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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第13回
食い違う「摘示事実」

 千葉は問題の記事について、〈捜査責任者である原告が、亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実を摘示し、一般読者に対し、本来は適正な捜査をすべき立場の原告が亡明代殺害の証拠を隠匿したと認識させ、原告の社会的信用及び評価を低下させた〉として平成23年5月13日、提訴した。

 千葉のこの主張は、発見された鍵は「亡明代殺害の証拠ではない」(=「明代の転落死事件は殺人事件ではない」)というのが前提である。殺人事件でもない事件において発見された鍵が「明代殺害の証拠」となることはあり得ないし、発見状況を公表しなかったからといってそれが「殺害の証拠を隠匿」したことにならないのはいうまでもあるまい。

 千葉の提訴に対して矢野と朝木が平成23年7月1日付答弁書で行った主な主張は以下のとおりである。



1 名誉毀損性

①本件記事は、朝木市議の転落死に関する東村山署の捜査について、一定の証拠に基づき疑問を呈したものに過ぎず、人身攻撃に及ぶなど、論評としての域を逸脱したものではない。……仮に……東村山署の副署長である原告の公的な言動に関連する部分が含まれていたとしても、原告に対する名毀毀損には、該当しない……

②本件記事は、朝木市議の転落死に関する東村山署の捜査について、東村山署元幹部の原告千葉が事件発生後14年を経て初めて公表した東村山署の「捜査結果」に基づき疑問を呈したものに過ぎず、人身攻撃に及ぶなど、論評としての域を逸脱したものではない。



 公的機関やその職員である場合、その判断や処分が社会の評価にさらされるのは当然であり、批判や非難に対する受忍の限度は私人よりも高くなる。しかも矢野は千葉に対する人身攻撃はしていないとして名誉毀損性がないと主張していた。矢野の上記の主張が認められれば、真実性・相当性に関係なく、千葉の請求は棄却されることになる。

 名誉毀損性がない理由として矢野と朝木は、「本件記事中には、『原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した』などとは記述していない」とも主張している。

 記事で矢野と朝木が記載している文言は〈証拠事実の隠匿は明らか!〉〈元副署長チバは、捜査責任者として詳細を全面自供し事実隠匿の責任をとりなさい!〉で、確かに「原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した」とは記述していない。しかし、千葉が主張している摘示事実は〈亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実〉あって、矢野と朝木が主張するようにたんに「鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実」ではない。

 矢野と朝木が上記記載の中で記述する「証拠事実」あるいは「事実隠匿」とは、「鍵が警察犬が帰った後におしぼりの中に置かれたという事実」であり、その事実を隠匿したという趣旨である。つまり「鍵が警察犬が帰った後におしぼりの中に置かれたという事実」とは、矢野と朝木の主張においては「明代が殺害された証拠」である。

 するとやはり、矢野と朝木が記載した「証拠事実の隠匿」「事実隠匿」という文言は「明代が殺害された証拠の隠匿」ということであり、それこそが摘示事実ということになるのではあるまいか。矢野と朝木がここで千葉の主張として「鍵束を発見した事実を隠匿した(と記述している)」としているのは単純な事実誤認によるものか、あるいは意図的に摘示事実を自分たちの都合のいいようにすり替えたのだろうか。

 その延長線上で、矢野と朝木は次のような求釈明を行っている。



(求釈明)

 原告千葉は、「原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した」との事実を被告両名が摘示したというが、被告両名は、原告千葉が「鍵束を発見した事実を隠匿した」などという事実を摘示したことも、主張したこともないので、本件記事が摘示したとする具体的事実を明らかにされたい。



 そもそも千葉は、矢野と朝木が「千葉は亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿した」という事実を摘示したと主張しているのであって、「原告千葉が鍵束を発見した事実を隠匿した」との事実を摘示したと主張しているのではない。矢野は千葉の上記主張のうち、「亡明代殺害の証拠である」との部分を見落としたのだろうか。

「趣旨」から「証拠隠匿」部分を除外

 したがって、本件記事に名誉毀損性があると認定された場合の真実性・相当性の立証対象は〈亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿したとの事実〉であると思うが、立証対象についても矢野と朝木の主張は食い違っていた。



2 立証対象(事実摘示か論評か)

抗弁の立証対象は、「朝木明代議員の鍵束は、……おしぼりの間に入れられて発見された……」などとする東村山署による「捜査結果」を……原告千葉自身が……公表したという事実であり、その事実は明らかである。



 矢野と朝木は本件記事の趣旨について次のように述べる。



(矢野と朝木が主張する本件記事の趣旨=要旨)

 事件発生当時の東村山副署長だった千葉は、事件から14年後になって、明代の鍵は現場検証後に置かれたものであることを明らかにしたが、何者が何の目的で置いたかは解明できていないといっている。これによって朝木明代は何者かによって殺害された疑いが強いという決定的事実が判明したが、鍵に関する捜査は尽くされておらず未解明であって、東村山警察の捜査は不十分だ。



 確かにこれなら立証対象は矢野と朝木の主張するとおりだろう。彼らの主張が認められるとすれば、問題の記述は事実摘示ではなく論評ということになるのかもしれない。

 しかし矢野と朝木が述べる「趣旨」は部分的なもので、〈証拠事実の隠匿は明らか!〉〈副署長チバは、捜査責任者として詳細を全面自供し事実隠匿の責任をとりなさい!〉との箇所が主張する趣旨(千葉が主張する「千葉が亡明代殺害の証拠である鍵束を発見した事実を隠匿した」=「殺人事件を隠蔽した」という事実摘示)が含まれていないのは不可解である。矢野は立証対象をはぐらかすために千葉に関する記述部分にあえて触れなかったように思えてならない。

 答弁書における矢野と朝木の主張は大要、①記事は捜査機関の結論に対する論評で個人攻撃はしていないから名誉毀損性がない②千葉の主張する「摘示事実」自体が誤っている(そのような記載自体がない)から訴えの根拠がない③記事は論評であり、名誉毀損性があった場合の真実性・相当性の立証対象は「千葉が鍵に関する新事実を公表した事実」である――ということらしい。いずれにしても、そう簡単に噛み合ってくれるような相手ではないのである。

(つづく)
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