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民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒

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朝木明代転落死・鍵隠蔽事件 第21回
明代の異変に気付いていた矢野

 平成7年9月1日夜、矢野が他人の妻のバッグだけでなく財布の中身まで覗くという通常は異常な行為に及んだこと、また明代が当日履いていて、事務所に残していった靴の色、形状まで細かく記憶していたこと以外にも、矢野が明代の万引きに起因する異変を十分に認識していたと思わせる事実があった。矢野は表向きは9月1日午後10時30分過ぎに電話したと主張しているが、実は翌9月2日0時30分に東村山署に電話した際に話した内容である。矢野が話した内容について千葉は準備書面で次のように述べている。



被告矢野は亡明代の異変に気付いていたことを窺わせる電話をかけていた

 被告矢野は、亡明代が転落した約2時間半後の9月2日午前0時30分ころに東村山警察署刑事課に電話しているが、その際に「朝木さんがそちらへ行っていないかと思って電話を入れたのです」と話している。



 この発言は、矢野が明らかにしていない事実である。矢野は東村山署に電話をかけた際、〈「朝木明代議員が『行方不明状態』なので、情報が入ったら教えてほしい」と伝えた〉(『東村山の闇』)としか説明していない。矢野はなぜ「朝木さんがそちらへ行っていないかと思って電話を入れたのです」と話した事実を明らかにしなかったのだろうか。

 矢野が「朝木さんがそちらへ行っていないかと思って電話を入れたのです」といったのには理由がある。しかもそれは、明代の自殺に密接な関係のある理由だったと理解すべきだろう。矢野はその理由をさとられないために、この重要な発言を隠したのではあるまいか。

 千葉は続けて、矢野が「朝木さんがそちらへ行っていないかと思った」理由について述べている。



 被告矢野の上記電話は、亡明代が警察にアリバイに関して出直して説明すると取り調べ担当警察官に約束しており、昼間に弁護士からアリバイに関する検察官による取り調べに対する対応について教示を受けた事実に照らし、事務所で被告矢野と亡明代がアリバイに関する話し合いがもたれた際に、亡明代が深夜にもかかわらず警察に説明に行くと言ったことが窺える。



 明代が「警察に行く」といったから、矢野は「朝木さんがそちらへ行っていないかと思った」のである。

明代の本心

「警察に説明に行く」とは、要するに万引きを認めるということにほかならない。万引きで書類送検されたあと、明代はマスコミに対して冤罪を主張していた。しかし内心は、おそらくそうではなかった。書類送検が決定した平成7年7月12日、3度目の事情聴取でみごとにアリバイを崩された明代は「今日の調書はなかったことにしてください」とそれまでのアリバイ主張をすべて撤回するという醜態をさらしていた。明代はもう一度調べさせてくださいと言い残したものの、その後東村山署に来ることはなかった。無実を証明するアリバイなどあるはずがなかったのである。

 書類送検された明代は、いかに矢野が東村山署を批判しようと、いかにメディアが同情的な記事を掲載しようと、捜査には何の影響も及ぼさないことを十分に自覚していた。明代が万引きした洋品店の近くにじっと佇んでいたのを目撃されている。明代は罪を認めて謝罪する以外に助かる道がないことを知っていたのである。しかし明代は、それができなかった。

 自殺した当夜も明代は東村山駅方面から事務所(自宅)方面に歩いているのを目撃されている。明代が歩いてきた方向、東村山駅の延長線上には被害者の店がある。明代が謝罪に行こうとし、しかしそれができずに迷っていた可能性は否定できないのではあるまいか。それが正常な判断なのである。

 明代が矢野に「警察に行く」と少なくともほのめかしていたことは、東村山署に電話した際の矢野の発言内容からうかがえる。明代は本心では非を認めたかったということと理解できよう。ただ最終的に明代は、洋品店あるいは警察に対してではなく、自殺という形でしか非を認めることができなかったのではないか――。矢野が東村山署に電話して「朝木さんがそちらへ行っていないかと思った」と発言した事実の背後からは、当時の明代の様々に追い詰められた心理状態が浮かび上がる。

「警察に行く」ことを矢野はいつ知ったのか

 ところで矢野は、明代が「警察に行くかもしれない」ことを具体的にいつ知ったのだろうか。千葉が準備書面に記載しているように、矢野は9月1日午後、数日後に迫った地検での取り調べに備えて弁護士と打ち合わせを行っている。その夜、明代は矢野と話し合った。千葉が述べるように、その際に明代は「警察に行く」といい出したのではあるまいか。明代が警察に行くということは、明代だけでなく矢野にとっても重大なことである。

 明代が「警察に行く」といい出したのは何時の時点だったのだろう。参考になるのは矢野自身が法廷に証拠として提出した午後9時19分の「ファイナルメッセージ」とそれに対する矢野の対応である。これは音声として残っているからごまかしがきかない。

「草の根」事務所に電話した明代は矢野に「気分が悪いので少し休んで行きます」と伝えた。これに対して矢野は「はい、はい、はい」と応えただけである。仮にこの電話の以前に明代が「警察に行く」ことを矢野に伝えていたとすれば、このような冷淡な対応はなかったのではないか。むしろ「警察には行ったのか」と聞くだろう。しかし矢野の対応にはそんなそぶりさえうかがえない。

 仮に明代からの電話がキャッチホンで込み入った話ができなかったとしても、別件の通話終了後に矢野の方からかけ直してもおかしくないが、矢野はそれもしていない。つまりその時点ではまだ、明代は矢野に対して具体的に「警察に行く」とは伝えていなかったのではあるまいか。

 すると明代が矢野に「警察に行く」と告げたのは、9時19分に最後の電話をかけてから午後10時に自殺を遂げるまでの間しかない。明代が矢野に「警察に行く」と告げたあと、事務所で何が起きたかは想像に難くない。

 明代は裸足のまま事務所を飛び出し、事務所には財布と鍵を入れたままのバック、机の下には「青いローヒール」の靴が残された――私にはそうみえる。

(つづく)
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