた足元

 若干振り返ると、千葉が提訴したのは平成22年10月21日、「行動する保守」Aが「現職警察官による内部告発」があったという衝撃的な「新事実」を掲げ、「主権回復を目指す会」の西村修平、「在日特権を許さない市民の会」の桜井誠、右翼Mらを糾合して勇躍「朝木明代転落死事件の真相究明活動」に乗り出して約2年後である。その2年の間に、「行動する保守」Aが「内部告発」の内容を具体的に明らかにすることもなく、彼らのいう「真相究明」すなわち「朝木明代は万引き犯の汚名を着せられた上、自殺とみせかけて殺された」という事実の「真相究明」が進むことはまったくなかった。

「真相究明」ということでいえばむしろその後、「行動する保守」一行が各地で行った街宣活動に起因する多くの裁判によって、東村山市議の矢野穂積と朝木直子が平成7年の事件発生以来主張してきた「万引き冤罪説」と「他殺説」はあらためて否定された。つまり「行動する保守」一行の登場によって、明代の転落死が「万引きを苦にした自殺」であることがあらためて確認されたと考えるのが常識的な評価ではあるまいか。その意味でなら、「行動する保守」一行は「真相究明」に貢献したということもできよう。

 とりわけ重要な意味を持ったのが平成20年9月26日、千葉が最初に西村を提訴した事件である。矢野と朝木は西村を全面的に支援したものの、東京地裁は平成22年4月28日、〈明代には自殺の動機がなかったとはいえない〉と認定するなどして「万引きはでっち上げ」「明代は何者かによって謀殺された」とする西村らの主張を排斥、西村に対して10万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 以後、矢野と朝木が「行動する保守」関連裁判に外から明らかにわかる形で支援した例はない。「行動する保守」にこれ以上積極的に関わることはやはりまずいと判断したのではないかと私はみている。

「朝木明代は万引き犯の汚名を着せられた上、自殺とみせかけて殺された」などという主張は裁判所に通用しないことを確認したというだけでなく、〈明代には自殺の動機がなかったとはいえない〉と述べた東京地裁の認定は矢野と朝木にとっても大きな意味を持っていたのだろう。「自殺の動機」とは「朝木明代は万引きをした」という事実にほかならない。

 最初の裁判で西村は控訴したものの、控訴審弁論は1回で終結していた。本件の訴状提出から1週間後の平成22年10月28日、東京高裁は〈「被控訴人(筆者注=千葉)が、亡明代が万引きをしたという虚偽の事実をねつ造した」という余地はなく〉と認定するなどして西村の控訴を棄却する判決を言い渡している。当然、〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長〉などとする演説および記事が問題とされる本件裁判と無関係とはいえまい。

 本件裁判の第1回口頭弁論が開かれたのは平成22年12月10日である。つまり客観的にみて、この時点で西村は真実性の抗弁にあたってきわめて苦しい状況に立たされていたといえるかもしれない。

(つづく)
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