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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第15回
晩節を汚した名誉教授

 矢野が答弁書であたかも公的判断であるかのように記載した「鈴木鑑定書」については他の裁判でも信憑性を否定する判断が示されている。参考までに紹介しておこう。



(インターネット「東村山市民新聞」事件・平成21年1月29日東京高裁判決)

 控訴人ら(矢野・朝木)は、司法解剖鑑定書記載の本件損傷の存在により本件転落死が他殺であることが推認されると主張する。

 しかしながら、司法解剖鑑定書には、本件損傷が他人と争ってできた可能性があることをうかがわせる記載はなく、本件損傷の存在からは、鈴木医師の意見書に記載されているとおり、その生成原因として、明代が他人ともみ合って上腕を強くつかまれた可能性があることが認められるだけであり、明代が他人に突き落とされて本件転落死したことまで推認できるものでないことは明らかである。

――中略――

 司法解剖鑑定書の記載に加えて、……明代の転落前後の状況(明代が転落前に人と争った気配はないこと、明代が転落後に意識があるのに、救助を求めていないこと、明代が落ちたことを否定したこと、明代が転落箇所から真下に落下していること等)を併せ考慮すると、明代が他人に突き落とされたもの(他殺)ではないことがうかがわれる。

 以上によれば、本件転落死が殺人事件であると認めることは到底できず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。



 矢野と朝木はこの判決を不服として上告したが、その際、朝木は鈴木に対してさらに控訴審判決に対する反論を要請。鈴木は「鑑定補充書」(以下=「補充書」)を作成したものの、上告受理申立はあえなく棄却されている。最高裁は「鈴木鑑定書」および「補充書」によっても、上腕内側部の皮下出血の痕について「他殺」の証拠とは認めなかったものとみられた。

 最高裁の具体的な判断内容はわからないが、西村修平との裁判では西村側の書証として「補充書」が再度提出されている。東京地裁立川支部は「明代には自殺の動機がなかったとはいえない」と認定した判決の中で「補充書」の内容について次のように認定している。



(西村修平事件における「補充書」に対する東京地裁の認定)

 鈴木教授は、……平成18年8月20日付け意見書において、「転落現場で救急隊により担架に乗せられる際、両腕を揉まれた可能性の他、他人と揉み合って上腕を強く揉まれた可能性も推認できる。」旨の意見を述べていたところ、同人の平成20年5月26日付け鑑定書においては、「左右上腕の皮下出血部は、その位置は、いずれも、自分の手の届く範囲であるが、正常の人なら、自分の上腕内側を自分で皮下出血が生ずるほど強く掴まなければならない様な事態が生ずることはあり得ない。」などと述べ、さらに本件鑑定補充書においては、「朝木明代殿が仮に自殺しようとして、正常な状態でなかったとしても、この左右上腕の皮下出血は自分で掴んで生じた可能性はない。」などと述べるに至ったものであるから、鈴木教授の意見の内容には変遷があり、しかもその変遷に合理的理由があるとは認められない。……本件上腕部内側の皮下変色部が亡明代と他人が争った際に生じたことが最も考えやすいとする本件鑑定補充書の記載は採用することができない。



 さらに東京高裁は、現場の状況、自殺前の明代と自宅の状況などから〈この転落状況が計画的な殺害によって生じたというのは困難である、といわなければならない。〉と総合的な判断を示した上で、〈鈴木教授の意見をそのまま採用するのは困難といわざるを得ず〉として「補充書」の見解を排斥している。

 重要なのは、この判断の基準となっているのが司法解剖鑑定書の記載と東村山署の捜査結果であるということである。いずれの裁判所も司法解剖鑑定書の記載内容に信頼を置いているのに対し、鈴木教授の「鑑定」は個人の見解程度にしか扱っていない。「鈴木鑑定書」の内容がその程度のものでしかないということでもある。「鈴木鑑定書」があたかも公的鑑定であるかのような答弁書における矢野の書き方がいかに狡猾なものであるかがわかろう。

重要視されていない「上腕内側部」

 これに対して千葉は、平成21年7月1日付準備書面で名誉毀損性に関してすべて争う姿勢を表明し、平成23年9月6日付準備書面では矢野が主張する「他殺の根拠」に対する反論を行った。その中で千葉はまず、別件裁判で矢野が提出した司法解剖鑑定書に添付された明代の遺体の写真(鑑定医が死因の判定にあたって重要と判断したとみられる部位別写真)が不鮮明に加工されていたことを指摘した上で次のように主張している。



(矢野と朝木が主張する「他殺の根拠」――上腕内側部の皮膚変色痕に関する「鈴木鑑定書」に対する反論)

 被告らは、……法医学者の鈴木氏が、司法解剖鑑定書の記載内容に基づき亡明代は殺害された可能性が高いと鑑定したと主張する。しかし、被告らが鈴木氏に提供した司法解剖鑑定書添付写真は、……被告らが、皮膚変色痕の位置及び形状が視認できないように不鮮明に加工したものである。さらに、司法解剖鑑定書の本文には、亡明代が殺害されたことを示唆する記述は一切ないこと、さらに亡明代の両上肢がどのような態様で何に接触し、又は衝突したかを確定する証拠は一切ないのであるから、このような証拠関係において、鈴木庸夫氏の意見に信憑性はない。



 司法解剖鑑定書が初めて公にされたのは朝木直子が転落した明代の救急搬送を行った救急隊(東京消防庁)を提訴した、まれにみる悪質な裁判においてである。千葉は後日、当時の事件記録を閲覧した。

司法解剖鑑定書に添付された写真は以下の16葉である。

1 顔面の状態
2 胸腹部の状態
3 背面の状態
4 右胸腹部の損傷
5 右腰部、右臀部及び右大腿部の損傷
6 頸椎の損傷
7 右肋骨前面の骨折の状態
8 左肋骨骨折の状態
9 右肋骨背面の骨折の状態
10 肺損傷の状態(矢印)
11 下肢の状態
12 左足部内側の損傷
13 左脛骨及び腓骨の骨折
14 右下腿部の縫合創
15 右足背部の損傷
16 右腓骨骨折

 東京都が提出したこれらの写真はすべてきわめて鮮明で、内出血の形状、位置が確認できるものだった。司法解剖鑑定書において上記16葉の写真はいずれも死因を判断する上で重要な部位であるとみられるが、この中には「上腕内側部」は含まれていない。解剖医は鈴木教授と異なり、死因の判断にあたって「上腕内側部の皮下出血痕」が重要とはみなしていなかったことがうかがえた。

「上腕内側部の皮下出血痕」に関する矢野と千葉の主張のどちらが客観的かつ正当であるかはすでに明らかだった。

(つづく)
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