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西村・細川事件 第15回
ウェブサイトの責任を否認

 右翼Mが具体的な主張を示したのは第2回口頭弁論で提出した第1準備書面においてである。西村の主張を簡単に振り返っておこう。

 平成21年11月2日、私が西村を提訴した際に西村がさいたま地裁川越支部前で街宣活動を行い、千葉について次のように演説した。

〈朝木明代さんの万引き事件、万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長〉

〈訴訟を乱発して一国民に対して100万円を請求する元千葉英司副署長〉

 西村は演説した事実およびその内容については認めたものの、上記①②が名誉を毀損するものであるとする千葉の主張については以下のように否認した。



(西村の主張)

原告千葉が本謀殺事件の捜査の過程において、「万引き事件のでっち上げ」「強引なる自殺として処理」を行ったという疑惑はこの15年間に渡って広く世間に流布されていることである。

 しかしながら創価学会という国家権力に密着した巨大組織による巧妙なる隠蔽工作のために事実が立証されていないことも確かである。

 よって、被告西村は確定的言辞を避けて「万引きをでっち上げたといわれている元千葉英司副署長」と、発言しているものである。

原告千葉が「訴訟提起を繰り返している」と言うのは紛れも無い事実である。



 についての西村の主張は「断定表現ではないから名誉毀損ではない」というものである。しかし千葉が訴状で主張するように、〈創価学会の疑惑に沈黙するな 東村山女性市議・朝木明代さん謀殺事件の徹底究明〉、〈祝! 千葉英司敗訴「万引き」はでっち上げ! 「自殺」は謀殺だった!!〉とする横断幕やプラカードが掲げられた中で行われたこの演説が一般聴衆にどう聞こえるだろうか。西村が主張するように、単純に「断定していないから千葉の社会的評価を低下させない」ということになるのかどうか。

 については、西村は〈訴訟を乱発〉をたんに〈訴訟提起を繰り返している〉という表現にすり替えている(まさか、特段の意図もなくこう主張したわけではあるまい)。2つの表現の意味がまったく異なるものであることは明らかである。

 またウェブサイトの記載について西村は、

〈「本件記述」に関して被告西村は一切の関与を行っていないし、このような記述をするように指示したこともない。〉
 
 と述べて掲載責任を否認した。元側近にすべての責任を押しつけたということである。普通、組織のトップなら、仮に具体的な指示をしていなくても部下の行為については最終的な責任を引き受けるのではあるまいか。

尋問の申し立てを撤回

 ウェブサイトの掲載責任がどちらにあるかは重要である。この点について西村と元側近の主張は真っ向から対立していた。裁判所としては名誉毀損以前の問題としてなんらかの判断をする必要があると思われた。そんな含みもあったのか、実質的に最後の口頭弁論となった平成23年9月8日の第5回口頭弁論で、裁判官は西村に対して元側近に対する尋問の必要があるかどうかと聞いた。すると西村は即座に、「元側近の人証を申請します」と答えた。

 西村としては当初から元側近の主張等を知りたいと何度も要求していたから、尋問を即答したのも当然と思われた。まさか、「尋問の必要はありません」と答えては足元を見られるような気がして、勢いで「申請します」と答えたわけではあるまい。

 その時点で元側近については和解で終結していた。元側近に対する尋問を行うということは相当の警備態勢を取る必要があるということである。それでも裁判所は西村の申し立てを受け入れた。

 もちろんその際には、元側近だけでなく西村と千葉に対する主尋問と反対尋問がそれぞれ行われる。当然、元側近に対しては西村だけでなく千葉からの反対尋問もあるから、西村にとって不利な供述が出てくる可能性もないとはいえない。そのことを双方了承し、尋問期日を平成23年10月27日とすることを確認した上、西村に対しては事前に陳述書を提出するよう申し付けて第5回口頭弁論は終了した。

 西村は同年9月28日に陳述書を提出した。ところが西村は陳述書で、元側近に対する人証申請を撤回したのだった。西村は冒頭、次のように述べていた。



 次回、10月27日に本人人証を行うとの事ですが、現在までの審理の状況を鑑みるならば、被告の立場から原告に対し尋問を行う必要性を見出せません。よって、下記の理由から裁判長は本裁判の訴えの取り下げを勧告することを要望します。



 自分から元側近に対する人証を申請しておきながら「本人人証を行うとの事ですが」とは、この右翼は何をいっているのだろうか。また西村は「原告に対し尋問を行う必要性を見出せません」というが、西村が最初に人証を申請したのは千葉ではなく元側近であり、この点も尋問を撤回する理由になっていないことが明らかだった。「取り下げ勧告の要望」については聞き流されるだけとみられた。

元側近との対決を回避

 どうやら西村は、元側近に対する人証を裁判官に聞かれて思わず「申請します」といったものの、とりわけ自分に有利な供述を引き出す根拠は持っていなかったようである。そうでなければ尋問を撤回する理由はないし、陳述書で元側近のことに一言も触れない理由もあるまい。

 流れで人証を申請したものの、冷静に考えれば、尋問によって西村が有利な状況を作り出せるとは考えられないことに気がついたということだろうか。あるいは本論とは別に、元側近の口から「主権回復を目指す会」代表・西村修平のこれまで知られていない内情が公表される可能性もあった。

 たとえば元側近が上申書で若干触れていた「公安調査庁から西村が毎月5万円を受け取っていた」という話や「以前、毎月高額な寄付をしていた女性がいた」という話、「行動する保守」の男女関係の話など――必ずしも積極的に公にすべきではない話が詳述される可能性もないとはいえない。どっちにしても、客観的にみて元側近を尋問することで西村にとって有利な材料を引き出せることは想定できなかった。

 こうして、当初は西村自身が積極的に申し立てたにもかかわらず自ら撤回を申し立てたことで本人尋問はなくなった。私には、西村が千葉の尋問からだけでなく元側近との対決からも逃げたように感じられた。

一足先に右翼Mの敗訴が確定

 尋問を避けることについては右翼Mも異論はなかったのではあるまいか。準備書面を作成してきたのは右翼Mである。この裁判の最大の争点である「千葉は万引き事件をでっち上げた(といわれている)」とする事実を立証するために西村(=右翼M)が乙第1号証として証拠提出したのは右翼Mが発行する「政経通信」第38号だった。

 しかしこのビラの記載はいうまでもなく「千葉は万引き事件をでっち上げた」とする事実の真実性・相当性を証明するものではない上に、すでに本件提訴の1年前に千葉から提訴され、右翼Mは一審(平成23年2月16日判決)、二審(平成23年7月20日判決)ともに10万円の支払いを命じられている。

 そのせいか右翼Mは本件で「千葉は万引き事件をでっち上げた」とする事実について真実性・相当性をいっさい主張しなかった。右翼Mとしても真実性・相当性で勝負するのは困難であることはわかっていたのだろう。

 本件事件はその後、西村との和解協議が決裂して平成23年11月24日、結審した。それから2週間後の12月8日、千葉が右翼Mを提訴していた裁判で最高裁は右翼Mの上告を棄却する決定を行い、右翼Mの敗訴が確定している。ほぼ同じ表現の演説と記事について右翼Mだけが敗訴するということは考えにくかった。

(つづく)
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