ブログマガジン エアフォース
ブログで興味深い記事を公開していきます。
著書紹介

民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』(ユニコン企画発行、長崎出版発売、1200円+税)

現在の“東村山の闇”の原点である議席譲渡事件と女性市議転落死事故についてのルポルタージュ。今は絶版となっていて書店では買えないが、手元に在庫があるので、希望の方はこちらにメールしてください。書籍代+送料でお分けいたします。

最近の記事

カテゴリ

プロフィール

Author:プールマン

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク

QRコード

QR

FC2カウンター

朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第17回
あり得ないストーリー

 明代の自殺現場に鍵を隠したのが矢野である可能性が高いことについて千葉は、自殺当夜の明代の行動からまず説明している。準備書面における千葉の主張をみよう。



(準備書面における千葉の主張)

1 亡明代は転落直前に事務所に立ち寄った可能性が高い


⑴ 自殺現場から……事務所まで直線で約130メートル、事務所から亡明代の自宅までは直線で約300メートル、自殺現場から亡明代の自宅までは直線で約430メートルの距離にあり、事務所は亡明代の自宅から自殺現場に向かう途中にある。被告矢野が公表した「亡明代が事務所から誘い出されて拉致され、自宅に監禁された後に事務所近くのビルに運び込まれ突き落とされて殺された」とするストーリーは、上記の亡明代の自宅、事務所、自殺現場の位置関係からありえない。



 矢野と朝木の「他殺説」の基本ストーリーは「拉致」である。当初矢野は「事務所から誘い出されて拉致された」と主張しており、「事務所の電気、クーラーがつけっ放し、ワープロも書きかけのままで、カギがかかっていたから、ちょっとそこまで出たという感じだった。事務所内にはバッグもあり、中には財布まで残されていた」などと矢野は説明していた。ただその時点で矢野は、明代はすぐに帰ってくるだろうと思っていたという。

 矢野は明代の自殺後、事務所からの拉致説を喧伝するが、平成11年11月15日、矢野は東京地裁における尋問で、(なぜかはわからないが、矢野にしてはめずらしく)あっさり「事務所からの拉致説」を撤回する(『聖教新聞』事件)。その模様をあらためて確認しておこう。



(「拉致説」に関する矢野の供述)

(東京都代理人は矢野が知人に話した拉致のストーリーをまず示す)

東京都代理人  東村山の駅まで、だから駅にだれか来てですね、交番がすぐにあるんですが、交番の側にはボックスがあって、そこから電話をかけてきて、どう行けばいいかって聞かれてるでしょう。そうする。じゃあ待ってて、迎えに行ってあげるからという調子でですね、全部を置いて鍵だけかけて迎えに行って帰ってくると2分、その状況で消えているんですと。

矢野  イメージは。

代理人  イメージはということで、これがあなたの拉致殺人説の基本的な筋なんじゃないんですか?

矢野  ……それは時間の経過というか、時間の経過がどのくらいの関係だったかと、それを例示してイメージでお話ししただけであって、別に殺害事件のストーリーをそこでシナリオを言っているわけでは全然ありませんから、……

代理人  違うんですか? それではあなたが思っている本件が殺人であるというような状況というのは、1つは自宅に監禁されていたと、そこから電話をしたんだとそういうことですね。それも違うの?

矢野  私は監禁されたとまでは公表しておりませんが、……。

代理人  そうですか。

矢野  はい。そこから拉致された、どこへ行ったという話はどこも出ておりませんよ。



 ここで矢野は事務所からの拉致説のみならず、自宅からの拉致説もいったん否定しているように聞こえる。しかしその後、矢野と朝木は明確に「自宅から拉致された」と主張するようになる。その根拠はいまだに示されていないが、むしろ朝木は同じ尋問において「自宅からの拉致説」を否定する供述をしている。その供述を確認しておこう。



(自殺当夜の自宅に関する朝木の供述)

東京都代理人
  あなたが自宅に……帰ってきたときに、あなたの自宅、あるいはお母さんの部屋を当然捜しますよね。

朝木  はい。

代理人  それを見たときに、監禁されたとか、何か、人が入ってきたような形跡はありましたか。

朝木  私はそのとき、そういうところまで考えておれば。

代理人  いや、一見してです。

朝木  ですから、今から申し上げます。どちらとも言えません。そういうお答えでしたら、そういうふうに気をつけて、たとえばガラスが割れたりとか、そういうことはありませんでしたが、……

代理人  例えば土足。

朝木  土足についても、うちはそんなに、きれいにしているわけではありませんから、ですから、そういうことも含めて、泥がいっぱい点いていたとか、ガラスが割れていたとか、そういうことはありません。

代理人  そういう、目に見えるようなあれはなかったというふうに伺っていいですか?

朝木  はい。



 自宅に異状はなかったと供述しているにもかかわらず、朝木は何を根拠に「明代は自宅から拉致された」と主張しているのだろうか。その根拠はいまだ明確には示されていない。矢野が「事務所からの拉致説」を否定した以上、「他殺」を主張するにはどこかで拉致されなければならない。事務所以外の拉致の場所は自宅以外にはなかったということだろうか。どこまで母親の死を弄ぶのだろうか。

「事務所内の状況」に多くの矛盾

 いずれにしても矢野が「事務所からの拉致説」を撤回したことは事実である。しかし疑問なのは、矢野が「明代は事務所から拉致された」と考えたのは、「事務所の電気、クーラー、ワープロがつけっ放しで、バッグも置いたまま」という事務所内の状況がその判断の直接の根拠だったはずである。

 しかし、矢野は「事務所からの拉致説」を撤回したにもかかわらず、その判断の根拠だった「(矢野のいう)事務所内の状況」だけが、なんらの釈明もなされないまま今も当時の状態で生き残っているというのはいかにも不可解である。矢野自ら「事務所からの拉致説」を撤回した以上、その根拠として矢野が説明していた「事務所内の状況」もとうてい信用できないとみられてもやむを得まい。

 矢野のいう「事務所内の状況」を矢野以外に確認した者は誰もいない。むしろ、「すぐに帰ってくるだろう」と思っていたにもかかわらず、のちにその状況に基づいて「事務所からの拉致説」を吹聴したこと、また特に異状を感じなかった矢野がその時点で明代のバッグの中と、バッグに入っていた財布の中身まで覗いたという異常な行為に及んだという矛盾からは、矢野が説明した「事務所内の状況」は矢野が意図的に作出したものにすぎないのではないかという疑いも相当の説得力を持とう。

「事務所から拉致された」ことにしようとしていた矢野は、明代が意図せずに連れ去られたというデマを印象付けることに気を取られ、特に異状を感じなかったにもかかわらず他人のバッグの中を覗くという行為の異常性にまで思いが至らなかったのだろう。矢野が帰ってきた際、事務所の電気はすべて消えており、明代のバッグはその時点ではまだなかったというのが事実なのではあるまいか。

(つづく)
関連記事

TOP